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プロダクト開発を支えるテックリードの4年と6ヶ月

Last updated at Posted at 2025-10-11

プロダクトが無名の今だからこそ書けるテックリードとしてのリアルな約5年間を公に書ける範囲で振り返りたいと思います。

image.png

これまでの僕のプログラマ・テックリードとしての知見を総動員し、一人ではなくチームで大きなものを作りきりたいと思って覚悟を決めて(当時のブログ)、週末も夜も旅行中も関係なく作り続けてきました。

ざっくりこれまでを振り返ると、

1/ アイデアの検証 (Idea Verification) — 1.5年
2/ 課題のクリスタライズ (Customer Problem Fit) —0.5年
3/ ソリューションの検証 (Problem Solution Fit) — 1年
4/ MVP開発 — 1年

起業の科学に照らし合わせればこんな感じはありますが、アイデアの種を見つけてからは、ただひたすらにCEOがこれだと言ったものを磨き上げる作業を4年続けてきたという方が正確です。なぜならCEOも僕もこのプロダクトが解決するであろう課題の領域で長年やってきたので、この直感が偽なわけがないと信じられるからです。

最初の2年間は山登りの準備期間で、どの山に登るかを探していました。
そして、その後の2年で、課題とそこにあるニーズをプロダクトに蒸留する作業をひたすら続けてきました。

入社初日の全社定例で 「この会社を成功させます」 とはったりをかまして自分の逃げ道を無くしてから、その実現だけに一極集中して走ってきました。

関わる全員が報われてほしいので、ちょっとしたプロダクトではなく、世界市場をドミナンスするくらいのものを目指す以外に選択肢はないと制約を課していました。

僕は経営者ではない立場なので、「世界を目指さないならスタートアップじゃない」とか、「ちょっとしたものを作るくらならプロダクトはやめた方がいい」とか、「リスクを取れないなら成功はない」とか好き勝手に言えるのですが、そういった妥協からくるチームの見えない熱量の損失をあえてそういう言動で排除し、このポジションにしかできないことにフォーカスし、険しい山道を開拓し続けることが大事だと思っています。

1/ アイデアの検証 (Idea Verification) — 1.5年

最初の構想ではエンタープライズ企業とGig(世界中の優秀な開発者・デザイナーなど)が直接繋がり企業のソフトウェア開発をQCD良くするためのプラットフォームを考え、いくつかのPoCを作っていました。具体的には、エンタープライズグレードのセキュアなリモートコンテナ環境だったり、UIデザインと要件をインプットしたらウェブサービスが出来上がるものだったりです。そういった領域だとMicrosoft(その頃にGitHub Copilotができたので、この領域はすぐここに飲み込まれると思った)がすぐ作るだろうとなり、彼らに太刀打ちできるほどのアイデアも生まれませんでした。

他には社外メンバーのオン・オフボーディングをシームレスにするサービスなどあれこれ(真剣に)考えていました。そして生まれたのが現在のプロダクトのアイデアです。この社会は自律分散型社会に向かっている。その社会における企業や人のネットワークはとてもダイナミックなもので、この活動を支える仕組みないことが近い将来大きな課題になると考えました。この課題はこれまでのビジョンと親和性があり、ずっと考えてきたエンタープライズ企業とGigの繋がりにおける課題と本質的な部分で一致していました。今思えばなぜこのアイデアが最初からなかったのか不思議ですが、当時はここにたどり着くまで2年くらいかかっていました。

2/ 課題のクリスタライズ (Customer Problem Fit) — 0.5年

解決する課題はそことして、それは少し遠い未来の話です。それではビジネスは成功しません。次はさらに掘り下げて今ある現実的な課題とそれをリンクさせる作業です。
例えばこんなような課題がありました:

  • 企業の各部署でソフトウェアを作るときにサイロ化して重複したコストをかけている。
  • 旧システムから新システムへ移行したいとなったとき、ユーザーデータが深く他のビジネスドメイン機能と絡み合い、認証周りの移行がスムーズにできない。
  • サービスを利用するエンドユーザーがチーム(組織, テナント)を組みたいとなったときのシステムとしてのベストプラクティスがなく、アプリ横断の概念にもかかわらず、チームのサインアップはどうする?メンバー招待はどうする?ユーザーの棚卸しは?アプリ間でのSSOは?などを各アプリが個別に設計し実装している。

企業が抱えるこれらの近々の課題は、未来に想定した大本の課題と地続きであると考え、まずはこれらを解決していこうとりました。

3/ ソリューションの検証 (Problem Solution Fit) — 1年

次にその課題を解決するための機能を考えました。今のプロダクトは当初のUIデザインと大きく異なっています。当時考えていた機能は今考えれば Nice to Have なものが多く、ここですぐに開発せず、時間を使ったからこそ純度の高い価値のあるものに仕上がってきたと思います。ここからは実際に買ってくれそうなお客様に対し、各社個別にUIデザインや提案資料を持っていき、そこでニーズを確かめMVPで作る機能がだんだんと見えていきました。

4/ MVP開発 — 1年

MVPとはいえ作るものがエンタープライズ企業向けのアプリ横断のインフラ的なものなので、相当の作り込みが必要で、人も時間もお金も足りない状況でお客様の期待に沿うものを期限内に作りきることが求められました。
形になればなるほど細かいところのボロが目立ち、それを取り繕い、そうすると他が崩れるので根本から改善しを繰り返す作業です。ここで配線がこんがらがっていると今後のスケールに影響を及ぼすので、とにかく実現できる機能を最大化するためにシュミレーションを繰り返し、それを実現するためのデータモデルをシンプルに、将来の足かせとなる余計な機能を排除し、それでいてお客様が期待する価値を超えていけるものというここしかないという綱渡りを毎日続けること一年。ようやくリリースできました。

現在

このリリースからさらに一年と半年、Tactna は多くの改善を経て、2025年9月に最新版のリリースを迎えました。

近々ランディングページが刷新されるので楽しみです(↓は冒頭のデザイン)。

image.png

P.S.

これまでを一度振り返ってみると、あぁ僕は良いプロダクトをただ作りたかっただけなんだと忘れかけていた当時の理念と感情が明確に蘇ってきました。どうでも良い雑念を振り払いまた集中して良いプロダクトを作っていきます。

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