はじめに
前回の記事では、OneLake にファイルを直接配置する方法を整理しました。
OneLake には "直接置く" 以外にも、外部ストレージをコピーせずに参照できる
ショートカット(Shortcuts) という仕組みがあります。
これは OneLake のコア思想である「データをコピーせずに統合する」を実現する中心的な機能です。
今回はショートカットを実際に使いながら、
- ショートカットとは何か
- どんな場面で役立つのか
- 作成して Notebook から参照するまでの流れ
を整理します。
1. ショートカットとは何か
ショートカットは、OneLake 上に「外部ストレージや別ワークスペース上のデータへの仮想リンク」を作る仕組みです。
作成されたショートカットは OneLake 内に
"仮想フォルダー / 仮想ファイル" として表示され、
Notebook や Data Engineering(Spark)などのワークロードから通常のフォルダーと同じように扱えます。
2. コピー前提だった頃の課題と、ショートカットの必要性
ショートカットが登場する前、Fabric から外部データを扱う場合は、
基本的に「OneLake にコピーして使う」運用が前提でした。
これには次の課題がありました。
■ コピー前提だった頃の課題
- 外部ストレージと OneLake の両方の容量を消費する
- 複数ワークスペースで同じデータを使う場合、都度コピーが必要
- 大容量ファイルはコピーだけで時間がかかる
- 更新のたびに再取り込みが必要
- コピー処理のための Dataflow / Notebook の実装や運用が煩雑
- 同じデータを各ワークスペースに複製する必要があり、データのサイロ化を助長する
特に最後の「複製によるサイロ化」は実務上の大きな問題で、
分析基盤の品質低下やデータ不整合の原因にもなります。
こうした負荷を解消するため、
「コピーせずに参照できる」仕組みとしてショートカットが実装されました。
3. ショートカットのメリット
ショートカットを使うと、次のメリットがあります。
- OneLake の容量を消費しない(コピーが発生しない)
- 外部ストレージ側の更新が基本的に即時反映される
- 複数ワークスペースで同じデータを共有できる(サイロ化を防ぐ)
- Notebook や Spark(Data Engineering)から通常フォルダーと同様に扱える
- アクセス権管理を外部ストレージ側に一元化できる
特に、コピー不要で外部更新が即反映される点は、
これまで負荷の大きかった再取り込みや複製管理を不要にします。
なお、「容量を消費しない」という点は、外部ストレージへのショートカットだけでなく、
OneLake 内部(Fabric 内の別 Lakehouse 等)へのショートカットも同様です。
いずれの場合も、ストレージの課金はデータの実体が存在する側に発生し、
ショートカットを作成した側には追加のストレージコストは発生しません。
ただし、ショートカット経由でデータを読み取る際のトランザクション(CU 消費)は、
ショートカットを利用する側のキャパシティに課金される点には注意が必要です。
4. 対応しているショートカットの種類(2026年現在)
前回の記事でもショートカットの対応ソースについて概要を紹介しましたが、
ここでは改めて一覧として整理します。
Fabric では、次の内部ソース・外部ソースに対してショートカットを作成できます。
■ 内部ソース
- Microsoft OneLake(Fabric 内部の Lakehouse / Warehouse など)
■ 外部ソース
- Amazon S3(AWS)
- Amazon S3 互換(S3 Compatible)
- Azure Blob Storage
- Azure Data Lake Storage Gen2
- Dataverse(Power Platform)
- Google Cloud Storage(GCP)
- OneDrive(プレビュー)
- SharePoint フォルダー(プレビュー)
いずれも OneLake 内に "仮想フォルダー / 仮想ファイル" として表示され、
Notebook などから通常のファイルと同様に扱えます。
5. ショートカットを作成してみる
例として、Azure Data Lake Storage Gen2 のフォルダにショートカットを作成してみます。
手順
-
Lakehouse を開く
-
Files または Tables の右側の「…」をクリック
-
ショートカットの追加 を選択
-
「Azure Data Lake Storage Gen2」を選択
-
接続設定を行い、「次へ」をクリック
-
対象の格納先を選択し、ショートカットを作成
作成後、Lakehouse の Files / Tables 内にショートカットが表示されます。
もちろんデータ自体はコピーされていません。
6. Notebook からショートカット経由で読み込む
ショートカットは Notebook から通常のフォルダーと同様に参照できます。
例えば、先ほど作成したショートカット先にあるファイルは、Notebook では次のように読み込みます。
df = spark.read.csv("Files/folder-01/sample_sales.csv", header=True, inferSchema=True)
display(df)
ショートカットであっても、通常のファイルと同じパス指定で読めます。
7. Power BI との関係
ショートカットは便利ですが、Power BI で扱えるショートカットには制約があります。
■ Power BI が扱えるもの
-
Delta テーブルのショートカット(Tables 配下)
→ Delta / Parquet のメタデータ構造を Power BI が理解できるため。
■ Power BI が扱えないもの
-
Files 配下のファイルショートカット(CSV / JSON / Parquet 等)
→ Direct Lake / Import の設計思想と合わず、非サポート。
■ 結論
Power BI が直接扱えるのは「Delta テーブル」だけ
ファイルショートカットは Power BI では読めません。
実務では次のような構成が可能です:
- 別ワークスペースの Lakehouse の Delta テーブル
- それを Tables 配下にショートカット作成
- Power BI から直接参照(Import / Direct Lake)
8. まとめ
ショートカットは、OneLake が掲げる「コピーしないデータ基盤」を実現する重要な仕組みです。
- データをコピーせずに扱える
- 更新が即反映され、取り込み処理が不要
- 複数ワークスペースで共有でき、サイロ化を防げる
- Notebook / Spark から自然に扱える
- Power BI は Delta テーブルのショートカットのみ参照可能
次回は、Notebook を使ってデータを加工し、
Delta テーブルとして保存する流れに触れてみたいと思います。
たとえば、ショートカット経由で読み込んだ CSV データを
Notebook で加工し、Delta テーブルとして保存する、といった構成は
実務でもよく見られるパターンです。
最後に
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