はじめに
タイトルの通り、英語を勉強してからre:Inventに行ったら楽しかったので、どんなことを勉強したのか書いていこうと思います。
re:Inventから帰ってきて英語学習のモチベーションが上がっている人や、re:Inventに行く前に何か勉強しようと思っている人の参考になれば嬉しいです。
※若干ポエミーです。
re:Invent 2024の話
私は昨年(2024)初めてre:Inventに参加しました。
当時の私のスペックはというと、AWSに関しては業務で5年ほど触っていてAWS認定のSAA取得済み、洋楽が好きなので英語に抵抗は無いが、語彙も文法も中学生レベル、といった感じでした。
そんな私は初日のセッションから翻訳アプリのマイクは常にオンで、配布されたハンズオン資料もブラウザの翻訳機能を通して読んでいました。
当然2日目のMatt Garmanのキーノートも同時翻訳のヘッドセットを貰う気満々で会場に向かいました。
しかし、このキーノートはre:Inventの中でもメインイベントと言っても良いくらいの注目度で、ほとんどの参加者が足を運ぶと言っても過言ではありません。会場に着くと、人、人、人。入場する人の流れに乗って歩いていたらヘッドセットをどこで配っていたのかも分からぬまま着席してしまいました。
ですが、いざ始まってみると、あれ、なんか言ってることちょっと分かるぞ…!?もちろん一言一句何を言っているのか聞き取れたわけではありませんが、スライドを見ながら話の概要を理解することはできました。
おそらく、プレゼンの時のゆっくりハキハキした喋り方、キレイなスライド、S3やEC2といった慣れ親しんだ話題、これらのおかげで何を言っているのか理解できたのだと思います。
この時、個人的になんだかとても感動してしまいました。え、ちょっと、ただ音楽が好きで聞き続けていたこと、たまたまエンジニアとして、AWSを使っている会社に就職して仕事をしてきたことが、こんなにもここで活きてくるんですか…!?、と。同時に、ただなんとなく過ごしてきただけでこのくらい理解できるなら、もっと真剣に勉強すればもっとちゃんと分かるはずだ、と確信しました。
帰国後、1年間ちゃんと勉強してからもう一回行こう、と決意しました。
(もちろん会社のお金で参加しているので、私の決意だけで行けるものではありません。が、2024年度は会社が確保した予算より少ない人数しか参加を希望していないという状況で、これが続くなら、「re:Invent参加後にモチベーションが上がって1年間勉強しました!」って奴を行かせないという事態にはならないだろうという見立てです。)
やったこと(通年)
ここからは、実際に勉強したことを書いていきます。
まず、年間を通してやっていたことが以下の2つです。
Udemy
ありがたいことに会社がUdemy Businessを契約してくれているので、ひたすら動画を見ていました。(Udemyとは、動画学習のプラットフォームで、会社がアカウントを社員に提供してくれているため、無料で様々な動画を見ることができました。)
Udemyは世界中にユーザーが居るため、日本人の講師だけでなく外国人の講師の動画も沢山あります。
「もはや日本語で英語を学ぶ必要は無い、なるべく多くの時間英語と触れるべきだ」と考えた私は、英語で英語を教えている動画から見始めました。まずは初学者向けの文法の動画から始めて、その後ITエンジニア向けの英会話の動画を見たりしました。
実際に見た動画をいくつか挙げておきます。
AWS公式のポッドキャスト
これはre:Invent 2024に行く前からやってはいたのですが、AWSの公式ポッドキャストを聞いていました。
https://aws.amazon.com/jp/isv/podcasts/
このポッドキャストはAWSに関する話を英語で聞けるので、re:Inventの訓練にもってこいです。主に最新のアップデートについて話してくれるので、知識も拡充できて一石二鳥です。
私は主に通勤時間に聞いていました。満員電車でなければ字幕を読みながら聞いた方がリスニング力が上がると思います。
また、過去のre:Inventのセッションの動画もYouTubeで公開されていますので、re:Inventに向けた学習という意味ではこれもかなりおすすめです。
ただ、動画1本が1時間程度あり長尺なのと、興味のあるセッションを探すのが少し大変なので、十分な時間が確保できる時にしか見られませんでした。
やったこと(時系列)
上記の通年で取り組んだ学習に加え、以下のようなスケジュールで学習を進めました。
2024/12 CEFR受験(1回目)
まずは現状を知るためにCEFRという試験をオンラインで受けました。CEFRは、言語の習熟度を表す指標で、A1, A2, B1, B2, C1, C2の6段階に分かれます。簡単に言うとAが初級レベル、Bが中級レベル、Cが上級レベルです。
私が受験する時に使用したEF SETというサイトでは、試験結果が100点満点で採点され、以下のように各レベルとマッピングされます。
テストは「リスニング・リーディング」のみのものと、それに「ライティング・スピーキング」を加えたものの2種類があります。
今回はre:Inventでセッションの内容を理解することにフォーカスしたので、リスニング・リーディングの方を受験しました。
まず、2024年12月に1回目の受験をしました。
結果は100点満点中49点で、B1でした。B1は、「身近な話題や自身が興味のあることについて簡単な会話ができる」レベルです。
そこで「様々な分野の長文を理解し、仕事においても適切な表現ができる」レベルであるC1の取得を目指しました。re:Inventへの参加にあたっては、C2レベルへの到達を目指すより、IT分野の語彙の習得や、ある程度長時間の発表でも内容を理解できるようなリスニング力の強化に重きを置くべきだと考えたためです。
このオンライン試験は、一度受験したら3ヶ月間は受けられなくなりますので、次回は2025年の3月です。
2024/12~2025/2 AWS認定AIプラクティショナーの勉強
re:Inventへ行ったことで英語だけでなく技術の勉強への意欲も高まっていた私は、AIプラクティショナーの取得も考えていました。
2025/2/15までに合格すると、Early Adopterのバッジを貰えるとのことだったので、帰国後すぐに勉強を開始しました。
「新しいことを学ぶのも、もう日本語でやる必要は無いだろう」という乱暴な考えのもと、Udemyにある英語の試験対策講座を視聴し、合格を目指しました。
実際に見たのが以下の2つの動画です。
- [NEW] Ultimate AWS Certified AI Practitioner AIF-C01
- [Practice Exams] AWS Certified AI Practitioner - AIF-C01
およそ1ヶ月弱、解説の動画や模擬試験を受講した後、試験は念のため日本語で受け(笑)、無事合格することができました。
2025/3 CEFR受験(2回目)
前回の受験から3ヶ月経ったので、2回目の受験をしました。
Udemyでかなり動画を見まくっていたのと、英語で資格の勉強をしたことで、前回より点数が上がっている自信はあったのですが、
なんとこの時64/100というスコアでC1を取得することができました!🎉
なんかトントン拍子過ぎないか?もっと苦戦するもんじゃないのかこういうのは?とも思いましたが、英語で英語を勉強したのが良かったのだと思い込むことにしました。
2025/4~ 言語交換
4月頃からは、「言語交換」をやり始めました。言語交換とは、言語を学習する人達がお互いの母語を教え合うことを指します。
有名なWebサービスがいくつかあるのですが、その中の1つに登録し、日本語を勉強している外国人ととにかくメッセージをやり取りしまくりました。
言語「交換」とは言っても、流暢に日本語を話せる人は少なく、会話の80~90%は英語になるので、かなり英語力が鍛えられます。
また、一方通行の動画での学習とは異なり、相手と会話をするので飽きが来ません。数ヶ月連絡を取り続けている人も何人か居るぐらい楽しいです。
ここで私が感じたのは、教科書通りの完璧な英語を目指さなくても良いのだということです。
英語話者と言っても様々で、中には文法や単語の使い方がめちゃくちゃな人も居ます。(例えば、「You are」の過去形を「You were」じゃなくて「You was」と言っている人なんかも居ました。)そういう人たちと会話していると「あ、100点じゃなくて全然いいんだ」という気持ちになり、ある種自信に繋がるというか、自信が無いからといって何も喋らないのは勿体無いなと思うようになりました。
2025/9~ 英語で技術の勉強
9月頃には英語でAI関連のことを学習し始めました。例えば、AIエージェントやMCPなどの新しい技術について学び、日々の業務に活かす、ということをやっていました。
勉強方法は、主にUdemyでの動画視聴です。
また、仕事中にプログラミング言語などの公式ドキュメントを参照する際も、時間が許す限り英語で読むようにしていました。
流石に日本語と同じ速度では読めませんが、昔のように、読んでいる最中に「あ~もう無理!!」みたいな感じになって読むのを諦めてしまうことはなくなりました。
re:Invent 2025の話
そんなこんなで、無事に今年も会社から参加を認めていただきました。
1年の勉強で果たしてどれだけのことが変わったのでしょうか。
セッション予約
まずセッションを予約する段階から昨年とは違いました。
re:Inventでは、セッションのタイトルとアジェンダの一覧が載ったカタログが提供されるので、それを見ながらどれに参加するかを決めていきます。
昨年はブラウザの翻訳機能を使わないと読めなかったのですが、今年はほぼほぼ英語のまま読むことができ、分からない単語の意味を調べる時ぐらいしか翻訳機能を使いませんでした。
セッション参加
現地でセッションに参加する際も、同時翻訳は一切起動せず、ハンズオンの資料も英語のまま読み進めることができました。
勿論一言一句逃さず聞き取れたわけではありませんが、だいたいの意味は取れるようになっていたので、昨年のような同時翻訳を読みながら一歩遅れて話に付いていくやり方より、だいぶ内容を理解できました。
ワークショップでは、同じテーブルの人と「もうデプロイまで終わった?」とか「いや、今ビルド待ち。てか何の仕事してるの?」と会話したり、テーブルに付いてくれていたAWS社員にECSの機能について質問したりもできました。
これも全て完璧に英語でこなせたわけではなく、相手の話が上手く聞き取れずに聞き返したり、自分の言いたいことを伝えるために画面を指差して身振り手振りで説明したり、といったことが何度もありましたが、昨年感じたような「何を話したらいいのか全く分からない」という状態にはなりませんでした。言語交換などを通して「間違ってても大丈夫」というマインドを身に付けられたのも大きな要因だと思います。
EXPO
日本人にとってハードルが高いものの一つは、EXPOではないでしょうか。
EXPOでは、様々な企業の人がプロダクトのデモをしてくれたり、AWSのサービスの開発に関わるエンジニアから直接話を聞けたりします。つまり、コミュニケーションがメインなのです。
私もEXPOは自分にとってまだまだハードルが高いことは承知していましたが、キーノートの会場の出口がEXPOと直結しており、思いがけぬタイミングで入場してしまいました。
目の前にはAWSのエンジニアと話せるブースがあります。キーノートで発表された新機能「Nova Forge」が気になっていた私は、同じくキーノートの中で連呼されていた「WHY NOT?」の言葉を思い出し、ここで突撃しない理由は無いだろう、と腹を括り「これってどういう時に使うの?」と質問しました。どういう仕事をしているのか聞かれた後、「きっとあなたの会社ならこういう場面で使うと良いよ」と教えてもらい、ついでに「開発者ならこれも見てってよ」とNova Actについても説明してもらいました。最後にそのブースに置いてあったNovaのステッカーもゲットしました!
各ブースに置いてあるそれぞれのサービスのロゴ入りのswagがゲットできるなんて、去年の自分は思いもしなかったでしょう。
番外編
最後にもう一つ、英語勉強してて良かった〜、となった体験を書いておきます。
それはホテルでの出来事でした。
今回は6泊ほどしたのですが、なぜか初日から全然部屋の清掃がされません。3日目になり、最初にバスルームに置いてあったタオルを全て使い切り、トイレットペーパーもなくなってしまいました。
清掃は最悪なくても良いけど、流石にタオルとトイレットペーパーは貰わなければ、と思い、部屋からサービスデスクに電話を掛けることにしました。
「Can I have ...?」で伝わるはずだ、と脳内でシュミレーションした後に電話を掛けて、おそらくちゃんと話は通じ、3分後ぐらいにトイレットペーパーを持ったスタッフが部屋に来てくれました。
しかし、それからしばらく経ってもタオルが来ません。「もしかしてドアの外に置いてくれたのかも?」などと思った私は外をチェックしに行きましたが、そこには何もありませんでした。
「やっぱ無いか…」と思ったその瞬間、背後から「ガチャッ」と鍵の閉まる音が。
タオルがあるかどうかチェックしに来ただけなので勿論何も持っておりません。鍵も、スマホも、パスポートも。
オワタ/(^O^)\
しかし、どうにかするしかありません。
1Fのフロントまで行き、「I forgot to bring the key」みたいなことを言ったら、「マスターキーを持ったセキュリティを向かわせるから、部屋まで戻っていいよ」と言われ部屋まで戻り、屈強なセキュリティのおじさんに鍵を開けてもらった後「部屋の中にパスポートあんのか、見せろ」と言われ、急いで鞄から引っ張り出して本人確認をしてもらい、無事に部屋に戻れました。
(結局その日はタオルをゲットできなかったので、翌日また電話して持って来てもらいました。)
このようなピンチも裸一貫で乗り越えられる実力が付いたのだとポジティブに受け止めることにします。
おわりに
まず、英語を真剣に勉強して、本当に良かったです。
勉強のきっかけとなったre:Inventに再び参加することができ、前回よりも実りがあったこと以外にも、良いことがありました。
昔から聞いていた洋楽がもっと理解できるようになったことや、言語交換で外国人の友達ができたこともその一つです。
ただそれ以上に、最新の情報にリアルタイムで触れられるようになったというのが一番大きいです。
エンジニアリングの世界では、いつだって新しい情報はまず英語で発表されます。特に近年のAI関連の情報は、日々目まぐるしい速度でアップデートされます。どこかの誰かが翻訳してくれるのを待っていたら、もうその情報は古くなっている可能性すらあります。
ただ、AIの発達によって、翻訳の精度がどんどん上がることは間違いないので、私が感じているメリットも数年後には何の意味も成さないかもしれません…。
しかし、それでも私は英語学習に価値を感じているので、これからも勉強を続けます。
また、学習内容やスケジュールについて、ハードに感じる方も居るかもしれませんが、この記事は「1年でこれをやった結果こうなったよ〜」という記録に過ぎませんので、真似できることだけでも取り入れてみてくれる方が居たら嬉しく思います。


