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【LaTeX】区間記号$(a,b)$は紛らわしいので、直感的な新記法をTikZで作ってみた

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Last updated at Posted at 2025-12-11

はじめに

数学における「区間」の記号、特に開区間$(a,b)$は、「座標の順序対$(x,y)$」や「最大公約数$(m,n)$」と記号のネームスペースが完全に衝突している。

もちろん文脈で十分判断できる範疇なのだが、コーディングしたりUI設計したりしてる身としては、

  • 数式をパースする際に、解釈がズレる可能性をはらんでいる
  • 組版した文章を読む際に、文脈に応じて読み替えないといけない

といった課題があると感じた。

そこで本記事では、この記法の歴史的背景と国際規格(ISO)の扱いを整理した上で、ぼくのかんがえたさいきょうの区間記法をLaTeX (TikZ) で実装しようと思う。

結論

TikZを用いて描画コマンドを作成した。

image.png

記法の歴史とISO規格

現在、世界的に使われている区間の表記には、大きく分けて2つの派閥が存在する。

  1. アメリカ流: $(a,b)$
    開区間を丸括弧で囲む、お馴染みのスタイル。1920年代までには既に広まっていた古典的な表記であり、エミール・ボレルなどの著作でも見られる。直感的で書きやすい反面、前述の通り「順序対」との混同が避けられない欠点がある。

  2. フランス(ブルバキ)流: $]a,b[$
    開区間の括弧を外側に反転させるスタイル。これは、1930年代から活動を開始したフランスの数学者集団「ニコラ・ブルバキ」が、順序対との混同を避けるために意図的に採用・普及させた表記である。彼らの著書『数学原論』(1939年〜)を通じて広まり、現在でもフランス語圏やその影響を受けたテキストでよく見られる。

ISO規格の扱い

じゃあ、ISO規格はどう定義してるのかというと、数学記号について定義されている国際規格ISO 80000-2:2019に準拠したJIS Z 8000-2:2022を参照する。1
番号2-7.10に両開区間についての記載があり、なんとどっちもOKなのだ。
ちなみに、順序対については番号2-6.14に記載があり、こちらは$(a,b)$といった表記のほか、カンマを小数点記号と間違える可能性がある場合は、$(a;b)$や$(a|b)$といった表記も認めている。2

提案:視覚的直感を記号にする

既存の記号は、活版印刷や手書きのコスト制約の中で生まれたものだと思うが、現代においてはそういった制約がないんだし、もっと「意味そのもの」を体現した記号があっても良いはずだ。

そこで、以下のような記法を提案したい。

  • 概要: 「数直線上の区間」そのものをアイコン化した記法
  • 詳細:
    • 境界値を$a,b$としたとき、$a$と$b$の二項関係として表現する。
    • 数直線上の図示において標準的な記法である、「実線で結び両端を丸にする」というもの。
    • 両端の丸は、黒丸と白丸の2種類とし、次のように使い分ける
      • 黒丸: 閉(境界を含む)
      • 白丸: 開(境界を含まない)
  • 期待される利点:
    1. 一意性: 順序対$(a,b)$などと見間違えない。
    2. 直感性: 「丸括弧が開区間だったか?角括弧が閉区間か?」という暗記や脳内変換が不要。形そのものが意味を表している。

LaTeX(TikZ)による実装

もちろん、こんな記号は標準フォントには存在しないため、TikZを用いて描画コマンドを作成した。

image.png

以下のようなマクロを定義することで、数式中で自然に使用できる。

\usepackage{tikz-cd}
\usetikzlibrary{calc}

% 0 = white (circle,draw), 1 = black (circle,fill)
\newcommand{\interval}[2]{%
  \mathrel{%
    \tikz[baseline=-0.6ex]{%
      % 左端の処理
      \ifnum#1=1
        \node[circle,fill,inner sep=0.6pt,minimum size=3pt] (L) at (0,0) {};
      \else
        \node[circle,draw,inner sep=0.4pt,minimum size=3pt] (L) at (0,0) {};
      \fi

      % 右端の処理
      \ifnum#2=1
        \node[circle,fill,inner sep=0.6pt,minimum size=3pt] (R) at (0.9em,0) {};
      \else
        \node[circle,draw,inner sep=0.4pt,minimum size=3pt] (R) at (0.9em,0) {};
      \fi

      % 線でつなぐ
      \draw (L) -- (R);
    }%
  }%
}

これで、a \interval{0}{0} b と書けば開区間が、a \interval{1}{0} b と書けば半開区間が出力される。

詳細なTeXコード全体は、Overleafにまとめている: TeXコードへのリンク

おわりに

歴史的経緯とISO規格により、$(a,b)$と$]a,b[$という2つの標準があることが分かった。
しかし、「記号は誰のためにあるのか?」という視点から見たとき、今回提案した表記法であれば、理解のノイズになるようなことがなくなるだろう。少なくとも、この記号を使っておけば「これ座標ですか?」という質問は二度と飛んでこないはずだ。
最後に、今後の展望としては、片方の境界が存在しない半無限区間についても、現状$(a,\infty)$といった表記があるため、こちらについても包含するような表記も考えていければと思う。

参考文献

  1. 今回の記事を書くために、日本産業標準調査会ウェブサイトへ利用者登録した。JISをちゃんと見たのは初めて。

  2. なお、最大公約数の記号については記載がなかった。

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