WordPress保守管理費用を抑えるには、サービス側の努力ももちろんですがユーザー側の努力が実は必要です。今回はどういった対策を実施すれば費用を抑えられるのかについて説明します。
WordPress保守管理費用の内訳
一般的にWordPress保守管理費用には下記が含まれます。
- 基本料(バックアップ保存領域の確保など、基盤に関わる費用)
- ステージング環境に必要な別サーバーの維持に関わる費用
- 脆弱性検知、不正アクセス検知など有料セキュリティサービスの費用
- 国内外の事例から不具合情報などを定期的に調査するための費用
- 更新作業、更新後の確認、更新後の部分的な修正に関わる作業人件費
- VR(前後比較)に関わる費用
- お客様サイト構成に応じた、各テーマ・プラグイン開発者との諸連絡に関わる費用
- PHPバージョン更新に伴う調査検証費用
その他、これは各社次第ですが下記もあります。
- レンタルサーバー、VPSなど設定代行に関わる費用
- ドメイン購入・更新などの設定代行に関わる費用
- WooCommerceなどEC・会員サイト特有の高度な作業に関わる費用
WordPress保守管理サービス内容は各社異なります。どの金額で、どこまで対応してくれるのか?については必ずサービス提供元の公式サイトや契約書を確認し、不明なら事前にお問い合わせしてください。
WordPress保守管理費用の相場
よくネット上にある相場まとめ記事ですと1サイト1万円前後~4万円前後というのが日本だと多いです。どの機能・作業を含めるか?省くかによって保守管理費用は変わります。
安い価格帯の保守管理サービス特徴
- サイトのバックアップ頻度が毎日ではなく毎月1回(理想は最低毎日です)
- サイトの定期更新間隔が毎月1回(作業時間を減らし低価格にするため)
- ステージング環境で事前テストせず、公開サイト上で直接更新(深夜~早朝などはこれでも可)
- 保守管理システムでバックアップから更新を全て自動化
- セキュリティ対策が無料プラグインの範囲、例えば不正ログイン対策に留まる
高い価格帯の保守管理サービス特徴
- サイトのバックアップ頻度が最低毎日1回~1時間毎
- サイトの定期更新間隔が月に数回または毎日
- ステージング環境で更新テストを実施してから、公開サイトを更新
- セキュリティ対策が不正ログイン対策のみではなく、毎日ファイル改ざんを検知するほか、マルウェア感染時においては駆除まで定額料金に含まれる
この場合の「高い」は個人では継続が難しい価格帯なので「高い」という表記ですが、サービス内容を踏まえれば妥当な価格帯とも言えます。
月額の違いは万が一の損害賠償に影響します
また例えば月々の費用を低く設定しているサービスでは、一例として損害賠償金額の上限を月額費用を上限とする契約にしているなどがあります。
例えば1ヶ月売上100万円あるサイトが月1万円の保守管理を契約したとして、保守管理作業中にサイトが停止したとします(停止の理由は作業ミスの他に、最新版のテーマ・プラグインまたはWordPressコアとの相性問題がある場合もあります)。
その場合も損失補填は仮に50万円が期間中の損失額だとしても、業者が負担すべき賠償金額の上限は1万円ですよというケースです。
保守管理相場は理解している、けど払えないものは払えない
正直、これが一番多いのでは?と思っています。
実際問題、保守管理を依頼していなかったり、機能を省いた低額な保守管理を依頼しているサイトだと不正アクセス被害にあってアクセスが一時的に減少、マルウェア復旧費用もかかり損失は意外と大きいという話はよくあります。
WordPressは運用したい。
けど保守管理費用の予算がない(少ない)
という時におすすめなのは、サイト構成の見直しです。
WordPress保守管理費用を抑えるための工夫
運営サイト数を絞る、似たサイトは統合を検討する
WordPress保守管理費用は一般的に1サイト毎に必要です。運用サイト数を減らしたり、統合したりするなどでサイト数を減らすことで毎月10万円~40万円(10サイト保守管理した場合)の出費削減に繋がります。
必要最低限の機能を持つプラグインを使用する
WordPressではオールインワン系が人気ですが、うち1割しか搭載機能を利用していないという場合があります。こういったプラグインは開発者次第では余計な読み込みが増えるため、必要な機能のみを提供するプラグインも探してください。
またプラグイン選定については下記ポイントが脆弱性によるリスクを防ぐために重要です。
- WordPress最新版への対応が早いプラグインを使用する
- 半年~1年以上更新のないプラグインは早めに停止・切り替えの判断をする
プラグインの数を増やしすぎない
プラグイン等の組み合わせが多くなれば多くなるほど、更新時のエラーリスクは高まります。
例えばAというプラグインがあってWordPress最新版に対応しているから更新しても大丈夫、と普通は考えます。しかしサイト上で併用されているプラグインBと相性問題が発生する可能性がある。毎回ではありませんが、こういった事態が発生しうるのです。
ページビルダー系プラグインの利用は控える
例えば海外テーマみたいにページビルダープラグイン前提で設計されているテーマなら仕方ありません。しかしSWELLなど国産テーマで既にテーマ側で十分なコンテンツ装飾ができるのに、更にページビルダーを使うのはパフォーマンス面でもおすすめできません。
海外テーマのサイトも保守管理していますが、国産テーマと比較した場合海外テーマはページビルダープラグインの併用が必須なので、更新しただけでサイト上のデザインが崩れるというシーンが実際にあります。こういった条件下だと高めのプランじゃないと対応できないので、国産テーマのサイトよりも保守管理費用が増える可能性が高いです。
過度なカスタマイズを控える
- 子テーマをかなりカスタマイズしたサイト
- 制作会社が独自プラグインを導入したが、最新版WP対応をしていないサイト
これらのサイトは一般的にカスタム対応という枠で、最上位の保守管理プラン契約を求められる場合があります。例えばWP Buffsでは標準プランが79ドル(約12,000円)に対し、カスタムサイトだと347ドル(約52,000円)以上のプランが必要です。
日本だと月10万円前後、またはそれ以上になってもおかしくありません。
EC・会員サイトの利用を控える(減らす)
WooCommerceサイトは一般的にWordPress保守管理ではECサイト対応プランというのが別に用意されます。少なくともブログや会社案内などのサイトと同じ枠では対応しきれない範囲です。
サーバーにインストール不要な、既存のオンラインショッピング構築サービスの方が保守管理費用で比べたら断然安いですし、セキュリティ対策などしっかりしているのでWooCommerceの経験者が社内にいない限り、WordPressのECサイト構築はあまりおすすめしません。
WooCommerce自体は無料ですが、しっかりした機能をもたせるにはある程度有料プラグインが必要ですし、保守管理費用も毎月5万円前後は最低でも覚悟しなければなりません。
WordPressは自由度高いけど、適度に制限した運用を
執筆時点でWordPress公式サイトには59,767件の無料プラグインがあります。
おすすめ記事なども大量にあり、玉石混交な状態です。ご自身で十分に理解せず、気になったプラグイン入れ続けるとサイトの維持コストが膨れ上がるという点は覚えておいてください。
WordPress保守管理サービスは今後更に自動化などが充実化するため、今よりも低価格になる可能性があります。ただいくらサービス側が安くしようとしても限界があります。
サービス側がお客様のサイトに合わせるより、サイト運営者が保守管理サービスの最下位プランでも大丈夫な仕様にサイトを持っていく方が実現性が高いです。