はじめに

皆さん、こんにちは。

私は業務でデータ利活用基盤を取り扱っていること、2024 AWS Japan Top Engineer に選出されたということから、AWS GenU およびそれに必要なデータ基盤の探求 (Snowflake, dbt, Iceberg, etc) に取り組む必要があると考えています。

本投稿では、GenU のバックエンドである CDK コードを詳細に解説します。
自身そして閲覧して頂いた皆様の GenU への理解が少しでも深まり、生成 AI の民主化につながっていければと考えています。

前回までのおさらい

前回までで、以下が完了しました。

GenU の CDK は最大で以下の 6 つの子スタックを作成します。
前回までで全てのスタックについて解説が終わりました。

CloudFrontWafStack
RagKnowledgeBaseStack
AgentStack
GuardrailStack
GenerativeAiUseCasesStack ※メインスタック
DashboardStack

今回が最終回となります。
今回は、スタックからエクスポート (CfnOutput) される値を解説したいと思います。

CfnOutput とは

CfnOutput はスタックの出力情報です。
Web ページの URL やダッシュボードの URL など、リソースに関する重要な情報の出力や、クロススタック参照用のエクスポート値として利用できます。

GenU では、以下の CfnOutput を行っています。

CloudFrontWafStack 関連
- WebAclId: CloudFront ディストリビューション用の CfnWebACL の ARN (解説)
RagKnowledgeBaseStack 関連
- RagKnowledgeBaseEnabled: スタック作成時のパラメータ ragKnowledgeBaseEnabled (デフォルト値は false)
WebSearchAgentStack 関連
- AgentEnabled: スタック作成時のパラメータ false (デフォルト値は false)
- AgentNames: 以下のいずれか (上を優先)
  - WebSearchAgentStack で生成した Web 検索エージェントおよびコードインタプリタの displayName
  - スタック作成時のパラメータ agents の displayName (デフォルト値は空配列)
GenerativeAiUseCasesStack 関連
- 共通
  - Region: スタック作成時のパラメータ region (デフォルト値は以下のいずれか)
    - CDK 実行時の環境変数 CDK_DEFAULT_REGION
    - 固定値 'us-east-1'
  - ModelRegion: スタック作成時のパラメータ modelRegion (デフォルト値は 'us-east-1')
  - ModelIds: スタック作成時のパラメータ modelIds (デフォルト値は以下の配列)
    - us.anthropic.claude-3-5-sonnet-20241022-v2:0
    - us.anthropic.claude-3-5-haiku-20241022-v1:0
    - us.amazon.nova-pro-v1:0
    - us.amazon.nova-lite-v1:0
    - us.amazon.nova-micro-v1:0
  - ImageGenerateModelIds: スタック作成時のパラメータ imageGenerationModelIds (デフォルト値は以下の配列)
  - HiddenUseCases: スタック作成時のパラメータ hiddenUseCases (デフォルト値は空オブジェクト)
- Web リソース関連
  - WebUrl: GenU Web ページの URL (以下のいずれか)
    - カスタムドメインを利用する場合、https://[ホスト名].[ドメイン名]
      - ホスト名はスタック作成時のパラメータ hostName
      - ドメイン名はスタック作成時のパラメータ domainName
    - カスタムドメインを利用しない場合、CloudFront ディストリビューションの URL
  - Flows: スタック作成時のパラメータ flows の JSON 文字列を base64 エンコードしたもの (デフォルト値は空配列)
    - Web ビルド時の環境変数 VITE_APP_FLOWS に使用する
  - EndpointNames: スタック作成時のパラメータ endpointNames (デフォルト値は空配列) ※SageMaker エンドポイント
    - Web ビルド時の環境変数 VITE_APP_ENDPOINT_NAMES に使用する
  - SamlAuthEnabled: スタック作成時のパラメータ samlAuthEnabled (デフォルト値は false)
    - Web ビルド時の環境変数 VITE_APP_SAMLAUTH_ENABLED に使用する
  - SamlCognitoDomainName: スタック作成時のパラメータ samlCognitoDomainName (デフォルト値は null)
    - Web ビルド時の環境変数 VITE_APP_SAML_COGNITO_DOMAIN_NAME に使用する
  - SamlCognitoFederatedIdentityProviderName: スタック作成時のパラメータ samlCognitoFederatedIdentityProviderName (デフォルト値は null)
    - Web ビルド時の環境変数 VITE_APP_SAML_COGNITO_FEDERATED_IDENTITY_PROVIDER_NAME に使用する
  - InlineAgents: スタック作成時のパラメータ inlineAgents (デフォルト値は false)
    - Web ビルド時の環境変数 VITE_APP_INLINE_AGENTS に使用する
- Api リソース関連
  - ApiEndpoint: API GW のルート URL
  - PredictStreamFunctionArn: Lambda 関数 predictStreamFunction の関数 ARN
  - OptimizePromptFunctionArn: Lambda 関数 optimizePromptFunction の関数 ARN
  - InvokeFlowFunctionArn: Lambda 関数 invokeFlowFunction の関数 ARN
- Auth リソース関連
  - UserPoolId: Cognito ユーザプール ID
  - UserPoolClientId: Cognito アプリケーションクライアント ID
  - IdPoolId: Cognito ID プール ID
  - SelfSignUpEnabled: スタック作成時のパラメータ selfSignUpEnabled (デフォルト値は true)
- Rag リソース関連
  - RagEnabled: スタック作成時のパラメータ ragEnabled (デフォルト値は false)
    - amazon.nova-canvas-v1:0
- UseCaseBuilder リソース関連
  - UseCaseBuilderEnabled: スタック作成時のパラメータ ragEnabled (デフォルト値は true)
DashboardStack 関連
- BedrockLogGroup: Becrock 用の CloudWatch ロググループのロググループ名 (解説)
- DashboardName: CloudWatch ダッシュボードのダッシュボード名 (解説)
- DashboardUrl: CloudWatch ダッシュボードの URL
  - https://console.aws.amazon.com/cloudwatch/home#dashboards/dashboard/[ダッシュボード名]

以上です。
全 14 回に渡り、GenU のバックエンド (CDK) を解説してきました。
まだまだ発展していく OSS のため、様々な変更が入っていくと思いますが、コンセプトは変わらないと思いますので、読んで頂いた方の助けになれば幸いです。

この後は、フロントエンド (Vite + React) およびデプロイオプションの解説を行っていきと思います。

(参考) GenU のバックエンド (CDK) 詳細解説投稿一覧