今回は、SANについて興味を持ったのでまとめてみました。「IP-SAN」と「FC-SAN」の選び方から、実際の構築手順まで、実践的な内容でお届けします。
はじめに:SANって何?
SANは「Storage Area Network」の略で、サーバーとストレージを専用のネットワークで接続する仕組みです。
例えるなら、SANは「ストレージ専用の高速道路」のようなものです:
- 通常のネットワーク → 一般道(様々なデータが混在)
- SAN → 高速道路(ストレージデータ専用)
IP-SANとFC-SANの違い
まずは表で比較してみましょう:
項目 | IP-SAN | FC-SAN |
---|---|---|
特徴 | 既存のIPネットワークが使える | 専用の高速ネットワークを構築 |
速度 | 1-10Gbps | 16-64Gbps |
コスト | 💰 | 💰💰💰 |
運用難度 | 😊 | 😣 |
おすすめ用途 | 開発環境、部門サーバー | 基幹システム、大規模DB |
どっちを選べばいい?
✅ IP-SANを選ぶケース
- 予算を抑えたい
- 既存のネットワークを活用したい
- 運用担当者のスキルレベルが様々
✅ FC-SANを選ぶケース
- 超高速な転送が必要
- 予算より性能を重視
- 専門の運用チームがいる
実践:IP-SANの構築手順
1. サーバー側の設定(Linux)
# まずはiSCSIのインストール
sudo apt-get install open-iscsi
# サービスの起動
sudo systemctl enable iscsid
sudo systemctl start iscsid
# ストレージの検出(IPアドレスは環境に合わせて変更してください)
sudo iscsiadm -m discovery -t sendtargets -p 192.168.1.100
💡 Point
open-iscsi
はLinuxでiSCSIを使うためのパッケージです192.168.1.100
は接続したいストレージのIPアドレス
2. ストレージ側の設定
# ターゲットの設定ツールをインストール
sudo apt-get install targetcli-fb
# ストレージの作成(/dev/sdbを使う例)
sudo targetcli /backstores/block create name=disk1 dev=/dev/sdb
# iSCSIターゲットの作成
sudo targetcli /iscsi create iqn.2024-03.com.example:storage
実践:FC-SANの構築手順
1. 基本構成
FCスイッチを使った基本的な構成はこんな感じです:
[サーバー1] ─┐ ┌─ [ストレージA]
[サーバー2] ──[FCスイッチ]── [ストレージB]
[サーバー3] ─┘ └─ [ストレージC]
2. ゾーニング設定
# ゾーンの作成(サーバーとストレージを関連付け)
zoneCreate "zone_srv1", "10:00:00:00:c9:2b:6a:3c"
cfgAdd "PROD_CONFIG", "zone_srv1"
cfgEnable "PROD_CONFIG"
トラブルシューティング
よくあるトラブルと対処法
- 接続できない
# まずはPingで疎通確認(IP-SANの場合)
ping ストレージのIP
# iSCSIセッションの確認
iscsiadm -m session
- 性能が出ない
# I/Oの状態を確認
iostat -x 1
まとめ
SANの選択は、以下の3つがキーポイントです:
-
予算
- IP-SAN:数十万円~
- FC-SAN:数百万円~
-
必要な性能
- IP-SAN:一般的な業務システム向け
- FC-SAN:高性能が必要なシステム向け
-
運用体制
- IP-SAN:一般的なネットワーク知識があれば運用可能
- FC-SAN:専門知識を持った運用体制が必要
よくある質問
Q. IP-SANでも基幹システムは運用できる?
A. 適切な設計と十分な帯域があれば可能です。要件に応じて検討が必要です。
Q. FC-SANの学習にはどのくらい時間がかかる?
A. 環境や個人の経験により大きく異なります。基本的な運用を理解するまでの期間は、関連する技術の経験や学習環境によって変動します。
※本ガイドの内容は一般的な説明です。実際の導入に際しては、使用する製品のマニュアルや専門家の助言を参考にしてください。