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伝わり易い文章を書くために最近考えたこと

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Nextscape クライアントビジネス推進室の長谷川です。
この記事は株式会社ネクストスケープ2025年アドベントカレンダー第8日目の記事になります。

はじめに

読み手に伝わる文章を書くのって本当に難しいことだと思います。最近、Nextscapeの中でも結構重要度が高いテーマだったりします。

私が所属する部門(営業セクションです)は、自社の会社紹介資料を更新する役割を担っています。会社紹介資料って「初めまして」の人にお渡しすることが大半なので、いかに自分たちの魅力を分かり易くお伝えして記憶に残してもらうか、結構な工夫が必要になります。プロジェクトを事例化する際なども、関係者にインタビューした内容を「伝わる文章」にまとめるのは、本当に骨が折れます。

私は、コピーライターでもないし、どちらかと言うと文章を書くことに苦手意識を持っています。ですが、文章のクオリティや、作成のスピードをもっと向上させたいなと思い、何冊か書籍を手に取りました。参考までに列挙しますので、興味があったら是非読んでみて下さい。

 

最近、こららの書籍を参考にして、自分なりに文章作成の手順を再考しています。今日はその一部をご紹介したいと思います。

「もう文章なんて全部AIに書かせればよい」と言うかも知れませんが、こういった勘所をもっているといないとでは、どんなツールを使おうともアウトプットのレベルが変わってきます。いろんなシーンで応用できるものなにで、参考になればと思います。

伝わり易い文章はやっぱりナラティブだった

文章作成に関する本は数多あり、どれも同じようなことを言っているような、違うことを言っているような。そこで私なりに定義した手順はこんなモノです。

  1. 伝えたいことを定義する
  2. パーツのリストを作る
  3. ストーリー化する
  4. ナラティブに変換する

やっぱり最終形態として「ナラティブ」なんですよね。理由は後述します。
では順番に説明を。

1.目的を定義する

当たり前の事なんですが、文章を書く前に、意外に目的の定義を端折ってませんか? 書いてる途中で「あれ、私はいったい何が言いたかったんだ?」と迷子になったり、読み手に「よくわかんないんだけど、何が言いたいの?」と冷ややかに突っ込まれたり。悲しい思い出のある人は、AIに指示する時でも、手で書く時でも、目的の定義をお忘れなく。

具体的に定義すべきは「何を伝えたいか」と「読み手にどうなって欲しいか」の2点です。 何かを伝えるということは「相手に情報を渡す」だけでなく「受け取った相手が行動を起こす」ことで完結します。そのためには必ず2点セットが必要です。両方が定まっていないと文章は脆く崩れます。

今日は手順を説明しながら、実際に文章を書いてみようと思います。私もまだまだトレーニングが足りないので、つたない文章ではありますが、雰囲気を掴んで頂ければと。では、今日作成する文章に関して、簡単な目的を定義します。

いろんなところで言ってるんですが、私、釣りが好きです。 本当に釣りが好きなんですね。 なかでも「ルアーフィッシング」というジャンルの釣りが大好なんですよ。 「ルアー」という偽物のエサで魚をだまして釣り上げる意地の悪い遊びです。 そんな訳でこれを題材にさせてもらいます。

  • 何を伝えたいか → 「なぜ私はルアーフィッシングが好きなのか」
  • 読み手にどうなって欲しいか → 「似たような趣味を持っていたら是非話を聞かせて欲しい」

ルアーフィッシングを好きになってもらって、一緒に釣りに行けたら楽しいですが、それはハードル高いのでこんなところで行きたいと思います。

2.パーツのリストを作る

目的が定まったら、文章を構成するパーツを列挙します。普通にやっている人も多いと思います。設計書みたいなものなので、やっていない人は是非やって下さい。今回の目的に沿うと、こんな感じです。

  • 私は父親の影響で子供のころからルアーフィッシングをしている
  • ルアーは偽物のエサなので魚を釣るのはかなり難しいが、一方で釣れた時の喜びが最高
  • ルアーにはコレクションの要素があり所有欲を満たしてくれるところも良い
  • 日常にはない興奮が味わえ、リフレッシュにもなる
  • 似たような趣味を持っている人がいたら、是非話がしたい

この段階では事実が認識できる状態になっていればOKです。まだ文章ではなくて「情報」の羅列ですね。

3.ストーリー化する

続いてパーツという骨格に粘土で肉付けをし「ストーリー」という造形作品を仕立てていきます。単に言葉を足して文章化するのではなく物語調に仕立てるのがポイントです。

少し脱線して、なぜここで「ストーリー」なのか。人間の脳は物事を「物語として理解すること」を得意としていることが脳科学的に明らかになっています。皆さん、日々の業務の中で、要件やタスクの完了条件を誤認して、やらかしてしまった経験ってあるんじゃないでしょうか? 要件、仕様、タスクは、残念ながら「情報」としてまとめられていることが殆どです。でも人間の脳って「情報」をそのまま理解することが得意ではないそうです。一つ前の手順で「パーツのリスト」=「情報の羅列」を作りましたが、内容を覚えてます? そう、やらかしてしまったあなた、安心して下さい。あなたのせいではありません。あなたの脳のせいです。一方で脳が物事を「物語」として捉えると、理解し記憶に残り易くなります。だから「ストーリー」なのです。冒頭に書いた参考書籍にもこの辺りの説明がありますので是非。

話を戻して、「ストーリー」を作るには、骨格に「背景」や「経緯」と言った具体的な事象を塗り重ねて行きます。さらに「感情」や「擬音」も加えると、読み手のイメージが鮮明になるそうですよ。

私の父はルアーフィッシングが好きで、週末になると幼い私を川や湖に連れて行ってくれました。私のタックルボックスにはお気に入りのルアーが幾つか並んでいて、前日から「これだ」と決めていた一つを取って糸に結び、一日中キャストを繰り返したのを覚えています。ルアーで魚を釣るのはとても難しく「今日もダメかなぁ」と心が折れかけますが、そんな気の緩んだ時に限り、突然岩陰から大きな魚が飛び出してルアーにガツンと喰らいつきます。突然の衝撃に私は声も出ず、抵抗する魚と闘いつつ、子供ながらにアドレナリンがドバっと噴き出すのを感じました。狩猟本能を刺激される強烈な興奮、相棒ともいえるルアーで釣り上げたという達成感、そういった非日常的な体験から私はルアーフィッシングに夢中になりました。同じような経験や趣味を持っている人がいたら、是非話を聞かせて下さい。

かなり情報を肉付し、ストーリー化しました。こうすると「川や湖に連れて行ってもらってたんだ」とか、「ルアー自体に結構な思い入れがあるんだ」とか、「なんだ結局はただのアドレナリンジャンキーの類か」とかとか、背景が見えてきます。 同じ情報量を「パーツのリスト」の形で渡されてもなかなか頭に残らないと思います。 ストーリー化されているので、読み終えた後、細かい描写までは記憶できていなくても「なんかあの人、魚に本能刺激されて興奮してるらしいよw」くらいには、記憶して頂けたのではないかと思います。

さて「ストーリー」は出来ましたが、なんだか一方通行ですね。 「なぜ私はルアーフィッシングが好きなのか」はなんとか伝わったかも知れませんが、「似たような趣味を持っていたら是非話を聞かせて欲しい」は叶わなそうです。

次行きましょう。

4. ナラティブに変換する

でました。ナラティブ。

繰り返しですが「ストーリー」は一方通行になりがちです。一方通行な文章は読み手にとって自分事化し難いので、その場のインパクトはあっても継続的な記憶にはなりません。既に皆さんの私に対する印象も「魚方面の人」くらいまで薄まっているのではないでしょうか? 記憶期間が短いと行動にもつながりませんよね。

また少し脱線しますが、皆さん「ナラティブ」と「ストーリー」の違いを説明できますか? ナラティブとは広義に「物語的な構造」を指します。でもって「ストーリー ⊂ ナラティブ」なんだそうです。難しいですね。ナラティブは本当にいろいろな解釈があって、例えば「歴史におけるナラティブ」とか「マーケティングにおけるナラティブ」とか「終末医療におけるナラティブ」とかとか。いたるところで様々な定義がなされています。今回は伝わり易い文章としての「ナラティブ」を説明したいのと、「ストーリー 」→「ナラティブ」の変換について説明したいので、私なりにしっくりくる定義を「ストーリー」との対比として下の表にまとめてみました。

  ストーリー  ナラティブ 
主役 特定の誰かについて述べている 読み手が主役と自分を置き換えられる
舞台 特定のどこかで起きている その出来事を上もしくは外から捉えている
時間 決まった時間で完結する 現在も進行中である

どうしても小難しい書き方になってしまうのですが、「ナラティブ」は読み手が自分事化出来る物語です。自分事化できると記憶に残り易くなり、読み手に行動を起こさせる可能性た高まります。「読み手にどうなって欲しいか」を叶えようとすると、やっぱり「ナラティブ」になるのです。

上の表にある3つ要素をうまく変換することで「ストーリー」が「ナラティブ」に昇華されます。実際に、先程の「ストーリー」を「ナラティブ」に変換してみましょう。ちなみに「ストーリー ⊂ ナラティブ」なので、抽象度を上げる作業にもなります。やり過ぎると要点がぼやけてしまうので、力加減が難しいところです。くれぐれも目的の定義を忘れないように注意が必要です。

自然の中で遊ぶことが好きな人は少なくないと思います。私は父親の影響で幼少期にルアーフィッシングを始め、今でも釣りを通じて自然と戯れることが大好きです。多くの男子には共感を得られると思いますが、ルアーが入ったタックルボックスはまさにコレクション棚です。コレクションの一つをその日の相棒として選び、一緒に魚を追い求めて、一日中自然の中を歩き回ります。ルアーで魚を釣るのはとても難しく「今日もダメかなぁ」と何度も心が折れかけますが、そんな気の緩んだ時に限り、突然大きな魚が飛び出してルアーにガツンと喰らいつきます。突然の衝撃に心拍数が爆増し、抵抗する魚と闘いつつ、アドレナリンがドバドバと噴き出すのを感じます。狩猟本能を刺激される強烈な興奮、相棒であるルアーで釣り上げたという達成感、そんな非日常的な体験こそが私にとって最高のリフレッシュです。皆さんにとってのリフレッシュはどんなものでしょうか? 是非話を聞かせて下さい。

主役、舞台、時間を変えるので、単純な置換・変換にはなりません。

  • 主役 読み手が自分を主役にして自分の話に置換できるよう、釣りに限定せず「自然の中での遊び」や「コレクション」という要素を前面に出しました。
  • 舞台 「川・湖での出来事」を「リフレッシュするための場所」に変換し、より広い範囲に舞台を移しました。
  • 時間 終わってしまった「過去の思い出」ではなく「今でも夢中な趣味」と変換して、現在も継続しているものであることを表しました。

要するにこれらすべて、読み手とのコンタクトポイントを増やす効果がある訳です。変わらず私の趣味について語っている文章ですが、一方通行だった「ストーリー」と比べて、読み手が自分の事を想起しやすくなっていないでしょうか? 「コレクションって言えば子供のころポケモンカード集めてたな」とか「リフレッシュするなら家でのんびり過ごしたいな」とか「今もしょっちゅう釣にいってるなら付いて行ってみようかな」とかとか。

「似たような趣味を持っていたら是非話を聞かせて欲しい」に、少しは動機付けできたかもしれません。

作成の手順は、以上のような感じです。

最後に

「パーツ」→「ストーリー」→「ナラティブ」は、粘土を重ねていく作業なので、どうしても文字数・情報量が多くなります。例えばSNSのプロフに載せるなら、ここから文字数を絞って簡潔にまとめるべきですね。「じゃ、最初から文字数制限に合わせて書けば」と思ったあなた。何もないところからいきなり書いた文章と、今日の手順で作った文章では明らかにクオリティが変わります。 是非、時間を見つけて試してみてください。

更に「ナラティブ」が頭に入っていると、その文章を説明する際、例えば提案のプレゼンテーションをする際に協力な武器になります。文字面だけでは伝わらない「背景」「経緯」「感情」そして「擬音」も混ぜ込んで話せると、聞き手の頭にしっかりと記憶を刻むことができ、行動(受注?)に繋がるかも知れませんね。

以上、参考になれば幸いでございます。
来年のアドベントカレンダーは記事そのものを「ナラティブ」で書き表せるよう、「真のナラティブ使い」を目指してトレーニングに励みたいと思います。

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