はじめに
VBAマネージャーのAIエージェント化に変わらず取り組んでいますが、なかなか思うようには進みません。
前回はこう書いて締めました。「次は、他人のブックです。」
その次の一枚は、まだ開いていません。代わりにこの四日間で起きたのは、テスト射撃で残高を使い切ったことと、そのあとで撃ち方を変えたことでした。機能の話はほとんど出てきません。出てくる数字の大半は、無駄に撃った弾の数です。
方向が変わった、と言ってよいと思っています。どう変わったかを書きます。
TL;DR
- 練習台の弾を、四日間で 108回・のべ2,488発 撃っていました。撃っていたのは道具を作っている側のAIで、頭は Gemini の従量課金APIでした。九月九日の夜、残高が尽きました
- 数えてみると、2,488発のうち 1,404発は「全部合格」で終わった回の弾でした。何も見つけていません。落ちた弾は230発で、その大半は同じ弾の撃ち直しです
- 頭を Claude Code に移しました。追加の課金はありませんが、使用量は減ります。翌日、そちらの上限にも当たりました。頭を移しただけでは、請求書の宛先が変わっただけでした
- それで撃ち方を変えました。まず Python だけで回る機械の試験。実射は、AIの判断を見たいときだけ、落ちた弾だけ。 機械の試験は409本から459本になりました
- 撃たずに固めたあと、動画で見た「手作業とAIでどちらが早いか」のお題を再現させて撃ちました。動画ではどちらも七分前後です。一回目は不合格でした。重複を三組しか拾わず、別の行を消し、「受注済みみ」ができても合格と出ました
- 直して撃ち直して、六十七秒で合格。ところが文字の色も大きさも太字も、ばらばらのままでした。道具もAIも、値しか見ていなかったからです
- 目を足して撃ち直したら、三十六秒・一往復・一発でした。残っていた道具側の無駄(プロセスの起こし直し・一発の回の採点・AI に書かせていた報告)を削って、二十一秒。方向が変わったのは、撃てる回数が増えたからではありません。撃たなくてよくなったからです
残高が尽きました
九月九日の夜、練習台の弾を八十三本まとめて撃たせたら、八十三本とも落ちました。所要は十八分です。
2026-09-09 19:00:14 0/83(0%) gemini/gemini-3.7-flash 1113秒
道具の欠陥ではありません。API が 429 を返していました。Gemini の従量課金の残高が尽きていたのです。八月に有料課金へ切り替えて、方向性が見えてきた、と書いたあの残高です。
この連載で、九月四日にこう書いています。AIエージェントの費用は賢さではなく往復で決まる、ループを Python が持っていれば往復の数は先に読める、と。本番の往復は、たしかに読めていました。 一回の依頼で何往復、一往復で何字、請求書の行が毎回出ます。
読んでいなかったのは、テストの請求書でした。
撃った数を数えました
尽きたあとで、台帳を出させて数えました。九月四日から九日までの、Gemini を頭にした実射です。
| 実射の回数 | 108回 |
| 撃った弾ののべ数 | 2,488発 |
| 全部合格で終わった回 | 69回・1,404発 |
| 一本でも落ちた回 | 38回 |
| 落ちた弾ののべ数 | 230発(9.2%) |
撃っていたのは、道具を作っている側の Claude Code です。共通の部分を直すたびに「退行がないか」と言って全弾を撃つ。九つの汚れ方を掛け合わせて撃つ。私はその間、待っていました。
数字の読み方はこうです。1,404発は、撃った時点で何も見つけていません。 全部通ったのを確かめただけです。落ちた230発にしても、中を見ると同じ弾の撃ち直しが大半で、「鈴木さんの分だけ」という弾が八回、「300行の掃除」が四回。しかもその落ち方は、道具の欠陥とは限りません。弾の側の書き間違いや、モデルの返事の揺れが混ざっています。
同じ日の未明にも、似たことがありました。九つの状態と全弾を掛け合わせて621発、二時間。収穫は二件で、うち一件は弾の側の矛盾でした。自分で作った仕事です。一方で、同じ夜に撃ち終わった記録を三十分読ませたら、採点役が同じ勘違いを繰り返している系統が四つ、のべ二十九発ぶん見つかりました。
撃つより、撃った記録を読むほうが、見つかる。 これが、残高が尽きる前に分かっていたことです。分かっていて、撃っていました。
正直に書くと、待っているあいだは「機械が回っているから進んでいる」ように見えます。回っているのは事実で、進んでいないのも事実でした。
頭を、家の中に移しました
残高が尽きた日のうちに、既定の頭を Claude Code に変えました。ヘッドレスで claude -p を起こし、一つの会話を一つのプロセスで温めておく形です。中で答えているのは Sonnet です。
これは前から選べるようにしてあったものです。対話のときの既定はもともとこちらで、実射のときだけ Gemini が既定でした。理由は「レート制限に当たらないから」。つまり、たくさん撃つことを前提に選んでいた頭です。前提のほうが間違っていました。
移して、追加の課金はなくなりました。契約の範囲で動きます。
ただし、タダではありません。 使用量は減ります。翌日の九月十日、こんどはそちらの上限に当たって、道具を止めて休憩することになりました。
頭を移しただけでは、請求書の宛先が変わっただけでした。撃ち方を変えないかぎり、どこへ移しても同じです。
撃つ前に、撃たない試験を
ここで決めたことが三つあります。
一つ目。撃つのは、直した所を通る弾だけ。 五本から八本で足ります。実際、数式を見る目を足したときは八本・四分で、七本通って一本落ちました。落ちた一本だけ直して、その一本だけ撃ち直す。全弾を撃つのは、私が名指しで頼んだときだけです。「共通の部分を触ったから」は、理由になりません。
二つ目。まず Python の機械の試験。 この道具は Python がループを持っていて、AI は判断する部品でしかありません。だとすると、関所も、手の翻訳も、不変条件も、控えも、台帳も、AI を呼ばずに確かめられるはずです。Excel を偽物にして、返事を決め打ちにして、道具の側だけを回す。費用はゼロで、十秒で終わります。
九月十日の夕方に、どこが試験に届いていないかを測らせました。「Excel に触るが、中の判断は Python」の関数が、ごっそり抜けていました。
| 関数 | 前 | 後 |
|---|---|---|
| 列に規則を当てる手(全行を書き換える) | 1% | 95% |
| 戻す手(安全網そのもの) | 22% | 88% |
| マクロ側のループ | 1% | 95% |
| 式を末尾まで伸ばす手 | 0% | 93% |
全行を書き換える手が1%。安全網が22%。いちばん人のデータを壊しうる所が、いちばん試されていませんでした。 守っていたのは実射だけで、その実射は残高と一緒に止まっています。
その夜のうちに埋めさせて、テストは409本から443本になりました。見つかった欠陥は一件です。二十万セルを超えるシートがあると、戻す手が途中で止まっていました。書いたテストの残りは、全部そのまま通っています。欠陥が少ないのはよい知らせで、試されていなかったのは悪い知らせです。
三つ目。撃つ前に、頭が何かを出力に出す。 既定を信用して撃たない。同じ事故を、名前を変えて繰り返さないためです。
これは、書いてすぐに役に立ちました。翌日、道具の本体を分けている最中に、テストが五本、本物の Claude Code を呼んでいたのです。差し替えたはずの関数が、凍った参照のせいで差し替わっていませんでした。それに気づいて、テスト側に「本物の AI を拒む見張り」を置きました。以後、どのテストも AI には届きません。
一万二千行を、十一本に分けました
ついでに書いておきます。エージェント本体のファイルは、二週間で 12,642 行になっていました。九月十一日の未明に、これを十一本に分けさせています。往復の本体だけ残して 3,617 行。実射、手、戻す、採点、不変条件、台帳、頭、鍵、画像、マクロ、掃除。中身は一行も変えず、関数を丸ごと移しただけです。テストは全部通り、本物の Excel での一周も通りました。
同じ日に、使い捨ての script を 251 本、ごみ箱へ送りました。二週間で溜まった、一回きりの確認用のものです。9.3MB ありました。
これも「撃たずに固める」のうちだと思っています。撃つ回数を減らすには、撃たなくても壊れていないと分かる形にしておく必要がある。 一本のファイルが一万二千行では、どこを触ればどこが壊れるか、機械にも人にも読めません。
それで、一枚撃ちました
固めたあとで、一枚撃ちました。
お題は YouTube で見た動画から借りました。汚れた顧客リストを、ショートカットキーの手作業で直す人と、AI に頼んで直す人が、どちらが早いか競う動画です。参考にさせていただいた動画は、こちらです。
手作業がおよそ七分二十秒、AI がおよそ六分四十秒でした。見落とせないのは、どちらも手慣れた人がやって、この時間だということです。手作業の側はショートカットを使い込んだ人、AI の側は AI を仕事で使い込んだ人でした。慣れていない人が同じ表に向かえば、どちらのやり方でも七分では済まないはずです。動画そのものをここで詳しく紹介はしませんが、手慣れた人でも七分かかる仕事として、あの表を再現させました。
よく見かける形の、顧客リストの整理です。会社名・担当者・電話番号・メールアドレス・最終接触日・金額・ステータス。五十一行あって、そのうち二十六行は同じ会社の重複です。ただし丸ごと同じではありません。「株式会社」と「(株)」、末尾の空白、メールの大文字小文字、電話のハイフンの有無、日付の書き方が「令和8年4月1日」「R8.3.22」「March 15, 2026」「2026-3-9」と四通り、金額が「¥3,000,000」「95万円」「500万」「220000」。文字の色も大きさも太字も、セルごとに違います。
作らせたのは私ですが、汚し方はこの種の表でよく見るものを並べただけです。
依頼文は一つです。
この顧客リストの表を修正してください。重複行は削除してよい。会社名の表記ゆれ・全角半角・前後の空白・電話番号・日付・金額など、書式のばらつきをそろえてください。
一回目は、不合格でした
材料が「重複行」として出していたのは、値が丸ごと一致する行だけで、二十六組のうち三組でした。残りをAIが自分で数えて、同じ会社の二行を両方消しました。行を消す手を元の番号のまま上から順に八回出したので、二回目からは別の行が消えています。そのあとの書き込みも、別の会社に当たりました。「受注済」を「受注済み」に置き換える手が、もとから「受注済み」だったセルにも当たって「受注済みみ」になりました。
そして、道具はこれに合格を出しました。合格判定が見ていたのは、エラー値と ### と罫線だけだったからです。
ツールとして不合格だ、と言いました。
直して、六十七秒
直したのは道具の側です。重複を消す専用の手を足し、表記ゆれ込みで照合して、下の行から消す。行を消す手は道具が最後に回して、下から実行する。置き換えの二重当てを止める。合格判定に、残った重複・消えた行・直らなかった文字・入力規則に無い値を足す。テストは457本。
五回目で初めて合格して、七十六秒・三往復。弱いところをさらに潰して、八回目は六十二秒・二往復。何秒かかるか計ってほしいと言ったら、道具の時計で六十七秒、撃つ前後の時刻差で八十一秒でした。時間の九割は AI の返事待ちで、道具の中の処理は八秒です。動画の七分に対して、およそ六分の一です。
道具を持たせない Claude Code に同じ依頼文を打っても、たぶん動画と同じく、分の単位の時間がかかります。この表では試していません。ただ九月の頭に、別の汚れた表で「この表を修正して」と打ったら、Claude Code が長い時間考え込んでしまったことがあります。表を触る手が道具の側に無いと、AI は一手ごとに、すでに決まっていることを決め直してしまう。これではAIエージェントのようには動けないと思って、Claude Code が使う手を VBAマネージャーの側に作らせ、その手で動く形にしました。六十七秒は、その見込みが当たった数字です。
ここまでは、前回までの記事と同じ形の話です。撃って、落ちて、直して、通る。
値は合っていて、見た目は違っていました
九月十一日の昼、同じ表をもう一度、同じ依頼文で撃たせました。百三十七秒・五往復で、合格と出ました。
画面を見たら、こうでした。二十五社に減っていて、電話番号も日付も金額もそろっている。それで、文字の色も大きさも太字も斜体も下線も、セルごとにばらばらのままでした。
文字の書式が全然ばらばらだ、と言いました。
理由は前回の空欄と同じ形です。AI が受け取る材料は、値の文字だけでした。 値と表示形式と空白の乱れは出る。文字の色・大きさ・太字・塗りは出ない。画像を AI に見せるのも、九月八日から既定で止めています。見えていないものを、AI は直しに行きません。そして合格判定も、見出し・罫線・列の型・列幅・###・値の中身は見ますが、文字の書式は見ていませんでした。
「書式のばらつきをそろえて」という依頼の、いちばん人の目に付くところを、道具も AI も見ていなかったわけです。
目を足して、三十六秒
直し方は、これも前回と同じで、文章ではありません。道具に見させる。
- 材料に一行足しました。本文の範囲で、文字の書式がセルごとに違えば、「フォント名・大きさ・文字色・太字・斜体・下線・取り消し線・塗り」と、違っている性質を並べて出します。Excel に範囲まとめて聞けば、混在なら
Noneが返る。数えるだけなので AI は呼びません - 合格判定にも同じ目を足しました。依頼に「書式」「ばらつき」「体裁」とあれば、文字の書式を全部見て、そろっていなければ「合格にしません」
- 飾りを外す手が、文字色がまだらなら黒にそろえるようにしました。AI が色の指定だけ落とすことがあったからです
- 表示形式が「#,##0 と標準のまだら」になった金額の列を、整え直しの手がそろえるようにしました。それまでは「既に書式がある」と見て素通りしていました
テストを一本足して459本。汚れた表に戻して、同じ依頼文で撃ち直しました。
関所の差し戻し: なし(一発) = 一発合格
合計(往復 1 回): 待ち 31.8秒 / モデル sonnet
道具側の内訳: 材料 1.4 / 控え 0.1 / 実行 1.8 / 仕上げ検査 0.3 / 採点の材料 0.4 / 差分 0.1 / 終わりの検査 1.4 秒
経過: materials から 35.8 秒
三十六秒・一往復・差し戻しなし。 一往復目で AI が十二本の手を並べ、重複を消し、七つの列をそろえ、本文の書式を一つに当て、整え直して、終わりました。
| 回 | 時間 | 往復 | 文字の書式 |
|---|---|---|---|
| 昼の一回目 | 137秒 | 5 | ばらばらのまま合格と出た |
| 材料と合格判定に目を足した後 | 75秒 | 3 | 一往復目でそろえた。色と桁区切りの漏れで差し戻し二回 |
| 手の側も直した後 | 36秒 | 1 | 一往復目で全部そろった |
速くなった理由は、AI が賢くなったからではありません。同じ Sonnet です。AI に見せる材料が一行増えて、AI が一往復目に何をすべきか分かるようになったからです。差し戻しが要らなくなれば、往復は一回で済む。往復が一回なら、請求書も一行です。
三十六秒は、一回の数字でした
この記事を書いている途中で、もう一度計ってほしいと言って、同じ表を戻して同じ依頼文で撃たせました。
百三十八秒・五往復・不合格でした。
三十六秒は嘘だったのか、と言いました。AIの答えはこうでした。「嘘ではありません。台帳に残っています。ただ、一回の数字を、いつでも出る数字のように書いていたのは私の誤りです。」
記録を読むと、違いは AI の手の選び方でした。三十六秒の回は「重複を消す手」を選び、百三十八秒の回は「行を一つずつ消す手」を選んでいます。後者だと、飛び飛びの行番号を一つの手に並べたのを道具がはねて、並べ直しに二往復。さらに、消す手を道具が最後に回すのに、AI は「消した後の表」の番地で他の手を書いていたので、下の五行が直らないまま残りました。同じ Sonnet が、同じ材料で、違う手を選ぶ。道具の側は、その揺れを吸収できていませんでした。
直したのは、また道具の側です。飛び飛びの行番号は道具が連番のかたまりに分ける。消す手が同じ返事にあれば、他の手の範囲を道具が末尾まで伸ばす。どちらも数える仕事で、AI は呼びません。
そして確かめ方が、この四日で変わったところです。撃ち直しませんでした。百三十八秒だった回の記録を、AI を呼ばずに再生しました。 記録には AI の返事がそのまま残っているので、同じ返事を新しい道具に通せば、あの手の選び方でどうなるかが分かります。結果は一往復・一発合格、道具の時計で三・八秒。AI の待ち時間はゼロです。
そのあと AI を呼んで撃ったら、三十五・五秒でした。ただしその回も AI は「重複を消す手」を選んでいます。だから三十六秒の根拠は、AI を呼んだ一回と、記録を再生した一回の二つです。どちらの手を選ばれても一往復で終わる、と言えるのは、再生のほうがあるからです。
残りは、無駄を削るだけでした
三十六秒の内訳を出させました。
| どこ | 秒 |
|---|---|
| AI の一往復目の返事待ち(出力 約1,350トークン) | 22 |
| 採点役(別の会話・別のプロセス) | 8 |
| 道具の中(材料・実行・検査・差分) | 6 |
もっと早くできるはずだ、と私が言うと、AIは頭を Haiku に替えて一回撃ってみました。五十四秒・五往復で、中身も間違えました。返事を書く速さは上がっても、文字数が増えて手を間違え、往復で取り返される。頭を安くして速くする道はありませんでした。
削れたのは、道具の側の無駄です。三つあります。
- ヘッドレスの Claude Code を、走行のたびに起こし直していました。起動の二秒余りが、一往復目の待ちにも採点役の待ちにも入っていた。走行の頭で本体と採点役の二本を先に起こし、AI が考えている裏で立ち上げ終わるようにしました
- 採点役は、一発で通った回にも呼んでいました。一往復目で手が全部通り、仕上げ検査・中身の検査・頼んでいない変化に指摘が無い回は、採点を省きます。付けたければ
--gradeで戻せます - 報告の【やったこと】を AI に書かせていました。実行した手の名札は道具が持っているので、道具が作って先頭に付けます。AI が書く文字が三、四百トークン減ります
同じ表を戻して、同じ依頼文で撃ちました。
関所の差し戻し: なし(一発) = 一発合格
合計(往復 1 回): 待ち 16.7秒 / モデル sonnet
採点: 省きました(一往復目で手が全部通り、仕上げ検査・中身・頼んでいない変化に指摘なし=一発)
経過: materials から 20.9 秒
二十一秒・一往復・一発合格。 AI の待ちは二十二秒から十七秒に、採点の八秒は消えました。撃つ前後の時刻差で二十五秒です。
正直に書くと、ここから先はもう縮みません。残りの十七秒は AI が手を書いている時間で、それを削るには AI を呼ばないしかない。道具が削れる無駄は、この四日で全部削りました。
ついでに書いておくと、昼の一回目は、値のほうにも一つ誤りがありました。ある会社の金額が「280000」だったものを、AI が 2,800,000 と一桁多く書いていました。AI はその報告で「値は直りました」と書いていて、自分の書いた値を確かめていませんでした。三十六秒の回では 280,000 で合っています。画面で見ていなければ、気づいていません。
並べてみると
ここまでの数字を、動画の二人と並べておきます。見立ての数字も入れました。どれが実測で、どれが見立てかは、右の列に書いています。
| やり方 | 所要 | 出どころ |
|---|---|---|
| ふつうに Excel が使える人・手作業 | 三十分以上 | 見立て |
| ふつうに Excel が使える人・AI に頼む | 二十分前後 | 見立て |
| 手慣れた人・ショートカットの手作業 | 約七分二十秒 | 動画 |
| 手慣れた人・AI に頼む | 約六分四十秒 | 動画 |
| VBAマネージャー・ふだん | 九十秒〜二分 | この表の記録からの見立て |
| VBAマネージャー・最短 | 二十一秒 | 実測 |
手作業の三十分以上は、重複が丸ごと一致しないこと、日付が四通りあること、「95万円」のような金額を一つずつ打ち直すこと、最後に文字の書式をそろえる作業が別に残ることからの読みです。手慣れた人は、ここで迷わずに手が動くから七分ほどで済んでいます。
AI に頼む二十分前後は、AI が表を直している時間そのものは動画と同じ三、四分で、残りが人の側にかかる、という読みです。何をどう直してほしいかを書く時間、一回で通らなかったときのやり直し、つまずいたときの手当て、仕上がりの確かめ。動画の AI 側の人も、一回で通るのは六、七割だと話していました。
VBAマネージャーのふだんは、この表で撃った記録からの読みです。いちばん遅かったのは百三十七秒と百三十八秒ですが、どちらも、文字の書式の目や行の消し方の直しを入れる前の回です。二つを直したあとの Sonnet の回は、二十一秒から五十二秒に収まっています。二十一秒は、AI が一往復目で手を全部当てた、条件のそろった回の数字です。手の選び方が揺れると二往復になって、五十秒前後かかります。初めて見る表では往復がもっと増えるはずなので、余裕を見て九十秒から二分としました。
AI を使うと、慣れた人と慣れていない人の差が縮みます。VBAマネージャーは、依頼文を考える手間も、往復も、仕上がりの確かめも、道具の側に移しています。縮み方の桁が違うのは、そのためだと思っています。
事実と見立ての仕分け
例によって仕分けます。
事実。 実射の回数と弾の数(108回・2,488発・全部合格69回・1,404発・落ちた230発)は、九月九日に台帳で数えた実数です。八十三本が 429 で全滅したのも、台帳に 0/83・1113秒 と残っています。621発・二時間で二件、記録読み三十分で四系統・二十九発も、その夜の記録のとおりです。
テストの本数(409 → 443 → 457 → 459)は、それぞれの時点の pytest の実行結果です。試験の届き方の率(1%・22%・95%・88%)は coverage で測った数字です。テストが本物の Claude Code を五本呼んでいたことも、その日の記録に残っています。
本体の分割(12,642 → 3,617 行・十一本)と、ごみ箱へ送った script の数(251本・9.3MB)は、実物です。
顧客リストの表(51行・重複26行・### 9個)と、一回目の落ち方(三組・行ずれ・「受注済みみ」・合格)、五回目76秒・八回目62秒・計測67秒、昼の137秒・75秒・36秒は、道具の台帳と記録に残った実数です。一桁多い金額を書いたのも、それを「直りました」と報告したのも AI です。
見立て。 「撃つより記録を読むほうが見つかる」は、九月九日の一晩の比較からの言い方で、標本は一つです。「頭を移しただけでは請求書の宛先が変わっただけ」は、翌日に上限に当たった一回からの読みです。「一万二千行では機械にも人にも読めない」は、分けたあとの感触で、分ける前と後で速さを比べたわけではありません。「見せる材料が一行増えれば一往復で済む」は、この表一枚での三回の比較で、別の表でも同じかはまだ分かりません。「道具を持たせない Claude Code でも似た時間がかかる」は、九月の頭の別の表での経験からの読みで、この表では試していません。「並べてみると」の表の「三十分以上」「二十分前後」「九十秒〜二分」も、実測ではなく私の見立てです。あの表のうち実測は、動画の二つの時間と、道具の二十一秒だけです。
正直な線引き
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残高がいくらで尽きたかは、書いていません。 手元にその数字を出していないからです。分かるのは、九月九日の夜に
429が返り続けたことだけです - Claude Code へ移しても、無料ではありません。 契約の使用量を消費します。翌日に上限に当たったのがその証拠です。従量課金より読みやすい、というだけです
- 試験の率は、Python だけで動く部分の話です。 Excel に実際に触る行は、偽物では確かめられません。本物の Excel で回す試験は、記録を再生する一本だけです
- 顧客リストは、私が作らせた表です。 他人の表ではありません。汚し方はよく見る形を並べましたが、実物にはもっと違う汚れがあるはずです。前回の「次は他人のブック」は、まだ果たしていません
- 三十六秒は、この表での数字です。 同じ依頼文で何度も撃った、その中の数字です。間に百三十八秒の回もあります。動画の AI 側も、先に手作業の実演を見てから「ここを直す」と分かった状態で解いた、と本人が言っています。こちらも同じ形で、一回目の不合格から直しては撃ち、いろいろやって三十六秒になりました。別の表、別の依頼文で同じになるかは、まだ撃っていません
- AI の手の選び方は、いまも揺れます。 道具が吸収できるのは、今日までに見た四通り(消す手の選び方・消した後の番地・書体と大きさの落とし・日付の表示形式の当て忘れ)だけです。五通り目が出れば、また往復が増えます
-
一発で通った回は、採点役の目を通していません。 仕上げ検査・中身の検査・頼んでいない変化の三つは機械が見ていますが、依頼文と現物を照らす AI の目は省いています。
--gradeで付け直せます。省いて見逃しが出たら、この既定は戻します - 文字の書式の目は、「そろっているか」しか見ません。 見出しだけ太字にしたい、ある行だけ色を付けたい、という意図は分かりません。本文の範囲を一つにそろえる方向にしか働きません
- 材料は外の AI に送られます。 値も数式も送らなければ判断できません。鍵や個人情報の載ったシートは触らせないでください
- エージェントの部分は、まだ配っていません。 公開しているリポジトリに入っていません
- Windows 版の Excel の話です
おわりに
四日で、撃った弾は減りました。増えたのは機械の試験の本数と、材料の行です。
九月四日に、費用は往復で決まる、先に読める、と書きました。読めていたのは本番の往復だけで、テストの往復は読んでいませんでした。残高が尽きて、初めて数えました。2,488発のうち1,404発は、何も見つけていない弾でした。
頭を移しても、請求書の宛先が変わっただけでした。変わったのは、撃つ前に撃たない試験を回すようになったことと、撃つときに AI へ見せる材料を一行増やしたことです。それで、同じ表が百三十七秒・五往復から、三十六秒・一往復になりました。道具側の無駄を削って、二十一秒です。
動画の二人は、どちらもその道の手慣れた人です。ショートカットを使い込んだ人と、AI を仕事で使い込んだ人。その二人でも、動画の表には七分前後の時間がかかっていました。同じ形の表が、依頼文一つで、ふだんでも二分以内、うまく当たれば二十秒ほどで終わるようになりました。この表で何度も撃っては直した末の数字なので、初見どうしの比べ方とは違います。それでも、手慣れた人でも七分前後かかる仕事が、二分以内で終わる形になったのは、大きいことだと思っています。
方向が変わった、というのはそういう意味です。撃てる回数が増えたのではなく、撃たなくてよくなった。
思うようには進みません。ただ、進む向きは変わりました。




