はじめに
前回の記事は、こう締めました。次回は Gemini 出題編です、今度こそ表を作ってもらいます、と。
その出題編を、ゆうべから今朝にかけてやりました。やってみたら、出題編だけでは終わりませんでした。
Gemini に作ってもらったマクロ撃ちは、直すところがまだいろいろありました。そこを直しているうちに、Claude が作って Gemini が出題と採点をする、という分担が自然にできあがりました。せっかくなので、その分担のまま次の仕事に進みました。ピボットとグラフです。どちらも、家で表をいじっていて使う場面がいちばん多いものです。
途中で Gemini が Excel を落とす事件もありました。最後は、開発中のまま GitHub に上げました。
一晩の出来事が多いので、順番に書いていきます。
TL;DR
- マクロ撃ちは 89 点で一区切り。採点役を毎回替えて 10 回採点し、最後に Gemini の出題で 3 か所外れたのを直して終えました
- 分担は「Claude が作る、Gemini が出題して採点する」。Gemini は表を作って撃ち、Claude は VBA を直してテストを足す。前回の「表を一枚も作らない試験官」は、今回はちゃんと表を作りました
- ピボットとグラフが、頼みの文だけで作れるようになりました。「部署別・区分ごとに金額をピボットで」と言えば、見出しから行・列・値を決めて作ります。列を選ぶ必要はありません
- Gemini の採点は 11/15 → 18/18、グラフは 14/15 → 直した、追加分は 15/15。ただし Gemini が○を付けた 1 問が、実は×でした
- Gemini が Excel を落とした。原因は Gemini ではなく、道具が返すエラーの一文でした。AI は書いてあるとおりに動きます
- 開発中のまま GitHub に上げました。件数・平均、月別、あとからの手直し(足す・絞る・並べる・種類を変える)まで入っています
マクロ撃ちの続き ── 採点役を替えるたびに、新しい穴が出た
まず、前回の続きから片付けます。
前回の時点で、マクロ撃ちは Gemini の採点で 72 点でした。目標は 85 点です。減点が大きかったのは「直しすぎの抑制」と「変則的な表への対応」の 2 つでした。
ここで私は、Claude の一族で役割を分けてみることにしました。表を作って撃つ作業役を Haiku と Sonnet に、採点を Sonnet に。Opus は直す役です。
採点は 10 回やりました。結果は 72 点から 89 点。採点のたびに、採点役が新しい形の表を 1 枚ずつ足していきます。前回までに見た 10 枚だけで採点すると 96 点です。点が上下したのは、毎回まだ見ていない形が 1 枚混ざるからでした。
伸びしろは、まだ見ていない形にある。これは前回の「初見の表が本当の試験」と同じ話です。
そして今朝の 3 時台、約束どおり Gemini に出題してもらいました。予算と実績の表、単票の申請書、小計の入った表の 3 枚です。点数は 88 点。外れは 3 か所でした。
| 外れたところ | 直し方 |
|---|---|
| 差額の列の「△」付きの表示形式を、標準に戻してしまった | 表示形式が同数で割れたときは、標準でない方を残す |
| チェック欄「□ 消耗品 ■ 備品」の空白を 1 つに詰めた | □■☑ を含む文字は、空白を残す |
| 全角だけの列で「ノート(B5)」のかっこを半角にした | かっこも、その列で多い方にそろえる |
どれも「きれいにしようとして、人が意図して入れたものを崩した」型です。前回の 55 点のときから、マクロ撃ちの弱点はずっとここでした。
テストは 61 本になり、ここで一区切りにしました。私が「どこまでやるんだ」と言ったからです。点を追う直しは切りがありません。次は、実際の仕事で使う場面が多いものをやることにしました。
分担を決めた ── Claude が作り、Gemini が出題して採点する
次の仕事に入る前に、Claude と一緒に指示書を 1 枚作りました。中身はこうです。
| 段 | 中身 | 担当 |
|---|---|---|
| 1 | 頼みの文から見出しを拾う部品を作る。テストも | Claude |
| 2 | 実務らしい明細の表を 3 枚作り、それぞれに頼みの文を 5 通り。撃って、画面で見て採点 | Gemini |
| 3 | 外れたところを直す・テストに足す | Claude |
| 4 | グラフも同じ型で | Claude と Gemini |
表を作る・撃つ・採点する、の量の多いところは Gemini に。VBA を直してテストを足すところは Claude に。前回の反省から、Gemini には「表を自分で作って、自分で撃って、画面を見て採点すること」と書いてあります。
もう一つ大事なのは、Claude から Gemini への頼み方です。私が間に入って文章を写すのではなく、Claude が画面を操作して、Antigravity の Gemini の入力欄に直接書き込みます。返事は Gemini の会話記録のファイルを読みます。AI から AI へ、人を介さずに仕事を渡す。 私は横で見ていて、おかしいときだけ口を出します。
ピボットを一言で ── 列を選ばなくていい
秀コンボの棚には、もともとピボットを作るマクロが 10 本ほどありました。ただ、ほとんどが「選んだ 3 列で」でした。行にする列、列にする列、値にする列を、人が先に選んでおく必要があります。
これでは「ささっと」とはいきません。
そこで Claude が作ったのは、頼みの文から見出しを拾う部品です。
- 「部署別・区分ごとに金額をピボットで」と頼むと、行=部署、列=区分、値=金額 で作る
- 見出しの言い換えでも当てる(部署/部門/課、金額/売上/売上高、区分/種別/分類 など)
- 行と列は、頼みの文に出てくる順。「区分を列に」と書けば、そちらが列になる
- 合計の行は元の範囲から外す。表形式、#,##0、総計あり、まで 1 回で仕上げる
- どの列か決まらないときは、作らずに見出しの一覧を返す。勝手な列で作らない
最後の一行が、地味ですがいちばん大事です。AI に頼むと、分からないときでも何かしら作ってしまうことがあります。マクロは、分からなければ「分かりません、見出しはこれです」と返します。
仕組みも少し工夫しました。頼みの文は、マクロ自身が受け取ります。Excelコンボから頼んでも、Claude や Gemini が道具から頼んでも、同じマクロが同じ判断をします。判断の場所が 1 か所なので、直すのも 1 か所で済みます。
Gemini の採点 ── 11/15、そして○が 1 つ×だった
段 2 を Gemini に頼みました。Gemini は表を 3 枚作りました。売上の明細、課ごとの売上、予算と実績の発注の表です。頼みの文は 1 枚に 5 通り、そのうち 1 通りは、わざと列が決まらない頼みです。
結果は 15 問中 11 問正解。外れた 4 問は、全部 3 枚目の表でした。
3 枚目には「実績金額」と「予算金額」という、よく似た 2 つの列がありました。「部署別に実績金額をピボットで」と頼むと、「実績金額」の中の「金額」という字で「予算金額」まで当たってしまい、どちらか決まらずに止まっていたのです。
Claude の直し方はこうです。見出しそのものが頼みの文にあれば、それを先に当てて、その字を頼みの文から伏せる。残った字で、言い換えを当てる。これで 4 問とも通るようになりました。
ここで、もう一つ見つかりました。Gemini が○を付けた問題の 1 つが、実は×だったのです。
「商品区分別に、行は部門、列に商品区分で売上高をピボット」という頼みでした。Gemini の採点表には「行=商品区分、列=部門、○」と書いてあります。頼みの文は「行は部門」と言っているのに、できた物は逆でした。Gemini は、できたピボットの中身を書き写しただけで、頼みの文と突き合わせていなかったのです。
前回は、表を作らずに採点していました。今回は表を作って、撃って、画面も見ています。そこは確かに進歩しました。ただ、見たものを頼みと突き合わせるところで、まだ一つ抜けていました。採点も採点し直さないといけない。これは、そういう話です。
これも直して、Gemini には「行と列は、できた物ではなく頼みの文の指定と突き合わせてください」と書き添えて採り直してもらいました。3 枚目に 3 問足した 18 問で、18/18 です。Claude も 1 問、自分で撃って画面を見て確かめました。
事件 ── Gemini が Excel を落とした
実は、段 2 の最初の一回は失敗しています。
Gemini に頼んで少したった頃、私は画面を見ていて、なんだかおかしいと思いました。ずっと考え込んでいて、Excel の窓が出たり消えたりしているのです。Claude に聞くと、Claude が Gemini の会話記録を読みに行き、すぐに止めました。
記録を読むと、こうなっていました。
- Gemini は指示書を読んだ直後に、Excel のプロセスを強制終了していた。落ちたのは、私が秀コンボを開いていた Excel です
- そのあと、自分で裏の Excel を立ち上げた。道具からはその Excel が見えないので、道具は「起動中の Excel に開いているブックが見つかりません」と返した
- Gemini はそのエラー文に従って、また Excel を落とした。最後には、自分の道具(excel-manager)の Python まで落としていた
なぜそんなことをしたのか。原因は、道具のエラー文でした。そこにはこう書いてあったのです。「タスクマネージャーで余分な EXCEL.EXE を終了し、対象ブックを開いて再実行してください」。
人間向けに書いた、親切なつもりの一文です。ところが AI は、書いてあるとおりに動きます。終了しろと書いてあれば、終了します。
新人に工具の使い方のマニュアルを渡したら、「動かなくなったら電源を落とせ」と書いてあったので、現場の機械を片っ端から落として回った。そんな感じです。新人は悪くありません。マニュアルを書いたのは、こちらです。
Claude はエラー文を書き直しました。今はこう返します。ブックは open で開く。Excel のプロセスを終了しない。別の Excel を立てない。それでも見つからなければ、使う人に開いてもらうよう頼む。
直したのは AI ではなく、道具が返す一文でした。
あとは、Antigravity の側で落ちたままになっていた excel-manager をつなぎ直して、新しい会話で頼み直しました。今度は「Excel のプロセスを落とさない、表の台本は Excel を使わずに作る、ブックは道具の open で開く」と明記して、Claude が Excel の見張りも付けています。その後、Gemini が Excel を落とすことはありませんでした。
私は Claude に、普通の職場だったら監督不行き届きで怒られるところだな、と冗談を言いました。Claude は、始末書ものです、と返してきました。マニュアルを書いたのは上なので、結局は上の責任です、とも。
グラフ ── 項目ごとに合計してから描く
段 4 はグラフです。
棚には、もともと棒グラフと円グラフのマクロがありました。左端の文字の列を項目に、右端の数の列を値にして描く作りです。集計表ならこれで十分ですが、明細の表だと困ります。同じ部署の行が何行もあるので、同じ部署の棒が何本も並んでしまうのです。
Claude はこう直しました。
- 頼みの文の見出しで、項目と値を決める。そのうえで、項目ごとに合計してから描く
- 項目が 2 つ(「部署別・区分ごとに」)なら、ピボットを作って、そこからピボットグラフを作る
- ピボットのシートで「このピボットをグラフにして」と頼めば、そのピボットから作る
- 「棒」と書かずに「グラフで見たい」とだけ頼んだら、棒グラフにする
Gemini の採点は 15 問中 14 問。外れは「グラフ作って」とだけ頼んだ問題でした。見出しを一つも書かない頼みは、今までどおり自動で列を選んでいたので、明細の伝票 12 行がそのまま 12 本の棒になったのです。今は、文字の列が 2 本以上ある明細の表なら、作らずに見出しの一覧を返します。集計表なら、今までどおり作ります。
途中で Claude が自分で見つけて直したことも 2 つあります。円グラフを作ると、先に作った棒グラフが消えていました。今は種類ごとに作り直して、ほかのグラフは下に並べます。もう一つは、ピボットのシートで道具が表を整えようとして、ピボットの一部にだけ見出しの色と罫線を付けてしまっていたことです。ピボットのシートでは、整える手を当てないようにしました。
ちなみに、グラフの採り直しは Gemini に頼めませんでした。日本語入力の窓が Gemini の入力欄の前に居座って、Claude が書き込めなかったのです。直したのは見出しを書かない頼みだけだったので、その形の 3 問は Claude が自分で撃って確かめました。AI 同士の連携も、最後は日本語入力に止められることがあります。
「普通に会話で作ってもらえるのか」
ここまで来て、私は Claude に聞きました。Excel の表なら、今は君がかなり作ってくれる。ピボットやグラフも、同じように会話で作ってもらえるものになっているのか、と。
Claude の答えは、よくある頼み方なら一言で作れる、ただしその場で考えて組み立てるような自由さはまだない、でした。一言で作れないものとして挙げたのが、次の 3 つです。
- 合計以外の集計(件数・平均)
- 月別(日付を月でまとめる)
- 作った物の手直し(足す・絞る・種類を変える)
じゃあ足してください、と頼みました。
| 頼み方 | できること |
|---|---|
| 「部門別の件数をピボットで」「課ごとの平均売上をグラフで」 | 件数・平均・最大・最小 |
| 「月別に売上をピボットで」「部署別・月別に」 | 日付を月でまとめる。年をまたぐときだけ年も付ける |
| 「区分も列に足して」「区分を外して」 | ピボットに足す・外す |
| 「営業部だけに絞って」「総務課以外」「絞り込みを解除して」 | 絞る・除く・戻す |
| 「平均に変えて」「件数にして」「合計に戻して」 | 集計を変える |
| 「大きい順に」「上位3件だけ」 | 並べる・上位 N |
| 「折れ線に変えて」「横棒にして」「円グラフに変えて」 | グラフの種類を変える |
ピボットを見ながら「次は月別に」と頼んだときは、元の明細のシートに戻って作ります。会話の流れで頼むと、だいたいそうなるからです。
Claude は、件数 → 月別 → 列に足す → 外す → 2 部門だけ → 平均 → 解除 → 上位 2 件 → ピボットグラフ → 折れ線、と会話の順に撃って、1 回ごとに画面で確かめています。途中で 3 つ直しました。件数を数えると行の項目が消えていた、月別で余分な年の欄が出ていた、「も列に足して」が行に足されていた、の 3 つです。
最後に Gemini にもう一度頼みました。年をまたぐ明細の表を新しく作ってもらい、件数・平均・最大、月別、手直しを混ぜて 15 問。今度は、件数や平均を自分で計算して突き合わせることも頼みました。
結果は 15/15 でした。部署ごとの件数(営業 7・開発 7・総務 6)も、平均も、Gemini の手計算と一致していました。
開発中のまま、上げておきます
ここまでで、ひと区切りです。
秀エクセルマネージャーは、もともと「開発中のものを置いておく」と断って公開しています。マクロ撃ちは記事では紹介していましたが、GitHub にはまだ上げていませんでした。今回、マクロ撃ちの直しとピボット・グラフの分を、まとめて上げました。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| VBA のテスト | 64 本すべて通過 |
| 道具の pytest | 手元 767 件、公開の写し 743 件 通過 |
| Gemini の採点 | ピボット 18/18、グラフ 14/15(外れは直した)、追加分 15/15 |
| 公開 | 2026-10-09 05:47 |
事実と見立ての仕分け
| 項目 | 事実 | 見立て |
|---|---|---|
| マクロ撃ち | 採点 10 回で 72→89 点。前回までの 10 枚だけなら 96 点。Gemini の出題で 88 点、外れ 3 か所を直した | 伸びしろは「まだ見ていない形」。点を追うより、実際に使う方が早い |
| 分担 | Claude が作り、Gemini が出題・採点。Claude が Gemini の入力欄に直接書き込み、返事は記録を読む | 量の多い仕事は Gemini、直しは Claude、が今は噛み合っている |
| Gemini の採点 | 表を作り、撃ち、画面を見た。ただし○の 1 つは頼みと突き合わせておらず、実は× | 前回より進んだ。採点も、まだ採点し直しが要る |
| Excel を落とした件 | 道具のエラー文が「EXCEL.EXE を終了し」と言っていた。文を直してからは起きていない | AI は書いてあるとおりに動く。直すのは道具の出力 |
| ピボットとグラフ | 頼みの文だけで作れる。決まらなければ作らずに見出しを返す | 「勝手な列で作らない」が、いちばん効いている |
正直な線引き
- Windows のデスクトップ版 Excel が前提です
- 日付が文字のまま入っている表は、月でまとめられません。道具の seiri 経由なら、先に日付に直るので効きます
- Gemini の出題に入らなかったものがあります。上位 N・大きい順・「件数にして」・「以外」・横棒や円への種類替えは、Claude の通し撃ちとテストでしか確かめていません
- **「このピボットを折れ線グラフにして」**は、もとからある推移の折れ線の棚に当たり、ピボットにつながらない普通のグラフになります。棒グラフで作ってから「折れ線に変えて」と頼めば、ピボットグラフのまま折れ線になります
- 推移の折れ線・積み上げ・二本棒のグラフは、まだ頼みの文で列を決めません
- 試した表は、出題用に作った明細が 5 枚です。全部の形で動くとは思っていません
おわりに
Gemini が Excel を落としたとき、最初は Gemini を疑いました。記録を読んでいくと、Gemini はこちらの書いた一文に、素直に従っていただけでした。
前回は「採点を頼んだつもりが、私の方が試されていた」と書きました。今回試されていたのは、道具が返す言葉の方でした。人が読む前提で書いた一文が、AI には指示として届きます。
Claude が作り、Gemini が出題して採点し、私はおかしいと思ったら口を出す。三人体制は、もう少し続けます。
それでは、また。


