はじめに
九月十九日の未明に、「秀エクセルマネージャー」を開発中のまま公開した、という記事を書きました。
それから一日あまりのあいだに、少し直しました。告知として、三つだけ書いておきます。
一つ目は、コメント欄にいただいた報告で直したところです。二つ目は、ゆうべ、Antigravity の Gemini に、マクロを鍛える回路を回させたことです。三つ目は、十九日の記事で「まだ入れていません」と書いた、お題の作り手を入れたことです。
二つ目が、思ったより面白い夜になりました。面白かったので、その夜のことを Gemini 本人にも記事に書かせて、先に出しています。
同じ夜を、Gemini の側から書いた記事です。こちらでは、私の側から、告知として短くまとめます。
TL;DR
- 公開してすぐ、コメント欄に不具合の報告を三回いただきました。どれも、再現の手順と原因の見立てが付いていました。全部直して、GitHub に上げています
- ゆうべ、Antigravity の Gemini に、Claude Code と同じやり方でマクロを鍛えられるか、試させました。一回目は、自分で書いて、目で見て合格にしていました。手順書を一枚渡すと、回路を最後まで回しました
- 回路で合格したマクロにも、お題に無い形の表を当てると、穴が二つ出ました。 その形をお題に足して、鍛え直しています
- 回路の中でマクロを書いていたのは、道具が裏で呼ぶ Claude Code(Opus)でした。そこで、会話している AI が自分で書き手になれる口を足しました。Gemini が自分で書いたマクロは、道具の採点に一往復で合格しました
- 採点するのは道具です。答案を書く AI は、替えられます
- お題の作り手(正解つきの表を作るスクリプト)を公開に入れました。相変わらず、開発中です
コメント欄の報告で直したこと
記事を出した日の朝から、読者の方がコメント欄に報告をくださいました。どれも再現の手順と原因の見立てが付いていて、直し方の案まで添えてあるものもありました。直したのは Claude Code で、私はそれを確かめて GitHub に上げています。
| いただいた報告 | 直したこと |
|---|---|
フォームを VBA に書き出して確かめる手(form-to-vba --verify)で、Option Explicit が二重になり、コンパイルが止まる |
新しく作ったフォームのコードを一度空にしてから、中身を入れるようにしました。いただいた案の方向のままです(8e22d1b) |
| 図形の位置が、実行の前と後でずれて見える | 図形の一覧が、位置を整数に丸めて出していました。小数まで出すようにしています。ずれの本当の原因は、あとで報告をくださった方ご自身が、対照実験で突き止めてくださいました。シートがアクティブかどうかで、Excel の返す値が変わっていたそうです |
| スペースの入ったシート名が、引数で二つに割れる | 引用符で囲めば通ります。道具の手引きに書き足しました |
| 同じショートカットを別のマクロに掛けると、警告は「持ち主が替わります」なのに、動くのは古い方 | Excel は同じキーを両方に残して、名前の順で先の方を動かしていました。古い方から外してから掛けるようにしました。一覧でも、同じキーには印が付きます(835432d) |
最後の件は、道具の思い込みでした。キーを掛ければ持ち主は替わるものだ、と決めてかかっていたのです。報告は九回試したうえでのもので、直すのは早く済みました。
開発中のものを出して、いちばん助かったのは、こういう報告でした。
ゆうべ、Gemini に回路を回させました
十九日の記事で、道具の上に載った回路の話を書きました。AI がやった仕事を AI がマクロに書き、道具が正解の付いたお題で確かめ、合格したら登録する。そういう回路です。
ゆうべは、これを Antigravity の Gemini にやらせてみました。Claude Code が表の整理のマクロを作ったやり方で、あなたも作れますか、と。
一回目。 まだ棚に無い仕事を一つ挙げさせると、Gemini の最初の案は、番号の振り直しでした。単純すぎると返すと、一覧の一行を、一件数行の帳票に並べ直す仕事を出してきました。
Gemini は、直す前の表と正解の表を五組作り、マクロを書き、アドインに入れて、回路の手順どおりに合格させました、と報告してきました。
Claude Code に記録を読ませると、違いました。回路は通っていません。マクロは Gemini が自分で書き、出来上がった表の範囲と結合の数を目で見て、合格にしていました。中身も、左から一列目が番号、二列目が団体名、と列の位置を決め打ちしていて、表の右側を上から下まで全部消す作りでした。お題の五組がどれも同じ七列の表だったので、決め打ちでも全部通ってしまったのです。
二回目。 Claude Code に、回路の回し方を手順書一枚にまとめさせて、Gemini に渡しました。
今度の Gemini は、お題を十枚に作り直しました。列の数を五から九まで変え、表の始まる位置をずらし、表題の行や合計の行や、右側のメモを入れて。回路に通すと、一往復目は九枚のうち三枚で外れ、二往復目で二枚、三往復目で全部そろいました。 百三十二秒です。見せていない表六枚でも、外れはありませんでした。
それでも、Claude Code に確かめさせると、お題に無い形の表を二枚作って当てて、穴を二つ見つけてきました。帳票を並べる列の下に人が書いたメモが、消えます。数も日付も無い名簿では、何も起きずに終わります。お題の十枚すべてに日付と金額の列があったので、どちらも試されていなかったのです。
回路が確かめられるのは、お題に入っている形だけです。 十八日の記事で書いたことを、よその AI の手で、そのままなぞった格好になりました。Gemini は二つの形をお題に足して回し直し、一往復で通しました。
三回目。 ここで気づきました。回路の中でマクロを書いているのは、Gemini ではありません。道具が裏で呼ぶ Claude Code(Opus)です。Gemini は、お題を作って、回路を回す役でした。
Opus に任せずに、自分で書けないのか、と Gemini に聞くと、採点の仕組みにつなぐ口があれば自分で回せる、という答えでした。
言われてみれば、そのとおりです。回路の中で AI を呼んでいるのは、一か所だけでした。Claude Code が、その一か所を差し替えられる口を作りました(ad6d3ae)。道具が問いを紙に書き出し、会話している AI が答案を書いて出し、道具が採点する。外れたら、外れた所を書き足した次の問いの紙が返ってきます。API のキーは要りません。
Gemini は、問いの紙を読んで、マクロを書いて出しました。道具の採点は、一往復で合格。十秒あまりでした。見せていない表六枚でも外れなし。最後に、Claude Code が穴を見つけた二枚の表を、このマクロにもう一度当てました。メモは残り、名簿からも帳票ができました。
頼み始めてから、ここまで一時間半ほどです。
| マクロを書いたのは | 確かめたのは | 結果 | |
|---|---|---|---|
| 一回目 | Gemini | Gemini の目 | 合格と報告。中身は列の決め打ち |
| 二回目 | 道具が呼んだ Claude Code(Opus) | 道具(十枚) | 三往復で合格。お題の外で穴が二つ |
| 三回目 | Gemini | 道具(十枚と、見せていない六枚) | 一往復で合格。穴の二枚も通る |
採点するのは道具です。答案を書く AI は、替えられます。 替えがきかないのは、お題を見る目のほうでした。
お題の作り手を入れました
十九日の記事の正直な線引きに、お題の作り手はまだ入れていません、と書きました。ゆうべ、入れました。
置き場は 作業ファイル/project/fixtures/ です。中身は、正解つきの表を種の番号から作るスクリプトで、仕事ごとのフォルダが百あまり、スクリプトが百二十九本。それに依頼文と言い換えの文と、ゆうべ Gemini に渡した手順書(マクロの鍛え方.md)です。
作った表そのもの(手元で四千枚ほど)は入れていません。各フォルダで py make_pairs.py を実行すれば、同じ表ができます。
ゆうべの穴は、お題の外の表から出ました。お題が見えていれば、穴を突く表を、誰でも足せます。
事実と見立ての仕分け
事実。 コメントは Qiita のコメント欄の実物で、直した所は GitHub のコミットで確かめました。Gemini の三回は、Antigravity の会話の記録と、道具が出した採点の記録から数えています。三往復・百三十二秒、一往復・十秒あまり、見せていない表六枚で外れなし、は道具の出力です。穴の二枚は Claude Code が作った表で、三回目のマクロに当て直したところまで確かめました。
見立て。 「答案を書く AI は替えられる」は、ゆうべの一本で見えたことです。Gemini が書き手になったのは、この一本だけです。ほかの仕事でも同じように通るかは、まだ分かりません。
正直な線引き
- 開発中です。 版は 0.1 のまま。仕様は変わります
- Gemini が自分で書いたマクロは、ゆうべの一本だけです。 表の整理のほかのマクロは、Claude Code が書いたものです
- 会話の AI が書き手になるときは、同じ外れが続いても、道具は止めません。 回路の中で AI を呼ぶときは、同じ所で外れ続けると道具が止めます。会話の AI が書くときは一往復ずつ撃ち直すので、止めるのは書き手の側です
- お題の作り手は、私のパソコンの別のフォルダで、動くところまで確かめました。 表を作って、回路の問いが出るところまでです。よその方のパソコンでは、まだ動かしていません
- 鍛えたマクロは、お題に合格しただけです。 ゆうべのように、お題の外の表で外れることがあります
- Windows 版の Excel の話です
おわりに
記事を出して一日あまり。報告をいただいて直し、よその AI に回路を回させて、口を一つ足しました。少し修正した、と題に書きましたが、少しではなかったかもしれません。
答案は、誰が書いてもかまいません。採点は、道具がします。お題を疑うのは、これからも私の仕事です。
ゆうべの答案は、Gemini のものでした。