Cloudflare One(Zero Trust / SASE)の公式チェンジログから、Gateway と Access を中心に2026年6月のアップデートをまとめます。
対象: 2026年6月掲載分(初回投稿6月4日、最終投稿6月30日)
出典: Cloudflare One Changelog
今月の注目ポイント
- Gateway ポリシー/リストのリソース単位ロール が追加され、DNS/HTTP/Network などポリシー種別ごと、さらに個別のポリシー1件・リスト1件単位で権限を委譲できるように。
- IdPフェデレーション で、1つのIDプロバイダーを組織内の複数アカウントで共有可能に。
- 新規アカウントの既定ログインが Cloudflare IdP に変更(従来はワンタイムPIN)。
- Cloudflare One クライアント(WARP)2026.6.822.0 がWindows/macOS/LinuxでGA。多数の機能が安定版に(必須認証はWindowsのみ)。
- ⚠ 運用影響あり: 2026.6.822.0 以降、クライアントのAPI通信のSNIが
api.devices.cloudflare.comに統一。SNI検査ベースのファイアウォール許可リストを使っている環境は要確認。
Gateway 関連
Gatewayポリシーとリスト向けの新しい権限・ロール(6月30日)
Cloudflare Gateway のファイアウォールポリシーと Zero Trust リストに対して、リソース単位(resource-scoped)の細かいロールを割り当てられるようになりました。アカウント全体や製品全体の権限を与えずに、特定のポリシー種別やリスト管理だけを委譲できます。さらに、これらは個別のポリシー1件・Cloudflare One リスト1件といった単一リソースにスコープを絞って付与することも可能です。
追加ロールの例:
-
Zero Trust Gateway Firewall Policies Admin(DNS/HTTP/Network を含む全ファイアウォールポリシーの閲覧・編集) -
Zero Trust Gateway DNS/HTTP/Network/Egress/Resolver Policies Admin(種別ごとの管理) -
Zero Trust Gateway Policies Admin/Zero Trust Gateway Policies Read/Zero Trust Gateway Read Only -
Zero Trust DNS Locations Admin/Zero Trust Proxy Endpoints Admin -
Zero Trust Account Lists Admin/Zero Trust Account Lists Read
既存のアカウントレベルのロール(Cloudflare Gateway、Cloudflare Zero Trust など)は引き続き有効で、後方互換性が保たれます(既存の自動化・APIトークンも影響を受けません)。
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WorkersのパブリックインターネットトラフィックをGatewayポリシーでフィルタ(6月5日)
network_id: "cf1:network" のVPC Networkバインディングを使うWorkersが、パブリックインターネットへの外部通信(egress)を Cloudflare Gateway 経由で行うようになりました。これにより、既存のZero Trustトラフィックポリシー(DNS・HTTP・Network・egress)が、WARPユーザーと同様にWorkers発のトラフィックにも適用されます。デフォルトで可視化(Gatewayログへの表示)と強制(既存ポリシーの適用)が得られます。
設定は wrangler.jsonc にVPC Networkバインディングを追加するだけです。
{
"vpc_networks": [
{
"binding": "EGRESS",
"network_id": "cf1:network",
"remote": true
}
]
}
Worker側からは、バインディング経由で fetch() を呼ぶと Gateway ポリシーの対象になり、ログにも記録されます。
// パブリック宛先へのegress。Gatewayポリシーの対象となりログに残る
const response = await env.EGRESS.fetch("https://api.example.com/data");
AIプロンプト保護向けのカスタムトピック定義(6月11日)
AIプロンプト保護向けに、独自のカスタムトピックを定義できるようになりました。定義済みトピック(PII、ソースコード、ジェイルブレイク試行など)に含まれない独自・専有の概念を検出できます。自然言語でトピックを記述すると、キーワードではなく文脈に基づいてDLPが一致を判定します(例:合併協議に関する概念で、社名や「merger」の語がなくても一致)。ChatGPT、Google Gemini、Perplexity、Claude で利用可能で、Gateway HTTPポリシーでログ/ブロックできます。
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Access 関連
MCPサーバーポータルでのサービストークン対応(6月26日)
自律エージェントやボットを、Accessサービストークンを使ってMCP(Model Context Protocol)サーバーポータルへ接続できるようになりました。ブラウザベースのOAuthフローなしで、サービストークンセッションからポータル経由で上流のMCPサーバーへ到達できます。
設定手順:
- ポータルのAccessアプリに、対象サービストークンにマッチする Service Auth ポリシーを追加。
- 連携する各MCPサーバーのAccessアプリにも、同じトークンにマッチする Service Auth ポリシーを追加。
- 各サーバーの「Require user auth」をオフ(
on_behalf: false)にし、ポータルが個別ユーザーのOAuthではなく管理者の資格情報を使うようにする。
ボットは CF-Access-Client-Id と CF-Access-Client-Secret ヘッダーで接続し、認可された連携サーバーのツールを利用できます。ただし個別ユーザーのOAuthが必須のままのサーバーは、サービストークンセッションから除外されます(サービストークンではユーザー単位のOAuth付与を完了できないため)。
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新規アカウントで Cloudflare IdP がデフォルトに(6月18日)
新しいZero Trust組織を作成すると、既定のログイン方法として Cloudflare identity provider が追加されるようになりました(従来はワンタイムPIN/OTP)。ユーザーは既存のCloudflareアカウント資格情報で認証し、認証はそのアカウントのメンバーに限定されます。この変更は新規アカウントのみに適用され、既存組織の設定は変わりません(既存アカウントで使いたい場合は手動で有効化が必要です)。
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IdPフェデレーションで複数アカウント間でIdPを共有(6月4日)
Cloudflare Access が IdPフェデレーションに対応し、1つのIDプロバイダー(例:Okta、Entra ID)を組織内の複数アカウントで共有できるようになりました。ソースアカウントで一度設定すれば、他アカウントには読み取り専用のIdP接続が提供され、ソースアカウント上のブリッジ経由で認証がルーティングされます。アカウントの参加・離脱に応じて接続が自動でプロビジョニング/削除され、受信側の接続は誤変更・削除ができません。
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WARPクライアント
Cloudflare One クライアント for Windows / macOS / Linux(2026.6.822.0)(6月29日)
3プラットフォーム向けの新GAリリースで、ベータの機能が安定版に取り込まれました。
3プラットフォーム共通の主な内容:
- デバイスプロファイル/ネットワークポリシーで設定したDNSサーチサフィックスの適用
- デバイス登録を TPM/Secure Enclave で保護(ハードウェアベースのデバイス登録)
- 緊急切断(Emergency Disconnect)のローカルファイルシグナル対応(HTTPSポーリングに加え、ディスク上のファイル検知でも切断可能)
- warp-cli のデバッグコマンド追加
- ローカルDNSプロキシのDNSSECパススルー
- 組織全体設定向けの新MDMフォーマット(FedRAMPなどコンプライアンス環境の設定を簡素化)
- アンダースコアを含むホスト名の受け入れ(ChatGPTサンドボックス系アプリ対策)など多数の共通修正
プラットフォーム別:
- ダッシュボードからのクライアントバージョン管理: Windows / macOS
- MDM経由の必須認証(起動から認証完了までインターネットを遮断)、スリープ復帰時の高CPU修正: Windows のみ
運用上の注意(要確認):
- 2026.6.822.0 以降、クライアントのAPI通信のSNIが
api.devices.cloudflare.comに統一されました(従来はzero-trust-client.cloudflareclient.comとnotifications.cloudflareclient.com)。SNI検査でトラフィックを許可している環境では、新SNIを許可リストに追加してください(旧バージョンの挙動は変わりません)。 - Linux: RHEL 展開では EPEL リポジトリ への依存が追加されました(キャプティブポータル検知のアプリ内ブラウザ認証・システムトレイアイコン用)。事前にEPELを有効化してください。
- Linux: Cloudflare Mesh が RHEL 9 / 10 に対応。あわせてホスト名ベースのルーティングにも対応。
Cloudflare One クライアント for macOS(2026.6.782.1、ベータ)(6月24日)
macOS向けの新ベータリリース。Secure Enclaveでデバイス登録を保護する、ハードウェアベースのデバイス登録を導入しました。あわせてアクセシビリティ改善、PMTUDのデフォルト有効化、アイドル後のDNSクエリ失敗の修正、各種UI修正を含みます。
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その他(ネットワーク系)
すべてのルートをダッシュボードの1ページで管理(6月19日)
Cloudflareダッシュボードの「Routes」ページで、Cloudflare Mesh/Cloudflare Tunnel のルートと、Cloudflare WAN(旧 Magic WAN)/Magic Transit の静的ルートを、製品ごとに分かれた表示ではなく1つのテーブルにまとめて表示できるようになりました。インタラクティブなネットワークマップでの可視化(ECMPルート含む)、ルートの作成・編集・削除、仮想ネットワークの管理、ルートのテストが可能です。既存のルート・API・設定は変更されません(ダッシュボード上の統合表示です)。
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Regional Services向けのリージョナライズドIPバインディング(6月23日)
※ Zero Trust というより Data Localization(データローカライゼーション)文脈の更新です。
Regional Services が Regionalized IP Bindings に対応し、BYOIP(Bring Your Own IP)で持ち込んだプレフィックスのトラフィックをIPレイヤーでリージョン化できるようになりました。ホスト名単位のRegional Hostnamesに対し、CIDRをリージョンにバインドし、そのアドレス宛のTLS終端・処理を該当リージョンのデータセンター内のみで行います。Regional Services および BYOIP向けRegional Servicesのエンタイトルメントが必要です。
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補足
- 本記事は Cloudflare One 全体のチェンジログから、Gateway・Access を中心に整理したものです。WARPクライアント、Tunnel/Mesh、DLP、WAN などの更新も含みます。
- 各項目のリンクは Cloudflare 公式ドキュメントの該当チェンジログ投稿です。