先日アーキテクチャカンファレンスに参加しました。
その内容があまりに示唆に富んでいたので、忘れないうちにまとめておこうと思います。
特に印象的だったテーマは、
「AIが実装の大部分を担う時代に、アーキテクトの役割はどう変わるのか?」
という問いでした。
AIによって開発スタイルが大きく変わる今、
私たちが向き合うべきキーワードは “信頼” だと強く感じました。
1. 結論:「信頼」は“検査しやすさ”から生まれる
講演の中で何度も出てきたのが、
「AIに任せるとしても、最後の責任は人間に残る」
という事実でした。
AIが高速にコードを生成できるようになるほど、
「どうすればそのコードを信頼できるのか?」
という問いはさらに重要になります。
その鍵になるのが 検査容易性(Testability / Auditability) です。
人間がチェックできる余地を残すこと。
後からでも「なぜそうなったのか」を説明できる状態であること。
この“検査のしやすさ”が、結果的にシステム全体の信頼につながると感じました。
🚨 AI時代のアーキテクトに残る責務
講演を聞きながら整理すると、AI時代のアーキテクトが担うべき領域は大きく以下の4つだと思いました。
-
設計
└ AIに何を作らせたいか、その意図と境界線を設計する。 -
ルールづくり(規律の枠組みを作る)
└ コーディング規約や責務分離など、逸脱しにくい構造をつくる。 -
説明可能性の確保
└ なぜこの構造なのか、どう考えてこうなったのかを後からでも説明できる状態を残す。 -
最終責任
└ AIが生成したものをレビューし、承認し、結果に責任を持つ。
コードを書かなくなるのではなく、
“AIのアウトプットを監査し、責任を取るための土台を設計する役割”
へシフトしていくイメージが近いと感じました。
2. 講演を聞いて感じた「AI時代の秩序づくり」の重要性
AIは便利ですが、一貫性や規律を作るのは得意ではありません。
同じような説明をしても、微妙に異なる構造のコードを生成することもよくあります。
講演を聞きながら「これは秩序をどう保つかが重要だな」と強く思ったポイントがいくつかあります。
🔧 1. 静的解析(Linter)を“前提”にする必要性
AIが生成したコードは、
- 一貫性のない命名
- 少しずつ違うスタイル
- 同じ責務が複数箇所に散らばる
といった“揺らぎ”が起きやすいです。
そこで改めて重要だと感じたのが 静的解析ツールの存在 です。
- CIにLinter+Formatterを必ず通す
- 組織のコーディング文化や仕様をカスタムルールとして落とし込む
- 人間のレビューは「構造」と「意図」の確認に集中させる
AIが生成したコードは、
まず機械で矯正し、最後に人間が判断する
という流れが自然になっていくだろうと感じました。
🧩 2. レビューの主戦場は「スタイル」ではなく「意図」に移る
講演の中でも強調されていましたが、
AIの普及でコード生成そのものはますます“解決済みの問題”になる一方、
「なぜこの実装なのか?」
という設計判断の説明と再現性が重要になります。
レビューでも、
- 変数名を直す
- フォーマットを直す
- タイポを直す
といった作業ではなく、
- 責務の分割は妥当か
- モジュール境界は適切か
- 意図した設計に沿っているか
という“根本的な話”が主戦場になりそうです。
3. AI時代に求められるのは「普遍的な設計知識」
コードの書き方やフレームワークの扱い方はAIがサポートできますが、
- 責務分離
- 境界づけ
- I/Oの設計
- データの流し方
- コンテキスト設計
といった根本的な設計原則は人間の判断が必要です。
むしろAIを使いこなすために、
アーキテクトが普遍的な原則を理解しておくことの重要度が上がる
と感じました。
💡 まとめ:AIと共進化するために、アーキテクトが担うこと
| 領域 | AIが担うこと | 人間(アーキテクト)が担うこと |
|---|---|---|
| コード | 実装の大部分を生成 | 意図・責務・設計の判断 |
| 信頼 | 高速な実行 | 検査・監査・説明可能性の確保 |
| 知識 | 既存知識の活用 | 普遍的な設計原則の理解 |
最後まで読んでいただきありがとうございました!
AI時代のアーキテクト像を考える上で、少しでも参考になれば嬉しいです。