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【キホンのキ】ガバクラではどんなシステムが動いているのか

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ガバメントクラウドにあるシステムの概要と機能紹介

本記事では、ガバメントクラウドにどんなシステムがあるのかについて説明します。
投稿者の経歴紹介から始め、標準化対象業務やシステムの規模感、各システムで求められている主な機能について詳しく解説します。


目次


はじめに:投稿者の経歴紹介

本記事が初投稿となりますので、まずは簡単に私の経歴を紹介します。

  • 2009年:自治体システム導入・運用保守部署に配属
  • 2021年頃まで:各種自治体業務システムの導入・運用保守担当
  • 2021年:新規ビジネス検討プロジェクトと兼務開始。これをきっかけにガバメントクラウド(以下、ガバクラ)に興味を持ちAWSの勉強を開始
  • 2024年:AWS SAP認定取得
  • 2024年:弊社標準化ファーストユーザーの導入プロジェクト開始、プロジェクトリーダー兼ガバクラ担当(※)となる
     ※パートナー企業のガバクラ基盤構築サービス利用の支援、自治体への説明、非機能要件検討、作業依頼・承認が主な役割

「ガバメントクラウド」とは、デジタル庁が管理する公共システム専用クラウド(サーバレスも含む)であり、近年注目を集めています。
この記事では、ガバメントクラウド内に構築されるシステムについて解説します。


ガバメントクラウドと対象システムについて

デジタル庁では自治体システムの標準仕様書を制定し、その仕様に準拠したシステム導入を推進しています。
すべての自治体業務が対象となっているわけではなく、表1のとおり、現在は20の業務が標準化対象に定められています。


表1:標準化対象業務一覧

標準化対象業務 管理省庁
児童手当 こども家庭庁
子ども・子育て支援 こども家庭庁
住民基本台帳 総務省
戸籍の附票 総務省
印鑑登録 総務省
選挙人名簿管理 総務省
固定資産税 総務省
個人住民税 総務省
法人住民税 総務省
軽自動車税 総務省
戸籍 法務省
就学 文部科学省
健康管理 厚生労働省
児童扶養手当 こども家庭庁
生活保護 厚生労働省
障害者福祉 厚生労働省
介護保険 厚生労働省
国民健康保険 厚生労働省
後期高齢者医療 厚生労働省
国民年金 厚生労働省

標準化対象システム一覧と説明

以下は上記標準化対象業務をシステム単位にまとめた一覧です。

表2:標準化対象システム一覧

No 業務 システム名 版数(機能) 業務フロー数 機能・帳票要件数 帳票数 版数(データ・連携) データ項目数 連携IF数(受信) 連携IF数(送信)
1 住民基本台帳 住民記録システム 6.1 38 530 56 4.1 1027 47 23
2 印鑑登録 印鑑登録システム 3.3 16 260 19 2.4 184 5 1
3 戸籍 戸籍情報システム 5.0 7 631 123 5.0 7825 8 18
4 戸籍の附票 戸籍附票システム 3.1 9 265 17 2.3 433 16 9
5 選挙人名簿管理 選挙人名簿管理システム 1.4 61 708 171 4.1 1228 18 13
6 個人住民税 税務システム(個人住民税) 5.0 25 747 207 9.0 2535 57 36
7 法人住民税 税務システム(法人住民税) 5.0 15 302 62 9.0 1043 32 10
8 固定資産税 税務システム(固定資産税) 5.0 25 322 114 9.0 1247 27 48
9 軽自動車税 税務システム(軽自動車税) 5.0 22 219 123 9.0 520 32 17
10 税務(4税共通) 税務システム(収納管理) 5.0 37 432 147 9.0 756 56 27
11 税務(4税共通) 税務システム(滞納管理) 5.0 51 352 534 9.0 1455 45 46
12 税務(4税共通) 税務システム(共通) 5.0 0 132 0 9.0 359 14 16
13 就学 就学事務システム(学齢簿編成等) 3.1 24 453 69 3.2 640 10 12
14 就学 就学事務システム(就学援助) 4.0 11 271 43 6.0 1448 30 11
15 健康管理 健康管理システム 4.0 59 566 7 6.0 4068 37 23
16 児童扶養手当 児童扶養手当システム 3.0 23 448 78 4.1 1253 16 10
17 生活保護 生活保護システム 2.2 48 1820 275 5.0 4293 125 34
18 障害者福祉 障害者福祉システム 5.0 80 1346 254 4.0 4237 143 55
19 介護保険 介護保険システム 5.0 58 1417 223 7.0 4280 217 201
20 国民健康保険 国民健康保険システム 1.5 117 2658 227 7.1 5680 95 89
21 後期高齢者医療 後期高齢支援システム 1.3 58 439 48 4.0 2274 62 59
22 国民年金 国民年金システム 1.4 31 416 18 4.0 752 20 8
23 児童手当 児童手当システム 2.0 42 406 47 2.5 986 29 11
24 子ども・子育て支援 子ども・子育て支援システム 1.2 45 664 196 3.1 1725 51 33
25 戸籍 火葬等許可事務システム 2.0 4 75 10 1.4 241 4 0
26 戸籍 人口動態調査事務システム 3.0 6 313 12 1.3 440 6 1
27 健康管理 特定検診等システム 1.0 32 246 22 1.2 1394 21 13

表項目の説明(2025年12月15日時点標準仕様書)

項目名 説明
版数(機能) 標準仕様書機能要件の最新版数
業務フロー数 標準仕様書機能要件の業務フロー数
機能・帳票要件数 標準仕様書機能要件の機能・帳票要件数
帳票数 標準仕様書機能要件の帳票数
版数(データ・連携) 該当業務システムで管理するデータ、およびシステム間連携仕様書の最新版数
データ項目数 基本データリストに定義されているデータ項目数
連携IF数(受信) システム間連携仕様書に記載されている受信分の連携IF数
連携IF数(送信) システム間連携仕様書に記載されている送信分の連携IF数

業務システムの規模感とバージョンアップの重要性

  • 上記表をご覧いただくと各業務システムの規模感がなんとなくわかると思います。
    機能要件の記載の粒度にはよりますが、機能要件数が50を超えてくると中規模システム、300を超えると大規模システムと一般的に言われており、業務一つのシステムで大規模なものになってくるといえます。

    • 50件超:中規模システム
    • 300件超:大規模システム

業務システムは法改正や意見照会により標準仕様書が定期更新され、各システムは機能要件ごとに定められた適用基準日までに対応する必要があります。導入後も継続的なバージョンアップが求められます。


各システムに求められる主要機能の紹介

1. オンライン機能

ユーザーがリアルタイムに操作・処理を行うための機能群です。

  • 単件検索機能
    対象者を検索する機能です。検索条件には、氏名・生年月日・住所・性別などの4情報の他、システム内で一意の番号として住民個人に付番された宛名番号、マイナンバー、国民健康保険や介護保険など被保険者に一意に付番された被保険者番号などがよく利用されます。

  • 単件照会機能
    主に市民の方が窓口に来た時、電話で問い合わせがあった時の情報確認のために利用します。
    例えば、「介護保険の保険料が昨年より高くなったがなぜ高くなったのか」と問い合わせがあった際は、昨年と今年の保険料額や保険料額決定の根拠情報を確認し、回答するといったようなケースです。
    例)住民情報照会画面、世帯構成確認画面、税金・料金確認画面など

  • 単件入力機能
    業務に関する情報を登録する機能です。市民からの各申請情報や調査などで入手した情報などを登録します。
    住民記録業務を例にすると、他市町村への引っ越しの届出申請であったり、戸籍の届出情報(出生や婚姻など)が他市町村から通知された場合等に画面から入力を行います。
    近年では、これらの情報がデータとして通知される改正も進んでおり、オンラインからの入力といっても、すべてを手入力するのではなく、通知データの取り込み、QRコード情報からの読み取り、OCR帳票の読み取りといった方法で、入力が簡素化されてきています。
    例)税金・料金の口座引き落とし申請入力、通知物の送り先変更申請入力など

  • 一覧照会機能
    ある条件に一致する対象者や対象者に関する情報を一覧で確認する際に利用します。
    徴収業務を例にすると、税金や料金を滞納している住民で、滞納料金がある金額以上の対象者を確認するために利用したり、対象者の過去の納付状況を一覧で確認したりする機能などがあります。
    例)消除者(転出者や死亡者)一覧照会、資格異動者(資格取得・喪失)一覧照会

  • 単件帳票出力機能
    住民への通知書類や申請書を単件で出力する機能です。
    こちらも徴収業務を例にすると、「個人住民税の納付書が届いていたが無くしてしまったので、またくれないか」といった要望があった際に、その対象者の納付書を出力する機能などです。
    例)納付書発行、介護や国民健康保険の被保険者証、住民票などの各種証明書

2. バッチ機能

大量のデータをまとめて一括処理するバッチ機能は、主に処理サイクル等で分類することが多いです。以下に処理サイクルごとにどのような処理があるか記載します。
※システム間連携処理についてもバッチ処理に分類できると思いますが、後述します。

  • 日中処理(随時処理)
    主に更新を伴わないデータ参照系の処理となります。例えば、上述した一覧照会に近いですが、ある条件に一致する対象者の一覧帳票やCSVデータを出力するような機能です。その他、統計に関する資料作成機能などがあります。

  • 日次処理
    システムであらかじめ処理する時間を設定し、自動的に毎日処理が実行されることが多いです。
    この処理される時間については、システム起動直後の朝処理や業務完了後の夜に処理される夜間処理に分類できます。
    例えば、日中に入力した内容を翌営業日に確認できるよう確認用の一覧表を自動で毎日出力したり、日中に被保険者に関する情報の変更をオンライン機能で行い、被保険者証の記載内容が変わり、被保険者証の送付が必要な分をまとめて夜間に自動で作成したりする機能があります。

  • 月次処理
    毎月1回処理するバッチ処理です。税金や料金を決定・徴収する業務では、月次サイクルで
    事務が行われます。以下に介護保険の保険料に関する処理スケジュールの例を記載します。

    • 4月1週目①:保険料額の決定(転入者や65歳に到達した)・変更(税の修正申告や転出などで保険料を変更する)
    • 4月1週目②:保険料決定・変更通知書・納付書作成
    • 4月1週目③:保険料の口座引き落とし情報の作成
    • 4月2週目①:還付対象者抽出(保険料が変更になり、払いすぎた保険料を住民に返還)
    • 4月3週目①:還付分口座振込情報作成
    • 4月4週目①:保険料に関する月次統計処理
    • 5月1週目①:口座引き落とし結果情報の取り込み
    • 5月3週目①:4月分未納者に対する督促状作成
      ※5月分と記載した処理は、実際には4月にも処理されており、3月分を対象に処理されますが、 時系列での記載としたため、割愛しています。
  • 年次処理
    1年に1回処理するバッチ処理です。
    上述した介護保険の月次スケジュールとほぼ同様な考えで、以前から住民の方について、6月に決定した住民税の情報をもとに年間保険料額を決定する処理などがあります。
    月次処理では差分の更新、年次処理では全件を対象とした更新処理といったイメージです。

3. 連携機能

連携機能については、主に自治体内他業務システムとの連携の他、国管理システムや外部システムとの連携があげられます。
標準仕様においては、相手先業務システム、連携情報の項目、連携サイクルなどが定義されています。
その他、API連携やファイル連携におけるルールも決められておりますが、従前のシステムで主流であったファイル連携を採用する自治体が多くを占めているのが現状だと認識しています。
連携機能としては、ほぼ時間差がなく情報を反映するリアルタイム連携(1~10分間隔の疑似リアル含む)、日次連携、月次連携、年次連携などがあります。

  • 代表的な連携
    • 住民票異動情報連携(転入・転出・死亡情報の反映)
       →リアルタイム連携、日次連携
    • 住民税情報連携(各種給付や料金算出支援)
       →月次連携、年次連携

まとめと今後の投稿予定

  • ガバメントクラウドにおける自治体向け標準化業務システムは多様で規模・機能も様々です。
  • 各システムは定期的に標準仕様書の更新に対応し、機能も継続的にバージョンアップされます。
  • 今後の記事では、導入経験がある業務の詳細について投稿できればと思います。
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