はじめに
スマホ(Android)のローカル環境から、主要なクラウドの操作に必要なCLIツール(AWS CLI, gcloud CLI, OCI CLI)を直接叩けるようにします。
PCを開くのが難しい移動中や、緊急の対応が必要な場面でも、手元のスマホから直接クラウドを操作できるようになります。 各社のGUIコンソールはスマホでの操作性が低いため、CLI環境を構築することで圧倒的に効率的な運用が可能になります。
検証環境: Android (Google Pixel 7)
1. 準備:スマホのローカルにDebianをインストール
まずは、Android上でLinux環境を動かすためのベースを構築します。
Termuxのインストール
Google Play版は更新が止まっているため、必ず F-Droid 版を使用してください。
- F-Droidの公式サイトからTermuxをインストールします。
ベース環境の構築とログイン
Termuxを開き、以下のコマンドを順番に実行してください。最後にDebian環境へログインします。
# パッケージ情報の更新
pkg update && pkg upgrade -y
# proot-distroのインストール
pkg install proot-distro -y
# Debianのインストール
proot-distro install debian
# インストールしたDebian環境へログイン
proot-distro login debian
【任意】共有ストレージへのアクセス権限
スマホ内のファイル(ダウンロードフォルダや写真など)をDebian側から操作したい場合は、別のセッション(または一度exitして)以下のコマンドを実行してください。
# 実行後、スマホのポップアップで「許可」を選択
termux-setup-storage
2. AWS CLI の導入手順
インストール
apt update && apt install awscli -y
認証設定
aws configure
- AWS Access Key ID / Secret Access Key: IAMで発行した値を入力。
-
Default region name:
ap-northeast-1(東京)等を入力。
疎通確認
aws sts get-caller-identity
3. gcloud CLI (Google Cloud) の導入手順
インストール
# リポジトリと鍵の追加
apt install curl gnupg -y
curl [https://packages.cloud.google.com/apt/doc/apt-key.gpg](https://packages.cloud.google.com/apt/doc/apt-key.gpg) | gpg --dearmor -o /usr/share/keyrings/cloud.google.gpg
echo "deb [signed-by=/usr/share/keyrings/cloud.google.gpg] [https://packages.cloud.google.com/apt](https://packages.cloud.google.com/apt) cloud-sdk main" | tee -a /etc/apt/sources.list.d/google-cloud-sdk.list
# インストール
apt update && apt install google-cloud-cli -y
注意: インストール中、動作が止まったのかと心配するほどプログレスバーが進まない時がありますが、大きなファイルを展開しているためであり心配いりません。そのまま待ちましょう。
認証設定
gcloud init --no-launch-browser
- 表示されたURLをスマホブラウザで開き、Googleアカウントでログイン。
- 表示された認証コードをコピーし、Termuxにペースト。
- 使用するプロジェクトを選択。
疎通確認
gcloud config get-value project
4. OCI CLI (Oracle Cloud Infrastructure CLI) の導入手順
インストール
# Python環境とCLIのインストール
apt update && apt install python3-pip python3-venv -y
pip3 install oci-cli --break-system-packages
認証設定
oci setup config
- User/Tenancy OCID: OCIコンソールから取得して入力。
-
Region: リストから選択(例:大阪は
13)。 -
API Key:
Yを選択して新規生成。 -
重要: 生成された公開鍵(
cat ~/.oci/oci_api_key_public.pem)をコピーし、OCIコンソールの「APIキーの追加」にペーストして登録。
疎通確認
oci os ns get
5. 日常的な利用方法(再起動後の復帰)
スマホの再起動後やTermuxを立ち上げた直後は、以下のコマンドで構築したDebian環境にログインすることで、すべてのCLIが即座に利用可能になります。
proot-distro login debian
※ Termux:Boot を利用すれば、このログイン処理を自動化することも可能です(導入は任意)。
おわりに
これで、手元のスマホは主要なクラウド環境を横断して管理できる**「ポータブルな運用端末」**へと進化しました。
圧倒的シェアを誇るAWS・GCPに加え、特定分野で外せないOCI。この3つをスマホから自在に叩けるようになったことで、次はこんな可能性が広がります。
- AIエージェント化: FlaskでAPI化し、LLMに指示するだけで各クラウドを横断して状況確認・操作させる。
- 緊急時の即応性: PCを開けない場所でも、ポケットのスマホから数秒でインフラ操作を完遂する。
- マルチクラウドの自動化: AWSのイベントをトリガーにOCIを動かすなど、環境を跨いだスクリプト運用。
サーバー室の配線に追われていた時代から、手のひらの中で複数のインフラを叩ける時代へ。この土台の上に次はどんな「知能」を載せるか、楽しみは尽きません。
4. AWS CLIのインストール
Debian環境内で、Pythonの pip を使用してAWS CLIをインストールします。
apt update && apt install python3 python3-pip -y
pip3 install awscli --break-system-packages
インストール確認:
aws --version
5. AWS認証情報の設定(対話形式)
以下のコマンドを実行し、IAMユーザーから発行したアクセスキーを入力します。
aws configure
- AWS Access Key ID: 発行したIDを入力
- AWS Secret Access Key: シークレットキーを入力
-
Default region name:
ap-northeast-1 -
Default output format:
json
6. 疎通確認
STSを使用して、正しく認証されているかを確認します。
aws sts get-caller-identity
7. 再起動・中断からの復帰方法
Android OSによるタスクキルや端末の再起動後に、再びDebian環境へ戻るには以下の手順を実行します。
- Termuxアプリを起動
-
ログインコマンドを実行
proot-distro login debian
おわりに
以上の手順で、Google Pixel 7上にフル機能のAWS CLI環境が整いました。スマホ一台で、いつでもどこでもクラウド構築を完結させるための土台が完成です。