はじめに
前回、gpt-image-1.5で多様な顔を生成する検証をしました。国籍・時代・年齢・性別を固定し、プロンプトを9回調整しても、顔の多様性のスコアは最良で0.706で、実在顔の0.963には及びませんでした。つまりプロンプトエンジニアリングだけでは、実在顔ほど、多様性を高めることができませんでした。
先日リリースされたgpt-image-2.5の評判がよいので、同じ検証をしてみました。
結果は 0.796 で、前回のgpt-image-1.5の結果を上回りました。定性的にも、実在顔の0.963には届かないのものの、割と許容範囲の多様性が出ているように感じました。
検証条件
- デモグラフィック固定: 日本人女性 / 55歳 / 近代前期(1920年代)
- 枚数: 8枚(8つの別セッションで1人ずつ生成)
- 画像生成: ChatGPTを使用(2026/09/10に実施し、gpt-image-2.5が画像生成に使用される想定)
- プロンプト: 前回の最終版のプロンプト生成コードを使用
- 参照画像・再生成・候補選別: なし
- 評価: ArcFace(InsightFace
buffalo_l)の顔埋め込みによるbatch_diversity_score(1 − 平均ペアワイズコサイン類似度)
スコアは大きいほど、顔埋め込み上での個体差が大きいことを表します。今回は8人・28ペアを評価しました。各画像の主な顔を使い、複数の顔が検出された場合は面積が最大の顔を採用しています。
画像生成は、ラフに試すためChatGPT上で実施しています。
gpt-image-1.5のときはAPIで実施したので、厳密には条件が揃っていませんが、傾向をみれればよいことにします。
前回の最終プロンプトで個別生成
前回のプロンプトでは、次のような要素を組み合わせていました。
- 骨格の指定: 縦長・丸顔・四角・ひし形などを、縦横比の数値も添えて指定
- 人物像の指定: 繊細な顔立ち、野外調査で風化した顔など、異なる人物像を与える
- 顔パーツの指定: 目の間隔、鼻、頬、顎などを具体化
- 画材・構図などの変更: 鉛筆画・木炭画・水彩・版画などに加え、照明やポーズも変える
今回はこの最終版のコードから8人分のプロンプトを作り、別々のセッションに入力しました。1人あたり約2,400文字のプロンプトです。
補足: 当時送信した8人分の全文をそのまま再利用したものではなく、最終版のコードから同じデモグラフィックで作り直しています。また、前回の0.706は1人につき3候補を生成して選んだ結果ですが、今回は各人1枚で、選別していません。
結果
| 方式・基準 | batch_diversity_score |
|---|---|
| 前回: gpt-image-1.5、最終プロンプト・3候補選別 | 0.706 |
| 今回: gpt-image-2.5、最終版コードから作ったプロンプト・個別生成 | 0.796 |
| 実在顔ベースライン(前回の日本人女性著名人10名) | 0.963 |
前回の 0.706から0.796へ、約0.09上がりました。
今回参照した実在顔セットの水準にはまだ届きませんが、目視でも、細長い顔、丸い顔、頬骨の目立つ顔などの違いが出ています。割と十分な多様性だろうという印象です。
追加検証: 8人を一度に生成すると、多様性は上がるか
改善の方法として、前節では毎回ChatGPTの新規セッションで生成しましたが、1つのセッションで8人を同じ画像内に描かせれば、互いの差が意識されて多様性が上がるのではないかと考えました。
人物設定を日本人女性・55歳・1920年代とし、8人それぞれに「縦長で細い顔、細長い鼻」「幅広い丸顔、ふっくらした頬、短く幅広い鼻」などの特徴を割り当て、次の2通りで試しました。
- 一括生成: 8人分の特徴をまとめて渡し、4列×2行の1枚を生成
- 個別生成: 同じ8人分の特徴を1人分ずつ渡し、別々の8セッションで生成
| 生成方法 | batch_diversity_score |
|---|---|
| 8人を一括生成 | 0.652 |
| 1人ずつ別セッションで生成 | 0.772 |
| 個別生成画像を一括版のパネルと同程度に縮小して評価 | 0.769 |
一括生成した8人です。
同じ顔特徴の指定で、別々のセッションから生成した8人です。
期待とは逆に、一括生成のほうが低いスコアになりました。 個別生成画像は1254×1254、一括生成の各パネルは約444×444ですが、個別画像を444×444に縮小しても傾向は変わりませんでした。
今回の範囲では、「一度に描かせれば多様性が上がる」という仮説は支持されませんでした。同じ画像の中で描くことで、かえって共通した顔のパターンに寄った可能性もあります。ただし、各方法1セットなので、常に個別生成のほうがよいとまでは言えません。
まとめ
- gpt-image-2.5は指示追従性が高く、多様な顔を生成する能力もgpt-image-1.5より高い印象を持ちました。
- 実在顔の水準にはまだ届きませんが、目視評価的には十分な多様性では、と思いました。ArcFaceの指標も絶対的に人間の印象と相関する保証はないので、そういうこともあるかとは思います。


