目次
概要・基本情報
Midjourney V1 Video Model - 画像生成AIが動画の世界へ
Midjourneyが2024年6月にリリースした革新的な動画生成機能。既存の画像を最大21秒の美麗な動画に変換し、静止画から動画コンテンツ制作の新たな可能性を切り開きました。
主な特徴
Image to Video
Midjourneyで生成した画像や、アップロードした画像を高品質な動画に変換。AIが自然で美しい動きを自動生成します。
最大21秒まで延長
初期5秒から4秒ずつ4回延長可能。短尺ながらインパクトのあるコンテンツ制作に最適です。
モーション制御
Low/High Motionパラメータで動きの強弱を調整。Rawモードでより詳細な制御も可能です。
一貫したスタイル
元画像のスタイル、筆致、雰囲気を完璧に維持しながら動きを追加。Midjourneyならではの美的品質を動画でも実現。
重要なポイント
- 利用場所: midjourney.comウェブサイト専用(Discordでは現在未対応)
- 解像度: 現在480p(Standard Definition)で生成
- クレジット消費: 動画生成は画像生成の8倍のコストが必要
- 対応プラン: 全プランで利用可能、Pro/Megaプランはリラックスモード対応
基本操作・使い方
事前準備
1. Midjourneyアカウントの確認
有効なサブスクリプションプランに加入していることを確認してください。動画生成はすべてのプラン(Basic/Standard/Pro/Mega)で利用できます。
2. Webアプリへアクセス
midjourney.comにアクセスし、ログインします。動画生成機能はWebアプリ専用のため、Discordでは利用できません。
3. クレジット残高の確認
「My Account」→「Manage Subscription」→「Usage Details」で残りクレジットを確認。動画生成は画像生成の8倍のクレジットを消費します。
動画生成方法
方法1: Midjourneyで生成済み画像から
-
画像の選択
ギャラリーから動画化したい画像を選択し、「Animate Image」ボタンを探します。 -
生成モードの選択
- Autoボタン: AIが自動で最適な動きを生成
- Manualボタン: プロンプトで詳細な動きを指定
-
生成開始
ボタンをクリックして動画生成を開始。通常60-90秒で完成します。
方法2: 自分の画像をアップロード
-
画像のアップロード
Imagineバーの画像アイコンをクリック→新規画像をアップロードまたは既存画像を選択。 -
Starting Frameの設定
画像をStarting Frameセクションにドラッグ&ドロップ、または画像をクリックで自動追加。 -
プロンプトと設定
必要に応じてテキストプロンプトを入力し、モーション設定を調整してから生成開始。
初心者の方へのアドバイス
最初はAutoモードで動画生成の感覚を掴むことをおすすめします。慣れてきたらManualモードで詳細な制御に挑戦してみてください。また、クレジット消費が多いため、まずは短時間の動画で実験することが重要です。
機能・パラメータ
モーション設定
Low Motion(デフォルト)
静止したシーン、低いカメラの動き、スローモーション、微妙なキャラクターの動きに最適。自然で落ち着いた動画を生成します。
--motion low
High Motion
大きなカメラの動きや大きなキャラクターの動きを生成。ダイナミックな映像が可能ですが、非現実的な動きが発生する場合もあります。
--motion high
詳細パラメータ
1. --raw パラメータ
Midjourneyの追加クリエイティブ要素を減少させ、プロンプトテキストの影響を強化します。より正確なモーション制御が可能になります。
--raw --motion low
2. アスペクト比対応
動画のアスペクト比は開始画像のアスペクト比に基づきます。16:9、1:1、9:16など様々な比率に対応。
3. 動画延長機能
「Extend Auto(自動延長)」または「Extend Manual(手動延長)」で4秒ずつ最大4回延長可能。合計21秒まで拡張できます。
効果的なプロンプトの書き方(Manualモード)
プロンプト設計の3つの要素
アクション動詞
walks, turns, rises, glows, darts, flows など具体的な動きを表す動詞を使用
時間的接続
then, while, suddenly, after that など時間的なつながりを示す言葉で流れを作る
シーン展開
from a forest to a glowing cave など場面の進行や変化を具体的に描写
効果的なプロンプト例
A cat darts across a rooftop, while the moon rises behind it. Camera pans left as a streetlamp flickers.
この例では、猫の動き(darts)、月の動き(rises)、カメラワーク(pans)、環境の変化(flickers)が組み合わされています。
避けるべきプロンプト要素
- 「8K」「HDR」「f/1.8」などの写真術の専門用語
- 「Artstation trending」「ultra high resolution」などの品質修飾語
- 動画生成に無関係なノイズワードや「プラセボ」プロンプト
重要: Midjourneyは、ビデオプロンプトをパラメータの羅列ではなく「3-5秒間のミニストーリー」として捉えることを推奨しています。
料金・プラン
動画生成のコスト構造
動画生成は画像生成の8倍のクレジットを消費します。これは高品質な動画生成に必要な計算リソースが大幅に多いためです。
プラン別利用制限
プラン | 月額料金 | 動画生成モード | リラックスモード | おすすめ用途 |
---|---|---|---|---|
Basic | $10 | Fast Time のみ |
![]() |
動画生成の試用・学習 |
Standard | $30 | Fast Time のみ |
![]() |
定期的な動画制作(小規模) |
Pro | $60 | Fast + Relax |
![]() |
本格的な動画制作・事業利用 |
Mega | $120 | Fast + Relax |
![]() |
大量の動画制作・商用利用 |
:calculator: コスト計算例
- 5秒動画(初期): 画像1枚分のクレジット消費
- 動画延長(4秒): 追加で画像1枚分のクレジット消費
- 21秒動画(最大): 画像5枚分のクレジット消費(初期5秒 + 延長4回)
リラックスモードの活用
Pro/Megaプランの大きなメリット
リラックスモードでは、クレジット消費なしで動画生成が可能です(生成時間は長くなりますが)。頻繁に動画を作成する場合、Pro以上のプランが圧倒的にコストパフォーマンスに優れます。
料金に関する注意点
- 動画生成は追加購入不要で既存プランに含まれます
- しかし、クレジット消費が激しいため計画的な利用が必要
- Basic/Standardプランでは、月の制限に達するのが早い可能性があります
- 商用利用する場合は、Pro以上のプランが実質的に必須です
活用事例・Tips
具体的な活用シーン
SNS コンテンツ
Instagram、TikTok、Twitter用の短尺動画。ループ動画やモーションポスターで注目度アップ。
初心者向け
ビジネス活用
プレゼン資料の動的要素、商品紹介動画、ブランディング映像素材として活用。
中級者向け
クリエイター作品
ポートフォリオの動的演出、アート作品の表現拡張、ストーリーテリングの新手法。
中級者向け
映像制作
映像プロトタイプ作成、コンセプト映像、VFX素材生成での前段階制作。
上級者向け
プロクリエイターのTips
効率的なワークフロー
-
画像生成時の動画化前提設計
画像生成時点で前景・背景・光源・カメラ角度を明確に意識し、動きを想定した構図で生成します。 -
段階的アプローチ
まずLow Motion + 自動生成で方向性を確認。満足のいくカットのみHigh Motionや延長で仕上げる。 -
バリエーション制作
同一画像から複数の動画パターンを作成し、最も効果的なものを選択。
実践的なTipsコレクション
プロンプト最適化
動詞は具体的に、時間軸は明確に、カメラワークは映画的表現を参考にする。
コスト節約術
テスト段階では短尺・Low Motionを使用。本番制作で延長・High Motionを適用。
スタイル一貫性
同一プロジェクトでは画像生成段階から統一したスタイルプロンプトを使用。
ループ動画制作
開始と終了が自然につながるような構図・動きを意識したプロンプト設計。
SNS最適化
各プラットフォームの推奨アスペクト比を画像生成段階から考慮。
視覚的インパクト
静止画では表現できない時間的変化(光の変化、季節の移ろいなど)を積極的に活用。
よくある失敗例と対策
失敗パターン集
- 複雑すぎるプロンプト → シンプルで明確な動作指示に変更
- 非現実的な動きの指定 → 物理的に自然な動きを基本とする
- クレジット枯渇 → 制作前の使用量計画と段階的テスト実施
- 画質への過度な期待 → 現在は480p品質であることを理解
- 長尺動画の期待 → 21秒制限を活かした短尺映像制に特化
上級者向け応用テクニック
マスタークラス技術
-
シネマティックカメラワーク
"slowly zoom in", "camera orbits around subject", "low angle rising shot"など映画的な表現でダイナミックな映像を制作。 -
環境ストーリーテリング
キャラクターの動きだけでなく、環境の変化(天候、照明、季節)through動画で物語性を演出。 -
スタイル実験
同一イメージを異なるart style(水彩、油絵、アニメ、写実的等)で動画化し、表現の幅を探求。
競合比較
動画生成AI 戦国時代の勢力図
2024年は動画生成AIの競争が激化。各サービスの特徴と Midjourney Video の位置づけを詳しく分析します。
サービス | 最大尺 | 解像度 | 主な特徴 | 想定ユーザー | 料金帯 |
---|---|---|---|---|---|
Midjourney V1 | 21秒 | 480p | 画像→動画、直感的UI、美麗な画像から生成 | アート・ホビー・SNS | $10-120/月 |
OpenAI Sora | 60秒 | 1080p | テキスト→動画、物理演算重視、高解像度 | 映像制作・研究機関 | 未公開 |
Google Veo | 8秒+音声 | 720p | 音声合成対応、YouTube Shorts連携 | SNSクリエイター | 未公開 |
Runway ML | 無制限* | 4K対応 | 豊富なAIモデル、プロ仕様ツール群 | プロの映像クリエイター | $12-76/月 |
Pika Labs | 4秒 | 720p | リアル系生成に強み、Web+Discord対応 | 個人クリエイター | $10-70/月 |
Stable Video Diffusion | 4秒 | 576p | オープンソース、ローカル実行可能 | 技術者・研究者 | 無料 |
*プランによる制限あり
Midjourney Video の競合優位性
美的品質の一貫性
Midjourneyの画像生成で培われた美的センスが動画にも反映。アート作品レベルの美しさを動画で実現。
高速生成
4つの動画バリエーションが約65秒で生成。他社の数分〜数十分と比較して圧倒的な速度。
既存ユーザーとの親和性
既存のMidjourneyユーザーが蓄積した画像ライブラリを即座に動画化可能。学習コスト最小。
コストパフォーマンス
Pro以上でのリラックスモード利用時、他社の分単位課金と比較して大幅にコスト優位。
現在の制限と将来性
:balance_scale: 正直な評価 - 現在の限界
- 解像度制限: 480pは商用ビデオ制作には不十分
- 動画尺の短さ: 21秒制限は本格動画制作には物足りない
- 音声非対応: 音声生成機能はまだ未実装
- 複雑な動作制御の難しさ: 精密なモーション指定には限界あり
戦略的位置づけの理解
Midjourneyの CEO David Holz は、単純な「動画生成競争」ではなく、「リアルタイムのオープンワールド・シミュレーション構築への布石」 として V1 Video を位置づけています。これは視覚→動き→3D→リアルタイムという長期ロードマップの第二段階です。
使い分けの指針
:compass: どのツールを選ぶべきか?
アート・創作重視
Midjourney Video - 美的品質とスタイル一貫性を最優先する場合
本格映像制作
Runway ML / Sora - 高解像度・長尺・プロ仕様が必要な場合
SNS コンテンツ
Midjourney Video / Pika - 短尺・高品質・コスパ重視の場合
技術実験
Stable Video Diffusion - オープンソース・カスタマイズ性重視の場合
よくある質問
動画生成にはどのくらいのクレジットが必要ですか?
動画生成は画像生成の8倍のクレジットを消費します。具体的には:
- 5秒動画(初期): 画像1枚分
- 4秒延長: 追加で画像1枚分
- 21秒動画(最大): 合計で画像5枚分のクレジット
Pro/Megaプランではリラックスモードでクレジット消費なしで生成できます(生成時間は長くなります)。
スマートフォンでも利用できますか?
はい、midjourney.com のWebアプリはモバイル対応しており、スマートフォンからでも動画生成が可能です。ただし、以下の点にご注意ください:
- 画面サイズが小さいため、PC/タブレットでの利用を推奨
- 動画のプレビューや細かな調整はより大きな画面で行うのが便利
- Discordアプリでは動画生成機能は利用できません
:framed_picture: どんな画像でも動画にできますか?
基本的には多くの画像を動画化できますが、以下の条件があります:
- 推奨: Midjourneyで生成した画像(最も良い結果)
- 可能: 外部からアップロードした画像(品質は画像による)
- 制限: 著作権侵害の恐れがある画像は利用不可
- 最適化: 動きのある要素が含まれた画像ほど良い結果
動画生成にはどのくらい時間がかかりますか?
生成時間はモードによって異なります:
- Fast Mode: 約60-90秒で4つのバリエーション生成
- Relax Mode(Pro/Mega限定): 3-10分程度(混雑状況による)
- 延長処理: Fast Modeで1-2分程度の追加時間
他社の動画生成AIと比較すると、Midjourneyは非常に高速です。
生成した動画はどのようにダウンロードできますか?
MidjourneyのWebアプリから簡単にダウンロードできます:
- 生成された動画をクリックして拡大表示
- 右上のダウンロードアイコンをクリック
- 「Save for Social Media」オプションでSNS投稿用に最適化された形式で保存可能
- MP4形式でダウンロードされ、多くの動画編集ソフトで利用可能
意図しない動きが生成された場合の対処法は?
AI生成特有の「ガチャ要素」への対処法:
- 複数回生成: 同じ設定で何度か試して最良の結果を選択
- プロンプト調整: より具体的で明確な動作指示に変更
- モーション設定変更: High/Low Motionを切り替えて試行
- --raw パラメータ使用: よりプロンプトに忠実な結果を得る
- 元画像の見直し: 動画化に適した構図・内容に変更
商用利用は可能ですか?
Midjourneyの生成動画の商用利用について:
- Pro/Megaプラン: 商用利用権が含まれています
- Basic/Standardプラン: 個人利用のみ(商用利用不可)
- 注意点: 著作権侵害の恐れがある素材は商用利用不可
- 推奨: 商用目的の場合は、必ずPro以上のプランをご利用ください
詳細はMidjourneyの利用規約をご確認ください。
今後のアップデート予定はありますか?
Midjourneyが公表している今後の開発予定:
- 解像度向上: 1080p対応が検討中
- 動画尺延長: より長い動画生成の実現
- 音声対応: BGMや効果音の自動生成
- 3D機能: 3次元空間での動画生成
- リアルタイム生成: より高速な生成プロセス
これらはCEOの長期ビジョン「リアルタイムオープンワールドシミュレーション」の一環です。
学習ロードマップ
ゼロから使いこなせるようになるまでの完全ロードマップ
初心者でも確実にMidjourney Videoをマスターできるよう、段階的な学習プログラムを設計しました。各ステップを順番に進めることで、無理なくスキルアップできます。
Week 1: 基礎準備・環境構築
1. アカウント準備
- Midjourneyアカウント作成・プラン選択
- Webアプリの基本操作を習得
- クレジットシステムの理解
進捗: 10% • 推定時間: 2-3時間
2. 基本画像生成の復習
- 動画化に適した画像の特徴理解
- 構図・動きを意識した画像生成
- 10-20枚の練習用画像を生成
進捗: 20% • 推定時間: 3-4時間
Week 2: 基本操作マスター
3. 初回動画生成
- Autoモードで5-10本の動画生成
- 異なるタイプの画像での実験
- 生成時間・品質の感覚を掴む
進捗: 35% • 推定時間: 4-5時間
4. パラメータ実験
- Low Motion vs High Motion の比較
- 同一画像での設定違い比較
- 延長機能の試用(1-2回延長)
進捗: 50% • 推定時間: 3-4時間
Week 3: プロンプト制御・Manual モード
5. Manualモードの基礎
- 基本的なアクション動詞の習得
- 時間的接続語の使い方
- シンプルなプロンプトから開始
進捗: 65% • 推定時間: 4-6時間
6. プロンプト実験・改善
- 同一画像で10種類以上のプロンプトテスト
- 効果的/非効果的パターンの記録
- 自分なりのプロンプトライブラリ作成
進捗: 75% • 推定時間: 5-7時間
Week 4: 応用技術・実践プロジェクト
7. 高度な制御技術
- --rawパラメータの効果的活用
- カメラワーク指定の習得
- ループ動画制作の技術
進捗: 85% • 推定時間: 4-6時間
8. 実践プロジェクト完成
- SNS投稿用動画シリーズ制作(5-10本)
- 一貫したテーマ・スタイルでの制作
- ポートフォリオとして公開
進捗: 100% • 推定時間: 6-8時間
マスタリー・チェックリスト
以下の項目をすべてクリアできれば、Midjourney Videoの基本から応用まで習得完了です:
- Auto/Manualモード両方を使い分けできる
- LowとHigh Motionの使い分けを理解している
- 効果的なプロンプトを10パターン以上作成できる
- --rawパラメータの効果を理解し活用できる
- 動画延長機能を効果的に使用できる
- クレジット消費を計算して効率的に制作できる
- SNSに投稿レベルのクオリティで10本以上制作している
- 失敗パターンを理解し、トラブルシューティングできる
継続的スキルアップのための指針
Monthly Challenge(月次チャレンジ)
- 月間テーマ設定: 季節、色彩、動画スタイルなど毎月異なるテーマで制作
- 新機能追随: Midjourneyのアップデートを常にキャッチアップ
- コミュニティ参加: Discord、Twitter、Redditでの情報交換・作品共有
- 他ツール併用: 動画編集ソフトとの組み合わせワークフロー開発
上級者への道のり
- 数値目標設定: 月50-100本の動画制作で技術の体得
- ジャンル特化: 特定分野(アート、ビジネス、エンタメ等)での専門性構築
- 教育活動: 自身の学習過程をアウトプットし、他者への指導により知識定着
このガイドが皆様のクリエイティブな活動にお役に立てれば幸いです。
作成者: しまだ
最終更新: 2024年6月 • Midjourney V1 Video Model 対応版