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目次

  • はじめに
  • 量子力学という不思議な世界
  • 電子スリット実験とは
  • シュレディンガーの猫とは
  • ラプラスの悪魔とは
  • おわりに
  • 参考文献

はじめに

この記事はSLP KBIT AdventCalendar2024 3日目の記事になります。

皆さんこんにちは、1日目と2日目に引き続き3日目の記事を担当する「しぐま」です。
今回で最終回になりますので、皆さん最後までお付き合いください。
1日目の記事2日目の記事を読んでいない方は、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
1日目と2日目の記事を読んでいなくても今回の記事は読みやすい内容になっていると思います。

量子力学という不思議な世界

皆さんは、電子が粒子であると同時に波のような性質を持つことをご存知でしょうか?
それとも、猫が生きている状態と死んでいる状態が同時に存在するかもしれないという話を聞いたことがあるでしょうか?
これらは、私たちの常識を覆す、量子力学という不思議な世界の現象です。
量子力学は、原子や分子といったミクロな世界を記述する物理学の理論です。
本記事では、「電子スリット実験」「シュレディンガーの猫」「ラプラスの悪魔」という3つの重要な概念を紹介することで、量子力学という不思議な世界への扉を開きます。

電子スリット実験とは

電子スリット実験は、電子源から発射された電子が、2つの細いスリットを持つ壁を通過し、その先のスクリーンに到達する様子を観察する実験です。

古典的な予測

もし電子が古典的な粒子だとすれば、電子はどちらかのスリットを通過し、スクリーンにはスリットに対応した2本の線が現れると予想されます。

実際の結果

しかし、実際の結果ではスクリーンには、波の干渉縞と呼ばれる明暗の縞模様が現れます。
これは、電子が波のように振る舞い、2つのスリットを通過した波が重なり合って干渉を起こしていることを示しています。
この実験結果は、電子が粒子であると同時に波としての性質も持つという、量子力学の重要な概念である「波動・粒子二重性」を明確に示しています。

  • 波動性: 電子は波のように広がり、干渉を起こすことができます。
  • 粒子性: 電子はスクリーン上に一点に衝突し、粒子として観測されます。

実験は、一度に1個の電子を発射しても行われます。
それでも、時間の経過とともにスクリーンには干渉縞が現れます。
これは、1個の電子が同時に2つのスリットを通過し、自分自身と干渉していることを意味します。
どちらのスリットを電子が通過したかを観測しようとすると、干渉縞は消えてしまい、電子は粒子としての性質のみを示します。
これは、観測という行為が量子系に影響を与えるという、量子力学のもう一つの特徴的な側面です。
電子スリット実験は、私たちの直感に反する量子世界の奇妙さを示す、最も有名な実験の一つです。
この実験は、量子力学の基礎を理解する上で不可欠であり、量子コンピュータや量子暗号などの最先端技術の開発にもつながっています。

シュレディンガーの猫とは

シュレディンガーの猫は、オーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが考案した思考実験です。
箱の中に猫と一定時間経過後に50%の確率で毒ガスが出る装置を入れます。
ある一定の時間後、毒ガスが発生している確率は50%、発生していない確率も50%です。
量子力学の原理によれば、毒ガス発生装置が作動している状態と作動していない状態の重ね合わせの状態になっていることになります。
つまり、箱の中を開けて猫の状態を観測するまで、猫は生きている状態と死んでいる状態の重ね合わせ、いわば「生きている猫」と「死んでいる猫」が同時に存在する状態にある、というのです。
この実験が奇妙に思えるのは、私たちの日常的な経験と矛盾するからです。
猫は、生きているか死んでいるかのどちらかのはずです。
しかし、量子力学の原理によれば、観測されるまでは、両方の状態が同時に存在し得るのです。
シュレディンガーの猫は、量子力学の原理をミクロな世界からマクロな世界へと拡張することで、その奇妙さを浮き彫りにしようとしたものです。
しかし、実際には、猫のような大きな物体は、環境との相互作用によって量子的な重ね合わせ状態を保つことができません。
この問題を解決するために、様々な解釈が提唱されています。
ちなみに、この実験に対して、アインシュタインは、神を宇宙の秩序を司る存在として捉えており、「神はサイコロを振らない」という言葉で、宇宙に偶然や不確定な要素は存在しないという信念を表現しました。
私自身、動物が好きなので猫をこのような実験に巻き込むことは断固として反対です。
↓私の実家で飼っていた猫
neko.jpg

ラプラスの悪魔とは

ラプラスの悪魔は、19世紀のフランスの数学者ピエール・シモン・ラプラスが提唱した概念です。
彼は、もしある瞬間における宇宙のすべての粒子の位置と運動量を知ることができれば、ニュートンの運動法則に基づいて、未来の宇宙の状態を完全に予測できる、と主張しました。
この超越的な存在を「ラプラスの悪魔」と呼ぶのです。

ラプラスの悪魔の考え方

ラプラスの悪魔の考え方は、シンプルながらも深遠です。
宇宙のすべての現象は、厳密な法則によって支配されており、その法則さえわかれば、未来は完全に決定されているという考え方です。
まるで、巨大な時計仕掛けの宇宙の中で、私たちはただ歯車の一つとして動かされているようなイメージです。

問題点

  • 初期条件の正確性: 宇宙のすべての粒子の位置と運動量を完璧に把握することは、実際には不可能です。ほんのわずかな誤差が、時間の経過とともに指数関数的に増幅し、未来の予測を不可能にしてしまいます。
  • カオス理論: カオス理論は、初期条件のわずかな変化が、長期的な予測を不可能にする現象を研究する学問です。気象現象や株価の変動などは、カオス的な要素を含んでいるため、長期的な予測は非常に困難です。
  • 量子力学: 量子力学は、ミクロな世界の現象を記述する理論ですが、この理論によれば、粒子の位置と運動量を同時に正確に知ることは原理的に不可能です。この不確定性原理は、ラプラスの悪魔の考え方を根底から覆すものです。

ラプラスの悪魔は、未来を予測することの難しさ、そして科学の限界について深く考えさせてくれる概念です。
量子力学やカオス理論の発展により、ラプラスの悪魔の考え方は修正を迫られていますが、それでもなお、哲学的な議論を深める上で重要な役割を果たしています。
ここで、「ラプラスの悪魔」に興味を持った人におススメしたい小説があります。
それは「ラプラスの魔女(東野圭吾)」です。
東野圭吾さんの作品で映像化もされているので、ご存じの方も多いと思いますが、この小説は名前の通り、「ラプラスの悪魔」が大きく関係しています。
もし、興味があれば、読んでみてください。
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おわりに

量子力学は、私たちの直感とは異なる奇妙な現象を数多く扱います。
しかし、量子力学は現代物理学の基礎であり、私たちの宇宙を理解するために不可欠な理論です。
本記事では、電子スリット実験、シュレディンガーの猫、ラプラスの悪魔という3つの概念を通して、量子力学の不思議な世界を覗いてみました。
量子力学は、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。

最後に、私の記事を読んで下さりありがとうございました。
これからも、SLP KBIT AdventCalendar2024 では多くの記事が投稿されます。
私の記事に比べて、面白く、役立つ記事ばかりだと思うので皆さん楽しみにしておいてください。

参考文献

  • 「初等量子力学」 原島鮮 著
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