製造業の部品管理をExcelからQRコード+kintoneに変えたら年間202時間削減できた話
はじめに
製造業(従業員数十名規模)で組立を担当しながら、一人でDXを推進しています。プログラミング歴は約8ヶ月。この記事では、Excel管理だった部品の在庫管理をQRコード+kintoneに置き換えた話を書きます。
技術的に高度なことはやっていません。ただ、「現場で実際に困っていること」を「実際に動くもの」に変えた記録として、同じような立場の方の参考になればと思います。
何が困っていたか
私の会社は産業機器を多品種少量で製造しています。部品には通し番号を振って管理していましたが、在庫管理はExcelで行っており、2つの問題がありました。
Excelの同時編集ができない。
入出庫のたびにExcelを開いて更新するのですが、誰かがファイルを開いていると編集できない。結果として「後で更新しよう」が積み重なり、データと実在庫がズレていきます。
紙を持っていき忘れる。
Excelを印刷して現場に持っていく運用でしたが、持参し忘れることがあり、そのたびに事務所まで取りに戻る。地味ですが、積もると無視できません。
やったこと
仕組みの概要
やったことはシンプルです。
- 部品の棚・台車にQRコードを貼る
- スマホでQRコードを読み取る
- kintoneの該当部品のページに飛ぶ
- そこで入庫・出庫の数量を入力する
これだけです。紙もExcelも不要になりました。
技術構成
- フロントエンド/バックエンド: kintone(サイボウズのクラウドサービス)
- カスタマイズ: JavaScript + kintone REST API
- QRコード: 各部品のkintoneレコードURLをQRコード化して印刷・貼付
- 開発ツール: Claude Code、Cursor、Claude(ブラウザ版)
kintoneは会社で既に契約していたので、追加のシステム費用はかかってないとみます。開発にはClaude Codeの月額100ドルプランを使いました。また、Claudeのブラウザ版も使用しました。
プログラミング歴8ヶ月でもできた理由
kintoneのREST APIの仕様を調べながら、Claude Codeと対話して実装しました。
ポイントは「仕組みを理解すること」に時間を使ったことです。コードをコピペして動かすのではなく、REST APIが何をしているのか、JavaScriptのイベント処理がどう動くのかの概要をわかる範囲で確認し、わからないところはAIに聞いていきました。
結果
作業時間93%削減、年間202時間の削減を達成しました。
これは約25営業日分に相当します。
数字以上に大きかったのは、誰でもスマホでQRコードを読めば在庫状況がわかるようになったことです。Excelを開いて確認する手間がなくなり、現場のストレスを確実に減らしています。
現場導入で気をつけたこと
「作業が増える」という反感への対処
製造現場にデジタルツールを入れると、最初に出るのは「また仕事が増えるのか」という反応です。
これに対しては、QRコードの読み取りを新しい作業の追加ではなく、既存の紙記入の置き換えとして設計しました。「今まで紙に書いていた作業が、スマホで読み取るだけになる」という説明であれば、抵抗感は下がります。
実際、手書きで台帳に記入するより、QRコードを読み取ってタップする方が速い。使い始めると「前のやり方には戻れない」という声が出てきました。
小さく始める
最初から全部品をデータ化しようとはしませんでした。使用頻度の高い部品から始めて、「これは便利だ」という実感が出てから対象を広げています。
おわりに
製造業、特に多品種少量生産の現場には、まだデジタル化されていない業務が山ほどあります。そしてその多くは、高度な技術がなくても改善できるものです。
必要なのは「現場の何が困っているか」を知っていることと、「とりあえず動くものを作ってみる」という姿勢だと思います。製造現場を知っていてプログラミングもできる人は少ないので、同じような立場の方がいれば情報交換できると嬉しいです。