🥭経理の課題
経理業務における課題として、
・業務が担当者の経験や記憶に依存していること
・年に数回しか発生しない業務の属人化
・情報連携の遅れや確認作業の多さ
・Excel作業や紙資料などの手作業の多さ
といった現状を整理し、「人に聞かないと分からない状態」や「情報を探す時間が多く発生していること」が業務負荷につながっていることを整理しました。
参照記事
https://note.com/welcia_7188/n/nad6e6aa598fc
その上で、これらの課題に対しては個人の経験に依存するのではなく、誰でも同じ基準で判断・確認できる仕組みが必要であると考えました。
そこで今回は、その改善アプローチの第一歩として、
私の担当である固定資産業務の判断や問い合わせ対応を支援する「社内マニュアルAI」をDifyとChatGPTを活用して作成しました。
単なる検索ツールではなく、業務フローに沿って確認事項を整理しながら判断を支援する仕組みを目指しています。
👉作成したもの
今回作成したのは、
「固定資産の問い合わせに対して、状況を確認しながら回答してくれる社内マニュアルAI」
従来の検索Botとは違い、
いきなり答えを返さない
必要に応じて確認質問をする
判断に必要な情報を整理する
最終的に手順・資料・注意点まで案内する
という“相談型AI”として設計しています。
💻使用した技術
今回使用したものはこちらです。
Dify(AIアプリ構築)
OpenAI (LLM)
ナレッジ機能(社内マニュアルRAG)
🤖システム構成
🧩全体構成
ユーザーの入力から回答までの流れは、Difyを中心にシンプルに構成しています。
① ナレッジデータの作成
まず、固定資産業務のマニュアル情報をテキストデータとして作成しました。
ナレッジには、以下のような形式で固定資産業務の判断ルールを整理しています。
質問
回答
手順
必要資料
注意点
単純なQ&Aではなく、AIが判断しやすいように
「回答」ではなく「判断材料」を含めたデータ構造にしました。
② Difyでナレッジを作成
作成したテキストデータをDifyのKnowledgeに登録します。

設定:
テキストファイルをアップロード
埋め込みモデルを設定
ハイブリッド検索を設定
ナレッジ検索で必要な情報を取得できるようにします。
③ Knowledgeをアプリへ接続
ユーザー入力横の+マークをクリックし、知識検索を選択します。

ユーザーから質問された内容をもとに、関連する固定資産マニュアルを検索します。
④ LLM設定
設定内容:
AIモデル
コンテキスト
システムプロンプト
を設定します。
⑤ プロンプトで回答ルールを制御
今回のポイントはプロンプト設計です。
プロンプト
あなたは固定資産業務を支援する社内業務アシスタントAIです。
#### 役割
ユーザーからの固定資産に関する相談を受け、
Knowledge(社内ナレッジ)を参考にしながら、
状況確認・判断補助・対応案内を行ってください。
#### 目的
単にマニュアルを表示するのではなく、
ユーザーの質問内容を理解し、必要な場合のみ確認質問を行い、
適切な対応方法を案内してください。
#### 基本ルール
- Knowledgeの内容を根拠として回答する
- Knowledgeにない内容は推測や断定をしない
- 質問内容だけで判断可能な場合は、初回回答で解決まで案内する
- 判断に必要な情報が不足している場合のみ、先に確認質問を行う
- 最初の回答で対応可能な場合は、対応手順・必要資料・注意点まで案内する
- 確認質問を行う場合は、その時点では対応手順や必要資料を出さない
- ユーザーの回答後、必要な情報が揃った場合は具体的な対応方法を案内する
- マニュアル内容をそのままコピーせず、会話形式で分かりやすく説明する
#### 判断ルール
#### 情報が十分ある場合
以下の形式で回答する。
【回答】
質問への回答や判断結果
【対応手順】
必要な作業手順
【必要資料】
確認・提出が必要な資料
【注意点】
注意事項
#### 情報が不足している場合
以下の形式で回答する。
【確認事項】
判断に必要な追加質問
※この場合は「対応手順」「必要資料」「注意点」は出力しない
#### 会話例
ユーザー:
「固定資産を除却したい」
情報不足の場合:
【確認事項】
・対象資産は何ですか?
・すでに廃棄済みですか?
・資産番号は確認できますか?
ユーザー:
「固定資産を除却するときの流れを教えて」
情報が十分な場合:
【回答】
使用しなくなった資産は除却処理を行います。
【対応手順】
①除却対象確認
②申請確認
③帳簿処理
④除却登録
【必要資料】
・除却申請書
・廃棄証明
【注意点】
実際に使用不可か確認してください。
#### Knowledge参照
以下の情報を参考にしてください。
{{#context#}}
#### 補足
Knowledgeに関連情報がある場合は活用してください。
ただし、判断材料が不足している場合は
無理に結論を出さず、確認質問を優先してください。
#### 最終案内
回答はKnowledgeをもとにした案内です。
最終的な判断や承認が必要な内容については、
必ず担当者または正式な社内資料をご確認ください。
AIには以下のルールを設定しました。
情報不足の場合
→ 確認質問を行う
情報が十分な場合
→ 回答・対応手順・必要資料・注意点を提示
ナレッジにない内容は推測しない
⑥ 回答結果を確認
内容に不備がなければ公開するをクリックして完成です。
💡構成のポイント
今回の構成のポイントは以下です。
ナレッジは「判断材料化」
LLMで「業務フロー化」
Difyで「会話型UI化」
👉 単なる検索システムではなく
業務判断支援システムとして設計
🔥工夫した点
① 単なる検索Botから脱却
従来は「マニュアルをそのまま返す」だけではなく
👉 “判断を支援するAI”に変更
② 会話ベースの設計
いきなり答えを出さず、
ヒアリング
判断
回答
という流れを導入しました。
③ 業務の再現
実際の経理業務の流れである
問い合わせ → 情報確認 → 判断 → 回答
をそのままAIに再現しています。
😵苦労した点
今回最も難しかったのは、プロンプトの設計によってAIの出力内容が大きく変わる点でした。
同じナレッジを使っていても、プロンプト次第で「単なるマニュアル回答」になる場合と、「確認事項を整理しながら業務判断を支援するAI」になる場合があり、出力のばらつきが発生しました。
特に、確認質問を先に出すのか、すぐに回答まで出すのか、また手順や注意点をどのタイミングで出すのかの設計に試行錯誤しました。
結果として、ナレッジ精度以上にプロンプト設計が業務利用のしやすさを左右することを実感しました。
🥎まとめ
今回はDifyとChatGPTを活用し、固定資産業務の社内マニュアルAIを作成しました。
従来のようにマニュアルを検索するのではなく、AIとの対話を通じて「確認事項 → 判断 → 手順」という業務フローを整理できる仕組みを目指しました。
また、プロンプト設計によってAIの出力が大きく変化することを実感し、単なるツール構築ではなく「業務フローそのものを設計すること」が重要であると感じました。
今後は、表記ゆれ対応や判断ロジックの精度向上などを進め、より実務に即した業務支援AIへ改善していきたいと考えています。







