皆さん、こんにちは。
KDDI CCoE(*1)の柴田です。
今日はGoogle Cloud主催のCCoE Summit '23に行ってきました!
https://cloudonair.withgoogle.com/events/ccoe-summit23
私も登壇したこのイベントで学んだことをまとめます!(*2)
※1:CCoE = Cloud Center of Excellence の略称。
自社内のクラウド利用推進をさまざまな形で支援・牽引する専任組織を指す。
※2:撮影禁止イベントのため、テキストOnlyとなります。ご了承ください。
[基調講演] 楽しみながら仲間と学ぶ~全社横断型の CCoE コミュニティが牽引する DX と人材育成~
大日本印刷株式会社 和田 剛さんのご登壇でした。
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CCoEは流行りものではない。いろいろな企業が脈々と進める活動
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DNP CCoEは「企業内コミュニティ」で、「楽しみながら仲間と学ぶ」をテーマに活動している
・新しい技術に組織全体で取り組む企業風土に変えていきたい!という思い -
中央集権/ヒエラルキー型ではなく、コミュニティ型にする
・CCoEが組織としてのボトルネックにならず、コミュニティの大きさ=組織の可能性とできるように -
コミュニティであれば新しいサービスを気軽に試すことができる
・実組織よりも小回りが効く -
クラウド好き→クラウド推しを増やせるように
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Googleにいいサービスがあるのは、カルチャーがいいからだと思っている
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これから求められる人材は、今までにない新しい答えを仲間と一緒に探す世界
・知識/経験は意味をなさなくなってきている、オープン/フラットな関係を築き、変化に柔軟に対応できるマインドへ -
CCoEが存在しない状態を想像できないのであれば、それが成功ではないか?
・細かいKPIではなく、人と組織の成長を追っていけばよいのではないか
<感想>
楽しみながら学んでいくことの重要さを言語化されていて素晴らしかったです。
目に見える成果を追いすぎないことも考え方としてあると思いました。参考にします!
[基調講演] 二宮金次郎の報徳仕法を活用した全員戦力化を目指す CCoE のあり方
アクセンチュア株式会社 青柳 雅之さんのご登壇でした。
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報徳仕法の真髄=仕組みを展開し、仕組みを使わせて自立/自助努力を促すこと
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クラウド有識者がいないのでCCoEを組成できない?
・報徳仕法なら・・・0から自分たちで始める
・自分たちで試行錯誤してシステムをクラウドで作り、アセットを整備して社内に共有する。
・プロセスで得た経験を仕組み化し、仕組みのみを横展開する。 -
CCoEが多数のプロジェクトをサポートして疲弊する場合には?
・各部署に、プロジェクトの相談に乗れるCCoEの運営方法を展開する
・CCoEを共有リソースであり、サーバントSMEとすると、価値やモチベーションが下がる
・いつまでも、詳しいCCoEと詳しくないプロジェクトの関係のままになってしまう
・プロジェクトに学ばせないと、いつまで経ってもスキルがついていかない
<感想>
報徳仕法、面白い切り口でした!
CCoEはなんでも屋になりがちなので、やらないことを整理することの大切さが理解できました。
NTT ドコモ CCoE の 10 年:変わったことと変わらないこと
株式会社NTTドコモ 森谷 優貴さんのご登壇でした。
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技術支援、コスト最適化、人材育成が主な役割
・クラウドのことを知るため、自らツール開発も手掛けている -
クラウドガイドライン/デザインパターンを作成
・半年に1回のアップデート、社外展開 -
ドコモグループ向けのSaaS基盤を用意している
・Slack/Backlog/Okta/Splunk/Deep Security Manager
・この10年間でどんどん増えている -
GeetKeeperにならないことをモットーにしている
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利用者としてコスト負担もするし、問い合わせ内容もすべて公開している
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業務範囲や人数は増えているが、方針や規範は変わらない
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サステナビリティの取り組みも始めている
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R&D施設をオープン、コミュニティ活動の起点となれるようにしたい
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クラウドセキュリティ統制を見える化するダッシュボードも手がける
・見える化はコミュニティ活動を促すことにもつながる
<感想>
10年間、メンバーも入れ替わりながら活動を続けていることは素晴らしいと思いました。
方針や規範を変えず、時勢に応じて活動の幅を広げられており、CCoEのモデルケースの一つだと感じます。
"CCoE 実践側”が語る!これが CCoE の最適解だ!(パネルセッション)
株式会社セブン-イレブン・ジャパン 神沢 直史さん、
株式会社日本総合研究所 秋吉 郁郎さん、
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 田中 圭さん、
そして私、KDDI株式会社 柴田 翔平の登壇でした。
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各社ともクラウド活用は進めており、ステージも移行期〜最適化/再開発期
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専任メンバーはいずれも数人。あとはパートナーやバーチャルチームでCCoEを組織
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クラウドのメリットを伝えながら広めている
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問い合わせがしやすい雰囲気を創り出すことを重視
・問い合わせがまったくなくては存在意義がなくなってしまう、雑な相談が増えたら走りながら対処 -
開発メンバー以外にも、クラウドをわかってもらえるように
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人材教育として、資格取得を奨励できるが、それではペーパードライバーになってしまう
・小規模でも使ってもらうことが大事、そこから自発的な学びにつながることもある -
CCoEメンバーに必要なスキルは多様、細かいコミュニケーションで目指す方向性を合わせよう!
<感想>
モデレートしながらだったのでなかなかまとめきれませんでした(涙)
ただ、各社の取り組みは興味深く、同様の悩みを抱えながらもクラウド利活用を進めていることが分かり、
とても有意義な時間でした。ご清聴いただいた皆さん、ありがとうございました。
エンタープライズシステムにおける CCoE 活動の取り組み
株式会社野村総合研究所 原田 敏樹さん、浅井 卓也さんのご登壇でした。
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より身近で、より使えるサービスを早く深く理解することが大事
・「便利そうだけど具体的にどう使えばよいか分からない」に対し、見極めながらできるだけ早く使えるように -
検証環境は管理者グループの間口を広げ、本番環境ではルール違反時に検知/修正までやる
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DevOpsの重要性
・開発アジリティを保ちながら、制約に対応する機能をCCoEで実現 -
クラウドのスキルレベルを定義することで、人材育成も取り組んでいる
・認定資格保持者数は増加
・実案件アサインが実現した事例も増えている -
より高度に、より広く利用する取り組みを進めている
クラウド推進の落とし穴、危ないポイント
ウルシステムズ株式会社 鎌形 憲児さんのご登壇でした。
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エンプラこそCCoEを作るべき!
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落とし穴多数。。。
・前に進んでいる気がしない/誰も使わないルール/
CCoEがボトルネックに/気づかないうちに高額請求 -
落とし穴に落ちない方法
①クラウド推進の目的を定義する ②組織横断でスペシャリストを集める
③CCoEの役割を決める ④コスト最適化の準備をする -
当たり前のことを当たり前にやろう!
<感想>
「エンプラこそCCoEを作るべきだ!」わかりみしかありません。
大きな組織ほどクラウド活用の効果は大きいと思っていますが、
意思決定の難しさといった"ならでは"の課題もたくさん出てきますので、
ぜひCCoEを作ってクラウド活用にチャレンジしてほしいです!
”CCoE 支援側”から見る!これが CCoE の最適解だ!(パネルセッション)
株式会社大和総研 守屋 史明さん、
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 富坂 亮さん、
日本情報通信株式会社 中根 洋平さん、
富士通株式会社 森 健太さんのご登壇でした。
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CCoE立ち上げ
・クラウドを使った青写真を掲げていく/トップダウンで言ってもらう、と進みやすい
・認知されるのに苦労するので、クラウドを使いこなす相談役になれることを示していく
・アウトプットに力を入れている
・クラウドに関する情報がまとまるポータルを運営している
・エンジニアブログを書いて社内SNSでシェア
・情報を見たメンバーがコンタクトを取ってくれるきっかけになっている -
Google Cloudの普及
・データ分析関連の案件が多い
・BigQueryのニーズがメイン、Google Cloudのアイコニックなサービス!
・マルチクラウドの選択肢になるケースも -
CCoEのゴール
・なくなってしまうことが理想?
・サグラダファミリアのように、CCoEはずっと続けていくものという考えも
・"クラウドが分からない"、"大変"という心理的/技術的なハードルがなくなること
・これで第一部"完"と言えそう、ただしCCoEの歩みは続いていく
・CCoEという存在を介して、情報や人や組織とつながれる状態を維持すること
<コメント>
パートナー目線でのCCoE立ち上げ/組成の悩みが聞けて新鮮でした。
立場が違うだけで、CCoEを推し進めるという意志は同じなので、
ぜひどこかで連携とってやっていけたら嬉しいなと思います。
以上です。いかがでしたでしょうか?
CCoEは組織においてクラウドの利活用を広める役割を担うチーム/機能で、
その方針や規模、活動内容などはさまざまです。
そのCCoEに特化したイベントは本当に貴重ですし、
各社の背景/事情に応じた取り組みについてお伺いできたのは大変興味深く、
参考になるものでした。
私も引き続き、社内外のクラウド利活用推進に取り組み、社会に貢献していきます!
CCoE同志の皆さん、情報交換大歓迎ですので、ぜひご連絡ください!
一緒に日本のクラウド活用を盛り上げていきましょう!!