はじめに
re:Invent 2025が終わりました。私にとって4回目となる今回の参加は、これまでとは少し違う、「あること」を持ち帰る旅になりました。それは最新のAWSサービスの情報や特別なSWAGではなく、「コミュニティに参加する意味」でした。
この記事では、re:Inventでの実体験を通じて私が感じたエンジニアとしての生存戦略(実態はマネージャー職なので元エンジニアです・・・)、コミュニティとの向き合い方について書きたいと思います。
私とコミュニティ
私がメインで参加しているコミュニティはJAWS-UGです。それ以外にも単発で個々のコミュニティに参加もしています。今回、記事を作成するのにあたり、JAWS-UGに初参加したのがいつだったのか、改めて記憶をたどりました。結果、初めての参加は2023年5月23日のJAWS-UG初心者支部 Systems Manager 入門ハンズオン回(オンライン)でした。
振り返ってみると、コミュニティに参加したての頃、私は登壇している方々は皆「個」の力で戦っていると思っていました。つよつよエンジニアが1人で準備し、1人でLT登壇して、1人で情報発信をして、1人でイベントを渡り歩いている。そういった人たちがコミュニティを牽引していると思っていました。
オンライン参加がメイン。中々、踏み出せない日々が1年近く続きました。オフライン参加をしても、誰とも話さずに帰る回ばかりでした。こんな私が変わるきっかけをもらったのは、re:Inventへの参加がきっかけでした。
私のre:Invent参加の変遷
過去の私のre:Invent参加の変遷を簡単にお伝えします。
re:Invent2022(1回目)
初の海外カンファレンス参加で、準備も不足。AWSの資格はCLFのみのAWS初心者で知識も不足していることを実感。Keynoteを聞いても頭に入ってこない。惨敗。AWS凄いなと思う反面、せっかくの機会だったのに勿体ないことをしたなと後悔。
知識やスキルが圧倒的に足りないと感じ、1年間勉強を頑張って知識を付けることを決意。その過程でJAWS-UGにも少しづつ参加し始める。
re:Invent2023(2回目)
1年間勉強に励み、AWS認定資格を全制覇(全冠)して臨んだ2回目。知識はついたので、Keynoteやセッションの理解は捗る。ただ、何かが足りない。1年目よりも多くを得たと感じた一方で、期待していたほどの充足感が得られないことに気付く。
思い描いていた状態(コミュニティ等で登壇、現地の様子を共有しているエンジニアが盛り上がっている。その輪に自分も入って一緒に熱狂できている)と現実のギャップを感じる。
輪に入るためには自分から動いていく必要があると決意。
re:Invent2024(3回目)
自分から動くイベントにすることを決意。渡航前に初LT登壇の予約を入れて、アウトプットを確約。インプットが必要な状態に自分を置いた上で参加。現地では、AWSのエンジニアとの個別ミーティングの場に参加・議論を実施。日本人が参加していそうなスポンサーのパーティーにも個人で参加して、いろいろな人と話す。自分から動くイベントにした。
帰国翌日に初のLT登壇を経験。その流れで、アウトプットを開始し、その後、Community Builderへの応募、選出。JAWS-UG支部運営への参画、所属会社のAPN登録等、怒涛の変化が訪れる。
3回のre:Invent参加を通して、コミュニティとの関係性が深くなり、知り合いが増えていく形になりました。人生が変わったなと自分なりに感じています。
re:Invent2025に参加して
これまでのJAWS-UG各種イベントへの参加、事前のMeetup、JAWS-UGでの勉強会、Community Builder、支部運営を通して、多数の仲間がいる状態で参加しました。昨年までは所属会社のメンバー、事前勉強会でお会いした僅かな方々が中心でしたが、今年はいたるところで仲間と会えることになりました。
海外勢の輪に中々入れず、委縮してしまっていたときに背中を押してくれた仲間。疲れているときに元気をくれた仲間。体調を崩しかけたときにそっと薬をくれた仲間。自分一人では経験できない場所へ連れて行ってくれた仲間。
振り返ってみても、コミュニティの仲間に助けられた、引っ張ってもらった、勇気をもらったre:Inventだったと感じています。
なぜコミュニティに参加するのか
タイトルに記載していた、なぜコミュニティに参加するのかを考えてみましょう。
- 自身のスキルアップ
- 他者との差別化
- 最新情報を知るため
他にもいろいろあると思いますし、正解はないと思います。私も最初は「個人のスキルアップ」を目的として参加し始めました。
もし、自分なりの答えが見つからない場合、どういったエンジニアになりたいか(どんな山に登ってみたいか)をイメージしてみてはどうでしょうか。登ってみる山を考えたら、そこに進む道も考えてみましょう。もしその途中でコミュニティに参加するということがルート上に見つかったり、近道だと感じた時はコミュニティに参加してみましょう。
完璧な準備よりも、小さな一歩を
コミュニティに参加することを躊躇する理由として、「まだ自信がない」「アウトプットできるネタがない」という声をよく聞きます。かつての私もそうでした。「完璧な準備」をしてからでないと、その場に立ってはいけない気がしていました。でも、現実は違いました。粗々な状態でもチャレンジする。そんな「不格好な一歩」こそが、コミュニティに参加している仲間と私を繋いでくれました。
ですので、アウトプットのハードルを自ら上げる必要はありません。
- 誰かの投稿に「いいね」を押す
- 勉強会のアンケートに自分の感じたこと、こうなるともっといいなと思ったことを書く
- 勉強会で、隣の人と会話をする
もちろん、SNSやブログ投稿、LT登壇、はたまたコミュニティ運営からスタートしてもいいと思います。どこから始めてもOKなのがコミュニティだと思っています。そして、すそ野が一番広い、参加してアンケートに回答したり、SNSの投稿にいいねをアクションすることも立派な「コミュニティへの貢献」だと私は思っています。そういった小さな行動が、自分を変える最初の一歩だと考えたら、少し気持ちが楽になりませんか?誰かのために始める必要はありません。まずは「自分のために」小さく動いてみてください。その行動が、結果的にどこかで誰かの背中を押すことにもなります。
世の中には人とのコミュニケーションが上手な方、様々なアウトプットが得意な方、さらにはエヴァンジェリストなどのスペシャリストまで、様々な方がアウトプットされています。そういった方々に憧れることは良いと思います。一方で、そういった方々と自分を比べて、まだまだダメだと思う必要はありません。行動を起こす前の自分より今の自分は成長できたか、なりたい姿に近づいたか、ゴールに近づいているか、あくまでも、自分の物差しで前向きな振り返り・評価をしましょう(楽しむことが一番重要です)。
re:Invent 2025のKeynoteから
CEOのMatt氏のKeynoteでは「Frontier Agent」という言葉が語られました。私はこれを「自ら開拓し、切り開くエージェント」と捉えました。チャットベースの指示待ちのAIから、自律的に稼働するAgentを活用して、効率化を極める未来が示されました。
一方で、その効率化の先で、エンジニアはどうあるべきか、さらにはコミュニティに行く意味を、私はDr.WernerのKeynoteの中で見つけました。
The Renaissance Developerの話の中で触れられた「LEARNING IS SOCIAL」というキーワード。コミュニティの仲間との会話から得られる失敗談や苦労話。想いを持った仲間が集まることで伝搬する熱量。これらは、どれだけAIで効率化を突き詰めても、一人で画面に向かって勉強していても得られないものです。だからこそ、それらを手に入れるためにコミュニティに参加するのだと、私なりに理解しました。
終わりに
コミュニティは、単なる仲良しクラブではありません。それぞれが、異なる目的地(目標とするエンジニア像)を目指す、自律した個人の集まりだと考えています。でも、だからこそ、面白いと思います。向かう場所は違っても、同じ技術に興味を持った仲間として、時に情報を交換し、時に励まし合い、推進力を貸し借りすることができる。そういった仲間を作ること。それが、私がre:Inventで見つけた「コミュニティに参加する意味」でした。
もし今、あなたが1人で迷っているなら、あるいは「準備不足だから」と立ち止まっているなら、まずは小さく、不格好でもいいから、一歩踏み出してみましょう。その先には、あなたと同じように迷いながらも前を向く、仲間たちが待っているはずです。
JAWS-UGは毎週いくつもの勉強会が開催されています。JAWS-UG最大のアニュアルイベントとしては、JAWS DAYS 2026があります。
今回、お声掛けいただき、実行委員として私も運営に参画しています。JAWS DAYS 2026というイベントであなたの一歩を踏み出してみませんか。かつての自分のように一歩踏み出せずにいる人がいれば踏み出すきっかけにしてください。
ぜひ、現地でお会いしましょう。