Fabric のオントロジーとは?
オントロジーの基本定義
オントロジーは、Microsoft Fabric の新しいセマンティック層(意味モデル)です。
これは 通常のセマンティックモデルのレベルを越えて業務用語・関係性・ルールをデータと結びつけるための基盤モデル として設計されています。
Microsoft Ignite 2025にてFabric IQ機能群の中核機能の1つとして発表され、現在プレビュー機能となっています。
0:18~オントロジーが追加される様子
0:37~オントロジーのプレビュー画面
ポイント
- ビジネス用語(例:Store、Products、SaleEvent)を エンティティ型 として定義する
- そのエンティティ型に対して 属性 を設定する
- 関連する リレーションシップ を明示する
- これらを実データ(Lakehouse / Eventhouse / セマンティックモデルなど)と、バインド して利用可能にする

ビジネスの意味を定義し、それをFabric上の実データに結びつける仕組みを1枚で表した図
なぜオントロジーが重要なのか
オントロジーがあることで単なるデータ構造ではなく、“意味を持つデータ”を扱えるようになります。
- ビジネス用語を統一して解釈できる
- 複数データソースをまたいで意味的な結合ができる
- 複雑な質問をビジネスレベルで表現できる
- 自然言語クエリや AI エージェントとのインタラクションへ展開できる
…というように、データそのものを AI・アプリ・分析の共通言語で扱える土台となります。
オントロジーの主要コンポーネント
公式ドキュメントでは、オントロジーは次の要素で構成されると説明されています。
エンティティ型
ビジネス上の主要な論理概念です。
例)Store、Products、SaleEvent など。
プロパティ
エンティティ型が持つ属性。
例)SaleEvent の売上金額、Store の住所など
リレーションシップ
エンティティ同士の関係性を明示。
例)Store と SaleEvent は “Store が SaleEvent を持つ” という関係
バインディング
オントロジー定義と実データ(Lakehouse / Eventhouse / セマンティックモデル)を結びつける操作。
これにより、概念は具体的なデータとして利用可能になります。
補足:オントロジー(広義)
元々オントロジーは哲学の言葉らしいですが、その後セマンティックWebやデータベースの分野にも使われてきたようです。
参照:
https://www.ritsumei.ac.jp/~inabam/class/km/5/
https://qiita.com/mininobu/items/bce0e0ad97ed17e0aff2
オントロジー設定方法
以下は、公式ドキュメントで紹介されるチュートリアルです。
公式チュートリアルをなぞる形で書きます。
準備:概要とテナント設定
最初に必要な環境準備は以下です
✔ オントロジー(プレビュー)の有効化
✔ Graph の利用設定
✔ Capacity(Fabric ワークスペース)が有効
✔ Azure OpenAI / Copilot の必要設定が整っている
1. オントロジーの作成
2つの選択肢があります。
Option A: セマンティックモデルから生成
既存の Fabric セマンティックモデルからオントロジーを生成します。
これにより基本的なエンティティ・プロパティ・リレーションが自動で作られます。
Option B: OneLake から直接作成
セマンティックモデルを持たない場合や、最初から設計したい場合は、
OneLake のテーブルから直接エンティティやプロパティをバインドして作成します。
2. オントロジーの拡張
基礎ができたら、次にオントロジーを強化します。
例えば、
- 新しい属性やエンティティ型の追加
- イベントハウスデータのバインド
- 時系列データを扱うための追加設定 など
3. オントロジーをプレビュー
構築したオントロジーを実データと結びついた形で確認します。
-
ビジュアルと一緒に条件をつけたクエリを実行できる
4. データエージェントの作成
オントロジーをデータエージェントと連携することで、自然言語ベースの問い合わせに意味づけを反映した回答を得られるようになります。
手順
- 新しいデータエージェントを作成する
- オントロジーをデータソースとして追加する
- 必要に応じてカスタム指示を追加する
エージェントを通じて、オントロジー上の意味モデルを質問・探索できます。

データエージェントの作成方法は以下参照ください。
まとめ
オントロジーはAIのための特別な仕組みというよりは、ちゃんと説明できるデータ基盤を作るための延長線だと感じています。
いまはまだプレビュー段階ですが、AIエージェントや自然言語でのデータ活用が当たり前になっていく中で、2026年にビジネス実装が一気に進みそうな分野の1つだと思っています。
まずは小さく触ってみて「意味を定義する」という感覚に慣れておきたいですね。







