0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

OpenClaw×Claude Codeで9体のAIエージェント経営OSを構築した実装録

0
Posted at

SESで消耗しながら「自分の経営を持てないか」と考えた

SES常駐で稼働時間を切り売りしていると、単価も年収も自分でコントロールできている感覚が持てない。案件が変われば評価もゼロから、契約更新のたびに単価交渉の材料も乏しい——そんな閉塞感から「SES やめたい」と検索したことがある人は少なくないはずだ。

筆者はここ数年、Claude Codeのサブエージェント機構を土台にした「OpenClaw」というマルチエージェント基盤の上に、CEO・CFO・CTO・COO・CMOという経営層の役割と、秘書・ナレッジ管理・案件ルーティング・プロダクト管理を担う実務層を合わせた9体のAIエージェントを組み、日々の経営タスクを回す仕組みを構築してきた。本稿では、その技術的な中身と、実際にやってみて分かった限界・注意点を、コードと設定込みで共有する。誇張した成果数値は書かない。まだ運用実績が浅い部分は「まだ分からない」と正直に書く。

OpenClawとは何か——マルチエージェント経営基盤の正体

OpenClawは特定の商用SaaSではなく、Claude Codeの以下3つの機能を組み合わせて経営タスクを自動化するための設計パターンだと理解してもらうのが早い。

  1. Subagent(サブエージェント): 特定の役割・ツール権限に限定したAIエージェントを.claude/agents/に定義する
  2. Skill(スキル): /コマンド名で呼び出せる、手順とコンテキストがパッケージ化された処理単位
  3. CLAUDE.md: プロジェクト横断で常に読み込まれる指示書。安全ルールや運用ポリシーをここに固定する

この3層を組み合わせると、「役割ごとに専門化したAIが、決まった手順で、決まった権限の範囲内だけ動く」経営体制が作れる。これがOpenClawの正体だ。

9体のエージェント構成を公開する

実際に組んでいる構成はこうなっている。

エージェント 役割 主なデータソース
CEO 各部門報告の統合、経営ダッシュボード、意思決定支援 CFO/CTO/COO/CMOの出力
CFO 財務データ取得、PL生成、仕訳計上、未決済管理、資金繰り予測 会計freee連携
CTO プロダクト群のヘルスチェック、技術スタック管理、開発優先度提案 リポジトリ、CI状態
COO タスク進捗、クライアント管理、営業パイプライン管理 タスク管理・案件データ
CMO GA4/検索広告/サーチコンソール/SNSの統合分析、マーケ戦略提案 各種マーケティングAPI
cc-secretary inbox/today/archiveのYAML操作、日々のタスク整理 ローカルファイル
cc-knowledge 教訓・パターン・インシデントの記録と検索 ナレッジベース
cc-company タスクを適切な部門に振り分けるルーティング層 全エージェント
cc-products プロダクト横断の管理 プロダクトメタデータ

ポイントは、CEOエージェントが自分で財務データや案件データを直接触らないことだ。CEOは各部門エージェントの「報告書」だけを受け取り、そこから優先順位付けと意思決定支援を行う。人間の組織と同じで、権限を分離しないと事故が起きる。

実装の中身:CLAUDE.md、Skill、Subagentの三層構造

具体的な設定例を見せる。サブエージェントの定義はfrontmatter付きMarkdownで、名前・説明・使えるツールを宣言する。

---
name: cfo
description: CFO。freee連携で財務データ取得・PL生成・仕訳計上・未決済管理・キャッシュフロー予測を実行
tools: Bash, Read, Grep
---

財務レポートを作成する際は必ず実データを取得してから数値を出す。
未確認の推定値は「推定」と明示し、確定値と混同しない。

スキル側では、/cfo 未決済のようなショートカットコマンドを用意し、頻繁に叩く経営操作を1コマンドに圧縮する。

---
name: mikessai
description: ショートカット。/cfo 未決済 を実行する
---

/cfo コマンドに「未決済」を引数として渡し、未決済案件の一覧とキャッシュインパクトを返す。

CLAUDE.mdには、全エージェント共通の安全ルールを固定で書く。ここが経営OSの生命線になる。

## 無人運用 安全鉄則
- 有料APIの新規呼出し経路を増やさない(コスト事故防止)
- SNS投稿は下書きまで、公開は人間承認を必ず挟む
- 「実装完了」と「稼働中」を混同しない。運用実績が出るまで稼働中と書かない
- 数値を主張する前に必ず実データを確認する

この最後の2行が地味に一番効いている。AIエージェントは「もっともらしい報告」を作るのが得意すぎるので、明文化したブレーキがないと、実態より良く見える報告書を平気で出してくる。

cronとPM2で「無人経営」を回す

日次のレポート生成は、cronでスケジュール実行している。

# 毎朝7時にCEOダッシュボードを生成
0 7 * * * cd /path/to/project && claude -p "/ceo ダッシュボード" >> logs/ceo_daily.log 2>&1

注意点が一つ。macOSのlaunchdはプロセスが死んでも無音で止まることがある。常駐が必要なプロセス(認証keepaliveなど)はlaunchdではなくPM2で監視し、死活監視自体をcronでチェックする二重構えにしている。認証まわりのプロセスが死ぬと、全cronジョブが一斉に失敗するという事故を経験してから、この監視を最優先項目に格上げした。

つまずいたポイントと安全策

実際に運用して痛い目を見たところをそのまま書く。

  • APIの呼び出し経路が増えると事故率が上がる: 従量課金APIを気軽に追加すると、想定外の請求につながる。呼び出し経路は極力1本化し、新規追加には承認ステップを挟むようにした
  • SNS自動投稿は連投間隔を厳格にコード側で強制する: エージェントに「常識的な間隔で」と指示するだけでは足りない。最低間隔を数値でハードコードして初めて事故が止まった
  • デプロイ前は必ず別エージェントに検証させる: 実装したエージェント自身に「デプロイして大丈夫か」を判断させない。未コミットの変更が紛れ込んでいないか、クリーンな状態からビルドされているかを、別役割のエージェントに独立してチェックさせる構成にしている

共通しているのは、「AIエージェントの判断力」に頼るのではなく、「構造でミスを起きにくくする」という発想だ。これはソフトウェア設計そのものと同じで、経営OSも結局はエンジニアリングの延長線上にある。

経営的に何が変わったか(正直ベース)

一番変わったのは、日次・週次のレポーティングにかけていた時間が、各部門エージェントへの確認作業に置き換わったことだ。データを集めてまとめる作業自体はエージェントに任せ、人間は「この数字は正しいか」「この優先順位は妥当か」の判断に時間を使うようになった。

一方で、まだ運用歴が浅い部分については「稼働中」とは言わない。数値実績を伴わない自己申告の成果は、フリーランスの提案書や実績紹介と同じで、後から検証できないものは書く価値がないと考えている。

SESエンジニアがこの仕組みから学べること

ここからは本題の脇道になるが、SESで働くエンジニアにとっても示唆はあると思う。

単価・年収の頭打ちを感じている人へ。SESの単価は基本的に稼働時間に対する対価であり、自分の裁量で伸ばせる部分が限られる。データ分析やAI活用のような「成果が可視化しやすいスキル」を身につけておくと、次のキャリア(客先常駐からの独立、または社内でのポジション交渉)で単価/年収の交渉材料になりやすい。今回紹介したような経営ダッシュボードの構築経験自体が、そのままポートフォリオになる。

独立・フリーランス転向を考えている人へ。契約書は独立後に最初につまずくポイントだ。フリーランス向けの契約書テンプレートは、業務委託契約書・秘密保持契約書(NDA)・準委任契約かどうかの明記、支払いサイト、契約解除条項あたりを最低限押さえておく必要がある。テンプレートをそのまま使うのではなく、案件ごとに検収条件と契約不適合責任の範囲を必ず確認する癖をつけておきたい。

年代別の判断軸。40代・50代でSESから独立を考える場合は、専門性の深さと人脈が武器になるため、いきなり全案件をフリーランス単発にせず、顧問契約や準委任の複数契約を並走させてリスクを分散する設計が現実的だ。逆に若手1〜2年目であれば、独立を急ぐより、まずは技術スタックとデータ分析の基礎体力を作る期間と割り切った方が、結果的に将来の単価交渉力につながる。

「SES やめたい」という感情そのものは自然な反応だが、辞める前に「辞めた後に何で単価を作るか」を先に設計しておく方が、結果的に移行はスムーズになる。AIエージェントを使った業務自動化の経験は、その設計材料の一つとして十分に使える。

まとめ

OpenClaw×Claude Codeでの経営OS構築は、特別な魔法ではなく、役割分離・権限制限・安全ルールの明文化というソフトウェア設計の基本を、経営タスクに愚直に適用しただけのものだ。派手な自動化の話より、事故を起こさない構造をどう作るかに時間を使う方が、結局は経営にもキャリアにも効いてくる。SESで単価に悩んでいる人も、まずは自分の手を動かして小さな自動化を一つ作ってみることをおすすめする。

関連記事


AI駆動塾 — AIを使ったスモビジの作り方を学ぶ

Claude Code、OpenClaw、AI経営OSの実践ノウハウを毎週公開中。
月額¥4,980で過去記事すべて読み放題。

noteメンバーシップに参加する →


💼 フリーランスエンジニアの案件をお探しですか?

SES解体新書 フリーランスDBでは、高単価案件を多数掲載中です。

  • ✅ マージン率公開で透明な取引
  • ✅ AI/クラウド/Web系の厳選案件
  • ✅ 専任コーディネーターが単価交渉をサポート

無料でエンジニア登録する

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?