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月商250万円、社員3人でAI経営OSを作った話|CFO/COO/CMOをClaude Codeで実装

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はじめに:3人の会社に「経営会議」を作る余裕がなかった

月商250万円、社員3人という規模の会社では、経理も営業管理もマーケティング分析も、基本的に代表である自分が片手間でやることになる。freeeを開いてPLを確認するのは月末の締め作業のときだけ、GA4やGoogle Search Consoleは「気になったときに見る」程度、営業パイプラインの進捗はSlackとNotionに散らばったまま——という状態が続いていた。

税理士や外部のマーケコンサルを雇う予算はまだない。かといって数字を見ずに経営判断を続けるのは怖い。この「小さい会社ほど経営データを扱う余裕がない」というジレンマを、Claude Codeでエージェントを役職ごとに分けて構築することで解決しようとした、というのが今回の話だ。

本記事はAI/開発ツールを実務でどう組むかという観点で、構築プロセス・つまずいたポイント・現時点でのリアルな効果を、検証不能な誇張なしで共有する。

なぜAIに「役職」を持たせたのか

最初に試したのは、単一のAIアシスタントに「財務も見て、マーケも見て」と丸投げするやり方だった。だがこれはうまくいかなかった。理由は単純で、コンテキストが混ざると答えの精度が落ちるからだ。財務データの分析中にマーケティングの話題が割り込むと、プロンプトが肥大化して的外れな回答が増える。

そこで発想を変え、Claude Codeの「サブエージェント」と「スキル」の仕組みを使い、役職ごとにスコープを閉じたエージェントを定義することにした。

  • CFO: freee連携で財務データ取得・PL生成・仕訳計上・未決済管理・キャッシュフロー予測
  • COO: タスク進捗・クライアント管理・営業パイプラインの横断管理
  • CMO: GA4/Google Ads/GSC/SNSデータを統合したマーケティングダッシュボード
  • CEO: 上記3役職の報告を統合し、経営ダッシュボードと意思決定支援を提供

ポイントは、各エージェントが「自分の担当領域のことしか知らない」状態を意図的に作ることだ。CFOエージェントはマーケティングの話をしないし、CMOエージェントは仕訳の話をしない。人間の組織と同じで、役割が分かれているからこそ、それぞれの回答の質が上がる。

構築の中身:スキル定義とルーティング

実装はClaude Codeの skills ディレクトリ配下に、役職ごとのYAML frontmatter付きMarkdownファイルを置くところから始まる。イメージとしてはこういう構造だ。

---
name: cfo
description: CFO(最高財務責任者)。freee連携で財務データ取得・PL生成・仕訳計上・未決済管理・キャッシュフロー予測を実行
---

呼び出しは /cfo pl のようなコマンド形式にし、内部でfreee APIを叩いてPLを生成する。COO/CMO/CEOも同様の構成で、CEOだけは他の3エージェントの出力を受け取って統合するルーティング役として設計した。

/coo clients      → 営業パイプライン・クライアント状況を一覧化
/cmo              → GA4/GSC/広告データを統合したマーケサマリ
/cfo 未決済       → 未決済請求・支払いの一覧
/ceo ダッシュボード → 上記すべてを統合した経営ダッシュボード

定期実行が必要な処理(日次の財務サマリ生成など)は、当初launchdで組んでいたが、後述の理由でPM2に移行した。

つまずいたポイント3つ

1. APIコストのコントロール

最初、財務データやマーケデータの分析処理を高頻度で回そうとして、従量課金APIを直接呼び出す構成を検討したことがある。だが小さい会社にとって、想定外のAPI課金は経営インパクトが大きい。結論として、有料LLM呼び出しはClaude CLI経由のみに統一し、Anthropic APIの直叩きや新規の従量課金API呼び出しは原則禁止というルールを自分の中で明文化した。コストの上限が読めない仕組みを経営基盤に組み込むべきではない、という当たり前の教訓だった。

2. 常駐プロセスが「無音で」止まる

cronやlaunchdでバッチ処理を組んでいると、プロセスが死んでも気づかないまま数日放置してしまうことがある。macOSのlaunchdは条件によって無音で停止することがあり、通知が来ない。これに対しては、PM2で常駐管理し、プロセスの生存監視を別途仕込むことで対応した。特に認証周りのkeepaliveプロセスが落ちると、紐づく全ての定期実行が一斉に止まるため、ここは最優先の監視対象にしている。

pm2 start ecosystem.config.js
pm2 save
pm2 startup

3. 役職間の情報が重複・矛盾する

CFOが「今月は黒字」と言い、CMOが「広告費が想定超過」と言っていても、CEOエージェントが両者を統合しないと矛盾したまま報告が並ぶだけになる。これに対応するため、CEOエージェントには「各役職の報告を鵜呑みにせず、数値の整合性をチェックしてから統合する」という指示を明示的に組み込んだ。単純に複数のAIを並べるだけでは経営判断の役に立たない、というのが実感としての学びだった。

徹底比較:AI経営OS vs 従来のツール

小規模な会社が経営データを扱う手段はいくつかある。実際に検討・利用した選択肢を比較する。

手段 導入コスト 学習コスト リアルタイム性 カスタマイズ性 属人化リスク
会計ソフト単体(freeeなど) 低(月次締め中心)
BIツール(Looker Studioなど)
スプレッドシート手運用 低(手動更新頼み) 高(属人化しやすい)
自作AI経営OS(Claude Code) 中(開発時間) 中〜高 高(オンデマンド生成) 中(プロンプト設計に依存)

BIツールとの一番の違いは、ダッシュボードを「見に行く」のではなく、「聞けば答えが返ってくる」形にできる点だ。ただしその分、プロンプトとスキル定義の設計品質がそのまま出力の品質になるため、属人化リスクがゼロになるわけではない。

実際にどう変わったか(現時点での正直な話)

この仕組みを動かし始めてからまだ日が浅く、「稼働が安定している」と言い切れるほどの運用実績は積んでいない。だから大きな数字の改善を語るのは正直まだ早い。現時点で言えるのは、以下のような定性的な変化だ。

  • 月末にならないと見なかった財務状況を、コマンド一つで随時確認できるようになった
  • 営業パイプラインとタスク進捗を別々のツールで追わず、COOエージェント経由で横断的に見られるようになった
  • マーケティングデータ(GA4/GSC/広告)を都度手動集計する作業がなくなった

逆に言うと、意思決定のスピードや売上への直接的な効果はまだ検証中で、実績として語れる段階ではない。ここは1〜2週間ではなく、もう少し長いスパンで運用実績を見てから改めて評価したい。

データ分析の観点で見るCFOエージェントの設計

CFOエージェントの核はfreee APIからPLデータを取得し、構造化した上でキャッシュフロー予測に使う部分にある。設計上意識したのは以下の点だ。

  • 単発のDB/API接続は都度セッションを張り直す(接続情報のキャッシュに頼らない)
  • 取得したデータをそのままLLMに投げず、事前に集計・整形してからプロンプトに渡す(トークン消費とハルシネーション対策)
  • 数値を提案・主張する前に、必ず実データを確認してから回答させる(過去のピーク値を「再現可能な値」として扱わないよう明示的に制約する)

この最後の点は特に重要で、AIエージェントは放っておくと「良さそうな数字」を自信満々に出してくることがある。経営判断に使うデータだからこそ、事実確認のステップをプロンプト設計に組み込む必要がある。

SESエンジニアから見た「単価」とキャリアの話

ここまでの話は自社の経営基盤の話だが、SES企業に常駐しているエンジニアの視点からも触れておきたい部分がある。

「SES やめたい」「SES 1年目 転職」といった検索をする人の多くが感じているのは、案件のスキルセットが客先都合で決まり、自分の市場価値を自分でコントロールできない感覚だと思う。今回のようなAIエージェント設計・API連携・データ分析の実務経験は、単価の徹底比較をする上でも武器になる領域だ。単一言語のコーディングスキルだけでなく、「業務データを構造化してAIに扱わせる」設計力は、まだ市場での供給が少ない。

SES 1年目で先の単価やキャリアパスが見えず不安な人にとっては、常駐先の技術スタックに閉じず、こうした周辺領域(API連携、業務自動化、データ分析基盤)を個人開発で触っておくことが、将来の単価交渉やフリーランス転向時の差別化要因になり得る。ただし、これも「やってみた」レベルの所感であり、単価が実際にどう変わるかは個々の状況によるので、断定的な数字は出さない。

まとめ

3人の会社でCFO/COO/CMO/CEOのAIエージェントをClaude Codeで構築した過程を振り返ると、技術的な難易度そのものより、「役職ごとにスコープを閉じる設計」と「コストと安定稼働を守るための地味な運用ルール作り」に時間がかかった。派手な自動化の成果を語るにはまだ早いが、月次でしか見なかった数字にオンデマンドでアクセスできる状態を作れたことは、小さな会社にとって着実な一歩だと感じている。

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