スカウトメールに 3割 返信もらったはなし
まえおき
エンジニア採用担当のみなさま、スカウト送信、やってますか?
ビズリーチ、転職ドラフト、Forkwell、キャリトレ、LAPRAS SCOUT等々、スカウト型転職サイトが、特にエンジニア採用において注目されていると思います。
企業にとって採用とは従来、応募や紹介など待ちのスタイルだったものが、スカウト型転職サイトにおけるスカウトの利用によって、必要な時に必要な分だけ企業側から行動を起こせる攻めのスタイルが選択できるという点で、採用の可能性が広がる仕組みと言えます。
ただし、経験ある方ならわかると思いますが、スカウト送信って、1件1件かなり時間がかかるものです。
私は業務の合間に対応して、残業時間も適度に利用して、1日10件送信が限度でした。
それだけ時間をかけて送るスカウトですから、返信率はなるべく高いほうがいい。
スカウト送信の目的
転職サイトへのスカウト送信作業の直接的なゴールは、 良質な面接 数を獲得することかな、と思います。
スカウトの先にあるのは採用面接ですので、企業と求職者の双方が入社してほしい/入社したいと感じるのが真の目標達成ですが、お互いの状況次第でそうはならない場合もあります。
スカウト送信における良質な面接とは
面接後に、企業側がぜひ入社してほしいと思えた方との面接や、または内定水準にはぎりぎり達しなかったけど、実際に会ってみなければわからなかった内容だったから面接できてよかったと腹落ちできる面接は、良質な面接と言ってよさそうです。
なので一つ注意点としては、検索範囲を闇雲に拡げて内定水準にマッチしないことがおおよそわかっている返信が増えてもそれは良質な面接にはつながらないため、自社のニーズにおいて妥協のない検索条件に対してヒットした求職者を送信対象にする、というのは大前提になります。
では以上を踏まえて、今回はスカウトの送信内容にフォーカスして、具体的に行ったことを見返してみましょう。
スカウトテンプレート作成のポイント
まず送信されたすべての求職者に届く定形部分になる、メールテンプレートにおいて気をつけた点があります。
応募ハードルを下げる
まず、応募のハードルを下げるために以下の2点を実施しました。
- 必要技術スタックはMUST、WANT含め「習得できる技術スタック」として表現し応募ハードルを下げる
- フルスタックと説明したいところは、表現を和らげて「マルチスタック」と表記する
具体的な技術スタックを、応募資格や応募条件のように表現すると、その技術スタックすべての既修得者だけを募集しているように見えるため、入社後の修得も可能であることを理解してもらうため、習得可能な技術として表現しました。
また、チームのEng.の目標はフルスタックになることではあるのですが、募集に「フルスタック」を書きすぎると気後れする求職者もいるかも知れないと考え、「マルチスタック」と柔らかい表現を使用し、"オラつき感"を抑えました。
伝えたい魅力を伝える
エンジニアとして、こういう項目に喜びを感じる方に入社してほしいという観点から、以下2件を魅力として訴求しました。
- プロダクトの市場におけるチャレンジングな側面を説明する
- ユーザー顧客と直接的に関われることを説明する
事業自体がチャレンジングであることと、ユーザーの声と近いことは、大切な価値であると共感いただける方と働きたいと思っています。
カスタマイズ文言作成のポイント
定形テンプレートの次に、最も力を注ぐべき、求職者ごとのカスタマイズ文言において気をつけた点をあげだしてみます。
まず、プロフィール自体と、併せて掲載されているリンクからGitHub、Qiita、スライド、ポートフォリオ、個人ホームページなどに目を通します。
ここで読み取るポイントは以下です。
- 何を伝えたがっているのかを理解する
- 他者と異なる点(個性、特性、属性)を探す
- 求職者がやりたがっていることとこちらがお願いしたいことが一致するポイントを探す
- 求職者が重視しているらしい環境や労働条件、役割、課題のうち、弊社なら提供、解決できそう、と伝えられそうなポイントを探す
- その他、特徴的で同調できる取り組みや実績を探す
つまり、論点を抽出すると以下のどれかの切り口になります。
- あなたが必要である
- あなたの現状や希望を解決できる
- あなたの体験に深く同調できる
これらを1つ以上、可能であれば複数掲載できると、より読んでもらいやすいスカウトメッセージになると予想しました。
そしてこれらの観点で読み取った内容を、例文にしてみると以下のようになります。
これらは実際に送信した文章の抜粋です。
- ◯◯◯ を重視して開発されるスタイルについて理解
- ご指摘の課題について当社スクラムチームでは継続的に解決しながら開発を進めている
- お力添えをいただきたい内容が多くぜひともに働きたい
- アーキテクトを包括的にリードしていただける役割を担っていただけないかと思う
- スタートアップ企業においてすべて見渡せる規模の環境で xxx 様の技術力を存分に発揮してほしい
- 技術スタックにおいて当社が導入を検討したい項目が見受けられ、力添えをいただきたい
- 網羅的に対応し積極的に技術課題を解決されておりオールマイティに広く深い技術知見をお持ちとお見受けできる
- 当社はでは ◯◯◯ についても対話が可能
- ご希望の ◯◯◯ につながるキャリアパスも描きやすい環境
- 技術者として好感の持てるプロセスを実直に遂行されている
- xxx 様が記載されているフローやアプローチは、当社においても重要な観点
- ◯◯◯ というフレーズが新鮮で、目を留めてしまった
- ドキュメントの書き方から、エンジニアとしての誠実さを感じ取ることができた
- ユーザー目線を大切にされていること、業務改善に高い意識で取り組まれていることが伝わる
- 仲間やご家族を大切に思う気持ちが伝わる
スカウトされる側の心得...
少しテーマからそれますが、以上の内容は求職者(スカウトされる側)のプロフィールの書き方の参考にもなるかと思います。
求職者さんがスカウトをたくさん送られたい場合は、以下を気にかけると、スカウトを送る側にとって送りやすいプロフィールになるのかもしれません...
- 企業に必要と思われるスキルや実績のアピール
- 現業で実現できない、やりたいことや解決したいこと
- 開発や事業に対する個人の想いや目標
私自身がスカウトされようとした実体験がないので、あくまで仮説の域を出ておりません。
的外れな発言だったらごめんなさい。
まとめ
以上のスカウト送信のポイントを実行して、私の今回のトライアルでは、母数はあまり多くないですが、20件送信して6件の返信、ちょうど3割の返信を獲得し、返信いただいたみなさんとカジュアル面接を実施することができました。
最後に、スカウトに限らず採用においては、私は以前から以下のことは大原則として心得るようにしています。
- 採用プロセスはごく丁寧な対応に努めること
- 採用候補者は企業のために時間を割いていただいているため
- 採用候補者はプロダクトのユーザー、あるいは将来ユーザーになる可能性があるため
スカウトも、求職者の人生に少なからず関わろうとする行為であることを考慮しますと、丁寧にできることをやりきってから連絡するのが最低限のマナーなのかな、と感じました。