はじめに:なぜ「自分専用GPT」を作ろうと思ったのか?
私はこれまで3年以上、ChatGPTを日常的に使ってきた。
仕事の思考整理、メール文の下書き、情報の構造化、ちょっとした雑談まで。
気づけばそこには「自分の思考の蓄積」があった。
そんなとき、尊敬する佐渡島庸平さんが「編集者サディ」を公開していた。
NoteやVoicyなど全て目を通している自分からすると、本当に佐渡島さんと話している感覚だった。
影響されやすい私は、「自分も分身GPTを作りたい」と思い立ち、
“自分の代わりになるGPT” を作ってみることにした。
ステップ0:必要な前提
- ✅ ChatGPT Plus(有料プラン)に加入している
- ✅ GPTs(カスタムGPT)を自作した経験がある
- ✅ 過去の会話履歴が豊富(私は3年分!)
ステップ1:ChatGPTの会話履歴をエクスポート
手順:
- ChatGPT右下のプロフィール →「Settings(設定)」をクリック
- 「Data Controls」→「Export Data」を選択
- 数分後に
.zip
ファイルがメールで届く - 中にある
conversations.json
が会話のすべて!
ステップ2:Pythonで .json
をテキストに整形
conversations.json
はそのままだと読みにくいので、Pythonで整形する。
import json
with open("conversations.json", "r", encoding="utf-8") as f:
data = json.load(f)
with open("output.txt", "w", encoding="utf-8") as out:
for i, conv in enumerate(data[:3]):
out.write(f"\n=== 会話 {i+1} ===\n")
mapping = conv.get("mapping", {})
for msg in mapping.values():
message = msg.get("message")
if message:
role = message["author"]["role"]
parts = message["content"].get("parts", [])
if parts:
text = parts[0]
out.write(f"{role.capitalize()}: {text}\n\n")
ステップ3:テキストファイルを月別に分割
大量の会話があるので、月ごとの .txt ファイルに分割した。
これにより、時系列分析やGPTへの分割アップロードがしやすくなる。
from datetime import datetime
import os
monthly_buffers = {}
with open("conversations.json", "r", encoding="utf-8") as f:
data = json.load(f)
for conv in data:
mapping = conv.get("mapping", {})
for msg in mapping.values():
message = msg.get("message")
if not message:
continue
role = message["author"]["role"]
parts = message["content"].get("parts", [])
text = parts[0] if parts else ""
timestamp = message.get("create_time")
if not timestamp:
continue
dt = datetime.fromtimestamp(timestamp)
month_key = dt.strftime("%Y-%m")
if month_key not in monthly_buffers:
monthly_buffers[month_key] = []
monthly_buffers[month_key].append(f"{role.capitalize()}: {text}\n")
os.makedirs("monthly_logs", exist_ok=True)
for month, lines in monthly_buffers.items():
with open(f"monthly_logs/{month}.txt", "w", encoding="utf-8") as f:
f.write("".join(lines))
ステップ4:ChatGPTに読み込ませたい会話ログをアップロード
私は 2023-01.txt 〜 2025-05.txt までの月別ログをすべて用意。
これが、GPTに「自分らしさ」を教えるベースとなる。
ステップ5:「GPT設計テンプレート」を設定する
以下のような**人格設計の指示文(Instructions)**をGPTs作成画面に入力:
🧠【指示文(抜粋)】
【Role】
あなたは、ユーザーの過去の対話データ(2023〜2025年)を元に構築された、思考パートナー型の分身GPTです。
冷静で論理的かつやわらかい語り口を持ち、整理力と観察力に長けています。
【Tone / Style】
丁寧語を基本に、親しみある落ち着いたトーンで話す
提案型:相手に委ねる言い方(「〜かもしれません」「〜してみても良さそうです」)
構造化と言語化が得意
相手の問いを受け取り、問い返すことも厭わない
【Abilities】
過去の会話から「ユーザーが何に悩み、何を大切にしてきたか」をふまえて答える
情報を構造的に整理し、説明や要約ができる
営業・製造・市場分析・ふるさと納税・制度解釈などにも親しみがある
長文対応、壁打ち対応、資料設計も可能
【Not do】
フワッとした抽象語だけで返す
断定的な物言い(「絶対に〜です」など)
馴れ馴れしい言い回し(「だよね!」「マジで?」など)
✍️ 思考整理系
「この企画を整理したいんだけど、どう言語化すればいい?」
📧 文章作成系
「このメールどう書く?」
🧠 価値観・深掘り系
「なぜ私はこういう考え方をするんだと思う?」
📈 資料構造化系
「このインプットを、3つくらいの構造で整理してくれる?」
💬【使用例】
「今日の会話、まとめると何が見えた?」
「このメール、あの人向けに柔らかく書き直して」
「このアイデア、どんな問いを立てれば深まる?」
ステップ6:GPTを保存 → 話しかけてみる!
「Create GPT」→「Configure」→「Save」で作成完了。
あとは実際に話しかけて、「自分っぽさ」が出ているか確認する。
実際にやってみて感じたこと
思考の整理や壁打ちが、自分の言葉で返ってくるのが不思議で心地よい
GPTが“自分らしさ”を持ち始めると、質問の質と返答の納得度が圧倒的に高くなる
日記やSNS投稿などを足すとさらにリアルになるかもしれない
今後やりたいこと
文章スタイルをより反映させる(口語・文語の切り替えなど)
タグ付けされたログで「テーマ別GPT」を作る(例:仕事GPT・生活GPT)
他者と共有できるバージョンの設計も試したい
おわりに
「自分専用GPTをつくる」という体験は、
ただのテクノロジー活用ではなく、「自分を再発見するプロセス」そのものだった。
自分の思考、言葉、価値観。それらを反映する“分身AI”と、これからの対話が楽しみでならない。