はじめに
先日、AI Tour Osaka にインターン生として参加し、インフラブースでの対応と、Copilot in Azure のセッション発表を担当しました。
研究室や学会での発表経験はありましたが、企業イベントでお客様に向けて直接説明するのは初めての経験。とても刺激的で学びの多い時間になりました。
この記事では、ブース対応とセッション発表の両面から、「人に技術を伝える」という観点で得られた気づき をまとめます。
Copilot in Azureとは
みなさん、Copilot in Azure はもう試してみましたか?
Azure Portal の右上にある Copilot ボタンをクリックすると起動します。
Copilot in Azure は、Azure ポータル上で利用できる生成AIアシスタントです。大きな特徴は「開いているページのコンテキストを理解してくれる」こと。
代表的な機能は以下の通りです:
- 手順の提示:「このサービスを有効化するには?」と聞くと、設定手順をステップごとに表示してくれる
- クエリの生成:Log Analytics や KQL のクエリを自然言語から生成してくれる
- コストに関する質問:料金や利用状況を簡単に聞ける
- ポータル上での操作:画面遷移をせずに、その場で利用できる
GitHub Copilotが「コードを書く開発者」に最適化されているのに対し、Copilot in Azureはポータルを操作するすべてのユーザーが対象になっているのが特徴です。
インフラブースでの対応
セッション発表とは別に、インフラブースでお客様対応も経験しました。
ここでは本当に幅広い層の方が来られていて、質問や関心事もさまざまでした。
- Azureと他者サービスとの違いについて聞かれる方
- Azure OpenAI ServiceとCopilotの違いを知りたい方
- AI Foundryがどう役立つかに興味を持たれている方
- そして、「Azureはまだ触ったことがない」という方も少なくありませんでした
印象的だったのは、どんな質問に対しても「技術的に正しい答え」だけでは不十分だということです。
相手の立場や背景を考えながら「この人は何を知りたいのか」を探り、それに合わせて説明を切り替える必要がありました。
また、分からないことは素直に「わからない」と伝え、一緒に考えるスタンスを持つことも大切でした。
社員の方々が会話の中で自然に相手のニーズを引き出し、適切な言葉で説明されている姿を横で見て、多くを学ぶことができました。
セッションの発表シナリオを考えること
これまで研究室や学会での発表は「正しく、詳しく、論理的に」伝えることが前提でした。
相手も同じ分野の専門家であり、細部まで理解してもらうことに価値があるからです。
一方で、AI Tourのようなイベントでは状況がまったく違います。
お客様が求めているのは「仕組みを隅々まで理解すること」ではなく、
「これなら自分でも使えそう」「業務で役立ちそう」と思える納得感でした。
そのため、発表のシナリオを作るときに意識したのは、すべてを説明するのではなく、体験として印象に残すことでした。自分の担当はデモを実演するところだったので、お客さんが自分でもやってみたい!と思ってもらえる、そんなデモを実演することが目標でした。
デモで「使ってみたい」と思ってもらうこと
デモの準備を始めたころは「複雑な操作をして驚かせたい」と考えていました。
ですが社員の方から「ゴールはお客様に 自分でも使える と思ってもらうこと」と言われ、方針を大きく改めました。
重視したのは次の3点です。
- 再現性:誰でも自分の環境で試せるシナリオにすること
- 過程を見せる:結果だけでなく、Copilotが答えを導くプロセスを一緒に体験してもらうこと
- 視聴者を想定する:イベントの参加者は必ずしもAzureに精通している人ではありません。初心者でも「なるほど、すごいな」と思えるようなコンテンツにすること
ただ、実際にやってみると難しい箇所はたくさんありました。
- 安定性:同じ質問でも答えが揺れる
- 読み込み時間:処理が長引くと間延びしてしまう
- 見づらさ:小さなUIや文字が相手に伝わりにくい
そこで本番を意識した練習を繰り返し、
- 読み込み時間はその間に補足説明を入れて「間」にする
- ZoomItでズーム速度や文字サイズを調整し、操作を追いやすくする
- 万が一に備えて動画も用意しておく
といった工夫をしました。
練習を重ねる中で「デモは機能を見せるだけではなく、どう見せれば伝わるかを設計するもの」だと学びました。
本番での学び
迎えた本番。予想外のトラブルが続きました。
VMが起動していなかったり、Copilotが思うように動かなかったり…。内心はかなり焦りました。
さらに、社員さんから“無茶ぶり”な質問が飛んできて「えっ!?」となる場面もありました。
それでもなんとか答えを返し、社員さんが冷静に補足をしてくださったおかげで、結果的には場が盛り上がりました。
隣で堂々と場をコントロールしている社員さんの姿を見て、「こういう対応力を身につけたい」と強く思いました。
最終的に来場者の方からは「面白かった」「勉強になった」と言っていただき、ホッとしました。
さらに作成したデモに関してもお褒めの言葉を賜り、大きな達成感とともに今後につながる自信を得ることができました。
まとめ
AI Tour Osakaでの インフラブース対応とセッション発表 を通じて、次のような学びを得ました。
- 技術を伝えるゴールは「正確さ」だけではなく「納得感」も
- デモは機能を見せるだけでなく「見せ方の設計」も重要
- 聞き手の立場を想定したストーリー作りが不可欠
今回の経験は「人に技術を伝える」ことの難しさと面白さを改めて実感する機会になりました。
今後もこの経験を糧に、より良い伝え方を磨いていきたいと思います。