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Blenderを使わずにPythonだけで3Dアニメーションを作ってみよう!【FBX SDK Python】

Last updated at Posted at 2019-12-06

20191201_moving_circle_cube.gif

これは Python Advent Calendar 2019 の7日目の記事です。
昨日は @ko-he-8 さんによる pythonのユニットテスト用ライブラリNoseのオプション紹介-19種類- でした。

Pythonのコードだけで3Dアニメーションを作りたい

Blenderのような3Dアニメーションソフトを使えば、便利なGUIで3Dアニメーションファイルを作ることができます!

そう!クリエイター・アニメーターならBlenderを使いましょう!!(え、Mayaがいい?それならMayaでどうぞ)

しかし!Qiitaの読者のほとんどは、プログラマーだと思います!

プログラマーなんだったら、プログラミングで3Dアニメーションを作りたいですよね!

いや、プログラミングで作るべきだ!

そんなあなたのために、 FBX SDK Python というものがあります!

これさえあれば! 大好きなPythonで3DアニメーションファイルFBXを生成することができるんです!

え?Pythonなんて別に好きじゃない?UnityならC#でFBXが作れる?

・・・

さぁ始めましょう!

今回の目標

以下のように、立方体が円運動するようなアニメーションを作ることが今回の目標です!

20191201_moving_circle_cube.gif

事前準備:FBX SDK Pythonをインストールする

まずはFBX SDK Pythonをインストールしましょう!

以前、いくつか記事を作成しましたので、ご自身の環境に合わせてご用意ください。

とりあえずサンプルコードを動かしてみる

まずは、サンプルコードを実際に動かしてみましょう!

以下にサンプルコードを置きましたので、ぜひダウンロードしてみてください。

GitHub / segurvita / fbx_sdk_python_sample

ダウンロードができたら、以下のコマンドをたたいてみましょう!

python generate_fbx/circle_anim.py resources/cube_ascii.fbx resources/moving_circle_cube_ascii.fbx

resources フォルダーに moving_circle_cube_ascii.fbx というファイルが生成されたと思います。

これが今回の成果物です!

Autodesk FBX Review というソフトで開けば、先ほどの動画のように、立方体が円運動している様子を眺めることができます!ぜひお試しください!

コマンド解説

さて、まだPythonについて一切解説していませんねw

まずは、以下のコマンドから解説をします。

python generate_fbx/circle_anim.py resources/cube_ascii.fbx resources/moving_circle_cube_ascii.fbx

generate_fbx/circle_anim.py というのが、今回使ったPythonのソースコードです。その次に2つの引数があります。これはそれぞれ

  • 入力ファイル: resources/cube_ascii.fbx

  • 出力ファイル: resources/moving_circle_cube_ascii.fbx

となっています。

Python解説

次に generate_fbx/circle_anim.py についてみていきましょう!

全体像はこんな感じですね!

circle_anim.py
import sys
import math
from fbx import *

fps = 30.0
rps = 0.5

def generate_anim_stack(scene):
    # 関数
def generate_anim_layer(scene, anim_stack, node):
    # 関数
def prot_circle(degree, time, curve_t_x, curve_t_y, curve_r_z):
    # 関数
def move_circle(node, anim_base_layer):
    # 関数
def get_ascii_format_id(manager):
    # 関数
def main(obj_path, fbx_path):
    # 関数

if __name__ == '__main__':
    # get argument
    args = sys.argv

    if len(args) < 2:
        print('Arguments are too short')
    else:
        main(args[1], args[2])

関数がいっぱいありますので、今回は、3Dアニメーションに関わる部分だけを解説していこうと思います。

main関数を見てみる

まずはmain関数ですね。アニメーションに関わる部分はこんな感じです。

def main(obj_path, fbx_path):
    # 各種インスタンスを生成する
    manager = FbxManager.Create()
    scene = FbxScene.Create(manager, "fbxScene")
    importer = FbxImporter.Create(manager, "")
    exporter = FbxExporter.Create(manager, "")

    # ファイルをシーンに読み込む
    importer.Initialize(obj_path, -1)
    importer.Import(scene)

    # シーン内にアニメーションスタックを作る
    anim_stack = generate_anim_stack(scene)

    # ルートノード(シーン内で最上位のノード)を取得する
    root_node = scene.GetRootNode()

    # ルートノードがあれば
    if (root_node):
        # ルートの直下の子ノードの数だけループする
        for i in range(root_node.GetChildCount()):
            # 子ノードを取得する
            node = root_node.GetChild(i)

            # アニメーションレイヤーを作る
            anim_base_layer = generate_anim_layer(scene, anim_stack, node)

            # アニメーションカーブを作る
            move_circle(node, anim_base_layer)

    # シーンをファイルに書き込む
    exporter.Initialize(fbx_path, get_ascii_format_id(manager))
    exporter.Export(scene)

    # インスタンスを破棄する
    exporter.Destroy()
    importer.Destroy()
    scene.Destroy()
    manager.Destroy()

聞きなれない用語がいくつかでてきましたね。

Scene : シーン

シーンとは、FBXファイルがもっている巨大な空間のようなものです。

このシーンの中に、アニメーションやメッシュといったさまざまなデータが格納されます。

(BlenderやUnityにもシーンという概念がありますが、それらとほとんど同じイメージでよいです!)

こんなコードで生成できます。

# シーンを作る
scene = FbxScene.Create(manager, "fbxScene")

Node : ノード

シーン内にはさまざまなデータがあります。その1つ1つがノードです。

ノードには親子関係があります。

たとえば、みなさん、自分の肩を回してみてください。

肩を回すと、肘の位置が変わりますよね?

つまり、 肘ノードは肩ノードの子 ってことです。子ノードは親ノードの影響を受けます。

反対に、肘だけを回しも、肩の位置は変わりませんよね?

親ノードは子ノードの影響は受けないんです。

FBXの場合、肘や肩といった関節もノードですし、アニメーションやメッシュ等もすべてノードになります。

Root Node : ルートノード

そんなノードの親をたどっていくと最終的に行き着くのが、ルートノードです。

シーンで最上位のノードですね!

こんなコードで取得できます。

# ルートノード(シーン内で最上位のノード)を取得する
root_node = scene.GetRootNode()

以下のように書けば、子ノードを順番に取得できます。

# ルートの直下の子ノードの数だけループする
for i in range(root_node.GetChildCount()):
    # 子ノードを取得する
    node = root_node.GetChild(i)

アニメーションスタックを作る

だんだん難しくなってきました・・・

アニメーションスタックというのは、アニメーションに関するデータをとりまとめるノードです。

これがないとアニメーションできません!

とりあえず、1つ作りましょう。

サンプルコードでは generate_anim_stack という関数でつくっています。

def generate_anim_stack(scene):
    # アニメーションスタックを作る
    anim_stack = FbxAnimStack.Create(scene, "stack")

    return anim_stack

これで作れます!

アニメーションレイヤーを作ろう

またまた謎の用語が・・・説明します。

3Dアニメーションといっても、いろんな動きがありますよね?

走る・歩く・ジャンプする・・・

そういった動き1つ1つをFBX用語では アニメーションレイヤー って呼ぶんです。(間違ってたらすみません)

今回は円運動をさせるだけなので、とりあえず1つ作りましょう!

def generate_anim_layer(scene, anim_stack, node):
    # ノード(立方体)の名前を取得
    node_name = node.GetName()

    # ノード(立方体)の位置と回転を0にする
    node.LclTranslation.Set(FbxDouble3(0.0, 0.0, 0.0))
    node.LclRotation.Set(FbxDouble3(0.0, 0.0, 0.0))

    # アニメーションレイヤーを作る(ノードの名前をつけて区別できるようにする)
    anim_base_layer = FbxAnimLayer.Create(scene, "layer_" + node_name)

    # アニメーションレイヤーをアニメーションスタック配下に加える
    anim_stack.AddMember(anim_base_layer)

    # アニメーションカーブノードを作る
    anim_curve_node = node.LclTranslation.GetCurveNode(
        anim_base_layer, True
    )

    # アニメーションレイヤーを返却する
    return anim_base_layer

これでアニメーションレイヤーが作れます!

・・・

なにやら途中でアニメーションカーブノードという謎の用語が登場しましたね・・・

これは、ノード(ここでは立方体)の位置や回転という情報をアニメーションで変化させるために必要なデータです。とりあえず必要なので作りましょう。(私もよくわかってません。すみません。)

アニメーションカーブを作ろう

あぁ!また謎の用語が!

実はノード(立方体)をアニメーションさせると、ひと口に言っても、

  • 位置を動かす
  • 回転させる
  • 大きさを伸縮させる
  • 等など

さまざまなアニメーションがありますよね?

たとえば、今回のように円運動をさせたいのであれば、

  • ノードの位置のx座標を動かす
  • ノードの位置のy座標を動かす
  • ノードの回転方向のz座標を動かす

みたいに3つの座標を動かすことになります。

この1つ1つが アニメーションカーブ です!

(BlenderやUnityのアニメーションカーブと概念はほとんど同じです)

今回は、3つのアニメーションカーブがあるんですね!

というわけで、以下がサンプルコードです。

def move_circle(node, anim_base_layer):
    # ノードの位置のx座標のアニメーションカーブを作る
    curve_t_x = node.LclTranslation.GetCurve(
        anim_base_layer, "X", True
    )

    # ノードの位置のy座標のアニメーションカーブを作る
    curve_t_y = node.LclTranslation.GetCurve(
        anim_base_layer, "Y", True
    )

    # ノードの回転方向のz座標のアニメーションカーブを作る
    curve_r_z = node.LclRotation.GetCurve(
        anim_base_layer, "Z", True
    )

    # 時間記録用の変数を用意する
    time = FbxTime()

    # アニメーションカーブの記録を開始する
    curve_t_x.KeyModifyBegin()
    curve_t_y.KeyModifyBegin()
    curve_r_z.KeyModifyBegin()

    # fps = 30 (1秒で30フレーム)
    # rps = 0.5 (1秒で円運動を半周)
    # fps/rps = 60 (60フレームで円運動を1周)
    # 60フレームを1フレーム毎に処理する。
    for frame in range(int(fps / rps)):
        # 経過時間を計算する。フレーム数/fps
        sec = float(frame) / fps

        # 経過時間を記録する
        time.SetSecondDouble(sec)

        # 回転角度を計算する。rps×経過時間×360°
        degree = rps * sec * 360.0

        # 回転角度に応じた値をアニメーションカーブにプロットする
        prot_circle(degree, time, curve_t_x, curve_t_y, curve_r_z)

    # アニメーションカーブの記録を終了する
    curve_t_x.KeyModifyEnd()
    curve_t_y.KeyModifyEnd()
    curve_r_z.KeyModifyEnd()

細かい計算式が色々でてきましたが、1フレーム毎に経過時間を記録して、円運動の回転角度を計算していることがわかると思います。

実際にアニメーションカーブへ値を記録するところは、 prot_circle という関数に記載しましたので、見ていきましょう。

アニメーションカーブにキーを追加する

アニメーションカーブに値を記録していくことを、 キーを追加する といったります。

以下が、キー追加処理のコードです。

def prot_circle(degree, time, curve_t_x, curve_t_y, curve_r_z):
    # 回転角度をラジアンに変換する
    radian = math.radians(degree)

    # 位置のx座標は cos(radian) で計算して、キー追加する
    key_index, key_last = curve_t_x.KeyAdd(time)
    curve_t_x.KeySet(
        key_index, time, math.cos(radian), FbxAnimCurveDef.eInterpolationLinear
    )

    # 位置のy座標は sin(radian) で計算して、キー追加する
    key_index, key_last = curve_t_y.KeyAdd(time)
    curve_t_y.KeySet(
        key_index, time, math.sin(radian), FbxAnimCurveDef.eInterpolationLinear
    )

    # 回転方向のz座標はラジアンではなく度数のまま、キー追加する
    key_index, key_last = curve_r_z.KeyAdd(time)
    curve_r_z.KeySet(
        key_index, time, degree, FbxAnimCurveDef.eInterpolationLinear
    )

この関数が1フレーム毎に呼ばれることで、3つのアニメーションカーブに1フレーム毎、キーが追加されていきます。

キーを追加しているのはこの部分です。

key_index, key_last = curve_t_x.KeyAdd(time)

これでキーが追加されます。

Pythonに慣れていない人のために、念のため補足すると、 KeyAdd という関数の戻り値が2つありまして、 key_indexkey_last にそれぞれ代入さているというコードになります。

このように2つの変数を並べて書くことをタプルと読んだりします。

今回は、 key_index に、キーの番号が代入されます。 key_last は使いませんので無視しましょう。

次のコードで、この key_index に対し、実際の値をセットしています。

curve_t_x.KeySet(
    key_index, time, math.cos(radian), FbxAnimCurveDef.eInterpolationLinear
)

以上で、Pythonの解説はおしまいです!おつかれさまでした!

さいごに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

これで、Blenderを使わずに、Pythonだけで3Dアニメーションを作ることができましたね!!

本記事作成にあたり、以下のページを参考にさせていただきました。

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