はじめに
50歳前後での転職は大変です。転職先を探すのも大変ですし、入った後も大変です。そこで、49歳と53歳で転職することになってしまった私の紆余曲折を振り返ってみることにしました。
この記事は『エンジニア転職(2枚目) Advent Calendar 2025』の12月3日分の記事です。
1つ目の会社
仕事の内容
私はソフトウェアエンジニアとして最初の会社に新卒入社しました。入社当時はアルミメーカーのIT系子会社でしたが、会社の再編などがいろいろあって、2012年からはユーザー系大手SIerのグループ会社になりました。
私は全文検索エンジンや文書管理パッケージを担当するエンジニアで、メインのプログラミング言語はCです。動作環境もオンプレ前提でした。クラウドサービスを利用するためには各種申請が必要で、クラウドからはやや距離のある会社でした。
20年間ほど勤めて、開発部門の責任者になりました。給料はたくさんもらえるようになりましたが、会議が増え、案件管理やリソース管理の仕事が増え、炎上案件の火消しやお客様へのお詫びみたいな仕事も増え、仕事がちっとも楽しくありません。そこで、異動の希望を出してワガママを聞き入れてもらい、製品企画や事業企画の担当へと異動になりました。
ただ、企画も大変でした。小さな製品投資企画でも、販売計画にはそれが実現できる根拠の積み上げが必要で、原価もきっちり積み上げる必要があり、投資回収計画もNPVやIRRを示して役員を説得しないといけません。もちろん、必要なことなのは分かっているのですが、企画なんて机上で根拠を積み上げてもぶっちゃけ試さないと分からないので、もう少し気軽に挑戦させて欲しかったです。
転職のきっかけ
私は将よりも参謀のタイプで、尊敬できる上司の元で働くスタイルが好きです。当時の役員には尊敬できる方がおり、仕事もなんとか前に進み、事業部長相当の役職までいただきました。ただ、ちょっと天狗になって脇が甘くなっていたこともあり、大きな失敗をやらかしてしまいます。その失敗が1つのきっかけになって、尊敬できる上司が会社を去ってしまいました。
こうなると参謀タイプの私はうまく仕事ができません。失敗も尾を引いてしまい、会社に居場所が作れなくなってしまいました。私はもともとエンジニア向きで営業を担当できる性格ではないのですが、営業部の一般社員へと異動になり、役職手当のウェイトが大きい給与体系だったこともあって給与がかなり下がってしまいました。
決して会社が悪いわけではなく完全な自業自得なのですが、40代後半になって、安泰だと思っていたサラリーマン生活にかげりが見え始めました。こうなると転職も検討せざるを得ません。
はじめての転職活動
転職斡旋会社2社と契約し、エージェントの方から求人情報をもらったりアドバイスをもらったりしましたが、ここで世の中の厳しさを思い知ります。49歳という年齢では、事業を立ち上げて欲しいとか、新規プロダクトを立ち上げて欲しいとか、プロダクトをスケールさせて欲しいとか立て直して欲しいとか、とにかくハイクラスな求人しかないのです。
給与は下がってもいいから難易度を下げようかとも考えましたが、そんな選択肢はありません。難易度を下げると若い方と競合してしまいます。同じ給与で同じことをやってもらうなら、企業はどうしても若い方を優先しがちなので勝負になりません。
また、参謀タイプの私は尊敬できる方を探すことがマストだったのですが、これも転職活動の壁になりました。数回の面接では絶対にわからないので、転職斡旋会社が進行する転職プロセスのテンポ感とはイマイチ合わないのです。
最終的に、知り合いを頼ることにしました。
2つ目の会社
採用までの流れ
1社目の会社にいた頃、あるソフトウェア商社が主催する異業種分科会に参加したことがありました。この分科会は、10人くらいのチームになって、1年間をかけてテーマに取り組み、最後にその成果を発表する形です。毎月メンバーで集まってテーマを進めつつ、そのまま夜は飲み会でメンバーと仲良くなれる、とても充実した分科会でした。
ここで仲良くなったメンバーの中に、一緒に仕事をしてみたいと思える取締役CTOの方がいたので、その方に相談して選考が始まりました。49歳ということで会社側もかなり慎重になったのでしょう。代表取締役とはかれこれ5回くらい面談をし、半年くらいかかってやっと採用が決まりました。
選考過程の前半ではエンジニアチームを希望していたのですが、「なんでもできます」アピールしていたこともあり(そうしないと49歳では選考が進まない)、最終的にカスタマーサクセス(CS)担当として採用されました。第一希望の仕事ではありませんが、49歳で次が決まってよかったです。
仕事の内容
この会社はAIチャットボットやAI検索のクラウドサービスを展開しています。自社プロダクトに携わりたいと思っていたので、自社サービスがある会社で採用されたのはとてもよかったです。
ただ、私はずっとオンプレ前提の開発で、しかもC言語でサーバーサイドを担当していたので、クラウドサービスの世界ではスキルがほとんど役に立ちません。エンジニア経験が一番長いのに、そのスキルが役に立たないのはかなりショックでした。
また、初めての転職だったので、信頼貯金ゼロからスタートする大変さを49歳になって思い知ります。人見知りなこともあってメンバーと仲良くなるのに少し苦戦しました。これが「少し」で済んだのは、この会社のCSチームがリモートではなく出社前提で、かつ、みんなお酒好きだったおかげです。これは本当に運がよかったです。
CS担当でしたが、サービス企画みたいなことも自由にできたので、2023年前半にRAGのサービスを企画してリリースしました。前述のように前職では企画作業のオーバーヘッドが半端なかったのですが、この会社ではトップと議論してOKが出れば即行動できるので、すごく快適でした。
また、クラウドサービスのベンダーなので前職とはセキュリティの考え方が異なり、いわゆるゼロトラストの考え方に理解のある会社です。他社のクラウドサービスも簡単な手続きで利用できるので、当時リリースされたばかりのGPT-3.5 turboのAPIもすぐに業務利用でき、そのスピード感が企画の成功につながりました。
転職のきっかけ
2社目を辞めた経緯やそのときに考えていたことは、別の記事にまとめています。詳しくは、次の「3つ目の会社」で紹介しているブログをご覧ください。
3つ目の会社
2025年7月に53歳で今の会社に転職しました。今回も知り合い経由での転職です。この会社は将タイプの方ばかりなので、参謀タイプの私にとっては居心地がよい環境です。
詳細はこちらのブログにまとめていますのでご覧ください。
振り返り
2回の転職を振り返って思ったことをまとめます。
社外に知り合いをつくっておこう
私は2回とも知り合いを頼って転職しました。社外に頼れる知り合いがいなかったら、おそらく転職できていません。
私は異業種分科会や技術コミュニティへ参加することで知り合いを増やしましたが、なんでもよいので、社外に知り合いを作っておくことが大切です。
ビジネスSNSで過去を振り返っておこう
私は転職活動を始めた時に、自分の経歴をLinkedInやWantedlyで公開しました。30年近くもサラリーマンをやっていると、いろいろな仕事をやっています。それらを書き出しておくと自分自身の振り返りもできますし、意外にいろいろ経験してきたんだなぁ、と少しだけ自信にもつながります。また、SNSで公開すると転職のオファーが時々届いたりするので、自分を必要としてくれる企業もある!と、少し安心感が得られたりもします。
自分のスキルや経験をアウトプットしておこう
アウトプットの大切さについては、こちらの記事で私の試行錯誤をまとめていますので、よろしければご覧ください。
AIを使おう
最近はAIのおかげで、キャッチアップの効率がすごくよくなりました。相手がAIなら、質問責めにしても相手の時間を奪うことがないので助かります。また、慣れていないプログラミング言語だとコードを書くのが大変ですが、最近のコーディングエージェントならお任せできます。
AIはどんどん活用しましょう。
とにかく謙虚でいこう
50歳前後で転職すると、上司が年下になることも多いはずです。私も2社目、3社目の上司は自分より若い方です。
ここで問題になるのが、加齢によって進行する自身の頑固さです。年功序列の会社にいた時間が長かったせいなのか、年上が偉いみたいな感覚も染み付いてしまい、それが頑固さに拍車をかけてきます。頑固さをうまく制御しないと、若い方と一緒に仕事ができません。
とにかく謙虚でいることが大切です。私のように過去のスキルが活かせないなら尚更です。新人に戻った気分でがんばりましょう。
会社に感謝しよう
正直なところ、採用側の立場に立つと50歳以上の採用にはかなり慎重になると思います。勇気を持って雇ってくれた会社にホント感謝です。
おわりに
50歳前後での2回の転職を振り返ってみました。転職を検討中の同世代の方や、将来50歳前後での転職を考えている私より若い方の、なにかの参考になることがあれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。