https://qiita.com/sebunwork009/items/b44bbca7172085ad61e8
過去の記事を追記して再編集したました。
はじめに
これを読めばゲームの面白さと何かを理解できる。
また、このフレームワークを使ってゲームを面白くするにはどうすればよいかがわかるようになる。
前半はゲームの面白いとはどういうことを指すのが定義している。後半は面白いをどうやって作るのかを説明している。
エンタメとゲームの違い
ゲームはエンタメの一部だ。エンタメの面白い要素はゲームにも含まれることがある。ゲームとエンタメで何が違うかを理解することでゲームの面白さとは何かがみえてくる。
エンタメとは
映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽、小説といった視覚的、聴覚的、または読解的な手段を通じて、人々の感情を動かすもの
良いエンタメとは
いかに人の感情を動かすことができるか、よい感情、感動や爽快感だけでなく悪い感情、不快感、怒りも含む。
感情のふり幅や感情のジェットコースターに乗せることができるほど良いエンタメになる。
そのエンタメによってどれだけ大きく、何度も感情を揺れ動かすことかがよいエンタメといえる。
ゲームとその他のエンターテインメントの違い
エンタメ:一方向のインタラクション、視聴者やプレイヤーは作品を受け取る側となります。
ゲーム:双方向のインタラクション、プレイヤーのアクションに対し、なにかしらの反応がかえってくる。そしてその反応に対して、プレイヤーのさらなる行動が行われること。単純に言うといかにボタンを押し、反応が返り、また押すこと。
面白いゲームとは
ゲームとは双方向のインタラクションであるなら、どれだけ双方向のインタラクションをどれだけ継続させられるか、どれだけ双方向のインタラクションで感情をうごかせるかが面白いゲームであるといえる。
面白いエンタメと面白いゲームを分けて考える
エンタメはゲームを含んでいるため、継続させるためにはビジュアル、音楽、ストーリーなどで継続させることができるが、今回のテーマとしては面白いゲームとはなので、双方向の面白さについて説明する。
究極的には双方向の面白さ(ゲームの面白さ)はいかにボタンを押させることができるかになる。
双方向のインタラクションは先か後がある
プレイヤーがアクションをすることで結果が返り、その結果をもって次のアクションを行うのが先。
ゲームの状況からプレイヤーがアクションを選択肢、そのあと結果が返ってくるのを後とする。
アクションの起点が違うだけで、あとは同じだが、レベルデザインによっては意思するとよいことがある。
たとえば先の場合、プレイヤーはどうなるかわからない状態でアクションを行うことになる。プレイヤーの好奇心や新しい発見につながる。
また、後の場合、プレイヤーはこうなるという「予想」と「結果」を得ることになる。それによって「改善点」見つけ、次の挑戦へとつながり、それが継続になる。
ゲームの面白さを作る要素
ゲームの面白さとはいかに継続させるか、いかに感情を動かすかということにつきる。継続するというのは双方向のインタラクションから、なにかしらの選択をしているともいえる。その選択が感情を動かすことに繋がればそれは面白いゲームとなる。
ゲームは選択の連続
ゲームプレイは選択の連続によって構成される。
選択するには目的が必要だ、目的がないとどの選択が目的に近づけるのかがわからないからだ。
目的は「人間の根本的な欲求と動機」がもとになる。これは一方向のインタラクションと共通している部分でもある。詳しくは後述するが簡単に言うと生きるために必要なことを楽しいと人間は感じるように作られている。なので生きるために必要な欲求が目的を達成することで満たされるようにするとゲームは面白くなる。詳細は別章(基層:人間の根本的な欲求と動機)を参照。
目的があればルール(制限)を使って選択肢を増やすことができる。
例えば山の頂上にたどり着くのが目的だとしよう。通常は歩いて頂上までたどり着くことができる。そこで、ルールを追加する。川を山の中腹に引いてみる。かわを超えなければ頂上へいけないため、歩く以外に泳いでわたるという新しい選択肢が生まれる。
選択肢はゲーム性と戦略をもったものを選ぶ
ルールを使用して、選択肢を増やせば面白いゲームになるとはいえない。増やす選択肢はゲーム性と戦略をもつ必要がある。
ゲーム性(リスクとリターン)
詳細は後述するが、目的に対して有益な利益を得ることをリターン。失敗すれば目的に対して不利益なることをリスクとし、リスクをとるほどリターンを得られるようにするとプレイヤーに緊張と緩和を与えることになり、それが面白いと感じる。このことをゲーム性と呼ぶ。
戦略
リスクを減らし、リターンを得る工夫。プレイヤーは作戦を考え、成功すれば喜びを、失敗すれば学び得ます。
選択肢が増えることで、一般性がさがる。
一般性とはゲームの難易度、遊びやすさ、カジュアル度というもので、
一般性がさがるほどゲームが複雑になり、簡単に遊ぶことができなくなり難易度上がるが、ゲームが奥深くなる。
どちらが良いというものではない。想定しているプレイヤーによって変えなければならない。
つまりゲーム性と戦略をコントロールしてプレイヤーに適切な難易度を与える必要がある。
この適切というのが大切で、適切な難易度はプレイヤーをフロー状態というものに導き、ゲームの面白に繋がっていく。フロー状態も詳しくは後述するが、面白いゲームを作るための最終目的となるもので、適切な難易度を繰り返しクリアすることでプレイヤーはゲームへ没頭する。この状況をフロー状態と定義している。
ここまでまとめ
ゲームは双方向のインタラクションであり、双方向のインタラクションをいかに継続させ、感情を動かすかが面白いゲームといえる。
プレイヤーは選択(アクション)をするがそのためには目的が必要。
目的が選択を生む。選択はただ増やせば良いというものではなくゲーム性と戦略を選択が面白いゲームを作る。
選択を組み合わせ、プレイヤーに調整される(レベルデザイン)とフロー状態を作る。
そしてこれがゲームの継続、ゲームの面白さとなる。
次からは目的、選択肢、フロー状態を細部に説明していく。
この3つは目的からピラミッドのような構造となっている。
目的が選択肢を作り、選択肢がフロー状態をつくる。
後半-------------------------
ゲームの面白さのピラミッド
基層(目的):人間の根本的な欲求と動機
そもそも人間は生きることを目的としているので「生存に必要な
ことをやりたい、楽しいと感じる」ように作られている。
生存の場合とゲームの場合では以下のような関係となっている。例として6分類にしているがこれは一例にすぎない。
知識欲
生存:新しいことを学ぶことで、人間は環境の変化に適応し、生存と発展のための新たな方法を見つけ出すことができます。知識の探求は、未知の脅威から自己を守り、資源を効率的に活用するための基盤となります。
ゲーム:新しい体験やスキルの習得、進歩。好奇心、非日常の体験。模倣。ユニークなものを見つける。規則性を見つけ分類する。
収集欲
生存:収集する行為は、必要な資源を確保し、不確実な未来に備える基本的な生存戦略です。食料、水、避難所などの資源を確保することは、長期的な生存に直結します。
ゲーム:アイテムや情報を集める。動くものを目で追う。
創作欲
生存:創造することにより、人間は新しいツールや解決策を開発し、生活を改善します。この欲求は、より効率的な生存手段を模索する過程で刺激されます。
ゲーム:創作活動、アイテム合成、スキルの組み合わせ。
競争欲
生存:競争は、限られた資源を確保し、自身の遺伝子を次世代に伝えるための手段です。他者との競争を通じて、個体は適応性と生存能力を高めます。
ゲーム:対戦、勝利。戦闘。
共感欲
生存:社会的なつながりは、群れとしての生存に不可欠です。共感を通じて形成される信頼と協力は、個体だけでは難しい課題に対処する基盤を提供します。
ゲーム:他者との深い感情的繋がり、ストーリー、仲間。帰属意識。ネット、コミュニティ、オンライン。
安全欲
生存:安全は生存の前提条件です。心理的、物理的な安全感は、危険から身を守り、安定した環境での成長を可能にします。
ゲーム:心理的、物理的な安全感。生産の安定。平和な世界、平和な町。安全な場所を探す。光る場所に行きたがる。ゴールに向かう。
これは一例。いくらでも分類はできると思いますが、
このような生存に必要な欲がゲームの目的としてつながっている。
またこの欲はエンタメのとも共通している部分でもある。
魅力的なアイテム、音、世界、ストーリーはこの基層に含まれている。
なのでゲームの面白さはエンタメの面白さと共通している箇所があるということになる。
ここで注意するのはゲームとして面白くするのか、エンタメとして面白くするのかによって実現する方法が異なる。
一般的にゲームの面白さはストーリーや世界観を含んでいると思うが、ストーリーや世界観はエンタメの面白い部分であるため、この記事におけるゲームの面白さとは異なる。
つまり、この記事においてゲームを面白くするというのはストーリーや世界観を面白くしても、ゲームは面白くなっていないといえる。
具体的にゲームの目的を設定してみる
基底の目的はどれか一つでも良いし、複数にまたがることもよくある。そしてこの目的にはマクロな目的とミクロな目的がある。
例えばRPGで考えてみるとマクロな目的としてラスボスを倒すという目的がある。これは安全欲、知識欲、共感欲が含まれていると考える。また、その中にはある一つの街を救うというミクロな目的が含まれていると考えることができる。
大きな目的を達成するために小さな目的を達成していくことでプレイヤーが飽きることを防いでいる。
これは双方向のインタラクションを通してまるでジェットコースターに乗るように目的を超えていくことがフロー状態へと続いていく。
中層(選択):ゲームメカニズム
この層では、基層の目的を達成する手段について説明する。選択肢とも置き換えることができる。
基層の目的を達成するにはプレイヤーは選択をする必要がある。その選択を生み出すにはルールを用いる。
ルールは選択を作り、その選択が面白いものであるほどゲームは面白くなる。
面白い選択とはゲーム性、戦略、運、緊張と緩和を組み合わせたものになる。この選択肢を組み合わせることで頂層のフロー状態へと導かれる。
ルールは選択肢を産む
ルールはやっても良いこと、とやったらダメなことをきめプレイヤーが選べる行動を限定する。限定するのは選択肢にはつまらない選択肢と面白い選択肢があり、限定することで面白い選択肢をプレイヤーが選べるようにするためだ。
目的から面白い選択を限定するようにルールを設定する。
ルールは目的の障害ととらえることもできる。例えば山のぼりで、頂上へたどり着くことが目的だとしら、その途中に川を置くというのは川という障害をルールで作ったということになる。
川を渡らなければならないというルールを作ることで「泳ぐ」という選択肢が生まれる。
面白い選択肢とは
ルールが選択肢を作り、面白い選択肢とはゲーム性、戦略、運、緊張と緩和を組み合わせたものになる。
選択肢はただ増やせばいいのでなくプレイヤーがとりたいと思う選択肢を増やす必要がある。
プレイヤーがとりたい選択肢とは目的があり、その目的に対してゲーム性や戦略や運を天秤にかけることができるものになる。
プレイヤーがとりたい選択肢の多さはジレンマを生み、とりたい選択肢が増えるほどゲームの継続に繋がる。次はこっちの選択を試したいと思うからだ。ただ、選択肢が増えると一般性がさがる。一般性が下がるとゲームがあまり得意でない人にとっては難しくなり面白くなくなる。
選択肢の多さは想定しているプレイヤーに合わせて調節する必要がある。
プレイヤーの目的に沿った意味のある選択肢を提供することで、ゲーム面白さに繋がります。
次からはゲーム性、戦略、運、緊張と緩和を持った選択肢とはどういうものなのかを説明する。
ゲーム性と戦略
ゲーム性と戦略とはリスクとリターンの関係を表している。リスクとリターンとは以下のように考えることができる。
リスクとリターンの関係性
1、リスクを冒して、リターンを減らす、基本的プレイヤーが避けたい行動。縛りプレイ
2、リスクを冒して大きなリターンをえる、ゲーム性、緊張と緩和を与える。
3、リスクを減らしてリターンを得る工夫をする、戦略、攻略、裏技
4、リスクを減らしてリターンも少なくする、先送り、運を読む
なぜリスクとリターンが楽しいと感じるのかは、プレイヤーはリスクをとることで緊張する。その結果リターンを得ることで緩和する。この緊張と緩和こそがゲームを楽しいと感じる要素になる。基底を用いて説明すると、緊張と緩和には安全欲と知識欲を刺激する要素があるからだ。人は適切なストレスからそれを乗り越えることを楽しいと感じるようになっている。
リスクとリターンの関係性の中で2と3について意識的にゲームに追加することで面白いゲームとなる。
ゲーム性
どれだけのリスクをとってリターンを得るのかを選択できる。大きなリスクであるほど大きなリターンが返ってくる。
ゲーム性には短期的ものと長期的なものがある。
短期的
数秒で選択し結果が返ってくる
プレイヤーが緊張と緩和を感じる。敵の弾をぎりぎりまで引き付けて、反撃する。ひきつければ引き付けるほど弾にあたるリスクが大きくなるが、より強く反撃できる。擬音で伝わりにくいが「グッ」として「パッ」となるような感覚。
長期的
短期的より長い時間で選択し結果が返ってくる。
作戦を考えて数ターン後に結果がわかるもの。
どきどきからのほっと。戦闘からのクリア
うまくいけ・・・、うまくいけ・・・、からのうまくいった。
戦略
リスクを減らしてリターンを得る工夫のこと
戦略を作るためには次のような情報をプレイヤーに与える必要がある。
- 自己の状態とゲーム環境、ルールの正確な理解
- 目指す目的
- 実施した結果のフィードバック。何がだめで、何がよかったのか
だめだった部分はプレイヤーがコントロールできる部分であること。
いきなり魔王が遅い掛かってきたら理不尽にしか感じない。
戦略深さ
どれだけ選びたい選択があるか。その数の多さ。
面白い要素の足し算で考えると戦略の深さ分だけ選択しを考えないといけなくなるが、掛け算のように考えることで戦略が多様になる。
運
運の要素は予測不可能性をもたらし、緊張感とサプライズ、射幸心をゲームに加える。また、ランダム性はあきることを先のばしにする。
一般的に運の要素が強いほどカジュアルになり一般性が上がる。
ゲーム性と重なる部分もあるが、リスクとリターンに運を掛け合わせより多くのリターンにするこで、緊張と緩和が増大し、ゲームの面白さがにつながる。
運は予測不能であるが、確立によってプレイヤーはリスクを理解することができる。コイントスで表が出る確率は50%だからそれに見合ったリターンはと考えることができる。
緊張と緩和
ゲーム性で記載した通り緊張と緩和自体が人は面白いと感じる。選択肢を考えるときにそれはゲーム性か戦略、運の要素があるが、その選択は緊張と緩和を体験できるものかで面白い選択肢かどうかを判断できる。
緊張を作る一例
時間、危険な場所、迫りくる敵、不安定な足場、恐怖、強大な敵。
頂層(フロー状態):レベルデザイン
頂層では中層を組み合わせ、フロー状態になるための方法を説明する。
中層を組み合わせることはレベルデザインと呼ぶ。
フロー状態は、プレイヤーがゲームの挑戦と自身のスキルが完璧に一致することで、全ての注意がゲームに集中し、時間の感覚が失われるほど没頭する心理的な状態。この状態を作る調整をレベルデザインという。
この状態を達成するためには、以下の条件が必要になる。
フロー状態への条件
明確な目標
ゲーム中にこれがしたい。こうなりたいというものがあること。人間の本能には整理したい、解決したい、安全な場所に行きたいというものがるためそれを利用し目標とする。
状況の理解
プレイヤーはどういう状況に置かれているかを理解している。目標に対してどういう選択がとれるのか理解している。ゲームのルールを理解している。
配置するオブジェクトを工夫する
オブジェクトの外形と属性や行動を一致させることでプレイヤーにどんなオブジェクトか理解しやすくする。
また、配置によって製作者の意図を伝えることができる。例えば、正しい扉やルートの場合ほかにはない色にしたり、扉の両脇にたいまつをつけたりすることで正規ルートがわかる。
見た目のイメージと属性に乖離があるとプレイヤーは混乱する。木の見た目のに燃えないとか、鉄の見た目なのにすぐ折れるなど。
音やエフェクトを工夫する
壁にぶつかっているのが「ごっ!」という音や、壁が削れるエフェクトを表示するとプレイヤーになにが起きているかがわかりやすくなる。
結果の予想
選択後の結果がどうなるのか予想できる。
プレイヤーは選択によってどいう結果になるか予想をする。予想した結果通りになると楽しいと感じる。
予測ができるように工夫する
アクションゲームであればこれから挑戦する場所を見えるようにカメラを調整することでプレイヤーはここでジャンプしてという風に予測を立てることができる。
それによってもし失敗したとしても、納得のいく失敗となる。
結果をわかりやすくする
60秒0死でクリアしたほうがいいのか、50秒1死でクリアしたほうがいいのか、評価軸を一つにしてわかりやすくする。もし、時間を評価軸にするなら、死ぬとタイムが10秒プラスされるとか工夫しわかりやすくする。
主体的なコントロール
プレイヤーが意図したとおりにゲームへ影響を与えることができる。選択ができる。
主体的なコントロールとはいえないのは、理解できない操作方法、適切でないUI、プレイヤーがコントロールできない要素。
また、製作者が想定している遊び方に集中できるような工夫も必要。例えば空中に浮かぶコインをとることが意図した遊び方であれば、コインに夢中となり穴に落ちることは意図しかことではないといえる。
穴のまわりに柵をつけたり、コインをとることに集中できる工夫が必要。
穴を気にしながらコインをとるというのが意図したものの場合は問題ないが、製作者が意図したものであるかが大切だ。
適切な難易度
適切な難易度はプレイヤーに緊張を与える。この緊張が緩和へとつながる。つまり緊張を与える難易度や選択である必要がある。
ゲームの難易度は、プレイヤーの現在のスキルレベルに合わせて調整される必要がある。過度に簡単すぎると退屈を感じ、過度に難しいとフラストレーションが生じる。
即時のフィードバック
プレイヤーの予測と結果が一致しているかがわかる。行動の結果がわかる。改善点がわかる、なぜ失敗したかがわかる。
なぜ失敗したかがわかるとプレイヤーは失敗しないように改善し、再プレイに繋がる。
適切なリターン
ご褒美、次につながる動機となる。達成感。
リターンのタイミング
即時のフィードバックの後か同時に与える。
緊張から緩和に切り替わるタイミングで与える。
リターンをわかりやすく
プレイヤーのどの選択の結果のリターンであるかわかるようにする。
リターンと射幸心
射幸心は脳の報酬系の機能で、利益が出た時ではなくでそうなときに大量に放出される。このことを利用し、継続性を高めることができる。
例えばボタンを押すとリンゴが出てくる機械があるとして、ボタンを押したときにリンゴが出てくるのをランダムにする。
りんごが出てきたときじゃなく、ボタンを押すとき、リンゴが出てくるか出てこないかわからないときに脳の報酬系が一番刺激される。
これは人間が生きるための報酬を先送りにするという仕組み。
お米の例にすると、おなかがすいたからと言ってお米の種もみまですぐに食べてしまうと生きていけない。
お米が育つことを食べることよりも快感に感じることにより、種を埋め、収穫し、食料を増やして生きていける。
射幸心を利用することでプレイヤーに行動させることができる。
リターンの偶然性
リターンはプレイヤーの予想以上であれば問題ない。たまにはプレイヤーの予想以上にリターンを得ることがあれば、その経験が射幸心となる。
リターンの効果
製作者の遊び方を伝える
リターンをどの結果からあげるかによって、製作者の意図する遊び方に誘導することができる。
例えば敵を踏んで倒すことが面白いゲームであれば倒した時にリターンを渡すとプレイヤーはそれを繰り返すようになる。
敵を踏んで倒すことが利益になるとプレイヤーは「知る」からだ。
繰り返し遊びたくなる
人は褒められるとうれしくなりそれを繰り返す。もう一度ゲームを続ける動機となる。
覚えてもらいたいことを記憶させる
人は褒められたことを記憶する習性があるため、それを利用して覚えてほしい行動をしたときにリターンを渡すと覚えてもらえる。
ゲームを褒める機械とする
ゲームの基底で共感欲があるように、人は褒められることで楽しく感じる生き物。ゲームを通していかに褒めるかを考えることで面白いゲームになる。
褒めるためには何か障害を乗り越える必要がある。面白い障害(ルール)をつくりよりたくさんプレイヤーを褒めるようにする。
具体的なフロー状態への条件とは
目標はゴールすることでその途中にとげつきの壁があり、その壁はプレイヤーにとってちょうどいい高さであり、ジャンプすれば超えられることを理解し、ジャンプはBボタンで出来ると知っていて、ジャンプしたあと成功すれば予想通りのリターンがもらえ、失敗すればなにが悪かったのかすぐ理解できる。
このような状況が続くとフロー状態になる。
特に壁の高さを適切にすることが重要。
これらが満たされることでフロー状態になりゲームへ没入する。
製作者の意図はプレイヤーが発見できるようにする。
ここまで製作者の意図を正確にプレイヤーを伝えると書いたが、場合によってはそれが押しつけになり、プレイヤーが面白くなくなる要因になる。プレイヤーの選択を想定するのは前提として、その選択をプレイヤーが見つけることをできるのが最も良い。自分で見つけた選択、攻略は主体的なコントールやゲーム愛着に繋がる。
難易度を調整するには
知識と操作の難易度
難易度には知識的なものと操作的なものがある。知識的なものはそのゲームについて詳しくなければ正しい選択ができないものだ。必要な知識が多いほど難易度は高くなる。
操作的なものはプレイヤーが適切なタイミングでボタンを押すのが上手くなるというものだ。アクションゲームの上達と言い換えてもよい。
積み上げる
選択肢を分類し、この選択肢はレベル1、これはレベル2というように選択肢をレベルで分けてそのレベルを組み合わせることでプレイヤーにとって適切な何度に調整する。
数字で調整するのも一つの方法。敵を難しくするには敵のHPを増やすという風に数字で調節できると難易度は調整しやすい。
積み上げない
積み上げる方法だと最終的にとんでもない難易度となりプレイヤーはゲームをあきらめてしまう。また、同じことで数字だけ変える方法もあきてしまう。なので、別の要素のレベル1の選択肢を用意する。
難易度の強弱
難易度の度合は一定よりも強弱のある方がプレイヤーにとって面白く感じる。それは難易度の強弱が緊張と緩和につながるからだ。
ミクロとマクロがある
達成する目的にしてもミクロとマクロがある。これが複数重なった状況はよくある。
例えばタイムアタックの要素の中に、ドリフトがある。良いタイムを出すのがマクロの視点。ドリフトがミクロの視点になる。
ドリフトは緊張と解放の連続、それを複数クリアすることで良いタイムがでる。ミクロとマクロが重なった状態になっている。
レベルデザインとして積み上げるというものに近いが、プレイヤーのミクロな目的なマクロな目的に重なっている状態となっている。
目的を連続させる
ミクロとマクロの概念に近いが、ミクロの目的が達せする前に別の目的を提示し、プレイヤーには常に目的があるように設定する。
テストプレイを見る
誰かにゲームをしてもらい、それを後ろから観察し、レベルデザイン通りにプレイしているかを確認する。このときプレイヤーの感想や改善点は一時情報ほしてうけとり、そのままうけとる必要はない。それよりもプレイヤーはどこを見て、どう動いたか、どうすると意図通りの動きをするかを考えることが重要。
プロの現場ではプレイヤーの目を動きをトレースすることもあるとか。
再プレイを高めるための工夫
再プレイをし、プレイ時間が長くなるほどプレイヤーは面白いゲームだと感じようになる。面白いゲームだからプレイ時間が長くなるのではなく、プレイ時間が長いから面白い思い込む人間の習性がある。
あと一歩、あと少しの状況をつくる。
クリアすると金メダルがもらえるゲームで、一つだけ銀メダルがあるとそのメダルを金にしたいと思うの人間の本能。ステージの一つだけ金をとるのを難しくすることで、普通にプレイすると銀になるようにすると、プレイヤーに再プレイしたくなるようにしむけることができる。
ゲームの体験のレイヤー
ゲームを通して得ることができる体験にはレイヤーがある。このレイヤーはゲームで遊ぶことを超えている範囲もあるが、面白いゲームであるために知っておくべきだ。レイヤーは下から以下のようになる。
操作:コントロール、UIに違和感がない
目的:目的の達成、選択。
承認:実績、他人からの賞賛
超越:ハイスコア、やりこみ、縛りプレイ
操作に違和感がなくゲーム集中できる状況で、自分のやりたいこと、選択をし、目的を達成する。その後、ゲームクリアによって実績や他人の承認を得ることになる。そのあとは自己実現のためのやりこみを続けるようになる。
チュートリアル
ゲームをすべて作り終えた後、最後にチュートリアルをつくる。このゲームの魅力をいち早く気づいてもらうための仕掛け。
まとめ
筆者がゲーム作るうえでゲームの面白さとはどういうものかをまとめた。ゲームの面白さについては様々な意見があると思うがこの記事はかなり包括的で、確信をついた内容だと思っている。
ゲーム作りに生かすもよし、面白いゲームを理解するために使うもよし、この記事がまだみぬ面白いゲーム作りの参考になるとうれしいです。
以下はゲーム開発に役立つ、おまけです。
エンタメの面白さとの融合
音による表現
音で状況理解も行える。プレイヤーは、水におちる音で水があることを理解する
ストーリで目標をつくる
面白い物語は強力な目標となる。リターンとして物語の続きを読めるようにするだけでゲームが面白くなる。
面白い選択肢
面白い選択肢を考える上で双方向のインタラクションには先と後があるという考え方が役に立つ。
先
こうしたい、これができたら面白いという体験を提供する。
例えば宇宙から地上へジャンプするとか、どハデな魔法を使うとか。
後
プレイヤーにとってどうにもならないような状況をつくり、そのあととんでもない新たな力やスキルでクリアできるようにする。
例えば、無敵に近い敵キャラを伝説の剣を使用し、一撃でやっつける。
Tips
ゲームの面白さを作るうえでTips
メルセデスメソッド
3つ独立したやることをクリアすると次にすすめる。プレイヤーはどれからクリアしても良い。
良いアイディアは量から生まれる
数を作らないことには良いものは作れない。
十字思考
2軸で考え、新しい組み合わせを考える。例えば値段が高い、低いお菓子とおいしい、まずいという2軸をつくり、よいお菓子というのは値段が低く、安いというのが一般的だが、値段が高く、まずいというお菓子はなにかに使えないかと考えることができる。
オズボーンのチェックリスト
代用、組み合わせ、適応、拡大、縮小、代替、再配置、逆転、結合をアイディアに組み合わせる。
掛け算思考
一つの要素を長所を縦軸、もう一つの要素の長所を横軸に書き、それぞれ掛け算の九九のように組み合わせていく。
ゲームのナラティブ
ナラティブとストーリに分けられる
ストーリ
物語のをよみ、すべての人の体験が同一の内容になる
ナラティブ
断片的な情報。体験した人が自身の経験とあわせ、自分で物語を作っていく。
RPGで村全員と話すひとと、最低限の人ではナラティブが異なる。
ゲーム体験でしか味わえない深みが与えられるという点
面白いゲームのチェックリスト
企画の段階で自分が思う面白いゲーム要素に関するチェックリストつくりそれが満たされているかを確認していく。
「なるほど」と「おもしろい」を混同しない
複雑なルールや条件は面白いにはつながらない。プレイヤー面白いと感じることファーストで考える
ゲームプレイを通してどう感じたがすべて
「映画全体より価値のある1シーンなど存在せず,1シーンよりも価値のあるセリフ1行など存在しない」
どんなに優れたメカニズムでもゲーム全体を見たとに面白くなければ切り捨てたほうがいい。
ゲームはプレイヤーと製作者との双方向のインタラクション
プレイヤーとCPUと考えがちだが、レベルデザインを通して製作者の思いを伝えることができる
好きより愛
平均的なものより、何かに特化した選択が重要。通常は使いにくいがある状況下では最強。
発展 ここから生成AI
フレームワークを使用しテトリスの面白さを説明する。
基層(目的)
テトリスはシンプルながらも深い目的を提供します。プレイヤーの主な目的は、異なる形状のブロックをうまく配置し、横一列にブロックを並べて消去することです。このプロセスは、収集欲(ブロックを集めて整理する)、競争欲(スコアやレベルで自己や他者と競争する)、そして知識欲(ゲームを進める中で最適なブロック配置を学ぶ)を刺激します。
中層(選択肢)
テトリスは選択の多様性という点で優れています。プレイヤーはブロックの回転や配置場所を選ぶことにより、ゲームの進行に直接影響を与えます。これは双方向のインタラクションの一例で、プレイヤーのアクションがゲームの結果に直結することを意味します。また、ゲーム性と戦略のバランスも重要で、どのブロックをどの位置に配置するかという選択は、リスクとリターンを常に考慮する必要があります。
頂層(フロー状態)
テトリスはフロー状態を達成するのに理想的なゲームです。プレイヤーは明確な目標(ブロックを消去し、高スコアを目指す)を持ち、適切な難易度(ゲームが進むにつれて速度が上がる)と即時のフィードバック(ブロックが消去される音やスコアの上昇)が提供されます。これらの要素はプレイヤーをゲームに没入させ、時間を忘れさせるフロー状態を促進します。
まとめ
テトリスの面白さは、プレイヤーの基本的な欲求を刺激し、連続する選択を通じてゲーム性と戦略的な深みを提供し、フロー状態を実現することでエンターテインメントとしての価値を高めることにあります。シンプルながらも奥深いゲームプレイは、世代を超えて多くの人々に愛される理由となっています。
まるばつゲーム(3つマークをならべたほうが勝ち)を面白くするには
まるばつゲーム(別名: ティックタックトゥ)は、そのシンプルさから世界中で広く知られています。しかし、その単純さは同時に戦略の範囲を限定してしまい、経験豊富なプレイヤーにとっては予測可能で退屈になりがちです。ここでは、上記のフレームワークを用いて、まるばつゲームをより面白くするための提案を行います。
基層(目的)
まるばつゲームの基本的な目的は、3つのマークを一直線に並べることです。この目的をより面白くするためには、以下のような新たな目的や変種を考案することが有効です。
複数の勝利条件: 例えば、3つ並べるだけでなく、特定の形(例: L字型、四角)を作ることでも勝利できる条件を追加します。
ポイント制: マークを並べるごとにポイントが得られ、一定のポイントを先に獲得したプレイヤーが勝者となるようにします。
中層(選択肢)
選択肢の増加は、ゲーム体験を豊かにする基本的な手法です。まるばつゲームにおいては、以下の方法で選択肢を増やすことが考えられます。
ボードの拡大: 通常の3x3のボードよりも大きなサイズを用いることで、戦略的な深みを増します。
特殊ブロックの導入: 例えば、一度に2つのマスを占めることができるブロックや、相手のマークを上書きできるブロックなど、特殊な効果を持つブロックを導入します。
頂層(フロー状態)
フロー状態を達成するためには、ゲームの提供する挑戦がプレイヤーのスキルレベルと一致している必要があります。まるばつゲームにおいては、以下の方法で適切な難易度とフィードバックを提供できます。
適応型AI: プレイヤーのスキルレベルに合わせてAIの難易度が調整されることで、常に挑戦的である一方で到達不可能ではないゲームプレイを提供します。
学習要素の導入: プレイヤーが新しい戦略を試し、それに基づいて即時のフィードバック(勝利、敗北、スコア)を受け取ることができるシステムを設けます。
参考
ゲーム性とは桜井政博さんが作った言葉です。
Mark Rosewater ゲームデザインの教訓