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Qiita内で圏論に言及するエントリのまとめ (4)

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前回に続き、qiita内の圏論に関するエントリの真偽を検証します。

モナドを使って副作用のある関数を純粋な関数にする

正しいことも書いてありますが、話の核の部分は完全に誤っているエントリです。

ある圏の中の関数を合成した関数は、同じ圏の中にないといけないのです。

正しい主張です。

圏論で言うところの直和です。
でも例外には直和を使えと書いてあります。

文章中の定義を直和と言っていいかは微妙ですが、通常、例外を数式で扱うには直和を用います。

でも大丈夫、この大変な変換をしてくれるのがモナドなのです!

クライスリ圏における射の合成のことを言っているのであれば、正しい主張です。

自己関手Tと2つの自然変換η、μの組です。

正しい主張です。

関手というのは圏を別の圏に変換する変換で

正しい主張です。

自然変換は関手を別の関手に変換する変換です。
自己関手TはCをCへ変換するものです。
ηは1CをTに変換する自然変換です。
μはT2をTに変換する自然変換です。

「変換」を使うべきかは議論がありますが、正しいと言っても差し支えはないと考えます。

2つの自然変換はただの自然変換ではなく、以下の可換図式を満たさないといけません。

wikipediaの引用ですが、正しい記述です。

T(i)=Right(i)
T(s)=Left(s)

誤っています。自己関手Tの対象関数を定義している式と予想されますが、Right i、Left sはいずれも対象ではありません。Either、もしくはeが対象と考えられます。

T(fis)(x)= ...
T(fsi)(x)= ...

誤っています。自己関手Tの射関数を定義している式と予想されますが、この定義では関手になりません。$T(\rm{length} \circ \rm{em})(\rm{"XYZ"}) \ne (T(\rm{length}) \circ T(\rm{em}))(\rm{"XYZ"})$となり、結合則が満たされません。

ηは1CをTに変換する自然変換で、μはT2をTに変換する自然変換です。
1Cというのは、自分を自分にそのまま対応させる関手で、int型をint型に、fiiをfiiに、というように、何もしない変換です。

正しい主張です。

これが可換図式を満たすことを確認します。
...
というわけで、このTとμとηの組は本当にモナドです。
...
なんにせよ、モナドのおかげで不純な関数を消して、純粋な関数だけからなる世界を作ることができました。

誤っています。Tが関手ではないため、この議論は成立しません。

今回の訳注

例外をつけくわえるモナドは、 $T X = E + X$として知られています。 $+$ がいわゆるEither型構築子です。

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