この記事はSchoo Advent Calendar2024の17日目の記事です。
2024年8月からジョインして、主にフロントエンドを開発している @schoo_tetone です。
我々ソフトウェアエンジニアが仕事中に一番触ると言っても過言ではないもの、キーボードの話をします。
コードを書くにしても、チャットを返すにしても、使うのはキーボードです。AIの進歩により今後キーを叩く回数は減っていくかもしれませんが、まだまだ完全に0にはならないでしょう。
私は毎日使うものには、自分がより気に入ったものを使う方が良いと考えています。沢山触るんだから、使っていて楽しい、気持ちが良い、テンションが上がる、そういうことはとても大事なはず。
毎日使うものの質が上がると、分かりやすくQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が上がります。いつも飲んでいる牛乳がたまたま売ってなくて、たまたまその隣にあった、いつものよりもちょっと良いやつを買って飲んだ時、「うま〜〜〜」ってなるやつ。ヨーグルトとか豆腐とかでも発生するあれ。あの感じ。
牛乳などの例だと、ちょっと良いやつっていう値段の話をしてしまいましたが、キーボードの場合は、自分が使いやすいっていう部分にフォーカスするのが良いと思います。高ければ良いという訳ではなく、使っていて楽しい、気持ちが良い、テンションが上がる、そういうことはとても大事なはず(大事なことなので2回言いました)。
料理人はこだわりの包丁を使うでしょう?プロ野球選手だって自分に合うようにオーダーメイドしたバッドやグローブを使うでしょう?それが我々ソフトウェアエンジニアにとってのキーボードなのではないでしょうか?
もちろん「弘法筆を選ばず」という言葉もあるように、凄い人はどんな道具を使っても凄いです。そこに異論はありません。でも空海だって自分がイチオシの筆を使って書いた方が、そこら辺のボロボロの筆を使って書いた時より間違いなく楽しいはず!筆が進んでつい多く書いてしまった、ということもあったかもしれません。
そんな感じで「わたし、キーボードには多少なりともこだわっております😤」というような話をした時に新卒の @hiroto_0411 君に言われました。
「良いすね!でも、そもそもキーボードってなんか沢山種類があってよくわかんないんですよね🥹」
「沢山種類があってよくわかんないんですよね🥹」
確かに…!!!
私も新卒の頃は、そもそもキーボードに種類があるということを意識したことはありませんでした。
日本語配列と英語配列ですら意識してなかったかもしれない。
そもそもよくわかんなかったら自分にはどんなキーボードが合っているのかとか、そういう話までいかないよね。なるほどなるほど。
という訳でキーボードの話をします。
キーボードと一口に言っても幅が広いので、今回はキーを押した時にどうやってその信号を感知しているかという部分にフォーカスして話します。その違いでそれぞれのキーボードにどんな特徴があるのか、みたいなところを書いていきます。
この記事の想定読者
- 周りの人、PCにデフォルトでついてくるのはと違うキーボード使ってるけどあれ何?って思っている人
- 自分に合ったキーボードを使いたいけどたくさん種類があってよくわからないと思っている人
- @hiroto_0411
そもそもキーボードって押したキーをどうやってPCに送っているの?
キーボードのキーを押した時、その情報が電気信号に変換されてPCに送られます。そのキーを押した時、「今このキーが押されました!」という情報を感知するやり方がキーボードの種類によって違っていて、その違いが値段だったり、押した時の感じ(打鍵感)だったり、耐久性なんかにも関わってきます。
メンブレン方式
最も一般的なのがこれだと思います。安く製造できるのでデスクトップPCとかにデフォルトでついてくるのはこれ。キーの下にゴム製のドームがあり、キーを押すとドームがへこんで回路が接続され、入力信号が生成されます。
- 安く作りやすい
- 構造がシンプルなのであまり壊れない
- あまり壊れないけどゴムは劣化していくので打鍵感は変化していく
- ゴムを押し込むという構造なのでそんなに音が出ない
のような特徴があります。
パンタグラフ方式
ノートパソコンでよく使われているやつです。キーの下にパンタグラフと呼ばれるX字型の金属製の構造物があり、キーを押すとパンタグラフが縮んで回路が接続されます。仕組みがイメージしづらいと思ったのでWikipediaのリンクを貼っておきます。
- 薄い、軽い
- キーストロークが浅くてペチペチな打鍵感
- メンブレン方式に比べると音(ペチペチ)は大きめ
のような特徴があります。
メカニカル方式
メンブレンやパンタグラフは買ったPCに付属してくるもので、そこから自分に合ったキーボードを使いたい!となったらまずこの方式になります。キーの下に独立したメカニカルスイッチを搭載した方式です。このスイッチが押されると信号が生成されてPCに送られます。スイッチの種類によって打鍵感が大きく異なります。
代表的なスイッチの特徴を言うと
- 青軸 クリック感と打鍵音が大きく、押した感は凄くある。音はうるさい。
- 赤軸 軽いタッチで入力できる。音も青軸よりは小さい。
- 茶軸 青軸と赤軸のいいとこどりな存在。ある程度軽いタッチも欲しいがクリック感も欲しいと言う時はこれ。
などがありますが、今はこのスイッチが本当に色々な種類があって、一番自分好みにカスタマイズできるのがこの方式だと思います。
一つ一つのキーに対してスイッチが独立しているので、
小指で押すキーは軽くしておきたいから押下圧(キーを押し込むために必要な圧力)30gのスイッチにしておいて、エンターキーはもうがっっっつり押した!感欲しいから押下圧60gのスイッチにする。
とか
オフィスで使うキーボードは周りに人がいるから音が静かなスイッチを使っているけど、自宅用のキーボードは音を気にしなくて良いから、音は大きいけどしっかり押した感のあるスイッチを使っています。
とか、そういうカスタマイズがしたいならこの方式です。
ただし、スイッチを変えるにしてもお金がかかりますし、自分に合っていそうなスイッチが新しく発売されてたら試したくなる、そして買って自分のキーボードのスイッチを付け替えるだけで試せてしまうので、凝り出すとお金はかかります。
静電容量無接点方式
キーの下に静電容量の変化を感知するセンサーを搭載した方式です。キーが押し込まれ電極同士が一定レベルまで接近すると、静電容量の変化を検知して入力されたことを伝える仕組みです。
無接点の名の通り、接点が無いので、部品が劣化して壊れるというようなことも起こりづらいです。実際に10年以上同じキーボードを使い続けている人が知り合いにいます。
静電容量無接点方式と言えばHHKB、REALFORCE、Niz、LEOPOLDが有名ですが(というかこの4つしか無いんじゃなかろうか?他にあれば知りたいので教えてください🙇♂️)、HHKBとREALFORCEはBluetooth接続用の給電に乾電池方式が採用されています。リチウムイオンバッテリーじゃないのは、静電容量無接点方式のキーボードは本体が壊れないのでバッテリーの方が先にへたってしまうからです。それくらい静電容量無接点のキーボードは壊れません。
私がメインで使っているのもこの静電容量無接点方式で、HHKB Professional HYBRID Type-S→Niz Atom66と来て今はREALFORCE R3を使っています。ちなみにNizのAtom66はバッテリーがへたって有線接続しかできなくなってしまったのでHHKBとREALFORCEの乾電池方式は本当に正解だと思っています。
静電容量無接点の打鍵感は独特でコトコトとかコポコポという感じです。これにハマってしまった私は抜け出せなくなってしまったのですが、打っていてとても気持ちがいいです。ずっと打ちたくなる。
参考にNiz Plum87の打鍵音動画を貼っておきます。(余談ですが、キーボードに興味があるならこのDaihuku Keyboardさんのチャンネルはおすすめです)
- 耐久性がとても高くて壊れない
- 独特の打鍵感でハマると抜けられない
- 音が静か
- 値段は高い(最低でも3万円くらいでは考えておいた方が良い)
コアなファンも多く、特にHHKBは定期的にユーザーミットアップイベントも行われていてコミュニティも活発ですね。
その他の方式
ひとまずは今までに挙げた
- メンブレン方式
- パンタグラフ方式
- メカニカル方式
- 静電容量無接点方式
をおさえておけば自分に合うものが探せると思っています。
が、最近は上記に加えて - 光学式方式
- 磁気誘導方式
なんてものもあったりします。が、まだそこまで数が出ているものでも無いので今回は省略します。
興味のある方は以下の記事を参照してみてください。 - 磁気式キースイッチについて解説
まとめ
自分のお気に入りの道具を見つけると言う趣旨で、ソフトウェアエンジニアが一番触っている道具であろうキーボードについて書きました。奥が深いので本当に自分に合うものを!と突き詰めていくと基盤の設計して、キーキャップは3Dプリンタで自作して…と言うところまで行ってしまうのでまずはこの辺までで。
他にもマウスだったりモニターだったりトラックボールだったり椅子だったり、ソフトウェアエンジニアが毎日使う道具は色々あると思います。
それぞれ自分のお気に入りを見つけてQOL上げていきましょう!それがより良いソフトウェアを作ることにつながると思います。
Schooでは一緒に働く仲間を募集しています!