IBM Workload Scheduler(以下IWS) 10.2の新機能として、新しいプラグインがいくつか追加されました。
プラグインとは、クラウドサービスや様々なサードパーティーソフトウェアとの連携を可能にするモジュールです。プラグインを追加することでIWSでより多くのタイプのジョブを管理することができます。本記事では IWS 10.2と同時にリリースされたプラグインについてご紹介します。
プラグインを追加することでIWSで管理できるようになる様々なジョブのタイプについては、こちらで解説していますので参考にしてください。
新しいジョブプラグイン
IWS 10.2ではチケット管理システムにチケットを起票できるジョブプラグインや、IBM RPAのタスクを起動できるジョブプラグインなどが追加されました。それぞれのジョブプラグインとその概要について下表にまとめます。より詳しい説明は各プラグインの説明ページを参照してください。
ジョブプラグイン名 | 概要 | リンク |
---|---|---|
Jira Integration | チケット管理ソフトウェアであるJiraのチケット作成・更新が可能なプラグイン | Jira Integration |
ServiceNow Integration | ITサービスマネジメントツールであるServiceNowのチケット作成・更新が可能なプラグイン | ServiceNow Integration |
RESTful Web services Integration | RESTfulリソースへのリクエストをIWSジョブとして実行する | RESTful Web services Integration |
JSONata Integration | JSON,XML,YAMLフォーマットのファイルからデータを読み取ることができる。先行ジョブが持つプロパティを抽出し、後続ジョブに渡す際に使用できる。 |
JSONata Integration Mastering Data Manipulation: JSONata Plugin for Workload Automation(使用方法を解説したブログ) |
IBM Robotic Process Automation(IBM RPA) Integration | IBM RPA robotをIWS ジョブとして実行する |
IBM RPA Integration Automate IBM RPA - WDG processes with IBM RPA plug-in(IBM RPA Integrationの使用方法を解説したブログ) |
新しいイベントプラグイン
IWSには、何らかのイベント(ジョブの異常終了、特定ログメッセージの出力など)の発生をトリガーとしてアクションを起こす、イベント・ルールという機能があります。このイベント・ルールで利用できるプラグインが追加されました。
それぞれのイベントプラグインとその概要は下表のとおりです。より詳しい説明は各プラグインの説明ページを参照してください。
イベントプラグイン名 | 概要 | リンク |
---|---|---|
JIRA Event | Jiraへチケットをオープンするイベントプラグイン。ジョブの異常終了時などルールにマッチしたイベントをトリガーとしてJira へチケットを起票することが可能 | JIRA Event |
ServiceNow Event | ServiceNowへチケットをオープンするイベントプラグイン。ジョブの異常終了時などルールにマッチしたイベントをトリガーとしてServiceNowへチケットを起票することが可能 | ServiceNow Event |
新プラグインの利用方法
上記のプラグインは、すべてAutomationHub よりダウンロードしてIWSサーバーにインストールする必要があります。RESTful プラグインを除き最初からインストールされているわけではないため、上記プラグインを利用する要件がある場合は、それぞれのプラグインの説明ページからプラグインモジュールをダウンロードしてご使用ください。ここでは ServiceNowプラグインの利用例をご紹介します。
ServiceNow プラグインのダウンロード
ServiceNow Integration プラグイン紹介ページ(下記)よりダウンロードします。
画面の上部に"IBM USER"というボタンがあるので、こちらをクリックすると IBM FixCentralのダウンロードページへ誘導されます。(IBM idが必要です。)
ServiceNow プラグインのインストール
インストール方法は上記プラグイン紹介ページに記載がありますが、
IWSサーバーの "IWSインストールディレクトリ/TWS/applicationJobPlugIn"にプラグインのjarファイルを配置し、他のファイルとオーナー・パーミッションを揃え、IWSサーバーを再起動するのみです。
ServiceNow プラグインの利用例
IWSに登録するジョブネットに、ServiceNowへチケットを起票するジョブを組み込むことが可能です。例えば下図のように、Job1が異常終了したらリカバリージョブでServiceNowへチケットを起票し、チケットが解決済みになったらJob2を起動する、といったジョブネットを組むことができます。
ServiceNowプラグインのジョブを登録するには、Dynamic Workload Console の Workload Designer を開き、ServiceNow ジョブタイプを選択すればOKです。
ジョブの登録画面でチケットを起票したいテーブル名(ここでは incidentを選択)、チケットで入力したい項目とその値、どのステータスになるまでモニターするかなどをジョブのプロパティーで指定します。チケット作成先のServiceNowインスタンスや必要な認証情報も指定します。ServiceNowのAPIを叩くようなスクリプトを作成する必要はなく、全て Dynamic Workload Consoleで指定できます。
実際にジョブが起動されると、ServiceNowにチケットが起票されます。
ジョブで指定した入力項目が反映されていることがわかります。
ServiceNowプラグインの例をご紹介しましたが、プラグインを使用するとこのような形で様々なアプリケーションと連携できます。
まとめ
新しいジョブプラグインやイベントプラグインのリリースにより、チケットを自動起票するジョブやRPAタスクを日々のジョブネットへ組み込むことが可能となり、より多くの種類の処理を自動化できるようになっています。日々の業務において自動化することが難しく、またジョブネットに組み込むことが難しかった処理も、IWSならプラグインを活用して自動化できる可能性があります。今回リリースされたプラグイン以外にもすでに多数のプラグインが公開されています。すでにIWSを利用されている方も、これからジョブスケジューラーを利用したいと考えている方も一度こちらを覗いてみてください。良いことがあるかもしれません。
本記事は以上です。