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グリー品質管理Advent Calendar 2021

Day 10

審査ってなあに?

Last updated at Posted at 2021-12-10

#自己紹介

こんにちは!App Review(以降「審査」)チームのさんしです、好きな食べ物はプロテインです。
最近はクレアチンにも手を出していて、成長期真っ盛りの39歳です。

昨年までアドベントカレンダーはQA部門のみで実施していましたが、今回から部内全体でやろうぜということになり、審査チームからも投稿させていただきます。

でも、「審査」と聞いてもピンと来ない方がほとんどなのではないでしょうか。
ということで、初回ということもありグリーのアプリ審査ってどんなことをやっているのかを紹介させていただければと思います!

#審査ってなあに?

ひとことで言うと「あんしん・あんぜんを守る番人」です。

ゲームや各種サービスを運営するに当たって、守るべき法令や業界ガイドライン等が存在します。
運営するサービスで法令違反をしてしまうのは大問題というのは言わずもがなですが、最近ではガチャの誤表記などによる、いわゆる「炎上」事案が業界でも相次いで発生しています。
こういった問題を発生させてしまうと、お客さまにご迷惑をおかけしてしまうどころか、多額の返金に発展したり、企業への信頼低下によるユーザー離れなどによって、事業を揺るがしかねない大きなリスクへと発展してしまいます。

実際にニュース記事などでご覧になり、影響の大きさに驚かれた経験がある方も多いのではないでしょうか。

何も対処せずに運営していると上述のとおり事業を揺るがしかねないリスクに発展してしまう為、それら遵守すべき法令等がきちんと守られているか、リリースしても問題ない仕様や表示になっているのか、世に出る前に審査を行いリスクを未然に防ぐことが僕たち審査チームの仕事です。

#ミッション

上でも触れましたが、事業を揺るがしかねないリスクを未然に防がなければならない為、僕らのミッションは第一に「事業を守る」こと!
なんですが、これだけだとなんだか夢がないというか。
事業を守るのは当たり前にしないといけないよね、ということで、加えて「付加価値向上で事業に貢献」することをミッションに掲げています。

品質向上だったり工数削減だったり、単に守るだけじゃなく攻めの部分もしっかりやっていきますよ!という意志が込められています。

#具体的な業務内容

グリーグループではゲーム事業、メタバース事業、広告・メディア事業の3本の事業を柱として注力しており、審査チームではそれら事業を対象に業務に当たっています。
現状ではゲーム事業を中心に対応している為、ゲーム事業前提でご説明します。

新規開発フェーズ
ローンチする予定のゲーム企画に対し各種法令等が守られているのか審査を行います。
企画初期段階から仕様の確認を行っていき、開発後半でプレイアブルになったら仕様に加えUIの審査も行います。
ローンチ直前には、ガチャやショップなどの商材で不当表示にあたる表示がないか、検証作業も行います。(これを表示検証と呼んでいます)

ポイントとしては、特定の企画の審査を行うのではなく、ゲームの根幹仕様から各種表示まで、上流工程から網羅的にゲーム全体を審査することで、リスクを未然に防いでいるという点です。

運用フェーズ
大きく2つ、新規追加・変更する企画の審査と、ガチャなどの施策リリース前に行う表示検証に分かれます。
追加する企画についてはゲーム内の新たな機能などはもちろん、ゲーム外で実施するキャンペーンやイベントなども対象にしています。

審査フローのイメージは以下のような感じです。
審査フロー.png

ちなみに、「法令を確認するって、法務の仕事じゃないの?」と思うかもしれませんが、法務がゲームの細かい仕様や表示すべてを確認するのはリソース等の観点から現実的ではありません。
そのため審査チームが独立した組織としてチェック要件をナレッジ化・オペレーション化し、判断に迷う要件が発生したら適宜法務と連携するような体制を取っています。

また、審査チームがプロダクトと法務の間に立ち、適切な落としどころに着地させる緩衝材のような役割も果たしています。
利害関係の異なる双方の間に入ることで、プロダクトのやりたいことを適法の範囲内で実施できるよう、日々行動しています。

別の視点で、「表示検証ってQAと何が違うの?」とご質問をいただくことが多くあります。
検証を行うという点ではQAと大きな違いは無いのですが、以下のような違いがあります。

QA 正しさの根拠は仕様書。仕様書通りの実装・挙動になっていることを担保
表示検証 正しさの根拠は法令。不当表示にあたる表示になっていないことを担保

例えば、QAだと仕様書どおりに実装されていればOKとなるところ、表示検証の場合「仕様書どおりだとしても、誤認させる表示になっていないか」という視点で検証を行います。
そのために、不当表示に関する訓練を受けたスタッフにて検証を行う体制になっています。

#審査の特徴

なんといっても、審査が「リリース承認権限」を持っているということかなと思います。
他社さんと意見交換していても、基本的には事業側で権限を持っていることがほとんどで、ここまで強い権限を持つというのは珍しいのではないでしょうか。

といっても「承認できないのでリリース不可!」となるケースはほぼなく、そうならないよう調整するのも審査としての大事な仕事です。

気を付けていることとしては、強い権限を持つ部門だからこそ、事務的にならないように気を付けています。
プロダクトとの距離が生まれてしまうと連携もしづらくなりますし、それによって品質リスクが高まってしまうなんてことにもなりかねない。
なので、極力柔軟に対応したり、「貢献できることはなんだろうか」と常々考えて行動するようにしています。

#今後の展望

審査という仕事は業界内でずっとニッチな分野でした。
何にどこまでコストを割くべきか、どの観点までカバーするべきなのかなど最適解が無く、ベストプラクティスがありませんでした。

ですがここ数年は他社さんでも審査に似た組織が組成されてきており、意見交換をさせていただく機会も増えてきました。

異なる会社、同じ立場の方々と意見を交えることで、「こうしなきゃいけないよね、こうあるべきだよね」と、業界としてあるべき姿が見えつつあります。

今後は「自分の会社の品質が守れていればいいや」ではなく、業界全体の品質底上げに繋がる取り組みができたらいいなと思います。
いや、します!

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