空き家問題とは
現在日本では、空き家が増加しているという問題があります。
空き家が増えると具体的に次のような問題が発生します。
1.安全面への不安
住宅の腐朽や破損が進行すると、建物の倒壊リスクが高まり危険です。
2.犯罪の温床になりやすい
ゴミの不法投棄や不法侵入、放火などの犯罪が起きやすくなります。
落書きなどの軽犯罪も起きやすく、街の景観が損なわれやすくなります。
3.地元経済へのマイナス影響
劣化した建物や落書きなどが増えることで、景観が損なわれてしまいます。
そのため、観光業をはじめとした地域産業の売上の機会損失を招き、売上の機会損失が起きてしまいます。
なぜ空き家になってしまうのか
国土交通省より令和4年度に公表された「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」では、次のようにまとめられておりました。
| 調査項目 | 調査結果 |
|---|---|
| 空き家の取得経路 | 相続贈与によってが78%を占める |
| 空き家にしておく理由 | 物置として利用、労力をかけたくない、住宅が狭い古い、解体費用を掛けたくない、更地にしても使い道がないなどが多い |
| 空き家を売却・賃貸する上での課題 | 住宅の傷み、設備や建具の古さ、買い手借り手の少なさ |
| 空き家対策を推進する上での課題 | マンパワー不足、知見不足により施策が進みにくい |
相続や贈与によって空き家を手に入れたはいいものの、効果的な活用方法が分からず、なおかつ費用面の懸念もあることから、放置されることが多いと読み取れます。
しかし、「空き家がなぜ発生してしまうのか?」という部分については、課題定義ができていないように感じました。
そこで今回は、総務省統計局が公表している「住宅・土地統計調査」を基に、機械学習をし、そこからどのような原理原則があるのかを考察し、そのうえでの対策を述べたいと思います。
データサイエンスとは
今回、空き家について調査するにあたって、機械学習を用います。それにあたって、データサイエンスとは何かということについて、事前に述べます。
AWSのサイトによると、このように書かれています。
(参考サイト:https://aws.amazon.com/jp/what-is/data-science/ )
データサイエンスは、ビジネスにとって意味のあるインサイトを抽出するためのデータの研究です。これは、数学、統計、人工知能、コンピュータエンジニアリングの分野の原則と実践を組み合わせて、大量のデータを分析する学際的なアプローチです。」
これにあるように、データから原理や原則をみつけ、意思決定(今回は空き家になる要因)をするのに利用します。
今回は、総務省統計局にあるデータから、空き家になる要因の原理原則を、機械学習という方法で導きます。
実行環境
パソコン:MacBook Pro
開発環境:Google Coraboratory
言語:Python
ライブラリ:Pandas、Numpy、Matplotlib
機械学習
今回は、総務省統計局が公表している「住宅・土地統計調査 平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 全国・都道府県・市区町村を基に、機械学習をしていきます。
以下が学習方法です。
# import
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
import japanize_matplotlib
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.ensemble import RandomForestRegressor
from sklearn.metrics import r2_score
# データ読み込み
df = pd.read_csv("FEH_00200522_230330202410.csv", encoding = "shift-jis")
# 分析で使うデータのみ抽出
df1 = df.iloc[1:, 8:]
# 数値以外のものを置き換える
df1 = df1.replace(',', '', regex=True)
df1 = df1.replace('-', 0, regex=True)
# int型へ変更
df1 = df1.astype(int)
# x=説明変数 y=目的変数
# 説明変数
# 居住世帯あり, 同居世帯なし, 同居世帯あり, 居住世帯なし, 一時現在者のみ, 二次的住宅, 別荘, その他, 賃貸用の住宅, 売却用の住宅, その他の住宅, 建築中
# 目的変数
# 空き家
x = df1.drop('空き家', axis=1)
y = df1['空き家']
# 学習用データと検証用のデータに分ける
x_train, x_test, y_train, y_test = train_test_split(x, y, test_size=0.2)
# モデル
reg = RandomForestRegressor()
# 学習
reg.fit(x_train, y_train)
# 予測
y_pred_reg = reg.predict(x_test)
# 精度
r2_score(y_test, y_pred_reg)
Out[] 0.9908196219981209
# 寄与度
reg.feature_importances_
Out[]array([0.06317101, 0.10036158, 0.06062377, 0.3748963 , 0.01712462,
0.00277928, 0.00435432, 0.09029612, 0.15046779, 0.07256208,
0.05826125, 0.00510188])
精度を可視化をすると以下のようになります。
plt.figure(figsize=(6,6))
plt.scatter(y_train, reg.predict(x_train), alpha = 0.5, label = "train")
plt.scatter(y_test, y_pred_reg, alpha = 0.5, label = "test: %.2f" %r2_score(y_test, y_pred_reg))
plt.xlabel("observed")
plt.ylabel("predicted")
plt.legend()
x_data = list(x.columns.values)
y_data = [0.06317101, 0.10036158, 0.06062377, 0.3748963 , 0.01712462,0.00277928, 0.00435432, 0.09029612, 0.15046779, 0.07256208,0.05826125, 0.00510188]
plt.figure(figsize=(15, 5))
plt.bar(x_data, y_data)
plt.show()
寄与度から考える空き家の要因
寄与度トップ3から、空き家の要因・原理原則を考えます。
1.居住世帯なし
空き家とは、人が住んでいないということなので、こちらはごく普通の結果かなと感じました。
こちらの「総務省統計局の居住世帯の有無」(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/nihon/1_2.html)
のデータを見てみると、年を追うごとに、全国的に居住世帯がS38年比でH20年の段階で100%増得ていることがわかります。

また、こちらのサイト(https://financial-field.com/living/entry-47495 )を見ると、同時期の住宅数の推移について、全国的に住宅数が増加していることもわかります。

これは不動産の仕組み(家を作らなければ収益は増えない⇒よって必要以上の住宅を作る⇒余剰がでる⇒空き家になる)の流れが要因だと考えられます。
2.賃貸用の住宅
以下の3点をあげます。
1.家賃が高すぎる
家賃(それ以外の費用)が高く、住む人がその物件を選ばず、空き家につながると考えられます。
2.物件の状態が悪い
築年数が経っていたり、古くなっており、空き家につながと考えられます。
3.住宅の着工数に対する賃貸住宅の割合が非常に大きい
こちらの「平成30年住宅・土地統計調査 特別集計」 のデータを見てみると、賃貸住宅は比較的大きな都市部(東京、大阪、愛知、福岡)に集中しています。
一方で、借りる側からしてみれば、前に住んでいた人の使い方によっては状態が悪かったりするため、築年数が多いほど空き家になるケースが多いでしょう。
3. 同居世帯無し
統計局HPの世帯の用語解説によると、以下のように定められています。
1住宅に1世帯が住んでいる場合はその世帯を「主世帯」とし,1住宅に2世帯以上住んでいる場合には,そのうちの主な世帯(家の持ち主や借り主の世帯など)を「主世帯」とし,他の世帯を「同居世帯」とした。
なお,単身者が友人と共同でアパートの1室を借りて住んでいる場合など,1住宅に二人以上の単身者が住んでいる場合は,便宜,そのうちの一人を「主世帯」とし,他の人は一人一人を「同居世帯」とした。
空き家を作らないシンプルな方法は住み続けることと考えると、人がそこに住み続ける場合、同居世帯がないことは居住期間が限られていることを意味しているため、将来の空き家物件としてみることができます。
空き家の対策
築年数がたっている物件に人は入りづらい(入ろうとしない、できれば避けたい)ことを考えると、年数が経った物件でも住めるような状況を作ることが空き家対策につながると考えられます。
1.リフォーム
私の住んでいるところは築13年ですがリフォームしたばかりで、非常にきれいです。
また、白を基調としているので、田舎な街ですが、かなり人気になる物件だと思います。
このように、リフォーム次第で住む人も増えると考えられます。
2.建築の段階で「古くなるほど味の出る物件」にする
そもそも建築段階で古くなってもかっこいい家に設計しておくことで、築年数が経過したあとでも空き家になりにくくなるでしょう。
こちらのサイトをみると、かっこいいだけではなく、住むほどに経年変化や、味わい深くなっていく室内を楽しめる物件が紹介されています。

3.レンタルスペースとして活用する
私の会社の新人研修は、貸会議室を利用していました。一日がかり会議を会社外で行いたいニーズも近年増えつつあります。
住む人を探したり、無理に居住用のスペースとして利用するのではなく、ビジネスとして利用できるようにする方法です。
宿泊先として貸し出すにはAirbnb、会議室やパーティールームとして貸し出すにはスペースマーケットがおすすめです。

参考:レンタルスペースのはじめかた
4.お店をオープンしたい人に貸す、買い取ってもらう
最近は古民家カフェが大変人気です。Instagramはカフェの写真で基本的に埋め尽くされています。
個人の飲食店や雑貨屋さんなどをオープンさせるとき、イチから物件を探すことは困難ですし、家賃なども高くつくと思います。
住んでいない家をリフォームしたり、キッチンをそのまま使うこともできるので、空き家を有効活用できます。

参考サイト:Instagram古民家カフェ検索結果
5.介護用の住居・グループホーム
特に過疎化が進む地方都市は空き家になるリスクが高いでしょう。
もし、介護が必要なのであれば、バリアフリーが整っている家にリフォームするなどし、誰かと一緒に住むことができます。また、空き家を介護施設として利用することも可能です。
近年高齢化が進む日本としては、介護施設の需要が伸びています。

参考:空き家活用.net 介護施設として活用
空き家を介護用施設として有効活用することで、補助金や税制優遇措置を受けることも可能です。

6.シェアハウスにする
生活様式の多様性が進むなか、シャアハウスの需要が一定数あります。
私の友達はシェアハウスに住んでいる方は多いです。また、大学生の頃は兄弟と一緒に住んでいる方も多い印象でした。
理由としては、都心は家賃が高いため、誰かと住むことが出来れば、一人当たりの家賃を減らすことが出来るからです。
大学など学生や若者がいる地域にはシェアハウスの相性が良いかもしれません。
参考:【空き家.net】空き家をシェアハウスとして活用する方法
7.親世帯と同居する
空き家を増やさない一番シンプルな方法は、親世帯と一緒に長く住み続けることです。
近年、人口は首都圏に集中しているため、地方出身者は親と同居するという選択肢が減っています。
地方誘致の政策やテレワークなど働き方の変化によって、同居という選択肢も今後広がってくるかも知れません。
まとめ
今回の分析を行い、現代の状況に合わせながら家の使い方を考えることが大切だと思いました。
日本は現在、人口が減少しており、それに伴って、不要な住居用の家も多くなるはずです。
しかし、家は決して住むためだけのものではありません。現在は、古民家カフェなどのおしゃれなカフェめぐりが流行っています。また。人脈や経済的な面から、シェアハウスなどで、誰かと住む人も増えています。
どうしたら人が住むのだろうと考えるのではなく、どうしたら活用できるだろうと考えることが、空き家を減らす方法として最適なのではないかと考えました。


