本記事は、
箱根駅伝データ分析物語 #1-1:傾向把握(往路)
の続きになります。
2.3. 分析結果
6区:山下り区間
N=171
縦軸:6区区間タイム
横軸:出走時10,000mベストタイム
- 10,000mベストとの関係性は一番読みづらい区間か…58分切りに絞ってみてもとりたてた傾向はなさそう?
- ただし28分台ランナーはほとんど60分切りをしているので、大外しをする/しないの目安として28分台かどうかは参考になるかも
7区:ザ・繋ぎ区間
N=289
縦軸:7区区間タイム
横軸:出走時10,000mベストタイム
- 区間として主力級を配置するケースはそこまで多くないことから29分台ランナーの出走が多い
- 28分台ランナーでも凡走しているケースは多く、本来なら往路区間を担うべき選手だが調子がイマイチなのでこの区間に配置された、という場合には足元をすくわれる可能性も高く、ギャンブル
8区:遊行寺の坂区間
N=274
縦軸:8区区間タイム
横軸:出走時10,000mベストタイム
- 29分台ランナーでも構想するケースがチラホラみられるので、やはりプチ登り区間ということもあり適性も重要になってくるか
- また終盤に差し掛かるため、単独走でも前を追っていけるかどうかという観点もタイムに大きく影響しそう
9区:裏エース区間
N=284
縦軸:9区区間タイム
横軸:出走時10,000mベストタイム
- 復路のエース区間ということもあり、28分台ランナーの出走は他復路区間よりも多い
- 29分半以降ランナーの好走はほぼなく、やはり各大学の主力級は何本か記録会をこなしているため、他区間でみられるような逆タイム番長が少ないことが要因か
10区:アンカー区間
N=241
縦軸:10区区間タイム
横軸:出走時10,000mベストタイム
- 比較的走りやすい区間ではあるため、29分台ランナーが多い
- 28分前半ランナーでも外すケースも見られ、ある程度勝負がついている場合にはやや凡走気味になる、逆に先頭ランナーは好走しがち、また11位ランナーはシードを目指すため突っ込んで入ることから凡走or好走が極端に分かれる、など仮説が様々考えられる
2.4. まとめ
往路
1区:特筆できる傾向は現時点ではわからず
2区:好走のためには28分台は必須
3区:特筆できる傾向は現時点ではわからず
4区:トラック好タイム走者の凡走は他区間よりは少ない
5区:他区間よりも適性が重要
復路
6区:28分台ランナーは大外しはしなそう
7区:28分前半ランナーの出走は不調によるものかも
8区:適性が重要そう
9区:29分半以降のランナーの好走はほぼない
10区:特筆できる傾向は現時点ではわからず
3. 全体所感
- やはり各区間ごとに特徴が異なるため、寄与する説明変数も変わってくるか(特に適性重要区間)
- 定点ごとの分析も有効そう、そのためにはデータが必要……
- 好走・凡走の異常値個別の分析も有効か
- 全体として近似直線は右上がりの傾向にあるので、10,000mタイムと区間タイムに相関がないことはないと考えられる
- 散布図だけでも様々なことが考えられるので、他分析にも活用したい
4. 次分析
今回はこれまでの箱根駅伝のレースデータを包括的に分析対象としたが、
近年流行り始め今やほとんどのランナーが着用している「厚底シューズ」に絞ったときにはまた異なる傾向が出てくる可能性がある。
今後の箱根駅伝を予測していくうえでは、厚底シューズによる影響を多分に加味する必要があるため、まずは近年の厚底シューズによる高速化がどの程度起きているのか、を見てみたい
お願い
皆さまからのデータ提供など、いつでもお待ちしています。。。
参考
箱根駅伝データ分析物語 #1-1:傾向把握(往路)
箱根駅伝・過去のデータ集
箱根駅伝の結果は10000mの記録でどれくらい予測できるのか?