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はじめてのarXiv投稿ガイド(PASJ / ApJ・TeXアップロード手順と注意点)

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Last updated at Posted at 2026-03-22

はじめに

この記事では、初めて天文学系の論文を書いた方が、スムーズに arXiv へアップロードできることを目的に、基本的な流れをまとめます。

天文学といっても投稿先のジャーナルは多岐にわたりますが、ここでは筆者が実際にアップロードしたことのある PASJApJ フォーマットに絞って説明します。

注意事項(免責)

本記事では、arXivへのアップロード手順について筆者の経験に基づいて説明していますが、
内容の正確性や適用可能性を保証するものではありません。

特に以下の点については注意してください:

  • ジャーナルの投稿規約
  • 著作権やライセンスの扱い
  • 出版社版PDFの再配布可否

これらは論文や出版社ごとに条件が異なるため、
最終的には各自で公式情報を確認することを強く推奨します。

そのほか、大きなコラボレーションでは受理まではarXivに投稿しないといったルールがある場合もあるため、共同研究の場合はチームの方針にも注意してください。

本記事はあくまで一例として、参考程度にご利用ください。

そもそもarXivになぜ投稿するの?

簡単にまとめると、以下のようなメリットがあります。

  • 研究を広く・早く共有できる
  • ジャーナルは購読制の場合があり、アクセス性が低いことがある
  • ページの読み込みが比較的軽く、閲覧しやすい
  • TeXのソースも公開されるため、後から参照しやすい

※ジャーナルによってはarXiv投稿に制限がある場合もあるため、規約は事前に確認してください。

arXivに上げる方法(全体の流れ)

まず全体の流れを整理しておきます。

  1. アカウント作成
  2. 新規投稿開始
  3. カテゴリ(分野)の選択
  4. 論文情報(メタデータ)の入力
  5. ファイルのアップロード
  6. コンパイル確認
  7. ライセンス設定
  8. 最終確認 → 提出

アカウントの作成

公式ページからアカウントを作成します。
https://arxiv.org/user/register

image.png

ログイン

アカウント作成後、以下からログインします。
https://arxiv.org/login

image.png

新規投稿の開始

ログイン後、以下から投稿を開始します。
https://arxiv.org/submit

「Start New Submission」をクリックします。

image.png

Start画面

image.png

  • Verify Your Contact Information → ✅
  • Submission Agreement → ✅
  • Authorship → 「I am submitting as an author of this article」にチェック

License Statementの設定

arXivではライセンスを選択します。

代表的なもの:

  • CC BY(出典明記で再利用可)
  • arXiv独自ライセンス

多くの場合は CC BY が選ばれますが、
出版社の規約や共著者の意向を踏まえて選択してください。

Archive and Subject Classの選択

分野を選択します。

左側は天文学であれば「Astrophysics」を選択し、
右側でさらに詳細なカテゴリを指定します。

例:

  • astro-ph.HE
  • astro-ph.GA
  • astro-ph.SR

迷う場合は、類似論文のカテゴリを参考にするのがおすすめです。

設定が完了したら「Continue」をクリックします。

Add Files画面

image.png

ファイルをアップロードします。

このとき、linenumber関連の設定は必ず削除しておきます。

  • PASJ:\pagewiselinenumbers を削除
  • ApJ:\documentclasslinenumbers を削除

zipファイルでまとめてアップロードすると便利です(自動で展開されます)。


例として、zipファイルをアップロードすると以下のように表示されます。

image.png

image.png

アップロード後、「Check Files」をクリックします。

Review Files画面

image.png

ここでは、コンパイルに必要なファイルの確認と整理が行われます。

  • 使用するTeXファイルの選択
  • コンパイラの指定

このステップの本質は、

「どのTeXファイルを使って論文をコンパイルするか」をarXivに明示すること

にあります。

特に複数の .tex ファイルが含まれている場合、
どれがメインなのかは自動では完全に判断できません。

そのためここでは、

  • どのファイルをメインとして使うか
  • どのファイルが実際に使われているか

を確認・指定するプロセスになっています。

また、使用していないファイルは自動的に検出されます。

不要ファイルの整理もここで行われるため、
実際のビルド構成を決める重要なステップです。

「Accept and Continue」をクリックすると削除確認が表示されます。

image.png

問題なければ「Confirm」を選択します。

Process画面

image.png

コンパイルが成功すると [SUCCEEDED] と表示されます。

失敗した場合は「Compilation Log」を確認し、修正を行います。

「Preview your PDF」から生成されたPDFを確認できます。

image.png

以下を確認してください:

  • arXivロゴが表示されているか
  • linenumberが残っていないか
  • 文字化けがないか

問題がなければ「Continue」をクリックします。

Metadata画面

image.png

以下の情報を入力します。

  • タイトル
  • 著者
  • アブストラクト
  • コメント(ページ数など)
  • ジャーナル情報(DOIなど)

この情報はそのまま公開されるため、誤字に注意します。

また、アブストラクトでは一部の数式記号が使えない場合があります。

image.png

入力後は「Save and Continue」をクリックします。

Preview画面

image.png

最終確認です。問題がなければ「Submit」をクリックします。

投稿後はメールが届き、公開予定などが通知されます。

arXivの注意点

不要なファイルは含めない

arXivではソースファイルが公開されます。
不要なファイルは含めないようにします。

TeXのコメントアウトも公開される

% internal memo
% この解釈怪しいかも

このようなコメントもそのままソースファイルを介して公開されます。

👉 不要なコメントは削除しておくのが安全です。

出版済みPDFはそのままアップしない

出版社版PDFは再配布に制限がある場合があります。

  • PDFをそのままアップロードする
  • TeXに含める

といったケースは特に注意が必要です。

👉 「公開して問題ないか」を必ず確認してください。

まとめ

arXiv投稿で重要なポイント:

  • フローに沿って進める
  • 必要なファイルだけアップロードする
  • ソースは公開前提で整理する
  • 出版社PDFの扱いに注意する
  • linenumberは削除する
  • 公開して問題ない状態か確認する

最初は少し戸惑うかもしれませんが、
一度経験すればスムーズに進められるようになると思います。


最近では、alphaXiv のように、論文に対して議論やコメントをしやすくするプラットフォームも登場しています。

こうした動きを見ていると、論文を「公開する」だけでなく、誰でもアクセスでき、議論できる形で共有されることの重要性を感じます。

このようなプラットフォームが今後も末長く発展していくことを願いつつ、
本記事がその一つのきっかけになれば幸いです。

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