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CIAOでスペクトルが1本でもcombine_spectraが動いたのは、かなり神仕様だった

Last updated at Posted at 2025-12-26

はじめに

CIAO の combine_spectra は、名前の通り複数のスペクトルを合成するためのツールだと思っていました。そのため、入力スペクトルが 1 本しかない年については、「そもそも combine_spectra は使えないのでは」と思い込んでいました。

ところが実際に試してみると、スペクトルが 1 本でも combine_spectra は普通に動きます
エラーも出ず、特別な指定も不要でした。

最初は少し意外でしたが、解析を進めるうちに、これはかなりよく考えられた仕様だと感じるようになりました。

「1本なら combine_spectra は不要」という思い込み

年ごとにデータをまとめる解析では、

  • ある年は観測が 1 本
  • 別の年は 2 本
  • さらに別の年は 10 本以上

という状況が普通に起こります。

このとき直感的には、

  • 複数本 → combine_spectra
  • 1 本 → cp で済ませる

と分岐を書きたくなります。私も最初はそう考えていました。

例外を作らなくていいことの強さ

combine_spectra は、入力が 1 本でも複数本でも、同じフローで処理できます。

combine_spectra infile.pha combined

このコマンドは、

  • 入力が 1 本でも
  • 入力が N 本でも

例外を出さずに最後まで走ります。

つまり、

  • 「1 本の年」
  • 「2 本の年」
  • 「10 本の年」

完全に同一のスクリプトで処理できるということになります。

これは年 bin 解析や自動化を考えると、想像以上に大きなメリットでした。

なぜ cp で代替できないのか

「1 本なら cp すればいいのでは?」という考えも一見もっともです。しかし、PHA は単なるファイルではありません。

PHA の header には、

RESPFILE = acisf_2009_spec.rmf
ANCRFILE = acisf_2009_spec.arf
BACKFILE = acisf_2009_spec_bkg.pha

のように、RMF や ARF への参照がファイル名として直接書き込まれています

cp でファイル名だけ変えると、

  • header 内の参照は元のまま
  • RMF / ARF の名前や配置が変わっていると即破綻

という状態になります。

「じゃあ全部 rename すればいい」という選択肢もありますが、
year bin、region bin、gmin bin、ch bin などを回し始めると、管理が一気に危険になります。

combine_spectra が保証してくれるもの

combine_spectra を通すと、入力が 1 本であっても、

  • PHA を正しく読み込み
  • 対応する RMF / ARF を解釈し
  • 出力用の PHA を新規に作成し
  • 出力 PHA に正しい RESPFILE / ANCRFILE を書き込む

という処理を自動で行ってくれます。

結果として、出力された PHA・RMF・ARF の名前と中身が必ず整合した状態になります。

これは cp では保証できない部分です。
XSPEC でそのまま読み込んだ際に、RMF や ARF を手動で指定し直す必要がない、という点でも助かります。

「1本でも動く」という仕様の本当の価値

スペクトルが 1 本だけの年では、見た目上は「何もしていない」ように見えます。しかし実際には、

  • 例外処理を書かなくてよい
  • 年ごとの本数の違いを意識しなくてよい
  • 後から観測が増えてもフローを変えなくてよい
  • 出力をそのまま XSPEC に読み込める状態が常に保証される

という点で、解析全体の安全性を大きく高めています。

「1 本でも combine_spectra が動く」こと自体が、実務的には神仕様だと感じました。

おわりに

最初は意外に思った仕様でしたが、今では、
スペクトルが 1 本でも、迷わず combine_spectra を通す
というのが完全に習慣になっています。

派手な機能ではありませんが、
例外を作らせない設計は、実務では何より強いと感じています。

同じような場面に遭遇した方の役に立てれば幸いです。

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