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Ubuntu Server 20.04の自動インストール機能でネットワークインストールする。

Last updated at Posted at 2020-08-09

はじめに

この記事は以下記事の続きとなります。
PXEサーバの構築は前回の記事をご確認下さい。

CentOS8をKickstartでネットワークインストールする場合は以下の記事をご確認下さい。

Ubuntu Server 20.10版も書きました。


Ubuntu Server 20.04でサポートされた新機能として自動インストール機能があります。

今までもPreseedによる自動インストールが可能だったと思いますが、Ubuntu Server 20.04の自動インストールはcloud-init形式でOS設定ができるため、内容が読みやすく設定しやすいのが特徴です。

公式の自動インストール手順は以下かと思いますが、私の環境ではどうしてもうまくいかなかったため、公式手順とは異なりますが何とか成功した手順を公開します。

注意点

  • Ubuntu Desktop版は今回の方法では自動インストールできません。

構成

VirtualBoxに以下構成の仮想マシンを作成しました。

PXEサーバは以前の記事で作成したPXEサーバを使用しているため、以下PXEサーバ側の操作はVirtualBox上CentOS8での操作となります。

なお、メモリは3GB以上、できれば4GB以上のメモリを割り当てて下さい。
※最初2GBで作成した際、Out of Memoryが発生して結構ハマりました。

・自動インストール対象マシン構成

構成 種別
CPU 1 vCPU
メモリサイズ 4096 MB
ストレージ 20.00 GB
ネットワーク1 ホストオンリーアダプター
ネットワーク2 NAT

・PXEサーバディレクトリ構成

ディレクトリ パス
TFTPディレクトリ /tftpboot
HTTPディレクトリ /pxeboot

・アドレス構成

対象 アドレス
PXEサーバ 192.168.56.105
自動インストール対象マシン 192.168.56.130

※自動インストール対象マシンのアドレスは自動インストール後のアドレスです。

構築の流れ

PXEサーバは構築済みの前提となります。

・PXEサーバ側手順

  1. Ubuntu Server 20.04のISOファイル転送
  2. Ubuntu Server 20.04のカーネルイメージのコピー
  3. TFTPブート構成ファイルの作成
  4. Cloud-init用ファイルの作成
  5. 自動インストール用ディレクトリ作成
  6. meta-dataファイル作成
  7. user-dataファイル作成
  8. Netplanファイルの作成

・自動インストール対象マシン側手順

  1. 自動インストール対象マシンの設定
  2. 自動インストール

Ubuntu Server 20.04の自動インストール機能について

Ubuntu Server 20.04の自動インストールでは、前述の通りcloud-initを使用するため、user-dataファイルとmeta-dataファイルが必要となります。

Ubuntu Server 20.04のISOファイル転送

CANONICALのサイトよりUbuntu Server 20.04 LTSをダウンロードし、ダウンロードしたISOファイル(ubuntu-20.04-live-server-amd64.iso)をPXEサーバ以下のディレクトリに転送します。

ファイル パス
ISOファイル /pxeboot/ubuntu-20.04-live-server-amd64.iso

Ubuntu Server 20.04のカーネルイメージのコピー

先ほど転送したISOファイルをマウントしてUbuntu Server 20.04のカーネルイメージを取得します。

カーネルイメージ格納ディレクトリ作成
sudo mkdir /tftpboot/Ubuntu
ISOイメージマウント
sudo mount -t iso9660 -o loop ubuntu-20.04-live-server-amd64.iso /mnt
カーネルイメージコピー
sudo cp /mnt/casper/{vmlinuz,initrd} /tftpboot/Ubuntu
ISOイメージアンマウント
sudo umount /mnt

TFTPブート構成ファイルについて

PXEブートする際に取得するブート構成ファイルの名前は決められており、以下の様な規則になります。
※参考:BIOSベースのPXEクライアントのブート・ローダー構成

  • UUID (例: a8943708-c6f6-51b9-611e-74e6ac80b93d)
  • 01-MAC_address (例: 01-80-00-27-c6-a1-16)
  • IPアドレスの完全32ビット (例: 0A0000FD)
  • IPアドレスの最上位28ビット (例: 0A0000F)
  • IPアドレスの最上位24ビット (例: 0A0000)
  • IPアドレスの最上位20ビット (例: 0A000)
  • IPアドレスの最上位16ビット (例: 0A00)
  • IPアドレスの最上位12ビット (例: 0A0)
  • IPアドレスの最上位8ビット (例: 0A)
  • IPアドレスの最上位4ビット (例: 0)
  • default (デフォルト構成ファイル)

例えばMACアドレスのファイルを格納した場合、ホストごとにブート構成ファイルを固定できるため、それぞれのホスト専用の定義を指定することができます。

また、ブート構成ファイルの設定の書き方によっては、起動時に読み込むOSファイルやOSイメージをユーザに選択させることもできるので、defaultに複数の起動定義を記載して選択することも可能です。

TFTPブート構成ファイルの作成

今回はdefaultに自動インストール用定義を記載します。

/tftpboot/pxelinux.cfg/default
sudo cat << _EOF_ | sudo tee /tftpboot/pxelinux.cfg/default
default autoinstall
label autoinstall
  kernel Ubuntu/vmlinuz
  initrd Ubuntu/initrd
  append autoinstall ip=dhcp url=http://192.168.56.105/pxeboot/ubuntu-20.04-live-server-amd64.iso ds=nocloud-net;s=http://192.168.56.105/pxeboot/autoinstall/
_EOF_

Cloud-init用ファイルの作成

cloud-initで自動インストールするために必要となる、user-dataファイルとmeta-dataファイルを作成します。

meta-dataファイルはAWS等で使用する場合はmeta-dataからインスタンスID等を取得するために利用しますが、今回は空ファイルを作成しておくだけで問題ありません。

user-datameta-dataファイルはPXEサーバから取得するようにしますので、PXEサーバの以下に作成します。

ファイル パス
user-dataファイル /pxeboot/autoinstall/user-data
meta-dataファイル /pxeboot/autoinstall/meta-data

自動インストール用ディレクトリ作成

前回のPXEサーバ構築で作成したPXEブート用ディレクトリの下に自動インストール用ディレクトリを作成します。

自動インストール用ディレクトリ作成
sudo mkdir /pxeboot/autoinstall

meta-dataファイル作成

前述の通り空ファイルを自動インストール用ディレクトリの下に作成します。

meta-dataファイル作成
sudo touch /pxeboot/autoinstall/meta-data

user-dataファイル作成前準備

user-dataファイルはcloud-initの書式で作成しますが、自動インストール時に使えるコマンドは限られているため、以下公式ドキュメント等を参照し、user-dataファイルを作成して下さい。

上記ドキュメントにはnetworkの設定も記載されていますが、私の環境ではどうやってもネットワークの設定が反映できなかったので、ネットワークの設定は別ファイルで取得するようにしています。

また、user-dataファイル内に記載されているパスワードは以下の様な方法でハッシュ値を生成しておきます。
※今回はパスワードubuntuで生成します。

パスワードハッシュ化
sudo openssl passwd -6 ubuntu

user-dataファイル作成

OSの設定はインストール完了後、Ansible等で設定する前提で、user-dataファイルは作りすぎず、Ansible実行に必要となる設定の追加程度に止めておきます。

ネットワークの設定は前述の通り、私の環境ではcloud-initではできなかったので、late-commandsで、予め作成しておいたnetplanファイルを取得するようにします。

但し、ネットワークインストール中は、実際のディスク領域を/targetでマウントしているようなので、/targetを頭に指定して保存する必要があります。

もし他のファイルも一緒に送りたいという方は参考にして下さい。

user-dataファイル作成
sudo cat << _EOF_ | sudo tee /pxeboot/autoinstall/user-data
#cloud-config
autoinstall:
  version: 1
  locale: ja_JP.UTF-8
  keyboard:
    layout: "jp"
  storage:
    layout:
      name: lvm
  identity:
    hostname: ubuntu-server
    username: ubuntu
    password: "$6$nFV7aBiOVRpPF8Qq$l0KnHQehyWsyGRzXvQnnriXxSUbrhPrWtkhOm4lZh1wSdzz4Ga9QN3eBcf9POKo8YFF0pztU9oIwx8oyNrNsf."
  ssh:
    install-server: yes
  user-data:
    timezone: Asia/Tokyo
  late-commands:
    - "wget -P /target/etc/netplan http://192.168.56.105/pxeboot/autoinstall/90-network.yaml"
_EOF_

Netplanファイルの作成

netplanファイルはOSインストール時に自動的に作成されますが、自動生成されたファイルは基本的に手動で触るべきではないです。

/etc/netplan配下のファイルはファイル名順に読み込まれて、前に読み込まれた設定を上書きします。

そのため、後に読み込まれるようにファイル名を指定することで、デフォルトでどのような設定がされているとしても、任意の設定に変更することができます。

デフォルトだと00-installer-config.yamlなどの名前で生成されるため、今回は90-network.yamlという名前にします。

netplanファイル
sudo cat << _EOF_ | sudo tee /pxeboot/autoinstall/90-network.yaml
network:
  version: 2
  ethernets:
    enp0s3:
      dhcp4: no
      dhcp6: no
      addresses:
      - 192.168.56.130/24
    enp0s8:
      dhcp4: yes
      dhcp6: no
      nameservers:
        addresses:
        - 8.8.8.8
        - 8.8.4.4
_EOF_

自動インストール対象マシンの設定

自動インストール対象マシンはPXEブートできるようにしておけば基本的には設定は必要ありません。

但し、インストールディスクに既にOSがインストールされているような場合は各種BIOSの起動デバイス選択からPXEブートが先になるように変更します。

VirtualBoxの場合、仮想ストレージが空の状態であれば、以下のように起動順序ネットワークにチェックされていることを確認すれば問題ありません。

01_boot.jpg

自動インストール

自動インストール対象マシンの電源を入れることでネットワークインストールが始まります。

あとは待つだけなので気長に待ちましょう。

まとめ

Ubuntu Server 20.04で実装された機能であるため、情報が少なく苦労しましたが、何とか自動インストールできるところまでできてホッとしました。

これでUbuntu Server構築の自動化が捗りそうです。

参考

https://ubuntu.com/server/docs/install/autoinstall
https://gihyo.jp/admin/serial/01/ubuntu-recipe/0615
https://discourse.ubuntu.com/t/automated-server-installs/16612?_ga=2.77481941.1164907437.1596334333-228679426.1592779869
https://docs.oracle.com/cd/E77565_01/install/ol7-install-pxe-boot-bios.html

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