はじめに
先日、自宅で使用しているNASのHDDが故障してしまいました。
RAID1で組んでいたのでデータの損失は防げましたが、1本だけで運用するのは心もとないのと、以前からDockerコンテナを色々と動かしたいと思っていたこともあり、新しいNASも一緒に購入したため、古いQNAPのNASから新しいQNAPのNASにデータ移行した手順を残しておきます。
今回購入したNAS
元々QNAP
のTS-231
というNASを運用しており、Docker
も実行できるContainer Station
が利用できたため、Gogs
という軽量GitサーバのみDocker
で動作させていましたが、TS-231
はARM系の32ビットCPUであるため、Docker
を実行する際の選択肢がかなり少なく、NASのメモリも1GBしか積んでいないのであくまでもおまけ的な機能でした。
NASは常時起動させているため、せっかく常時起動するのであれば、もう少し重いDocker
を動かしたり、Docker
でいくつかサービスを起動させたいと思い、今回はCPU4コア(Intel)、メモリ8GBのTS-264
を選択しました。
今回の構成と作業の流れ
今回、古いNASも新しいNASもLANポートが2つあるので、以下のようにポート1をスイッチングハブに接続し、ポート2同士を直接繋いで少しでも遅延が少ない構成とします。
また、以下より旧NASから新NASへ同期を行うための設定を行っていきます。
新NASの初期設定
旧NASのデータを移行する方法としてはいくつかあり、互換性に問題がなければ新NASに旧NASのHDDを1本と新NASのHDDを1本繋げて旧HDDから新HDDに対してRAIDのリビルドを行うのが、おそらく一番速いかと思いますが、その場合、新旧HDDと新HDD同士で計2回リビルドしないとならないのと、古いデータには不要なデータもあることから整理しながら同期したいので、今回はQNAP
独自のプロトコルとなるRTRR
でデータ同期を行おうと思います。
RTRR
はQNAP
のバックアップアプリケーションの1つであるHBS3 HybridBackupSync
(以降HBS3
)を使うことで利用できるので、初期設定と合わせてインストールを行います。
なお、QNAP
で使用できるアプリケーションは管理画面の「App Center」からインストールできるため、そちらからインストールを行います。
- ユーザ設定
- IPアドレス設定
- ボリューム設定
- コピー先のディレクトリ作成
- HBS3 HybridBackupSyncインストール
旧NASの事前設定
RTRR
による同期を行うためには、旧NAS側にもインストールする必要があるため、旧NASにも同様の手順でインストールを行います。
ネットワークの設定
新・旧どちらのNASもジャンボフレームに対応しているため、直結したポート2に対してどちらもMTU9000
として一度に転送できるデータを増やします。
設定 | 新NAS | 旧NAS |
---|---|---|
IPアドレス | 10.1.0.1/24 | 10.1.0.2/24 |
MTU | 9000 | 9000 |
新NASのRTRRの有効化
新しいNASのHBS3
を起動し、「RTRRサーバーを有効にする」よりRTRRサーバを有効にしておきます。
旧NASからのデータ同期
古いNASのHBS3
を起動し、「同期」から「一方向同期ジョブ」を選択します。
今回は新しいNASに同期を行うため「リモートNAS」を選択。
古いNASから見て転送先となる新しいNASのIPアドレスとユーザ名、パスワードを入力し、一方向同期ジョブの作成を行います。
また、「スピードテスト」を選択すると、どの程度の速度が出るかが表示されるため、完了までの目安として確認しておくと良いでしょう。
次に同期するディレクトリを指定する必要があるため、同期元となる旧NASのディレクトリと同期先となる新NASのディレクトリを指定します。
受け口となる新NAS側のディレクトリは予め作成しておく必要があるため、未作成の場合は「コントロールパネル」→「共有フォルダー」の「作成」から「共有フォルダー」を選択し、ディレクトリを作成しておきます。
同期ディレクトリの指定後、ジョブスケジュールの設定を行いますが、今回はスケジュール化は行わず、一回だけの同期となるため、「スケジュールなし」と「今すぐ同期」を選択し、「次へ」に進みます。
ルール設定は方法、ポリシー、オプション、ネットワークから色々と設定できるので、ジョブに合わせて任意に設定します。
最後に要約を確認して「作成」を選択すれば旧NASから新NASへの一方向同期ジョブが実行されます。
おわりに
正確な時間は計れていませんが、おそらく10時間程度で同期が完了していたかと思われます。
NAS間を直接接続&ジャンボフレーム設定を行ったからか、スピードテストでも116MB/s程度出ていたため、旧NASのNIC速度が1Gbpsだったことを考えるとかなりの伝送効率で転送できたようです。
HBS3
も直感的に操作でき、設定も簡単なので使いやすかったです。