この記事の実施記録(2026年4月〜5月): コードを1行も書かずにZenn Bookを公開するまでの作業手順をまとめた。GitHubリポジトリの作成からconfig.yaml生成・執筆・レビュー・公開設定まで、Claude Codeが実行。ユーザーが手動でやったのは「ZennダッシュボードでGitHubリポジトリを連携する」1操作のみ。
Zenn Bookは、GitHubリポジトリと連携してMarkdownで執筆・公開できるZennの電子書籍機能だ。
この記事では、GitHubリポジトリのセットアップからZenn Bookの公開設定まで、Claude Codeで完結させた5ステップの手順を実録ベースで解説する。コマンド実行ゼロ、ユーザーの手動操作は1回のみ(ZennダッシュボードでのGitHub連携設定だけ)で公開した方法を、そのまま書いた。
「Zenn Bookって、GitHubが必要なんでしょ?コードが書けない自分には無理じゃないの?」
そう思って二の足を踏んでいる人に届けたくて、この記事を書いた。
2026年4月、私はZenn Bookを1冊公開した。価格¥900、総文字数は約11万字(本編約8.5万字+付録約3万字)。GitHubリポジトリは使った。config.yamlも書いた。でも私自身がコマンドを実行したのはゼロ回だ。
ユーザーが手動でやったことは1つだけ。ZennダッシュボードでGitHubリポジトリを連携する設定だ。それ以外はClaude Codeが全部やった。
この記事では「コードを書かない人がどうやってZenn Bookを出したか」を、実際の手順として書いていく。
はじめに:「GitHubが必要」はハードルじゃなかった
Zenn Bookを出す前、私が最初に感じた壁はGitHubだった。「リポジトリって何?」「pushって何?」——そういうレベルから始まった。
でも実際には、GitHubの操作をClaude Codeに任せることができた。「GitHubリポジトリを作って、Zenn Book用の構造にセットアップして」と伝えるだけで、必要なファイルが揃う。私がやったのはZennダッシュボードでのGitHub連携設定1回のみだ。
「GitHubって難しそう」という不安は、私も同じように持っていた。でも実際に使ってみると、そこがハードルではなかった。
全体の流れ:5ステップで公開できる
Zenn Bookを公開するまでの流れを先に示しておく。
| ステップ | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| Step 1 | GitHubリポジトリ+Zenn CLIのセットアップ | Claude Code |
| Step 2 | 執筆サイクル(構成→章→レビュー) | Claude Code(指示はユーザー) |
| Step 3 | 価格・公開設定の検討(config.yaml) | Claude Code |
| Step 4 | 公開前チェック | ユーザー+Claude Code |
| Step 5 | 公開当日の操作 | ユーザー(ZennダッシュボードでのGitHub連携1回) |
「AIに任せたら自分が何もわからなくなる」という心配は正直あった。でも実際には逆だった。各ステップで何をやっているかをClaude Codeが説明してくれるので、むしろ仕組みの理解が進んだ。「なぜこのファイルが必要なのか」「pushで何が起きているのか」を対話の中で教えてもらいながら進めた。
Step 1:GitHubリポジトリ+Zenn CLIのセットアップ
Zenn Bookは、GitHubリポジトリとZennアカウントを連携させて公開する仕組みになっている。GitHubに置いたMarkdownファイルがそのままZenn上の本になる。
このセットアップでClaude Codeにやってもらったこと:
- GitHubリポジトリの作成
- Zenn CLI(Claude Codeが代わりに操作するツール。自分で実行する必要はない)のインストールと初期化
- books/ ディレクトリの作成
- config.yaml(書籍のメタ情報ファイル)の雛形生成
私がやったのは、最後にZennダッシュボードでそのリポジトリを連携したことの1アクションだけだ。「コマンドを実行していません、すべてAIがやっています」——これは誇張ではなく文字通りの事実だ。
Step 2:AIを使った執筆サイクル
「コードを書かない人でも本当にできるの?」という疑問には、「できる」と答えるよりも「どうやったか」を見てもらった方が早い。
制作期間は実質36時間(→9体のAIエージェントと電子書籍を2日で作った話に詳しく書いた)。以下のサイクルで回した。
- 構成を決める: COO(オーケストレーター)エージェントと対話して章立てを確定
- 各章を書く: writerエージェントが担当
- レビューをかける: reviewer(ファクトチェック)+ reader(想定読者ペルソナ)の2種類
- 修正して次の章へ
このサイクルを、序章+第1〜6部+付録の全8部にわたって繰り返した。
9エージェント体制の概要
エージェントとはClaude Codeに役割を持たせたAIの分業体制のこと。ここでは9種類が登場するが、指示するのはCOO(まとめ役)だけで、自分がすべてを覚える必要はない。
私が使ったのは以下の9体のエージェントだ。
| エージェント | 役割 |
|---|---|
| COO | 全体を束ねる。私の指示を各エージェントに振り分ける |
| writer | 章を執筆する |
| reviewer | 事実確認・構成チェック |
| reader | 想定読者ペルソナとして感情レビュー |
| researcher | 調査・資料収集 |
| secretary | スケジュール・GitHub Issue管理 |
| skill-dev | スクリプト開発 |
| devops | 環境整備 |
| architect | 設計・仕様策定 |
「これはSE歴が長い人だからできたんでしょ?」——そう感じる人に言っておきたいのは、この体制を作るのに技術的な知識は不要だったということだ。各エージェントの役割は自然言語で書いたテキストファイルで定義されている。「writerエージェントは読者の関心を集めて記事を読んでもらうことが最優先のライターです」といった形で書くだけだ。
エージェント体制の設計思想についてはコードを1行も書かずに、AIエージェント編集部を作った話に詳しく書いている。
Step 3:価格・公開設定の検討
価格の決め方と、無料公開範囲の設計について書いておく。
価格は¥900にした
正直なところ、ボリュームと内容を考えると¥1,480〜¥1,980が妥当だったかもしれない。それでも¥900にしたのは、「1冊目は読まれることを優先したい」という判断だ。届かなければ意味がない。
無料公開範囲の設計
序章と第1部(全8部中の2部、全体の約1/4)を無料公開にした。「合いそうか」「続きを読みたいか」を確認してから購入決断できる構成にするためだ。
Zenn Bookでは、章ごとに無料公開するかどうかを各チャプターファイルのfrontmatter(ファイル先頭に書く設定情報)で指定する。具体的には free: true と書いた章が無料公開になる仕組みだ。これもClaude Codeが設定した。
一方、config.yamlは書籍全体のメタ情報(タイトル・価格・公開フラグなど)を管理するファイルだ。以下はClaude Codeが生成したconfig.yamlの例。自分でコードを書く必要はない。
# config.yaml(例)
title: コードを書けない私が、AIに「チーム」を持たせるまで
summary: 管理職がClaude Codeで9体のAIエージェント編集部を作った記録
topics: [claudecode, multiagent, ai]
published: true
price: 900
chapters:
- intro
- part01/index
- part01/chapter01
...
published: true を書いてGitHubにpushすれば公開される。このpushも私はコマンドを打っていない。Claude Codeがやった。
Step 4:公開前チェック——config.yamlも校正対象
ここで実際の失敗談を書いておく。
公開後の大規模改訂(5月2日)で、本文中の「SE歴26年」という表現を全削除した。非エンジニアにも読んでほしい本なのに、書き出しでそう感じさせてしまうのは問題だというReaderレビューがきっかけだった(→Zenn Bookを出した最初の1週間の全記録に書いた)。
そして翌5月3日、改訂レビューの指摘を受けてconfig.yamlからも「SE歴26年」の記述を削除した。書籍の設定ファイルにまで表現が残っていたことに、この段階で初めて気づいた。
公開前チェックのポイントはここだ。
本文だけ確認して終わりにしない。config.yamlも校正対象に含める。
Zenn Bookの場合、config.yamlにはsummary(概要文)が入る。本文を全修正してもsummaryに意図しない表現が残ることがある。公開前にconfig.yamlも必ず確認を。
公開後の間違いを発見したら
「公開後に間違いが見つかったらどうするの?」という不安を持つ人は多いと思う。これも心配しなくていい。
Zenn Bookはpushするたびに内容が更新される。GitHubに修正をpushすれば、ほぼ即時に反映される。「公開=完成」ではなく「公開=改訂できる状態になった」と捉えた方がいい。
私は公開翌週に大規模改訂を1日でやり切った。readerとreviewerのレビュー体制があったからだ。一人でやっていたら少なくとも3倍以上の時間がかかっていたと思う。
Step 5:公開当日の手順
「公開当日に何をするか」を整理すると、実質1ステップだ。
ZennダッシュボードでGitHubリポジトリを連携する。
これだけだ。
Zennのアカウントを持っている状態で、ダッシュボードの「GitHubとの連携」設定を開き、公開するリポジトリを選択する。この設定を一度やれば、あとはGitHubへのpushが自動でZennに反映される。
pushの実行はClaude Codeがやった。私が見届けたのは、ZennのWebを開いて「公開されている」を確認したことだ。pushからの反映はほぼ即時だった。
全操作の一覧
| 操作 | 担当 |
|---|---|
| GitHubリポジトリ作成・初期設定 | Claude Code |
| Zenn CLIのインストール・実行 | Claude Code |
| config.yaml生成(価格・無料公開範囲・メタ情報) | Claude Code |
| 各章のMarkdownファイル執筆 | Claude Code |
published: true 設定・push |
Claude Code |
| ZennダッシュボードでのGitHubリポジトリ連携設定 | ユーザー(唯一の手動操作) |
| 公開後の反映確認 | ユーザー(ZennのWebで確認) |
Step 6:告知の設計——「出す」だけでは届かない
公開した翌日(4月27日)に3媒体(X・Facebook・Threads)で告知した。結果は初日0件だった(→Zenn Bookを出した最初の1週間の全記録に詳しく書いた)。
「告知したのに売れない」は、告知の質の問題ではなかった。SNS告知は「存在を知らせる機能」であって、「なぜ買うか」を語る機能ではなかったのだ。
初日0件を受けて、その日のうちに「舞台裏記事」(制作プロセスを記録した記事)を前倒しで公開した。翌日に初売(1部)が出た。この橋渡し記事が購入動機の後押しになった可能性がある。データの詳細はZenn Bookを出した初日に何が起きたか——0件から学んだ3段ファネル設計に書いた。
告知の設計をまとめると:
- SNS告知(認知)
- 制作プロセス・舞台裏の記事(購入動機の橋渡し)
- Zenn Book購入
真ん中の橋渡し記事が先にあると、初日の結果は変わるかもしれない。これは今後試したいことだ。
まとめ:「コードを書かない」は言い訳にならない
Zenn Bookの公開作業を振り返ると、以下の5点に集約できる。
- コマンドは1回も打っていない。GitHubリポジトリからpushまで、全部Claude Codeが実行した
- ユーザーの手動操作は1回。ZennダッシュボードでのGitHub連携設定だけだ
- 公開後も改訂できる。「公開=完成」ではなく「公開=スタート」。大規模改訂を公開翌週にやった
- config.yamlも本文と同様に校正対象。設定ファイルにも表現が残るので必ず確認する
- 告知だけでは届かない。橋渡し記事(制作プロセス・舞台裏)を用意しておく方がいい
「コードが書けないと無理」と思っていた人に言いたいのは、私がその状態から出したということだ。特別なスキルは必要なかった。必要だったのは「Claude Codeに任せる」という割り切りと、「公開してから改善する」という考え方だった。
出来上がった本はこちら(序章+第1部が無料で読める)。
コードを書けない私が、AIに「チーム」を持たせるまで(Zenn Book)
よくある質問:コードなしでZenn Bookは出せる?
Q: Claude Codeのコストはどのくらいかかるの?
Anthropicの有料プラン($20〜/月)が前提になる。「無料で試せる」内容ではない。ただし、本記事のような書籍制作規模(複数エージェントを長時間稼働させる)になると、最低額のProプランでは足りないケースもある。制作規模によってはMaxプランが現実的な選択肢になる。コスト感も含めて判断してほしい。
Q: GitHubのアカウントを持っていなくても大丈夫?
GitHubアカウントとZennアカウントの2つが必要になる。どちらも無料で作れる。作成手順はClaude Codeに「GitHubアカウントを作る手順を教えて」と聞けば案内してもらえる。
Q: 公開後に削除することはできる?
Zenn Bookはconfig.yamlで published: false に変更してpushすれば非公開にできる。削除ではなく非公開化なので、また公開したいときは元に戻せる。
Q: 執筆に使ったエージェント定義はどこかで公開されている?
公開中の本の付録に収録している。writerやreviewer、readerなど主要エージェントの役割定義サンプルをコピペで使える形でまとめた。
Q: Claude Codeはどこで始められますか?
Anthropicの有料プラン(Pro以上)があれば、Claude Code公式サイトからすぐに使える。ターミナルへのインストール方法はAnthropicの公式ドキュメントに詳しい。「Claude Code 始め方」で検索すると日本語の解説記事も多く出てくるので、そちらを参考にするのも手だ。
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この記事を書くのに参考にした書籍
Claude Codeを活用したAI駆動開発に興味が出た方には以下が参考になります。
この記事は はてなブログ からのクロスポストです。