2026年3月12日追記:
Copilot Waveの説明において、Wave 2 Springの説明を追記いたしました。
https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365/blog/2025/04/23/microsoft-365-copilot-built-for-the-era-of-human-agent-collaboration/
2026年3月9日、Microsoftが「Copilot Wave 3」を発表しました。
この記事では、Copilotの歴史において大きなパラダイムシフトとなり得る「Copilot Wave 3」を解説します。
なるべくノンエンジニアの方々にも分かりやすいよう、かみ砕いて説明します。
「Copilot Wave 3」とは
Copilotの大型アップデートです。
https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365/blog/2026/03/09/powering-frontier-transformation-with-copilot-and-agents/
Microsoftは、Copilotの大型アップデートを「Wave」という単位で発表しています。
| Wave | 時期 | 概要 |
|---|---|---|
| Wave 1 | - | なし。 あえて定義するならMicrosoft 365の一般提供開始 (2023年11月) |
| Wave 2 | 2024年9月発表 | AIアシスタントとしての強化・高速化 |
| Wave 2 Spring | 2025年4月発表 | エージェント管理・ガバナンス強化 |
| Wave 3 | 2026年3月発表 | 「自律型エージェント」への根本的な転換 |
Wave 2までは「聞かれたことに答える」段階でした。
Wave 3では、「頼んだことを自分でやり遂げる」 段階に入ったと言えます。
Wave 3の4大ポイント
1. Copilot Cowork
Wave 3の目玉です。
Anthropicと共同開発された機能で、単一のリクエストから、以下のようなタスクを自律的に実行できます。
例)プレゼン資料の作成/ 財務データの収集/ チームへのメール送信/ スケジュール調整
作業の進捗はリアルタイムで確認でき、途中でガイドしたり停止したりすることも可能です。
より詳細な動作イメージは、Microsoft吉田さんによるブログをご覧ください。
https://memo.tyoshida.me/office-365/copilot-cowork-announcement/
Copilot Coworkは、2026年3月下旬よりFrontierプログラムで提供予定です。
2. マルチモデルアーキテクチャ
Wave 2はOpenAIのGPT-4o一択でした。
Wave 3ではOpenAI(GPT-5.2、GPT-5.4)とAnthropic(Claude系)を統合した、マルチモデル構成になりました。
Copilotが、タスクの性質に応じて最適なモデルを自動選択します。
ユーザーはモデルの違いを意識する必要はありません。
3. Agent 365
エージェントが増えると、管理が大変になります。
そこで登場したのがAgent 365です。
IT管理者やセキュリティリーダーが、組織内の全てのエージェントを一元的に監視・保護・統治するための制御プレーンです。
5つのコア機能は以下の通りです。
・レジストリ:組織内の全エージェントのインベントリ管理
・アクセス制御:最小権限の原則で運用
・可視化:エージェントの動作をリアルタイムで把握
・相互運用性:異なるエージェント間の連携
・セキュリティ:Microsoft DefenderとPurviewによる保護
全てのエージェントにはMicrosoft Entraの一意のIDが付与されます。
Agent 365は、2026年5月1日にGA(一般提供)予定です。
価格は、1ユーザーあたり15ドル/月です。
Agent 365は、Microsoftの年次イベントであるMicrosoft Ignite 2025で発表されたものです。
しかし、一般提供開始時期や価格情報は開示されていませんでした。
今回の発表で、それらが明らかとなりました。
4. Agent Mode対応
Word・Excel・PowerPoint・Outlook・TeamsのすべてにAgent Modeが埋め込まれました。
| アプリ | 主な変更 |
|---|---|
| Word | 「Vibe Writing」1による対話型文書作成 Work IQ2で会議・メール情報を自動反映 |
| Excel | 数式・チャート・シートを自動生成 財務予測やバリュエーションモデル3に対応 |
| PowerPoint | スライドメッセージの洗練 ブランドチェック機能4 |
| Outlook | 自律的なメール作成・カレンダー管理 RSVP5の自動処理 |
| Teams | 1対1のCopilotとの会話をグループチャットに拡張 Channel Agentがドメインエキスパート6として機能 |
新ライセンス:Microsoft 365 E7
Wave 3に合わせて、新しいプレミアムパッケージが登場しました。
Microsoft 365 E5に、上述したAgent 365などのライセンスが加わったAll in Oneのライセンスです。
| 構成要素 | 個別価格(概算) |
|---|---|
| Microsoft 365 E5 | 57ドル/月 |
| Microsoft 365 Copilot | 30ドル/月 |
| Agent 365 | 15ドル/月 |
| Microsoft Entra Suite | 15ドル/月 |
| 合計(個別購入) | 117ドル/月 |
| Microsoft 365 E7 | 99ドル/月(18ドルお得) |
Microsoft 365 E7は、2026年5月1日に一般提供開始予定です。
Wave 2とWave 3の比較
| 比較軸 | Wave 2 | Wave 3 |
|---|---|---|
| 基本パラダイム | AIアシスタント | 自律実行 |
| AIモデル | GPT-4o中心 | OpenAI GPT-5.x + Anthropic Claude マルチモデル |
| タスク実行 | 対話型アシスト | マルチステップ・長時間実行 |
| エージェント | 基本的なQ&A、ナレッジ探索 | 完全自律型 マルチエージェント連携 |
| ガバナンス | 標準的なM365アクセス制御 | Agent 365 |
| ライセンス | Copilotアドオン | M365 E7 |
Wave 2 Springとも比較してみます。
| 比較軸 | Wave 2 Spring | Wave 3 |
|---|---|---|
| 基本パラダイム | 人間とエージェントの協働時代 | 自律実行 |
| AIモデル | GPT-4o中心 | OpenAI GPT-5.x + Anthropic Claude マルチモデル |
| タスク実行 | 対話型アシスト エージェントによるマルチステップ対応 |
マルチステップ・長時間実行 |
| エージェント | エージェント作成・カスタマイズが容易に | 完全自律型 マルチエージェント連携 |
| ガバナンス | Copilot Control System強化 | Agent 365 |
| ライセンス | Copilotアドオン | M365 E7 |
まとめ
AIは「聞かれたことに答える」段階から「頼まれたことを自分でやり遂げる」段階へ―
Wave 3は、Microsoft Ignite 2025で発表された内容が単なるコンセプトでなく、
具体的なプロダクトとして形を成し始めた瞬間です。
Microsoftは、人間とAIエージェントが役割を分担しながら協働する組織を、「Frontier Firm」と呼称しています。
Wave 3は、その未来への扉を開く発表と言えるでしょう。