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果たしてCopilotで営業成績は上がるのか

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Last updated at Posted at 2026-05-16

「Copilotを使うことで、営業成績は上がるのか?」

とあるお客様から、こう聞かれました。

Microsoftの公式サイトや各種ホワイトペーパーには、「生産性が●●%向上!」「週に●時間を節約!」といった事例が並んでいます。

ただ、このような事例はどこかキレイすぎて、ピンとこない場合もあると思います。

そこで、営業職である筆者が、できる限りリアルに書くことにしました。

本記事における「Copilot」は、Microsoft 365 Copilotのことです。
Copilotブランドには GitHub Copilot・Copilot Studioなど複数の製品が含まれます。
ただし、本記事ではMicrosoft 365 アプリ(Outlook・Teams・Word・Excel・PowerPoint など)に統合されたものを対象としています。
→Microsoft 365 Copilot: https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-copilot?msockid=06ddd506de2b6a552783c397df9b6b0b

この記事で言及する「営業」は、担当企業を持つアカウント営業、または新規開拓営業を指します。
また、「営業成績が上がる」は、「売上が上がる」と同じ意味と定義づけます。

結論:上がる。ただし条件付き

結論から言います。
自身の経験より、営業成績は上がると考えます。
しかし、条件付きです。

「Copilotを入れたら売上が上がる」ではなく、「Copilotを正しく使いこなせる環境と人がいれば、営業成績に貢献し得る」と考えます。

その「条件」については、後に触れます。

そもそも「売上が上がる」とは?

Copilotの機能や効果を語る前に、「売上が上がる」を分解します。

「売上が上がる」とは、以下の通り分解できます。

売上 = 商談数 × 成約率 × 平均単価

さらに、それぞれの要素を分解します。

要素 意味 Copilotが効きそうな問い
商談数 アプローチできた顧客数 1日に対応できる顧客数を増やせるか?
成約率 商談が受注に変わる割合 提案の質・スピードを上げられるか?
平均単価 1件あたりの受注額 顧客ニーズの深掘りや上位提案ができるか?

つまり、Copilotが営業成績に効くとしたら、次のいずれかのルートになるはずです。

  1. 時間を生み出す(効率化)→ 商談数・フォロー数が増える
  2. アウトプットの質を上げる(クリエイティビティ)→ 成約率・単価が上がる
  3. 情報の非対称を埋める(リサーチ・分析)→ 顧客理解が深まり提案精度が上がる

この3つの視点でCopilotを見ていくと、何が使えて何が使えないか整理しやすくなるでしょう。

そもそもCopilotで何ができるの?

大別すると、2つです。

1. 業務効率化

営業の日常には、本来の営業活動ではないが避けられない作業が山ほどあります。

営業担当者が「売ること」に使える時間は、労働時間の30%ほどという調査結果もあるほどです。

  • メールの返信・下書き
  • 長いドキュメントの要約
  • 議事録の作成
  • 過去の経緯を探すための資料漁り

Copilotは、このような「時間はかかるが付加価値は低い作業」を圧縮するのが得意です。
Microsoft 365にシームレスに統合されていて、ツールを行き来するコストがないのも地味に大きいです。

2. クリエイティビティの向上

ただ、単なる時短に留まらない価値を提供できる点が、Copilotの真骨頂です。

営業職がこれまでやっていたことを、よりよく実行する。
または、営業職が個人では思いつかなかった示唆を得られる。

そのような使い方の例は、以下の通りです。

できること 具体例
営業戦略の立案 公開情報や売上推移から活動の優先度を考えてもらう
リカバリプランの検討 大型案件の失注があっても年間目標を達成する方法を考えてもらう
商談準備 過去の資料や申し込み実績をもとにアジェンダを考えてもらう
素案の作成 一次回答となるカンタンな資料をスピーディーに作ってもらう
業界分析 把握すべき基本情報や業界ならではのお作法をまとめてもらう
競合分析 コンペ情報と自社が勝てるシナリオを考えてもらう
社内調整 専門性の高いトピックを誰に聞くべきか考えてもらう
社内政治 関係者にとって納得感の高い上申を考えさせる

SharePoint・Teams・メールなどの社内情報を踏まえて回答してくれる点が、Copilotの最大の強みです。
また、Microsoft 365にシームレスに統合されており自然に使える点、高いリテラシーは要らずすぐ活用できる点も、営業職には嬉しいポイントです。

思い出に残る使い方

現役の営業職である筆者が、「これは効いた」と感じた使い方を共有します。

業務効率化系

① Outlookでのメール処理
長文メールの要約は、最初に「おっ」となった体験でした。
営業職あるあるですが、休暇中にもひっきりなしにメールが来るため、休み明けのキャッチアップが大変です。

その苦労が、「Copilotによる要約」ボタンをポチッと押すだけで一撃解決されました。
このときの感動は、今でも忘れられません。

※メール要約のイメージ
image.png

image.png

②過去のクレーム対応の参照
「営業各位は、過去●●年にいただいた苦情やクレームをまとめて書いてください」と言われたときの話です。

Copilotに聞いて、秒速でタスクを終わらせました。
自分の記憶から消えた過去の話も持ってきてくれた点、そして同じチャットで報告用のドキュメントを作ってもらえる点が良かったです。

Copilotの活用で、社内の各種対応が爆速になった気がします。

クリエイティビティ向上系

③競合他社の分析→逆転での受注
競合他社が有利な案件を、逆転で受注できたのも印象に残っています。

初めて聞く会社だったので、その会社の強みと弱み、自社が何で勝てるかを「リサーチツール(Researcher Agent)」分析してもらいました。

※分析レポートのイメージ
image.png

その結果、逆転で大型案件の受注を実現しました。

なお、「リサーチツール(Researcher Agent)」の概要は、以下のページをご参照ください。
営業活動のクオリティ向上に欠かせないと思います。

④営業戦略の立案
「どの顧客に対して優先的に活動するか」「いつ何をすべきか」のレポートも出してくれます。

私は今年から、公的機関を担当する営業になりました。
担当するお客様が大きく変わったため、やみくもに活動しても非効率だと考えました。

そこで、顧客リストと過去3年の売上推移をソースに、先ほど紹介した「リサーチツール(Researcher Agent)」で分析してもらいました。

その結果、活動の優先順位やタイムライン、それぞれの顧客に案内すべき情報がクリアになりました。

今のところ営業成績は順調に推移していますが、それはCopilotの力によるところが大きいです。

より詳しい活用方法は、以下の記事を参照ください。

そういうアナタ(筆者)はどうなの?

今までエラそうに書きましたが、正直に書きます。
Microsoft 365 Copilotのライセンスを付与されてから1-2か月は、ほとんど活用できていませんでした。

転機は 「とにかく何でも聞いてみる」 と決めたことです。
この習慣が身についてから、使用頻度と満足度が一気に上がりました。

その結果、様々な活用方法が自然に思いつき、徐々に(しかし確実に)生産性が向上しています。
過剰に労働することなく、対目標105~120%の成績を毎クオータ出すなど、安定した営業成績を出せています。

今や、Copilot抜きに私の業務は考えられません。

営業成績を上げるために(役割別)

自身の経験より、営業成績は上がると考えます。
しかし、条件付きです。

先ほど、このように書きました。
この「条件」とは何か―

Copilotを導入するだけでは、営業成績の向上に繋がりません。
関わる人それぞれに役割があります。

営業職(当の本人)

「まずやってみる(聞いてみる)」が全てです。

うまく使えないことも最初はあります。
でもそれを「使えないツール」と断定するのではなく、うまくいかないこと自体を楽しむくらいの姿勢が大事だと思います。
プロンプトを変えると全然違う結果が出ることも多いですし、そもそもCopilotは頻繁にアップデートが走っています。
試行錯誤の数が、習熟度に直結します。

自戒を大いに込めつつ書きますが、多くの営業職はAIのミスに寛容でありません。
営業自身も日々ミスや解釈違いを起こしますが、AIのミスや解釈違いには、過剰な失望を抱きがちです。

Copilotは本来「副操縦士」という意味です。
自分の業務の副操縦士や相棒として、日々付き合っていくのが良いでしょう。

エヴァンジェリスト(社内推進役)

できれば営業職自身がこの役を担うのがベスト。

「IT部門の人が便利だと言っているツール」より、「同僚の営業が実際に使って成果が出た話」の方が圧倒的に刺さります。

エヴァンジェリストが発信するトピックは、営業目線で選ぶことが重要だと考えます。

  • Microsoft が出す営業向けベストプラクティス事例の紹介
  • 社内で実際にうまくいったプロンプト例の共有
  • 「この場面でこう使った」という超具体的な体験談

抽象的な機能紹介より、「あのシーンで使えばよかった」と思わせる話が響きます。

Copilotに詳しい人が推進役を担う場合、注意が必要です。
専門用語モリモリ、機能面重視の話をして、営業職を困惑させないようにしましょう。

管理者(IT・情報システム)

これが一番大事かも知れません。
Copilot の力を引き出すには、Microsoft 365のデータが整理されていることが前提になります。

SharePoint のドキュメント管理、Teamsの運用ルール、権限設定——

これらが雑だと、Copilotの回答も雑になります。
ゴミを入れればゴミが出てくる(GIGO)の法則は、ここでも有効でしょう。

詳しくは、Microsoft MVPであるおゆ氏による以下の記事をご覧ください。

現場マネージャー

メンバーが試行錯誤できる心理的安全性と時間的余裕を作るのが役割です。

「ワシはAIの作った資料なぞ見ない」
「Copilot?なんだそれは!最近の若者は…ブツブツ」

とならないようにしましょう。

とはいえ、マネージャーの考え方をボトムアップで変えるのは非現実的であり、効率的でないです。
後述する経営層からのメッセージが有効でしょう。

経営層

AIに懐疑的な現場マネージャーを沈黙させ、活用の機運を高めるには、経営層からのメッセージが必要不可欠です。

有識者によるハンズオンセミナーを行い、経営層自身が有用性を理解し使っている状態にすることが大切でしょう。

ハンズオンセミナーで有用性を理解した社長による鶴の一声で、状況が変わったという大企業の話を聞いたことがあります。
懐疑的な現場マネージャーが沈黙し、活用が一気に進んだ好事例です。
ハンズオンセミナーにMicrosoftの方々や他社有識者を呼べるのであれば、そうするのが手っ取りと考えます。

注意点

営業成績を上げるという観点で、押さえておきたい注意点をまとめます。

トップセールスへの道はCopilotでは開けない

筆者はこれまで、コンサルティングファームやベンチャー企業で営業を行ってきて、様々な凄腕営業を見てきました。

  • 若干25歳にして、大企業の役員に対して流暢にプレゼンを行う天才的なセールスパーソン
  • 飲みにケーションで大型案件をフラッと持ってくる(しかしあまり社内にいない)大阪出身のおじさん営業

Copilotで、彼らのような次元に至ることができるかというと、現時点ではNOだと思います。

顧客との信頼関係、人脈、場の空気を読む力、諦めない粘り強さ——

こういったものは、AIには代替できません。

やる気のない人を劇的に変えることは難しい

Copilotはあくまで「道具」です。
使う人の意志を増幅することはできても、意志そのものを生み出すことはできません。

モチベーション改革のツールとして期待するのではなく、意欲のある人の生産性をさらに引き上げるツールとして位置づける。
その方が、導入後の期待値ギャップが生まれにくいと考えます。

Microsoft 365環境がそれなりに整備されている必要がある

繰り返しになりますが、Copilot は Microsoft 365の上に乗っかっています。
メールもTeamsもドキュメントも使われていない・整理されていない環境では、Copilotの価値は大きく減ります。
「まずCopilotを入れてみよう」より、「まずMicrosoft 365をちゃんと使おう」が先です。

今後の展望

今のCopilotはまだ序章に過ぎず、構造が根本から変わる可能性があります。

特にCopilot Coworkをはじめとするエージェント系機能により、営業職のタスクを自律的に実行するレベルに至ることが期待されます。

  • 商談後に自動でフォローメールを下書き → 承認だけして送信
  • 社内の案件管理ツールと連携して、進捗レポートを自動生成
  • 特定の条件を満たした顧客に、自動でナーチャリングメールを送付

これが当たり前になると、「Copilotを使いこなすスキル」というより「AIエージェントをどう設計・管理するか」という新しい能力が、営業職にも求められるようになるかもしれません。

まとめ

質問 答え
Copilot を入れれば営業成績は上がる? 上がる。ただ、入れるだけでは上がらない
じゃあ何が必要? 使う人・支える人・動かす人が揃うこと
どんな人に効く? 今より良くなろうとしている人
トップセールスになれる? それはCopilotの仕事じゃない。今のところ

Copilotは、単なる業務効率化のみならず、営業職の持つスキルを増幅させ、営業成績の向上に大きく寄与します。

現役の営業職として、今後も日々活用と検証を行い、自身の意見の裏付けを行っていきます。

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