はじめに
ActiveIQ Unified Manager(AIQUM)は、ONTAPのデータを効率的に監視・管理する為のツールで、Storage環境のパフォーマンスと可用性を最適化し、潜在的な問題を早期に検出・解決することができます。
操作についても、GUIによる直感的なダッシュボードと高度な分析機能を備え、管理者はシステムの健全性を把握し、データ管理の効率を大幅に向上させることができるようになります。
本記事では、ActiveIQ Unified Managerの初期構築及び管理画面の概要について記載致します。
AIQUM利用時のベストプラクティスについては、Active IQ Unified Manager: Best practices
guideを参照下さい。

AIQUMの主要機能
- ダッシュボードで登録したONTAPを可視化しシステム全体の状況や機器の詳細を確認
- 障害・閾値超過などをイベントで管理し、通知の一元化を実現
- 過去及び現時点の性能を表示
- 対象システムに関する各種レポートの表示、カスタマイズ、スケジュール設定
- VMware vCenterと連携することで、仮想マシン単位でのPerformanceの可視化
機器障害の際に確認するサポートサイトのActiveIQ(Digital Advisor)とAIQUMは製品としては別のものになります。
AIQUMとの違いとしては以下の通りで、サポートサイトではAFF等の機器購入の際に製品登録を実施して、AFF等からAutosupportデータを送付する事でサポートサイト上にて状態確認を実施する事ができるのに対して、AIQUMはInstall後に管理対象のONTAPを登録することで利用可能となります。
また、Data Infrastructure Insights(DII、旧Cloud Insight)との違いについては、DIIはハイブリッド環境でマルチベンダーの機器を管理できるのに対して、AIQUMはオンプレミスのONTAPを確認できる無償ツールという形になります。
なお、パフォーマンス情報の確認時のデータ粒度としては以下の通りになります。
Active IQ(サポートサイト) > AIUM > DII > ONTAPのstatisticコマンド
小さい方が短時間の値を確認できますので、Active IQ(サポートサイト)では凡その傾向は把握できますが、秒間での値について確認となるとCLIを利用する必要があるという形です。
記事における環境情報
本記事では、以下の環境で実施した内容となります。
- AIQUM : 9.16(OVA版)
- ONTAP : 9.16.1他
環境のイメージとしては以下の通りです。

詳細はリリースノートから確認する事ができますが、AIQUM 9.16ではサポートするESXiや脆弱性の修正が中心となっているので、ONTAPのように今までに無い新しい機能が増えたといった事は無いです。
導入及び設定手順
AIQUMの構築に必要なスペックについては、Quick start instructions for VMware installations の内容をご確認下さい。
1. OVAファイルの取得
NetAppのサポートサイトへアクセスし、画面上部の[Downloads]を選択します。
表示された画面で[Active IQ Unified Manager]を選択します。

利用するVersionを選択して、[Go]をクリックします。
注意書きに同意してから、表示された画面で、対象を選択してダウンロードを実施します。
gzip 形式で圧縮されたtarファイルがダウンロードされますので、展開しておきます。
2. OVS版AIQUMの構築
2-1. vCenter ServerでOVAの展開
vCenter Serverへログインを実施し、AIQUMを作成するESXiサーバで右クリックを行い、[OVFテンプレートのデプロイ]を選択します。

表示された画面でローカルファイルからOVA形式のファイルを選択します。
作成されるAIQUMの仮想マシン名を入力します。

AIQUMの仮想マシンを作成するESXiサーバを選択します。
AIQUMの仮想マシンの仮想Diskの作成場所を指定します。本記事の例では、NFSデータストア上に作成します。

AIQUMの仮想マシンが接続されるNetworkを指定します。

テンプレートのカスタマイズを実施します。
本記事では、DHCP構成ではなくIPアドレスを決められた値で設定したいので、各項目を空白とはにせずに値を入力しておきます。
設定値を確認し、[完了]をクリックする事でデプロイが開始されます。
2-2. AIQUMの起動
デプロイの完了後、仮想マシンの起動を実施します。

仮想マシンのコンソール画面で、10分程度立ち上がるのを待ちます。
(途中でVMの再起動が実施されます)

タイムゾーンの設定項目が表示されるので、値の指定を実施します。
本記事では、Asia/Tokyoの設定を実施したいので、6を入力後に79のTokyoを指定しています

構築するAIQUMへのIP設定を実施します。
固定のIPアドレスを設定したいので、2を入力します。
管理ユーザを作成します。
USキーボード設定となっているので、記号の利用時には注意が必要です。
(後のGUI操作時には日本語キーボードでの入力となる為にズレが生じる)

管理ユーザ設定後に、Webブラウザでアクセスを促す画面が表示されます。
2-3. AIQUMへのアクセス
WebブラウザでAIQUMへアクセスを実施し、設定した管理アカウントでログインを実施します。

ログイン後、表示された画面でメンテナンスユーザのメールアドレスと通知先SMTPサーバを指定します。
AIQUMのAPIを有効化するかを指定して[続行]をクリックします。
管理するONTAPのCluter管理LIFのIPもしくはHost名を入力します。
管理対象のONTAPを後から追加する際には、画面左側の[ストレージ管理]=>[クラスタセットアップ]を選択し、表示された画面で[+追加]をクリックすることで実施できます。

3. AIQUMでストレージの管理例
AIQUMへログインを実施するとダッシュボート画面で推奨事項や容量、パフォーマンスの概要を確認することができます。

3-1. ストレージの個々の要素を確認
画面左側の[インベントリ]=>[ストレージ]からインベントリで管理しているストレージのオブジェクトについて詳細を確認することができます。
以下は個々のVolume情報を確認した画面例となります。

Volume情報の詳細画面からは、容量の確認が可能です。
また、Volume毎に閾値設定を実施することも可能です。


パフォーマンスビューではIOPSやlatencyを確認することができます。

3-2. パフォーマンスの閾値設定
画面左側の[設定]にある[全般]=>[イベントしきい値]をクリックし、表示された画面で[+追加]を選択すると、Volパフォーマンスの閾値設定を実施する事ができます。

表示された画面で閾値の単位を(SVMやNodeやVolume等)とするのかを選択し、閾値の指定を実施します。
3-3. 通知について
設定後は、[設定]にある[ストレージ管理]=>[アラートセットアップ]をクリックし、表示された画面で[+追加]を選択すると、通知設定を実施する事ができます。
表示された画面で通知対象とするリソース(VolumeやSVM等)を指定します。

最後に通知方法について指定します。以下はメール通知を設定した例となります。
メール通知が実施されると、以下のようなメールの受信が確認できます。
参考及びリンク
Introduction to Active IQ Unified Manager
Active IQ Unified Manager Release Notes