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WorkGroup Clusterを試す②【Hyper-V+ONTAP環境を構築】

Last updated at Posted at 2024-05-07

はじめに

この記事では、2024年5月段階ではプレビュー版であるWindows Server 2025の機能を検証した内容を記載します。
特に、現行のWindwosServer 2016や2019ではサポートされていなかった、WorkGroup Cluster構築で構築したHyper-V環境でのライブマイグレーションの実施について確認します。

前回の記事で機能と役割の追加した内容からWorkGroup ClusterのHyper-V環境を構成し、ライブマイグレーションの実行を試みます。 なお、Hyper-Vのデータストア部分にはONTAPを使用します。

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何をしたい?できる?

  • Windows Server 2025 Insider PreviewのInstallを実施する
  • Workgroup Cluster環境を作成し、Hyper-V環境でライブマイグレーションを試す
  • ONTAPをHyper-Vのデータストアとする為の設定を行う

記事における環境情報

本記事では、以下の環境で実施した内容となります。

  • ONTAP: 9.8
  • OS: Windows Server 2025
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WorkGroup ClusterのHyper-V環境を設定

1. Storageアクセス用及びHyper-V用のNetwork設定

本記事の環境では、Hyper-V上の仮想マシンとONTAPへのiSCSI接続に使う10GBのNetworkを共有で利用する為、まずはHyper-Vの設定から実施します。

前提となる複数のタグVLANの疎通ができるような10G側の物理Network Switch設定については、過去の記事を参照頂ければと思います。

設定内容の概要図としては以下のような形です。
(実際にはクラスタ構成なので2台分に設定を実施します)
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1-1. 仮想スイッチマネージャー設定

Hyper-Vマネージャを起動し、ホスト名を右クリックか画面右側の[仮想スイッチマネージャ]を選択します。
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立ち上がった画面で、[外部]=>[仮想スイッチの作成]を選択します。
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以下の図の赤色部分の作成を実施します。
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表示された画面で、任意の仮想Switch名を入力し、接続の種類を以下のように指定します。
仮想スイッチ名はクラスタを構成するサーバーで合わせておきます。

  • 接続の種類は外部ネットワークを指定 (外部の機器と疎通を行う為)
  • 利用Portは10GBのものを指定
  • 管理オペレーティングシステムにこのネットワークアダプターの共有を許可にチェック
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作成されるホストの仮想NICはVLAN22を使って通信を実施したいので、
管理オペレーティングシステムの仮想LAN IDを有効にするにチェックを入れ、VLAN IDの指定を行います。
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次に、仮想マシンのみが外部通信できるような仮想Switchの作成を実施します。
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[仮想スイッチマネージャ]を選択し、[外部]=>[仮想スイッチの作成]を選択します。
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表示された画面で、任意の仮想Switch名を入力し、接続の種類を以下のように指定します。

  • 接続の種類は外部ネットワークを指定 (外部の機器と疎通を行う為)
  • 利用Portは10GBのものを指定(先程指定していないPort)
  • 管理ネットワークとの共有はしない
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1-2. ホストOSへのIP設定(10G Network)

ONTAPとiSCSI通信する為に、10GのPortに対してIPアドレスを付与します。
Hyper-V用に物理の10G Portは利用されてしまっているので、仮想スイッチ作成時に管理ネットワークとの共有を指定する際に作成される仮想NICに対してIPの付与を実施します。

ネットワークアダプターからIPを設定する際にはvEthernetという仮想NICを指定して実施します
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2. ONTAP側でiSCSI用SVMの作成とLUNの作成

ONTAP + Hyper-VのTRにあるようなNASを利用した接続ではActiveDirectory環境を前提とした内容になっている為、過去の記事にある手順のような形で、Windows環境で400GBのLUNをiSCSIを利用して接続します。

現状ではONTAPのSMB利用時の推奨であるcontinuously-available利用はWorkGroup環境ではNGです

> cifs share properties add -vserver ps_vm_hyperv2 -share-name hyperv_ds03 -share-properties continuously-available

Error: command failed: Failed to modify CIFS share "hyperv_ds03". Reason: Cannot make share continuously available:
       CIFS server is in workgroup mode.

2-1. 構成情報の確認

本記事の構成情報としては以下のような形です。

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CLIでStorageの設定内容を確認します。

# iscsiの設定
> iscsi show -vserver ps_vm_hyperv2

                 Vserver: ps_vm_hyperv2
             Target Name: iqn.1992-08.com.netapp:sn.XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX:vs.133
            Target Alias: ps_vm_hyperv2
   Administrative Status: up
   
# ONTAPに作成したLUNの構成
> lun show -vserver ps_vm_hyperv2
Vserver   Path                            State   Mapped   Type        Size
--------- ------------------------------- ------- -------- -------- --------
ps_vm_hyperv2
          /vol/datastore/ds.lun           online  mapped   windows_2008
                                                                       400GB
ps_vm_hyperv2
          /vol/qrum/qrum.lun              online  mapped   windows_2008  2GB

# SVMのNetwork構成
> net int show -vserver ps_vm_hyperv2 -service-policy default-data-blocks
  (network interface show)
            Logical    Status     Network            Current       Current Is
Vserver     Interface  Admin/Oper Address/Mask       Node          Port    Home
----------- ---------- ---------- ------------------ ------------- ------- ----
ps_vm_hyperv2
            iscsi01      up/up    172.16.22.13/24    ps-8300-cl-01 a0a-22  true
            iscsi02      up/up    172.16.22.14/24    ps-8300-cl-02 a0a-22  true
2 entries were displayed.

2-2. iSCSIの接続状態の確認

> iscsi session  show -vserver ps_vm_hyperv2
          Tpgroup        Initiator                        Initiator
Vserver   Name    TSIH   Name                   ISID      Alias
--------- ------- ---- ------------------------ --------- ---------------------
ps_vm_hyperv2
          iscsi01    1 iqn.1991-05.com.microsoft:ps-dl360g10-11.ps-sc.local
                                                40:00:01:37:00:01
                                                          -
ps_vm_hyperv2
          iscsi01    7 iqn.1991-05.com.microsoft:ps-dl360g10-12.ps-sc.local
                                                40:00:01:37:00:01
                                                          -
ps_vm_hyperv2
          iscsi02    4 iqn.1991-05.com.microsoft:ps-dl360g10-11.ps-sc.local
                                                40:00:01:37:00:03
                                                          -
ps_vm_hyperv2
          iscsi02    5 iqn.1991-05.com.microsoft:ps-dl360g10-12.ps-sc.local
                                                40:00:01:37:00:03
                                                          -
4 entries were displayed.

> iscsi connection   show -vserver ps_vm_hyperv2
             Tpgroup             Conn  Local           Remote          TCP Recv
Vserver      Name          TSIH  ID    Address         Address         Size
------------ ------------- ----- ----- --------------- --------------- --------
ps_vm_hyperv2
             iscsi01           1     1 172.16.22.13    172.16.22.10     2097152
ps_vm_hyperv2
             iscsi01           7     1 172.16.22.13    172.16.22.11     2097152
ps_vm_hyperv2
             iscsi02           4     1 172.16.22.14    172.16.22.10     2097152
ps_vm_hyperv2
             iscsi02           5     1 172.16.22.14    172.16.22.11     2097152
4 entries were displayed.

3. フェイルオーバークラスターの設定

認識させたLUNをCluster共有Volume (CSV) として利用したいので、WorkGroup Clusterの構築を実施します。

3-1. 構成の検証を実施

フェイルオーバークラスターマネージャーを立ち上げ、右クリックから[構成の検証]を選択します。
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立ち上がった別画面で、クラスタ対象とするサーバを追加します。
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テストのオプションを選択します。
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[次へ]を選択してテストを実施します。
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内容を確認し、[完了]をクリックします。

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Active Directory 構成の検証についての警告が出ますが、WokGroup Clusterを作成したいので無視します。

3-2. クラスタの作成を実施

フェイルオーバークラスターマネージャーを立ち上げ、右クリックから[クラスターの作成]を選択します。
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立ち上がった別画面で、クラスタ対象とするサーバを追加します。
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クラスタ名とIPの設定を実施します。
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内容を確認してクラスタの作成を実施します。
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3-3. LUNのクラスタ記憶域への追加とCSV化

ONTAP上に作成して接続したLUNをクラスタの記憶域へ追加します。
以下の2つ分を追加します

  • クォーラム用の2GBのDisk
  • Cluster共有Volume (CSV)として利用するHyper-Vのデータストア用の400GBのDisk
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表示された画面で対象のDiskを追加します。
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Hyper-Vのデータストア用のDiskを右クリックして、[クラスター共有ボリュームへの追加]を選択します。

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CSV化が完了すると、CドライブのClusterStorage以下に接続されます。
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3-4. クォーラムの設定を実施

クラスタ名を右クリックし、[他のアクション]=>[クラスタークォーラム設定の構成]を選択します。
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表示された画面で[クォーラム監視を選択する]を指定します。
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[ディクス監視を構成する]を選択します。
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クォーラムとして使うディスクを指定します。
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作成を実施します。
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4. Hyper-Vの設定と仮想マシンの作成

4-1. Hyper-Vの設定

Hyper-Vマネージャを起動して、[操作]=>[Hyper-Vの設定]を指定します。
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立ち上がった画面で、以下の2つについてCSVの領域を指定します。

  • 仮想ハードディスク
  • 仮想マシン
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仮想マシンへの接続をクラスタ対象の両サーバから実施できるようにする為に
WinRM の TrastedHosts にホストを追加を行います。

# PS-DL360G10-11側のPowerShellで実施
> Set-Item WSMan:\localhost\Client\TrustedHosts -Value PS-DL360G10-12.ps-sc.local

WinRM セキュリティの構成。
このコマンドは WinRM クライアントの TrustedHosts の一覧を変更します。TrustedHosts
の一覧内にあるコンピューターは認証されない可能性があります。クライアントはこれらのコンピューターに資格情報を送信する可
能性があります。この一覧を変更しますか?
[Y] はい(Y)  [N] いいえ(N)  [S] 中断(S)  [?] ヘルプ (既定値は "Y"): Y

Hyper-Vマネージャにサーバを追加する為に、[Hyper-Vマネージャ]を右クリックし[サーバーに接続]を選択します。
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立ち上がった画面で、追加するサーバを入力します。
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追加されている事を確認します。
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4-2. 仮想マシンの作成

ライブマイグレーションを試す為に、仮想マシンの作成を実施します。
作成後のイメージとしては以下のような形になります。

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本記事ではHyper-Vマネージャから仮想マシンの作成を実施し、後ほどクラスタへの登録を行います。
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マイグレーション中に仮想マシン上でping疎通が切れない事を確認する為、本記事ではVLAN22の通信ができる形で作成します。
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仮想マシンにOSのInstall+IPの設定を行うと以下のように疎通が確認できるようになります。

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5. 仮想マシンのクラスタへの登録とライブマイグレーション実施

5-1. 仮想マシンの登録

フェイルオーバークラスターマネージャを起動し、[役割]を右クリックし[役割の構成]を選択します。
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立ち上がった画面で、仮想マシンを選択します。
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クラスタ登録を行う仮想マシンを選択します。
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正常に登録されたことを確認します。
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5-2. ライブマイグレーションの実施

フェイルオーバークラスターマネージャで役割をクリックし、仮想マシン一覧を表示させます。
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ライブマイグレーションの対象とする仮想マシンを右クリックし、[移動]=>[ライブマイグレーション]=>[ノードの選択]を選択します。
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仮想マシンの移動対象を選択します。
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移動が完了している事を確認します。
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また、ライブマイグレーション中に仮想マシンでpingを実行しても特に遅延は見られない事が確認できます。
(本記事の環境では20秒程度で移動完了)
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参考及びリンク

【今から覚えるONTAPの操作】iSCSI用のSVMを作成する

Microsoft Hyper-V over SMB 3.0 with ONTAP: Best Practice

ワークグループ可用性グループを構成する

Workgroup and Multi-domain clusters in Windows Server 2016

WorkGroup Clusterを試す①【Windows Server 2025 Insider Preview Install】

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