はじめに
2026 年 3 月 25 日、Amazon Aurora PostgreSQL Serverless に「Express Configuration」という新機能が登場しました。
たった 2 クリック・数秒でデータベースを作成できるとのこと。
従来の Aurora といえば、VPC の設定やサブネットグループの作成、セキュリティグループの設定、待ち時間など、データベースを使い始めるまでにそこそこの手間がかかっていました。
ということで、実際に Express Configuration でデータベースを作成して、接続するところまでやってみました!
この記事で学べること
- Express Configuration とは何か、従来の Aurora との違い
- マネジメントコンソールと AWS CLI での DB 作成手順
- CloudShell と psql での接続方法
- Express Configuration の制約事項
- Aurora DSQL との使い分けについての所感
前提知識・条件
本記事は 2026 年 3 月時点の情報です。
検証は東京リージョン(ap-northeast-1)、AWS CLI v2.34.16 で行っています。
Express Configurationとは?
Express Configuration は、Aurora PostgreSQL Serverless v2 のデータベースを 2 クリック・数秒で作成できる新機能です。
従来の Aurora では、データベースを作成するために VPC やサブネットグループ、セキュリティグループなどのネットワーク設定が必要でした。
Express Configuration では、これらが一切不要になります。
大きな特徴をまとめると、こんな感じです。
- VPC なしでデータベースが作成される
- 新しい「Internet Access Gateway」を通じて、世界中どこからでも PostgreSQL ワイヤプロトコルで接続可能
- IAM 認証がデフォルトで有効(パスワードレス)
- ACU(Aurora Capacity Units)の秒単位の従量課金
- AWS Free Tier 対応
VPC を使わないというのが、従来の Aurora との最大の違いですね。
Internet Access Gateway という新しい仕組みを通じて、インターネットから直接接続できるようになっています。
やってみた
Step 1: データベースを作成する(コンソール)
では、早速試してみます!
マネジメントコンソールでの手順はとてもシンプルです。
ステップ1。
これだけです。本当に 2 クリックで完了しました。
10 秒ほど待つと、ステータスが「Available」になりました。爆速ですね!
なお、ACU などいくつかの設定は変更可能ですが、オレンジマーカーのところは変更不可でした。
Step 1-2: データベースを作成する(CLI)
AWS CLI からも作成できます。こちらもシンプルですね。
aws rds create-db-cluster \
--db-cluster-identifier my-express-cluster \
--engine aurora-postgresql \
--with-express-configuration
--with-express-configuration を付けるだけで、VPC の設定やインスタンスの作成が不要です。
なお CLI はバージョンアップが必要で、今回は 2.34.16 で確認しました。
Step 2: データベースに接続する
データベースが作成できたので、次は接続してみます。
Express Configuration で作成したデータベースにはいくつかの接続方法があります。
今回は AWS CloudShell と psql で試してみます。
CloudShellで接続
一番簡単なのは CloudShell からの接続です。
- RDS コンソールで対象のクラスターを選択
- 「接続とセキュリティ」タブの「クラウドシェル」セクションを開く
- 「クラウドシェルを起動」をクリック
- 表示されたコマンドの「実行」をクリック
これで postgres=> プロンプトが表示されれば接続成功です。ブラウザだけで完結するので、ローカルに何もインストールせずに済むのがいいですね!
psqlで接続
ローカル環境( Mac )から psql で接続する場合は、IAM 認証トークンを使います。
RDS コンソールの「接続とセキュリティ」タブにある「コードスニペット」にあるコマンドをコピーして、ターミナルに貼り付けるだけです。裏側では、AWS CLI が自動的に IAM 認証トークンを生成してくれています。
export RDSHOST="database-1-instance-1.xxxxxx.ap-northeast-1.rds.amazonaws.com"
psql "host=$RDSHOST port=5432 dbname=postgres user=postgres sslmode=require password=$(aws rds generate-db-auth-token --hostname $RDSHOST --port 5432 --username postgres --region ap-northeast-1)"
ポイントは、パスワードの代わりに IAM 認証トークンを使っているところです。
このトークンは 15 分間有効で、rds-db:connect の IAM 権限が必要になります。
このトークンの仕組みは Amazon Aurora DSQL と同じですね!
制約事項
Express Configuration はお手軽な反面、制約事項もあるみたいです。
下記の記事をもとに簡単にまとめてみます。(2025/3/27時点)
| カテゴリ | 制約内容 |
|---|---|
| エンジン | Aurora PostgreSQL のみ(MySQL は非対応) |
| ネットワーク | VPC への関連付け不可 |
| ネットワーク | Internet Access Gateway の無効化不可 |
| ネットワーク | IPv4 のみ(IPv6 非対応) |
| 認証 | IAM 認証のみ(Secrets Manager 非対応) |
| 暗号化 | カスタム KMS キー使用不可(AWS/RDS サービスキーのみ) |
| バージョン | エンジンバージョンの選択不可(アップグレードのみ可) |
非対応機能は以下のとおりです。
- Aurora Limitless Database
- Aurora Global Database
- RDS Proxy
- Aurora Zero-ETL Integration
- RDS Query Editor
- Blue/Green Deployments
- Database Activity Streams
- Zero Downtime Patching
- Babelfish
Aurora DSQLとの比較についての所感
ここからは個人的な所感です。
Express Configuration を試してみて、正直なところ「これがあるなら DSQL を無理に使わなくてもいいのでは…」と少し思いました。
どちらもサーバーレスで VPC 不要、秒単位の従量課金、数秒で起動できる、という点は共通しています。
ただ、DSQL にはマルチリージョン対応という強みがありそうです。
グローバルに展開するアプリケーションでは、引き続き DSQL の方が適しているケースもあるかなと感じました。
ただ「ちょっと PostgreSQL のデータベースが欲しい」というシーンでは、Express Configuration がかなり有力な選択肢になりそうです。
また、プライベートサブネットに格納できずオープンな状態ではあるので、セキュリティ要件が厳しい本番環境では注意が必要です。
ただ、IAM 認証が必須になっているので、認証面はしっかりしている印象です。
コネクションプーリングについて
Express Configuration では IAM 認証のみ対応となっていて、15 分有効なトークンをパスワードとして使います。
Aurora DSQL でも同じでした。
以前、Aurora DSQL で SQLAlchemy を使ったコネクションプーリングの記事を書いた際にも、15 分ごとの IAM トークンの扱いがポイントになっていました。
検証まではしていませんが、おそらく同じようにできるので、紹介しておきます!
まとめ
Aurora PostgreSQL Serverless の新機能「Express Configuration」を試してみました。
- Express Configuration を使うと、VPC の設定なしに 2 クリック・数秒で Aurora PostgreSQL Serverless データベースを作成できる
- Internet Access Gateway により、世界中どこからでも PostgreSQL ワイヤプロトコルで直接接続可能
- IAM 認証がデフォルトで有効。15 分有効な一時トークンをパスワードとして使用する
- CloudShell からの接続が一番お手軽。ローカルからは psql と AWS CLI を組み合わせて接続できる
- 制約事項は要確認(VPC 不可、MySQL 非対応、RDS PROXY 利用不可など)。本番利用の際は要確認
- IAM 認証トークンの仕組みは Aurora DSQL と共通で、同じノウハウが活かせる
「ちょっと Aurora を試してみたい」「開発環境にサクッと PostgreSQL が欲しい」というときに、Express Configuration はぴったりです。
VPC 周りの設定が不要なだけで、大きく体験が変わりますね!
一方で、制約事項やプライベート環境に格納できない等の検討事項もあります。本番利用の際は考慮が必要ですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました! 誰かのお役に立てると幸いです〜。







