はじめに
AIコーディングエージェントをチーム開発で使うと、実装そのものはかなり速く進みます。
ただ、2025年に実際に使っていて感じたのは、AIに大きなIssueをそのまま渡すと、成果物よりも確認コストのほうが重くなることがある、ということでした。
この記事では、AIエージェントに任せるIssueをどう小さく切ると扱いやすかったかをまとめます。
大きなIssueを渡して困ったこと
最初は、人間に渡すのと同じ粒度でAIにも依頼していました。
設定画面の使い勝手を改善してください。
関連するUIと保存処理も必要に応じて直してください。
この依頼でも、AIはそれらしい変更を出してくれます。
でも、レビューする側から見ると、次のような問題が起きました。
- UI変更、状態管理、API呼び出し、文言修正が一つの差分に混ざる
- どこまでが必要な変更で、どこからがAIの判断なのか分かりにくい
- テストで確認する範囲が広がる
- レビューコメントが設計、実装、表現の話に散らばる
大きなIssueは、人間にとっても難しいです。
AIの場合は、その難しさが「速く大きな差分が出る」という形で表面化しました。
小さく切る基準
そこから、AIに渡す前にIssueを次の単位へ分けるようにしました。
## 1. 表示だけを変える
- ラベル文言を変更する
- 補足テキストを追加する
- 保存処理には触らない
## 2. 入力状態だけを整理する
- 未入力時のdisabled制御を追加する
- バリデーション文言は既存のものを使う
- API仕様は変えない
## 3. 保存後の挙動だけを直す
- 成功時の通知を出す
- 失敗時は既存エラー表示を維持する
- UIレイアウトは変えない
ポイントは、作業量で切るのではなく、レビュー観点で切ることです。
「30分で終わりそうか」よりも、「レビュー時に何を見ればよいかが一言で言えるか」を基準にしたほうが、チームでは扱いやすくなりました。
Issueに書くようにしたこと
小さく切ったIssueには、最低限これだけを書くようにしました。
## 目的
このIssueで改善したいこと
## やること
- 今回変更する範囲
## やらないこと
- 今回は触らない範囲
## 確認観点
- レビューで重点的に見ること
- 動作確認で見ること
特に効いたのは、やらないこと です。
AIは、関連していそうな箇所を広めに直そうとします。良い方向に働くこともありますが、チーム開発では差分の意図がぼやけます。
そのため、あらかじめ「今回は触らない」と書いておくと、AIの出力もレビューもかなり安定しました。
小さく切りすぎたときの問題
もちろん、細かくすればするほど良いわけではありません。
小さく切りすぎると、今度は次の問題が出ます。
- Issue間の依存関係が増える
- 同じファイルを何度も触る
- レビューやマージの回数が増える
- 全体として何を改善しているのか見えにくくなる
自分の場合は、次の条件を満たすくらいの粒度がちょうどよかったです。
- 1つのPRでレビュー観点が2つ以内
- 主要な変更ファイルが数個に収まる
- 動作確認の手順を短く書ける
- 失敗しても戻しやすい
このくらいにしておくと、AIの実装速度を活かしつつ、人間のレビュー負荷も抑えやすくなります。
AIに渡す前のチェック
Issueを作ったあと、AIに渡す前に次の3つだけ確認するようにしました。
- 何を変えるIssueか、一文で言えるか
- 何を変えないIssueか、明示されているか
- 完了条件をレビューする人が判断できるか
この3つが曖昧なまま依頼すると、AIは実装で空白を埋めます。
逆に、ここが書けていると、AIの出力が多少ずれても「どこがずれたのか」を指摘しやすくなります。
まとめ
AIエージェントに任せるIssueは、大きな目的をそのまま渡すよりも、レビューできる単位に切ったほうが扱いやすかったです。
大事なのは、AIを細かく管理することではありません。
人間があとから判断できる差分に保つことです。
実装を速くするだけなら、AIに広く任せるほうが楽に見えます。
でも、チーム開発では、速く作ることと同じくらい、速く確認できることが効いてきます。
Issueを小さく切るのは、そのための地味だけど効く準備だと思います。
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