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Cloudflare 開発者サービス完全備忘録|Workers・D1・KV・R2・Durable Objects の無料枠と使い分け

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Last updated at Posted at 2026-05-03

はじめに

個人開発で何か作ろうとしたとき、インフラのコストが気になり始めました。
AWS や GCP はスケールには強いですが、個人で使うには少し重い。VPS も月額がかかる。

「もっと気軽に始められるものはないか」と調べていて行き着いたのが Cloudflare でした。
Workers・Pages・D1・KV・R2 など、個人開発に必要なインフラが制限付きながら無料で使えるうえ、商用利用 OK・クレジットカード不要。

ただサービスが多くて最初は全体像がつかみにくかったので、自分用に調べてまとめました。

こんな人におすすめ

  • クラウドや VPS の費用を抑えて個人開発したい人
  • Cloudflare の無料枠がどこまで使えるか気になっている人
  • Workers / D1 / KV / R2 / Durable Objects の違いがわからない人
  • WebSocket を無料で動かせるか調べている人

各サービスの無料枠・特徴・使い所をまとめ、最後に「なぜここまで無料なのか」というビジネス背景も整理しています。

2026年5月時点の情報です。最新情報は 公式ドキュメント で確認してください。

全体マップ

Cloudflare 開発者プラットフォーム
│
├── ホスティング
│   ├── Pages          → 静的サイト・SPA のデプロイ
│   └── Workers        → サーバーサイドロジック・API
│
└── ストレージ
    ├── D1             → SQLite ベースのリレーショナル DB
    ├── KV             → キーバリューストア(読み取り高速)
    ├── R2             → オブジェクトストレージ(S3 互換)
    └── Durable Objects→ 状態付きサーバーレス(WebSocket 向け)

なぜ Cloudflare はここまで無料で提供できるのか

「商用利用OK・永久無料・帯域無制限」と聞くと怪しく感じますが、これには明確なビジネスロジックがあります。

ビジネスモデルの構造

Cloudflare の収益の柱はエンタープライズ向けの有料契約(Pro $20/月・Business $200/月・Enterprise $2,000+/月)です。
無料プランはその「入口」として機能しています。

コア戦略は2つです。

  1. 無料プランでできるだけ多くのサイトを Cloudflare に乗せる
  2. トラフィックが増えセキュリティ要件が高まる瞬間に、有料へ自然にアップグレードさせる
個人開発者・スタートアップ(無料で使う)
        ↓ 事業成長
トラフィック増加・DDoS対策強化・SLA保証が必要になる
        ↓
Pro / Business / Enterprise へアップグレード(Cloudflare の収益)

インフラの限界費用がほぼゼロ

Cloudflare のネットワークは世界 100 カ国 300 都市以上に広がり、ピーク時には毎秒 6,300 万を超える HTTP リクエスト・1 日 2 兆以上の DNS クエリを処理しています。

この規模のネットワークをすでに持っているため、無料ユーザーを乗せても追加コストはほぼゼロです。
「すでに世界中にサーバーがあるから、1 サイト追加しても大差ない」という構造です。

R2 のエグレス無料は AWS への対抗策

AWS はデータ転送量で課金しますが、R2 はエグレス(データ転送)が永久無料です。
これが Amazon S3 との最大の差別化ポイントで、AWS からの移行を促す意図があります。

開発者起点の企業契約獲得(PLG 戦略)

個人開発者が Cloudflare を使い慣れる → 就職・転職先の会社でも推薦する → 企業契約につながる。

GitHub と同じ古典的な PLG(Product-Led Growth)戦略です。

理由 内容
限界費用が低い 世界規模のネットワークがすでにあるため追加コストが小さい
上位プランへの導線 無料ユーザーが成長したとき自然にアップグレードさせる
AWS への対抗 エグレス無料で AWS からの移行を促す
開発者コミュニティ戦略 個人開発者が使い慣れると企業契約につながる

Pages

Vue / React / 静的サイトなどをデプロイできるホスティングサービスです。
GitHub と連携してプッシュで自動デプロイできます。

無料枠

項目 無料
帯域幅 無制限
ビルド 500 回 / 月
カスタムドメイン 1 サイトあたり最大 100 個
静的アセットへのリクエスト 無制限・無料
ファイル数 20,000 件 / サイト

特徴

  • 静的アセットのリクエストは完全無料・無制限(これ重要)
  • Pages Functions(サーバーサイド処理)は Workers の無料枠と共有
    • 例:Pages Functions 50,000 件 + Workers 50,000 件 = 合計 100,000 件 / 日
  • 商用利用 OK・クレジットカード不要

いつ使う

  • Vue / React などの SPA をホストしたいとき
  • 静的サイトを CDN で配信したいとき

Workers

サーバーレスでコードを動かすサービスです。Hono と組み合わせて REST API を作るのが定番の使い方です。

無料枠(Free Plan)

項目 無料
リクエスト数 100,000 件 / 日
CPU 時間 10ms / リクエスト
実行時間(Duration) 制限なし(接続継続中)
メモリ 128MB

有料プラン($5/月〜)

項目 含まれる量 超過料金
リクエスト 1,000 万件 / 月 $0.30 / 100 万件
CPU 時間 3,000 万 CPU ms / 月 $0.02 / 100 万 CPU ms

重要ポイント

  • WebSocket 接続は 1 リクエストとしてカウント(初回接続のみ。メッセージのやり取りは課金対象外)
  • Workers はステートレスな V8 Isolate 環境
    • 複数インスタンス間で状態を共有できない
    • ブロードキャストが必要な場合は Durable Objects か Partykit が必要
  • CPU 時間はネットワーク待機(fetch 等)を含まない純粋な実行時間。外部 API 呼び出しや DB アクセスが主な処理なら、10ms で困ることはほぼありません

いつ使う

  • REST API(Hono と組み合わせて)
  • 認証・バリデーション
  • Claude API など外部サービスの呼び出し

D1(SQLite DB)

Cloudflare 上で動く SQLite ベースのリレーショナル DB です。Drizzle ORM との相性が特に良いです。

無料枠

項目 無料
ストレージ 5GB(アカウント合計。1DB あたり最大 500MB)
行の読み取り 500 万行 / 日
行の書き込み 10 万行 / 日

特徴・注意点

  • エグレス(データ転送)費用なし
  • 1 つの DB はシングルスレッド処理(クエリは 1 つずつ実行)
  • Read Replication(リードレプリカ)にも対応(追加料金なし)

いつ使う

  • ゲームデータ・ユーザー情報・ログの保存
  • ホビー〜中規模アプリのメイン DB

KV(キーバリューストア)

グローバルに分散されたキーバリューストアです。読み取りが高速な反面、書き込みは結果整合性です。

無料枠

項目 無料
読み取り 100,000 件 / 日
書き込み 1,000 件 / 日
削除 1,000 件 / 日
リスト 1,000 件 / 日
ストレージ 1GB

特徴・注意点

  • 読み取りは高速だが書き込みは結果整合性(即時反映ではない)
  • キーのサイズ上限:512 バイト
  • バリューのサイズ上限:25MB
  • 1 回の Worker 実行で外部サービスへの操作は合計 1,000 回まで

いつ使う

  • セッション管理
  • 設定値のキャッシュ
  • 頻繁に読み取るが書き込みは少ないデータ

R2(オブジェクトストレージ)

AWS の S3 互換オブジェクトストレージです。画像・動画・ファイルなどを保存・配信できます。

無料枠(永続)

項目 無料
ストレージ 10GB / 月
Class A 操作(書き込み系) 1,000,000 件 / 月
Class B 操作(読み取り系) 10,000,000 件 / 月
エグレス(転送料金) 永久無料

有料(超過分)

項目 料金
ストレージ $0.015 / GB-month
Class A 操作 $4.50 / 100 万件
Class B 操作 $0.36 / 100 万件

R2 の最大の強み

AWS S3 はデータを外部に転送するとエグレス費用がかかります($0.09/GB〜)。
R2 はエグレスが永久無料なので、大量アクセスがあってもデータ転送で課金されません。

いつ使う

  • 画像・動画・ドキュメントの保存・配信
  • 静的アセットの CDN 配信
  • バックアップストレージ

Durable Objects

状態を持てるサーバーレスです。WebSocket のルーム管理やリアルタイム同期に特化しています。

重要な更新(2026 年〜)

SQLite バックエンドの Durable Objects は Free プランでも利用可能になりました。
ただし従来の Key-Value バックエンドは有料プランのみです。
SQLite バックエンドのストレージ課金は 2026 年 1 月 7 日以降から開始。

無料枠(SQLite バックエンド)

項目 無料(Free Plan)
リクエスト 100,000 件 / 日
Duration(実行時間) 13,000 GB-s / 日
SQLite 行読み取り 500 万行 / 日
SQLite 行書き込み 10 万行 / 日
SQLite ストレージ 5GB(合計)
KV 操作 有料プランのみ

有料プラン($5/月〜、Key-Value バックエンド含む)

項目 含まれる量 超過料金
Duration(実行時間) 400,000 GB-seconds / 月 $12.50 / 100 万 GB-seconds

なぜ WebSocket に向いているか

Workers は複数インスタンスが別々に起動するため、異なるプレイヤーが別インスタンスに接続すると互いに通信できません。

Durable Objects はルーム単位で1 つのインスタンスを維持できるため、全員の接続を 1 箇所に束ねてブロードキャストが可能です。

[Durable Object: ルーム ABC]
  ├── たぬきさんの WS 接続
  ├── さくらさんの WS 接続
  └── ひろしさんの WS 接続
       ↓ 投票集計
  全員にブロードキャスト ✅

いつ使う

  • WebSocket のリアルタイムルーム管理
  • 複数クライアント間での状態共有
  • チャット・ゲーム・コラボレーションツール

Partykit(外部サービス・Cloudflare 基盤)

Durable Objects をラップしたリアルタイム基盤です。WebSocket のルーム管理に特化したライブラリ・ホスティングサービスです。

Cloudflare 公式のサービスではありませんが、内部で Durable Objects を使用しています。

特徴

  • Durable Objects の WebSocket 部分を抽象化してくれる
    • Durable Objects を直接使う場合、接続管理・ブロードキャスト・ルームIDのルーティングを自前で実装する必要がある
    • Partykit ではこれらが組み込まれており、onConnect / onMessage を実装するだけでルーム機能が動く
  • partykit dev でローカル開発が可能
  • Individual プラン(無料): 最大 10 プロジェクト。ただしストレージは 24 時間でリセット
  • Commercial プラン(実質無料): 自分の Cloudflare アカウントにデプロイすれば Partykit 側の費用はなし。Cloudflare の従量課金のみ

いつ使う

  • リアルタイムゲーム・チャット・コラボツール
  • Durable Objects を直接触るのが面倒なとき
  • Workers の Free プランで WebSocket を使いたいとき

プラン別まとめ表

サービス Free 有料($5/月〜)
Pages 無制限・500 ビルド/月 同左(Functions 枠が増加)
Workers 10 万 req/日 1,000 万 req/月
D1 5GB・500 万行読/日 同左(上限拡張可)
KV 読 10 万/日・書 1,000/日 読 1,000 万/月・書 100 万/月
R2 10GB・Class A 100 万/月 超過分従量
Durable Objects(SQLite) 2026 年 1 月〜利用可 利用可
Durable Objects(KV) 不可 利用可

まとめ

  • Pages:静的サイト・SPA のホスティングは完全無料・無制限
  • Workers:サーバーレス API。Hono と組み合わせるのが定番
  • D1:SQLite ベースの DB。Drizzle ORM と相性が良い
  • KV:読み取り高速なキャッシュ・セッション管理に最適
  • R2:エグレス無料の S3 互換ストレージ。AWS S3 からの移行先として有力
  • Durable Objects:WebSocket のリアルタイムルーム管理に特化。2026 年から Free プランでも SQLite バックエンドが利用可能に
  • Partykit:Durable Objects を手軽に使いたいときのラッパー

個人開発でゼロから始めるなら、Pages + Workers + D1 の組み合わせがまず最初の一歩です。静的フロントを Pages でホスト、API を Workers で立て、データを D1 に入れるだけで、コスト0円でフルスタックアプリが動きます。

参考リンク

ドキュメント URL
Workers 料金 https://developers.cloudflare.com/workers/platform/pricing/
Workers 制限 https://developers.cloudflare.com/workers/platform/limits/
D1 料金・制限 https://developers.cloudflare.com/d1/platform/limits/
KV 料金 https://developers.cloudflare.com/kv/platform/pricing/
R2 料金 https://developers.cloudflare.com/r2/pricing/
Durable Objects https://developers.cloudflare.com/durable-objects/
Partykit https://www.partykit.io/
Hono 公式 https://hono.dev/
Drizzle ORM https://orm.drizzle.team/
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