はじめに
メリークリスマス!
本記事は NRI OpenStandia Advent Calendar 2023 の 24 日の記事です。
比較結果は個人的な見解に基づくものですので、あくまでご参考 として捉えていただけると幸いです。
記事の構成として、俯瞰した「トレンドによる比較」、各フェーズやサービス仕様に着目した「各観点による比較」の二本立てで記載します。
想定読者
- まだ BI ツールを導入しておらず、どのツールが良いかわかっていない。
- 導入予定はないが BI ツールが気になっている。どういうものがあるかザックリ知りたい。
評価・比較
トレンドによる比較
まずは客観的に各 BI ツールがどの程度検索されているのか、を簡単に見てみましょう。
以下は全ての国を対象に、ここ10年の各 BI ツールの検索数を Google Trends で調べたグラフになります。
あくまで検索なので「本番環境として使われている」という評価をするには至りませんが、Tableauが長きにわたって人気、Power BIが追い上げている ということがわかります。
続いて同じ期間、同じ対象で日本国内の状況を見てみましょう。
以下は日本のみにフィルタしたグラフになります。
2014年頃までは概ねどのBIツールも同じように着目されていたようですが、現在では Tableau、Power BIが注目されている ことがわかります。
このことから Tableau、Power BI が世界・日本どちらでも注目されていることがわかります。
注目されている分、ドキュメントやサポートが整備されたり、コミュニティが活性化しやすい傾向があるため注目度が高いというのは1つの価値/選定理由になると考えています。
各観点による比較
ここからはいくつかの観点ごとに各 BI ツールを比較します。
(1)データ加工・可視化フローにおける機能性
DB に接続してダッシュボードで可視化するまでを下記①~④として評価したいと思います。
①Connect
DB接続の観点ではどの程度のデータソース/DBサービス数をカバーしているかという点で比較しました。比較表は以下の通りです。
Tableau | Power BI | Domo | Qlik | |
---|---|---|---|---|
コネクタ数 | 約90種類 | 約90種類 | 約1,000種類 | 約100種類 |
BI ツール比較においてよく「Domo はコネクタが充実していることが魅力」と言われるようにコネクタ数では Domo が抜群に優れているといえます。
但し、数が多ければ良いというわけではないので分析対象の社内利用DBサービスをカバーできていれば Connect の観点ではどの BI ツールでも問題ないかと考えます。
また、BI ツールが自社内利用の DB サービスに対応していない場合でも、DB サービスと BI ツールの間に中間サーバを設ける等の対応で Connect 部分を補完することが可能です。
②Store
データの格納・整理については各種サービスにおいて大きな差はないため割愛したいと思います。
③Data Prep
取得したデータをクレンジング・正規化・加工するフェーズではETL機能に着目したいと思います。
Tableau | Power BI | Domo | Qlik | |
---|---|---|---|---|
ETL機能 | Tableau Prepというツールを有しており、加工のワークフロー作成・自動化が行える。 | Power Query を使ってデータの集計・加工ができる。 | Magic ETL/Beast Modeがあり、自動的に特定列を再計算する等の機能がある。 | データマネージャーという機能を使って既存カラムの値から新しい項目やテーブルの作成ができる。 |
基本的にはどの BI ツールもワークフローでETL処理を作ることができ、部分的にコード(SQL/Pythonなど)を入れてカスタム加工ができるような仕組みになっています。
また、Magic ETLのように特定列に関数を適用し、そこから新しい値を算出し、新しい項目やテーブルを作るといった機能も有しています。
ETLの点についてはどの BI ツールも大きく差はないと考えられます。
(UI/UX面での扱いやすさの差はありますが、今回は割愛します)
④Visualize
Visualize の観点では表現力としてグラフや表などの画面部品数がどの程度多いかを比較します。
Tableau | Power BI | Domo | Qlik | |
---|---|---|---|---|
画面部品数 | 21 | 23 | 92 | 32 |
上記の通り、可視化する上では Domo が圧倒的に画面部品が多い ということがわかります。
どのようなダッシュボード/レイアウトにするか、といったことを検討する際に画面部品の数が検討の幅を左右するため重要な指標の1つであると考えます。
(2)利用料金
続いて利用料金の比較です。
料金プランは各サービスで提供している機能の範囲が異なるため、単純に横並びで「高い・安い」を比較することはできませんが、BI ツールを有償契約するとどの程度費用が発生するのかの目処をご確認いただけるかと思います。
また、今回はサービスごとにいくつかプランがあることから利用料金をレンジで整理しています。
Tableau | Power BI | Domo | Qlik | |
---|---|---|---|---|
利用料金(円/ユーザ・月) | 1,800~9,000 | 1,250~2,500 | 不明(*1) | 2,800 |
(*1) 口コミサイトベースでは2,000円/ユーザ・月
※ 2023年12月時点の各HP上で記載された利用料金です。詳細は各サービスHPでの確認を推奨します。
※ 本家HPで円での記載がないサービスは140円/ドルで換算しています。
上記の通り、概ねユーザ課金を採用しており1ユーザあたり2,000-3,000円/月であることがわかります。ユーザ課金以外にも利用データ従量課金などの課金方式もあるため、詳細については各サービスの Pricing ページにてご確認ください。
先に述べた通り、各サービスごとにプランがあり、プランごとに提供している機能が異なることから単純な横並び比較はできないため利用料金の高低については言及しません。
おわりに
簡潔に各 BI ツールを比較しました。
- 世界・日本のどちらの観点でも Tableau が人気である一方で Power BI も注目を浴びていることがわかりました。
- 機能の観点では Domo が魅力的であることがわかりました。
私自身の好みとしては Power BI が良いなと感じています。
理由は以下の通りです。
Power BI を推す理由
- UIがわかりやすい
- 利用料金が比較的安い
- 他のMS製品との連携(Azure AD や Power Automate など)が強い
- Microsoft Fabric (*3) の登場により活用が進むと予想される
(*3) AI×データ分析の基盤として Synapse や Power BIを含む,
2023年11月にGA されたサービス
是非 BI ツール導入をご検討してみてはいかがでしょうか。